○ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例

平成18年3月30日

滋賀県条例第4号

ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例をここに公布する。

ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本計画等(第8条―第11条)

第3章 希少野生動植物種の保護に関する規制

第1節 指定希少野生動植物種(第12条)

第2節 個体の取扱いに関する規制(第13条―第18条)

第3節 生息地等の保護に関する規制(第19条―第25条)

第4節 保護増殖事業(第25条の2―第26条の2)

第4章 外来種による生態系等に係る被害の防止(第27条―第38条)

第5章 野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害の防止(第39条―第43条)

第6章 県民等との協働の推進(第44条―第48条)

第7章 雑則(第49条―第52条)

第8章 罰則(第53条―第57条)

付則

私たちのふるさと滋賀は、およそ400万年の歴史を有し我が国最大の湖である琵琶湖を擁し、その周りに肥よくな平野が広がり、さらにその周りを鈴鹿山脈、伊吹山地、比良山地、比叡山地などの山々が取り囲む豊かな自然環境を有している。この水と緑に囲まれた環境には、50種を超える固有種をはじめ、1万種を超えるといわれる在来の多種多様な野生動植物が生息し、生育しており、生物の多様性の宝庫となっている。

こうした多種多様な野生動植物が織りなすいのちのにぎわいは、悠久の時間の流れの中ではぐくまれてきたものであり、それ自体が尊重されるべきものである。多種多様な野生動植物は、微妙な均衡の下、相互に影響しあいながら豊かな生態系を形成しており、こうした生物の多様性は、すべてのいきものの生存の基盤でもある。また、多種多様な野生動植物が四季を通じて織りなすいのちの輝きは、私たちの日々の暮らしに安らぎと潤いを与えるものであり、心のよりどころでもある。ふるさと滋賀の地に暮らす人々は、こうした豊かな自然がもたらす様々な恵みに対する敬の念と感謝の気持ちを持って、多種多様な野生動植物との共生を図りながら、豊かな文化をはぐくむ地域社会を築いてきた。このふるさと滋賀の豊かな生物の多様性を次の世代へと引き継いでいくことは、現在に生きる私たちの責務である。

しかしながら、野生動植物の生息および生育の環境の悪化、野生動植物の過剰な捕獲および採取、様々な外来種の侵入および定着などにより、悠久の時間の流れの中ではぐくまれてきた生態系の微妙な均衡が崩れ、県内の数多くの野生動植物について絶滅のおそれが指摘されるなど、ふるさと滋賀の豊かな生物の多様性は今や危機的な状況にある。一方で、一部の野生鳥獣種については、生息数が増えすぎたり、人里近くに生息域を移したりしたため、農林水産業等に深刻な被害を及ぼすようになっており、人間と野生鳥獣種との軋轢あつれきが様々な場面で生じている。

こうした野生動植物を巡る様々な課題を解決し、ふるさと滋賀の豊かな生物の多様性を将来の世代へと引き継いでいくためには、多種多様な在来の野生動植物と人間とが良好な関係を保ちながら将来にわたって共に生きていくという共生の実現を旨として、野生動植物の適正な保護と管理を進めることが重要である。

私たち人間も自然の一員であり、野生動植物との共生の実現に向けて様々な取組が求められる。ふるさと滋賀の地に暮らす私たちみんなが生物の多様性の重要性を深く認識し、知恵を出し合い、連携しながら、野生動植物との共生が図られる地域社会を創造し、発信することを決意し、ここにふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、野生動植物(外来種に属する野生動植物を除く。以下同じ。)との共生について、基本理念を定め、県、事業者および県民等の責務を明らかにするとともに、希少野生動植物種の保護、外来種および野生鳥獣種による被害の防止その他の必要な事項を定めることにより、生物の多様性の確保および生活環境等の保全を図り、もって現在および将来の県民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「県民等」とは、県民、滞在者および旅行者をいう。

2 この条例において「希少野生動植物種」とは、県内に生息し、または生育する野生動植物の種(亜種または変種がある種にあっては、その亜種または変種とする。以下同じ。)であって、次の各号のいずれかに該当するものとして規則で定めるものをいう。

(1) 県内におけるその種の存続に支障を来す程度にその種の個体の数が著しく少ない野生動植物の種

(2) 県内におけるその種の個体の数が著しく減少しつつある野生動植物の種

(3) 県内におけるその種の個体の主要な生息地または生育地が消滅しつつある野生動植物の種

(4) 県内におけるその種の個体の生息または生育の環境が著しく悪化しつつある野生動植物の種

(5) 前各号に掲げるもののほか、県内におけるその種の存続に支障を来す事情がある野生動植物の種

3 この条例において「外来種」とは、県内に導入され、または他の都道府県に導入された後に県内に生息し、もしくは生育することとなることにより、その本来の生息地または生育地の外に存することとなる動植物の種をいう。

4 この条例において「野生鳥獣種」とは、鳥類または乳類に属する野生動物(外来種に属する野生動物を除く。)の種をいう。

(基本理念)

第3条 野生動植物との共生は、人の活動がすべての生物の生存の基盤である生態系に多大な影響を及ぼし生物の多様性を損なうおそれを生じさせていることにかんがみ、県民等が、その影響を深く認識し、自らの活動において生物の多様性が確保されるよう配慮することを通じて、多様な生物により構成される良好な自然環境が保全されることを旨として推進されなければならない。

2 野生動植物との共生は、生態系が微妙な均衡を保つことにより成り立っていることにかんがみ、野生動植物の種の個体およびその生息または生育の環境が一体として適切に保全されるとともに、野生鳥獣種による被害の防止等を通じて野生動植物と人の生活環境との調和を保ち、野生動植物がその本来の自然環境において存続することを旨として推進されなければならない。

3 野生動植物との共生は、多様な生物により構成される良好な自然環境が、野生動植物と人との相互のかかわり合いの中で連綿と受け継がれ、県民等に様々な恵沢をもたらしてきたものであることにかんがみ、県民等がその恵沢に対する理解と関心を深め、その下で県と県民等が協働し、現在のみならず将来の県民等がその恵沢を享受することができるよう長期的な視点に立って、推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める野生動植物との共生についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、野生動植物との共生に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、野生動植物との共生に関し、県民等、事業者および市町と相互に連携を図りながら協力するものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、野生動植物との共生の確保に配慮するとともに、県が実施する野生動植物との共生に関する施策に協力しなければならない。

(県民等の責務)

第6条 県民等は、基本理念にのっとり、野生動植物との共生の確保に寄与するよう努めるとともに、県が実施する野生動植物との共生に関する施策に協力しなければならない。

(県の施策における配慮)

第7条 県は、地域の開発および整備その他の野生動植物の種の個体の生息または生育の状況に影響を及ぼすと認められる施策の策定および実施に当たっては、野生動植物との共生について配慮しなければならない。

第2章 基本計画等

(基本計画)

第8条 知事は、野生動植物との共生に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 野生動植物との共生に関する基本方針

(2) 野生動植物との共生に関する長期的な目標

(3) 野生動植物との共生に関し講ずべき施策

(4) その他野生動植物との共生に関し必要な事項

3 知事は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ県民等の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 知事は、基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ滋賀県環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

5 知事は、基本計画を策定したときは、これを公表するものとする。

6 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(生息および生育の環境に関する長期構想)

第9条 知事は、基本計画に即して、野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全および再生ならびにネットワーク化に関する長期的な構想(以下「長期構想」という。)を策定するものとする。

2 長期構想には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全および再生ならびにネットワーク化に関する方針

(2) 野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全および再生ならびにネットワーク化を重点的に推進すべき区域

(3) 野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全および再生ならびにネットワーク化を図るための方策

(4) その他野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全および再生ならびにネットワーク化のために必要な事項

3 前条第3項から第5項までの規定は、長期構想の策定および変更について準用する。この場合において、同条第4項中「の意見」とあるのは、「および関係市町の長の意見」と読み替えるものとする。

(長期構想の推進のための取組)

第10条 県および規則で定める公共団体は、長期構想の円滑な推進を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 知事は、国、他の地方公共団体その他規則で定める公共団体が県内において公共事業または公共施設の建設等を行う場合において必要があると認めるときは、長期構想の円滑な推進に配慮するよう要請することができる。

3 土地等の所有者または占有者は、長期構想の円滑な推進に配慮するよう努めるものとする。

(生きもの総合調査)

第11条 県は、基本計画および長期構想の策定、指定希少野生動植物種、指定外来種および指定野生鳥獣種の指定等に資するため、県内の野生動植物の種の個体の生息および生育の状況、その生息および生育の環境の状況ならびに外来種が県内の野生動植物の種に及ぼす影響に関する調査(以下「生きもの総合調査」という。)を実施し、おおむね5年ごとにその結果を公表するものとする。

第3章 希少野生動植物種の保護に関する規制

第1節 指定希少野生動植物種

(指定希少野生動植物種)

第12条 知事は、希少野生動植物種(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「法」という。)第4条第3項に規定する国内希少野生動植物種(同条第6項に規定する特定第2種国内希少野生動植物種を除く。)および法第5条第1項に規定する緊急指定種(第7項および第21条の2においてこれらを「国内希少野生動植物種等」という。)である希少野生動植物種を除く。)のうち特にその保護を図る必要があると認めるものを指定希少野生動植物種として指定することができる。

2 知事は、前項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)に係る希少野生動植物種の選定に当たっては、県民等から希少野生動植物種に関する情報の提供を求めるものとする。

3 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。

4 知事は、指定をするときは、その旨および指定に係る希少野生動植物種を告示しなければならない。

5 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。

6 知事は、指定希少野生動植物種の個体の生息または生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるときまたは指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。

7 第3項から第5項までの規定(前項の指定を継続することが適当でないと認めるとき(指定希少野生動植物種が国内希少野生動植物種等となったときに限る。)に該当するものとして指定の解除をしようとする場合にあっては、第3項の規定を除く。)は、前項の規定による指定の解除について準用する。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

第2節 個体の取扱いに関する規制

(個体の所有者等の義務)

第13条 指定希少野生動植物種の個体(卵および種子を含む。以下同じ。)の所有者または占有者は、指定希少野生動植物種を保護することの重要性を自覚し、その個体を適切に取り扱うように努めなければならない。

(助言または指導)

第14条 知事は、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、指定希少野生動植物種の個体の所有者または占有者に対し、その個体の取扱いに関し必要な助言または指導をすることができる。

(指定希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等の禁止)

第15条 指定希少野生動植物種の生きている個体は、捕獲、採取、殺傷または損傷(以下「捕獲等」という。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 次条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合

(2) 生計の維持のため特に必要があり、かつ、指定希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすおそれのない場合として規則で定める場合

(3) 人の生命または身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(指定希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等の許可)

第16条 学術研究または繁殖の目的その他規則で定める目的で指定希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、知事に許可の申請をしなければならない。

3 知事は、前項の申請に係る捕獲等について次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、第1項の許可をしてはならない。

(1) 捕獲等の目的が第1項に規定する目的に適合しないこと。

(2) 捕獲等によって指定希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすおそれがあること。

(3) 捕獲等をする者が適当な飼養、栽培、保管または運搬(以下「飼養等」という。)のための施設を有しないことその他の事由により捕獲等に係る個体を適切に取り扱うことができないと認められること。

4 知事は、第1項の許可をする場合において、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、その必要の限度において、その許可に条件を付することができる。

5 知事は、第1項の許可をしたときは、規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。

6 第1項の許可を受けた者のうち法人であるものその他その許可に係る捕獲等に他人を従事させることについてやむを得ない事由があるものとして規則で定めるものは、規則で定めるところにより、知事に申請をして、その者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者であることを証明する従事者証の交付を受けることができる。

7 第1項の許可を受けた者は、その者もしくはその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者が第5項の許可証もしくは前項の従事者証を紛失し、またはその許可証もしくは従事者証が滅失したときは、規則で定めるところにより、知事に申請をして、その許可証または従事者証の再交付を受けることができる。

8 第1項の許可を受けた者またはその者の監督の下にその許可に係る捕獲等に従事する者は、捕獲等をするときは、第5項の許可証または第6項の従事者証を携帯しなければならない。

9 第1項の許可を受けて捕獲等をした者は、その捕獲等に係る個体を、適当な飼養等のための施設に収容することその他の規則で定める方法により適切に取り扱わなければならない。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(捕獲等許可者に対する措置命令等)

第17条 知事は、前条第1項の許可を受けた者が同条第9項の規定に違反し、または同条第4項の規定により付された条件に違反した場合において、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、飼養等のための施設の改善その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

2 知事は、前条第1項の許可を受けた者がこの条例もしくはこの条例に基づく規則の規定またはこの条例に基づく処分に違反した場合において、指定希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすと認めるときは、その許可を取り消すことができる。

(報告徴収および立入検査)

第18条 知事は、この節の規定の施行に必要な限度において、第16条第1項の許可を受けている者に対し、指定希少野生動植物種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、またはその職員に、指定希少野生動植物種の個体の捕獲等に係る土地もしくは施設に立ち入り、指定希少野生動植物種の個体、飼養等のための施設、書類その他の物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第3節 生息地等の保護に関する規制

(土地の所有者等の義務)

第19条 土地の所有者または占有者は、その土地の利用に当たっては、希少野生動植物種の保護に留意しなければならない。

(助言または指導)

第20条 知事は、希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、土地の所有者または占有者に対し、その土地の利用の方法その他の事項に関し必要な助言または指導をすることができる。

(生息・生育地保護区)

第21条 知事は、希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、その個体の生息地または生育地およびこれらと一体的にその保護を図る必要がある区域であって、その個体の分布状況および生態その他その個体の生息または生育の状況を勘案してその希少野生動植物種の保護のため重要と認めるものを、生息・生育地保護区として指定することができる。ただし、法第36条第1項の規定により生息地等保護区に指定された区域については、当該指定に係る法第4条第3項に規定する国内希少野生動植物種と同一の種を対象とする生息・生育地保護区として指定することはできない。

2 前項本文の規定による指定(以下この条および次条において「指定」という。)は、指定の区域、指定に係る希少野生動植物種および指定の区域の保護に関する指針を定めてするものとする。

3 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、審議会および関係市町の長の意見を聴かなければならない。

4 知事は、指定をしようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を公告し、指定の区域、指定に係る希少野生動植物種および指定の区域の保護に関する指針の案(次項において「指定案」という。)を当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければならない。

5 前項の規定による公告があったときは、指定をしようとする区域の住民および利害関係人は、同項に規定する縦覧期間満了の日までに、知事に指定案についての意見書を提出することができる。

6 知事は、第4項に規定する縦覧期間満了後、指定に関し広く意見を聴く必要があると認めるときは、公聴会を開催することができる。

7 知事は、指定をするときは、その旨ならびに指定の区域、指定に係る希少野生動植物種および指定の区域の保護に関する指針を告示しなければならない。

8 指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。

9 知事は、生息・生育地保護区に係る希少野生動植物種の個体の生息または生育の状況の変化その他の事情の変化により指定の必要がなくなったと認めるときまたは指定を継続することが適当でないと認めるときは、指定を解除しなければならない。

10 第3項第7項および第8項の規定は、前項の規定による指定の解除について準用する。

11 生息・生育地保護区の区域内において第22条第1項各号に掲げる行為をする者は、第2項の指針に留意しつつ、希少野生動植物種の保護に支障を及ぼさない方法でその行為をしなければならない。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(保護対象希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等の禁止)

第21条の2 生息・生育地保護区の区域内においては、当該生息・生育地保護区の指定に係る希少野生動植物種(国内希少野生動植物種等である希少野生動植物種および指定希少野生動植物種を除く。以下「保護対象希少野生動植物種」という。)の生きている個体は、捕獲等をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(1) 次条第1項の許可を受けてその許可に係る捕獲等をする場合

(2) 生計の維持のため特に必要があり、かつ、保護対象希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすおそれのない場合として規則で定める場合

(3) 人の生命または身体の保護その他の規則で定めるやむを得ない事由がある場合

(追加〔平成31年条例46号〕)

(保護対象希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等の許可)

第21条の3 生息・生育地保護区の区域内においては、学術研究または繁殖の目的その他規則で定める目的で保護対象希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとする者は、知事の許可を受けなければならない。

2 第16条第2項から第9項までの規定は、前項の許可について準用する。この場合において、これらの規定中「第1項」とあるのは「第21条の3第1項」と、「指定希少野生動植物種」とあるのは「保護対象希少野生動植物種」と、同条第2項中「前項」とあるのは「第21条の3第1項」と、同条第3項中「前項」とあるのは「第21条の3第2項において読み替えて準用する前項」と、同条第7項中「第5項」とあるのは「第21条の3第2項において読み替えて準用する第5項」と、「前項」とあるのは「第21条の3第2項において読み替えて準用する前項」と、同条第8項中「第5項」とあるのは「第21条の3第2項において読み替えて準用する第5項」と、「第6項」とあるのは「第21条の3第2項において読み替えて準用する第6項」と読み替えるものとする。

(追加〔平成31年条例46号〕)

(行為の届出)

第22条 生息・生育地保護区の区域内において次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、知事に届け出なければならない。

(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、または増築すること。

(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地(水底を含む。)の形質を変更すること。

(3) 鉱物を採掘し、または土石を採取すること。

(4) 水面を埋め立て、または干拓すること。

(5) 河川、湖沼等の水位または水量に増減を及ぼさせること。

(6) 木竹を伐採すること。

(7) 当該生息・生育地保護区の指定に係る希少野生動植物種の個体の生息または生育に必要なものとして知事が指定する野生動植物の種の個体その他の物の捕獲等をすること。

2 知事は、前項の規定による届出(以下この条において「届出」という。)があった場合において届出に係る行為が前条第2項の指針に適合しないものであるときは、届出をした者に対し、届出に係る行為を禁止し、もしくは制限し、または必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

3 前項の規定による命令は、届出があった日から起算して30日(30日を経過する日までの間に同項の規定による命令をすることができない合理的な理由があるときは、届出があった日から起算して60日を超えない範囲内で知事が定める期間)を経過した後または第5項ただし書の規定による通知をした後は、することができない。

4 知事は、前項の規定により期間を定めたときは、これに係る届出をした者に対し、遅滞なく、その旨およびその理由を通知しなければならない。

5 届出をした者は、届出をした日から起算して30日(第3項の規定により知事が期間を定めたときは、その期間)を経過した後でなければ、届出に係る行為に着手してはならない。ただし、知事が希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすおそれがないと認めてその者に通知したときは、この限りでない。

6 次に掲げる行為については、第1項の規定は、適用しない。

(1) 非常災害に対する必要な応急措置としての行為

(2) 通常の管理行為または軽易な行為で規則で定めるもの

(3) 指定がされた時において既に着手している行為

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(措置命令等)

第23条 知事は、第21条の3第1項の許可を受けた者が同条第2項において読み替えて準用する第16条第9項の規定に違反し、または第21条の3第2項において読み替えて準用する第16条第4項の規定により付された条件に違反した場合において、保護対象希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、飼養等のための施設の改善その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

2 知事は、第21条の3第1項の許可を受けた者がこの条例もしくはこの条例に基づく規則の規定またはこの条例に基づく処分に違反した場合において、保護対象希少野生動植物種の保護に支障を及ぼすと認めるときは、その許可を取り消すことができる。

3 知事は、希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、生息・生育地保護区の区域内において前条第1項各号に掲げる行為をしている者に対し、その行為の実施方法について指示をすることができる。

4 知事は、前条第1項の規定による届出をしないで同項各号に掲げる行為をした者または同条第2項の規定による命令に違反した者がその違反行為によって希少野生動植物種の個体の生息地または生育地の保護に支障を及ぼした場合において、希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、これらの者に対し、相当の期限を定めて、原状回復を命じ、その他希少野生動植物種の個体の生息地または生育地の保護のため必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(報告徴収および立入検査等)

第24条 知事は、この節の規定の施行に必要な限度において、第21条の3第1項の許可を受けている者に対し保護対象希少野生動植物種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について、生息・生育地保護区の区域内において第22条第1項各号に掲げる行為をした者に対しその行為の実施状況その他必要な事項について、それぞれ報告を求めることができる。

2 知事は、この節の規定の施行に必要な限度において、その職員に、生息・生育地保護区の区域内の土地もしくは保護対象希少野生動植物種の個体の捕獲等に係る施設に立ち入り、保護対象希少野生動植物種の個体、飼養等のための施設、書類その他の物件もしくは生息・生育地保護区の区域内において第22条第1項各号に掲げる行為をした者がした行為の実施状況について検査させ、もしくは関係者に質問させ、またはその行為が希少野生動植物種の保護に及ぼす影響について調査をさせることができる。

3 前項の規定による立入検査または立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第1項および第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(損失の補償)

第25条 県は、第22条第2項の規定による命令をされたため損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

2 前項の損失の補償に関し必要な事項は、規則で定める。

第4節 保護増殖事業

(保護増殖指針)

第25条の2 知事は、保護増殖事業(指定希少野生動植物種の個体の繁殖の促進、その生息地または生育地の整備その他の指定希少野生動植物種の保護を図るための事業をいう。以下同じ。)の適正かつ効果的な実施に資するため、審議会の意見を聴いて保護増殖事業に関する指針(以下「保護増殖指針」という。)を策定するものとする。

2 保護増殖指針は、保護増殖事業の対象とすべき指定希少野生動植物種ごとに、保護増殖事業の目標、保護増殖事業が行われるべき区域および保護増殖事業の内容その他保護増殖事業が適正かつ効果的に実施されるために必要な事項について定めるものとする。

3 知事は、保護増殖指針を定めたときは、その概要を告示し、かつ、その保護増殖指針を一般の閲覧に供しなければならない。

4 第1項および前項の規定は、保護増殖指針の変更について準用する。

(追加〔平成31年条例46号〕)

(保護増殖事業)

第26条 県は、指定希少野生動植物種の保護のため必要があると認めるときは、保護増殖事業を行うものとする。

2 県以外のものは、その行う保護増殖事業について、そのものがその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができ、およびその保護増殖事業の事業計画が保護増殖指針に適合している旨の知事の認定を受けることができる。

3 知事は、前項の認定をしたときは、規則で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。次条第2項および第3項の規定によりこれを取り消したときも、同様とする。

4 第2項の認定を受けた保護増殖事業は、保護増殖指針に即して行われなければならない。

5 第2項の認定を受けた保護増殖事業として実施する行為については、第15条および第22条第1項の規定は、適用しない。

6 生息・生育地保護区の区域内の土地の所有者または占有者は、県の保護増殖事業および第2項の認定を受けた保護増殖事業として実施される給設備その他の保護増殖事業のために必要な施設の設置に協力するように努めなければならない。

7 知事は、第2項の認定を受けて保護増殖事業を行うものに対し、その保護増殖事業の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

第26条の2 前条第2項の認定を受けて保護増殖事業を行うものは、その保護増殖事業を廃止したとき、またはその保護増殖事業を保護増殖指針に即して行うことができなくなったときは、その旨を知事に通知しなければならない。

2 知事は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る前条第2項の認定を取り消すものとする。

3 知事は、前条第2項の認定を受けた保護増殖事業が保護増殖指針に即して行われていないと認めるとき、またはその保護増殖事業を行うものがその保護増殖事業を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき、もしくは同条第7項に規定する報告をせず、もしくは虚偽の報告をしたときは、その認定を取り消すことができる。

(追加〔平成31年条例46号〕)

第4章 外来種による生態系等に係る被害の防止

(指定外来種)

第27条 知事は、県内にその本来の生息地または生育地を有する野生動植物の種とその性質が異なることにより、県内において生態系、人の生命もしくは身体または農林水産業に係る被害(以下「生態系等に係る被害」という。)を及ぼし、または及ぼすおそれのある外来種(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)第2条第1項に規定する特定外来生物(以下「特定外来生物」という。)が属する種を除く。)を指定外来種として指定することができる。

2 知事は、指定外来種による生態系等に係る被害の状況の変化その他の事情の変化により前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるときまたはその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。

3 第12条第3項から第5項までの規定(前項の指定を継続することが適当でないと認めるとき(指定外来種が特定外来生物となったときに限る。)に該当するものとして指定の解除をしようとする場合にあっては、同条第3項の規定を除く。)は、第1項の規定による指定および前項の規定による指定の解除について準用する。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(飼養等の届出)

第28条 指定外来種の個体(生きているものに限る。以下この章において同じ。)の飼養等をする者は、規則で定めるところにより、当該飼養等を開始した日から起算して30日を経過する日までの間に、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。ただし、非常災害に対する必要な応急措置としての行為に伴って飼養等をする場合その他規則で定めるやむを得ない事由がある場合については、この限りでない。

(1) 氏名および住所(法人にあっては、名称、代表者の氏名および主たる事務所の所在地)

(2) 指定外来種の種類および数量

(3) 飼養等のための施設の所在地

(4) 飼養等のための施設の構造および規模

(5) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る飼養等をやめたとき、またはその届出に係る事項に変更(規則で定める軽微な変更を除く。)があったときは、規則で定めるところにより、その日から起算して30日を経過する日までの間に、その旨を知事に届け出なければならない。

3 一の種が指定外来種に指定された際現にその指定外来種の個体の飼養等をしている者は、その種が指定外来種に指定された日から起算して30日以内に、規則で定めるところにより、第1項各号に掲げる事項を知事に届け出なければならない。この場合において、この項の規定による届出をした者は、第1項の規定による届出をしたものとみなす。

(指定外来種の個体の取扱い)

第29条 指定外来種の個体の飼養等をする者は、当該指定外来種に係る適合飼養等施設(指定外来種の性質に応じて規則で定める基準に適合する飼養等のための施設をいう。以下同じ。)を備えなければならない。

2 指定外来種の個体の飼養等をする者は、飼養等に当たっては、当該個体の飼養等の状況の確認および適合飼養等施設の保守点検を定期的に行うことその他の規則で定める方法によらなければならない。

(措置命令)

第30条 知事は、指定外来種の個体の飼養等をする者が前条第1項または第2項の規定に違反した場合において指定外来種による生態系等に係る被害の防止のため必要があると認めるときは、当該指定外来種の個体に係る飼養等の方法の改善その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。

(放つこと等の禁止)

第31条 飼養等に係る指定外来種の個体は、当該指定外来種に係る適合飼養等施設の外で放ち、植え、またはまいてはならない。

(販売に当たっての説明)

第32条 指定外来種の個体の販売を業とする者は、当該販売に係る指定外来種の個体を購入しようとする者に対し、当該指定外来種の個体の適正な飼養等の方法および当該指定外来種による生態系等に係る被害の内容について、必要な説明を行わなければならない。

(報告徴収および立入検査)

第33条 知事は、第28条から前条までの規定の施行に必要な限度において、指定外来種の個体の飼養等をする者または販売を業とする者に対し、指定外来種の個体の取扱いの状況その他必要な事項について報告を求め、またはその職員に、指定外来種の個体の飼養等もしくは販売に係る施設に立ち入り、指定外来種の個体、書類その他の物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(指定外来種の個体等の防除)

第34条 知事は、指定外来種または特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、または生じるおそれがある場合において、これを防止するため必要があると認めるときは、当該指定外来種の個体または当該特定外来生物の防除を行うものとする。

2 知事は、前項の規定による防除の実施に当たっては、当該防除を効果的に実施するため、防除の実施に係る計画を策定するものとする。ただし、緊急に防除を行う必要がある場合は、この限りでない。

3 前項の計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 防除の対象となる指定外来種または特定外来生物の種類

(2) 防除を行う区域および期間

(3) 捕獲、採取、殺処分その他の防除の内容

(4) その他防除の実施に関し必要な事項

4 知事は、第2項の計画を策定したときは、その内容を告示しなければならない。

(土地への立入り等)

第35条 知事は、前条第1項の規定による指定外来種の個体または特定外来生物の防除に必要な限度において、その職員に、他人の土地もしくは水面に立ち入り、指定外来種の個体もしくは特定外来生物の捕獲、採取もしくは殺処分をさせ、または指定外来種の個体もしくは特定外来生物の捕獲、採取もしくは殺処分の支障となる立木竹を伐採させることができる。

2 知事は、その職員に前項の規定による行為をさせる場合には、あらかじめ、その土地もしくは水面の占有者または立木竹の所有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3 第1項の規定による行為をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(損失の補償)

第36条 県は、前条第1項の規定による行為によって損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。

2 前項の損失の補償に関し必要な事項は、規則で定める。

(市町による防除)

第37条 県は、市町が行う指定外来種の個体または特定外来生物の防除について、必要な助言および協力を行うものとする。

(県以外のものによる防除)

第37条の2 県以外のものは、その行う指定外来種の個体の防除について、そのものが適正かつ確実に実施することができ、および第34条第2項の計画に適合している旨の知事の認定を受けることができる。

2 知事は、前項の認定をしたときは、規則で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。次条第2項および第3項の規定によりこれを取り消したときも、同様とする。

3 第1項の認定を受けた防除は、第34条第2項の計画に即して行われなければならない。

4 第1項の認定を受けた防除として実施する行為については、第28条の規定は、適用しない。

5 知事は、第1項の認定を受けて防除を行うものに対し、その防除の実施状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

(追加〔平成31年条例46号〕)

第37条の3 前条第1項の認定を受けて防除を行うものは、その防除を中止したとき、またはその防除を第34条第2項の計画に即して行うことができなくなったときは、その旨を知事に通知しなければならない。

2 知事は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る前条第1項の認定を取り消すものとする。

3 知事は、前条第1項の認定を受けた防除が第34条第2項の計画に即して行われていないと認めるとき、またはその防除を行うものがその防除を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき、もしくは前条第5項に規定する報告をせず、もしくは虚偽の報告をしたときは、その認定を取り消すことができる。

(追加〔平成31年条例46号〕)

(緑化における配慮)

第38条 県および規則で定める公共団体は、緑地の造成その他の緑化の事業を行う場合は、指定外来種以外の外来種に属する植物であって生態系に影響を及ぼすおそれのあるものを使用しないように配慮しなければならない。

2 知事は、国、他の地方公共団体その他規則で定める公共団体が緑地の造成その他の緑化の事業を行う場合は、指定外来種以外の外来種に属する植物であって生態系に影響を及ぼすおそれのあるものを使用しないように配慮するよう要請することができる。

第5章 野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害の防止

(指定野生鳥獣種)

第39条 知事は、その生息の状況の変化により、農林水産業または生活環境に係る被害(以下「農林水産業等に係る被害」という。)を及ぼしている野生鳥獣種がある場合において、長期的な観点から当該野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害を防止するため特に必要があると認めるときは、当該野生鳥獣種を指定野生鳥獣種として指定することができる。

2 知事は、指定野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害の状況の変化その他の事情の変化により前項の規定による指定の必要がなくなったと認めるときまたはその指定を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を解除しなければならない。

3 第12条第3項から第5項までの規定は、第1項の規定による指定および前項の規定による指定の解除について準用する。

(指定野生鳥獣種による被害の防止)

第40条 知事は、指定野生鳥獣種の個体の生息の状況に留意しつつ、指定野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害を防止するため、人と野生鳥獣種とのすみ分けを図ることを基本とし、指定野生鳥獣種の追払い、防護柵の設置、個体数の管理および生息地の整備その他の指定野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害を防止するための対策(以下この条および第42条第1項において「被害防除対策」という。)を総合的かつ計画的に推進するものとする。

2 知事は、被害防除対策に係る指定野生鳥獣種について鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)第7条第1項に規定する第1種特定鳥獣保護計画または同法第7条の2第1項に規定する第2種特定鳥獣管理計画が定められているときは、被害防除対策を当該第1種特定鳥獣保護計画または当該第2種特定鳥獣管理計画に基づく対策と一体的に推進するものとする。

3 知事は、被害防除対策を推進するに当たっては、関係都道府県との連携を図るものとする。

(一部改正〔平成27年条例8号〕)

(飲食物を与えることの禁止等)

第41条 何人も、指定野生鳥獣種の個体(人が飼養または保管をするものを除く。)に飲食物を与えてはならない。ただし、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第9条第1項の許可を受けて、または同法第11条第1項の規定により指定野生鳥獣種の個体を捕獲する場合その他規則で定める場合は、この限りでない。

(一部改正〔平成27年条例8号〕)

(指定野生鳥獣種地域協議会)

第42条 県、関係行政機関、地域住民その他の被害防除対策に取り組むものは、地域における被害防除対策を効果的に実施するための計画の策定その他の被害防除対策に関し必要となるべき措置(次項において「実施計画等」という。)について協議するため、指定野生鳥獣種地域協議会(以下「地域協議会」という。)を組織することができる。

2 地域協議会において協議が整った実施計画等については、地域協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、地域協議会の運営に関し必要な事項は、地域協議会が定める。

(人材の養成)

第43条 県は、地域における指定野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害の防止のための活動を推進するため、指定野生鳥獣種の個体の捕獲等についての知識、技能等を有する者その他の地域における防除活動において指導的な役割を担うことができる人材の養成に必要な措置を講ずるものとする。

第6章 県民等との協働の推進

(生きもの生息地等保護協定)

第44条 希少野生動植物種の個体の生息地または生育地の保護その他の野生動植物との共生に必要な環境の保全を図ろうとするものは、その保全に関し、土地または木竹の所有者または使用および収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者と次に掲げる事項を定めた協定(以下「生きもの生息地等保護協定」という。)を締結し、これを知事に提出して、当該生きもの生息地等保護協定が適当である旨の知事の認定を受けることができる。

(1) 対象となる土地または木竹

(2) 野生動植物との共生に必要な環境の保全のための措置に関する事項

(3) 有効期間に関する事項

2 知事は、前項の認定の申請があった場合において、その生きもの生息地等保護協定が野生動植物との共生の推進に資するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

3 知事は、第1項の認定をしようとするときは、あらかじめ、その認定に係る生きもの生息地等保護協定の対象となる土地または木竹の存する市町の長の意見を聴かなければならない。

4 第1項の認定を受けたものは、その認定に係る生きもの生息地等保護協定を変更しようとするときは、知事の認定を受けなければならない。

5 第2項および第3項の規定は、前項の規定による生きもの生息地等保護協定の変更の認定について準用する。

6 知事は、第1項または第4項の認定をした生きもの生息地等保護協定の実施に関し、技術的な助言および指導をすることができる。

7 知事は、第1項または第4項の認定をしたときは、その認定に係る生きもの生息地等保護協定の内容を公表するものとする。

(自然体験活動の促進)

第45条 県は、野生動植物との共生を推進するに当たって、自然観察、登山、キャンプその他の自然との触れ合いを体験する活動(以下「自然体験活動」という。)が重要であることにかんがみ、自然環境に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずることにより、自然体験活動の促進を図るものとする。

2 県は、自然体験活動が野生動植物の種の個体の生息および生育の環境の保全に配慮して行われるよう、自然体験活動を行うに当たり配慮すべき事項を定めた指針を策定し、これを公表するものとする。

(広報、啓発等)

第46条 県は、県民等の野生動植物との共生についての理解と関心を深めるため、広報、啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

(県民等による活動の促進)

第47条 県は、県民等またはこれらの者が組織する団体が行う野生動植物との共生の推進に資する活動を促進するため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

(調査研究に当たっての県民等との協力)

第48条 県は、生きもの総合調査その他の調査研究の実施に当たっては、県民等による情報の提供その他の協力を得て行うものとする。

第7章 雑則

(希少野生動植物種調査監視指導員)

第49条 知事は、希少野生動植物種の保護ならびにその生息および生育の環境の保全に関する調査、監視ならびに県民等への啓発および助言を行わせるため、希少野生動植物種調査監視指導員を置くものとする。

(被害防除推進員)

第50条 知事は、指定外来種または特定外来生物による生態系等に係る被害および指定野生鳥獣種による農林水産業等に係る被害の防止を図るための防除活動の推進に必要な指導および助言、啓発活動その他の活動を行わせるため、被害防除推進員を置くものとする。

(国等に関する特例)

第51条 国、地方公共団体その他規則で定める公共団体(以下この条において「国等」という。)が行う事務または事業については、第14条第15条第20条第21条の2第22条第1項第23条第3項第24条第1項および第2項第28条第1項および第3項第30条ならびに第33条第1項の規定は、適用しない。

2 国等は、第15条第3号に掲げる場合以外の場合に指定希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとするとき、または第21条の2第3号に掲げる場合以外の場合に保護対象希少野生動植物種の生きている個体の捕獲等をしようとするときは、規則で定める場合を除き、あらかじめ知事に協議しなければならない。

3 国等は、第22条第1項または第28条各項の規定により届出をすべき行為に該当する行為をし、またはしようとするときは、規則で定める場合を除き、これらの規定による届出の例により、知事にその旨を通知しなければならない。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(規則への委任)

第52条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第8章 罰則

(罰則)

第53条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

(1) 第15条または第21条の2の規定に違反した者

(2) 第17条第1項または第23条第1項もしくは第4項の規定による命令に違反した者

(3) 第30条の規定による命令に違反した者

(4) 第31条の規定に違反した者

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

第54条 第16条第4項(第21条の3第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定により許可に付せられた条件に違反した者は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する。

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

第55条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

(1) 第22条第1項の規定による届出をしないで同項各号に掲げる行為をし、または虚偽の届出をした者

(2) 第22条第2項の規定による命令に違反した者

(3) 第28条第1項または第3項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をした者

第56条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第16条第8項(第21条の3第2項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反して許可証または従事者証を携帯しないで捕獲等をした者

(2) 第18条第1項に規定する報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、もしくは質問に対して陳述をせず、もしくは虚偽の陳述をした者

(3) 第24条第1項に規定する報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または同条第2項の規定による立入検査もしくは立入調査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、もしくは質問に対して陳述をせず、もしくは虚偽の陳述をした者

(4) 第28条第2項の規定による届出をせず、または虚偽の届出をした者

(5) 第33条第1項に規定する報告をせず、もしくは虚偽の報告をし、または同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、もしくは忌避し、もしくは質問に対して陳述をせず、もしくは虚偽の陳述をした者

(一部改正〔平成31年条例46号〕)

(両罰規定)

第57条 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人または人の業務に関し、第53条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人または人に対して各本条の罰金刑を科する。

1 この条例は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。ただし、第1章第2章第49条第50条次項および付則第3項の規定は、公布の日から施行する。

〔平成18年規則第67号で第5章の規定の施行期日は平成18年9月1日とする。〕

〔平成19年規則第4号で(第5章の規定および付則第1項ただし書に規定する規定を除く。)の施行期日は平成19年3月29日とする。〕

2 第12条第1項第21条第1項第27条第1項および第39条第1項の規定による指定に関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、第12条第2項同条第3項(第27条第3項および第39条第3項において準用する場合を含む。)および第21条第2項から第6項までの規定の例により行うことができる。

〔次のよう〕略

(平成27年条例第8号)

この条例は、平成27年5月29日から施行する。

(平成31年条例第46号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。ただし、第12条および第27条第3項の改正規定は、公布の日から施行する。

(令和2年規則第15号で令和2年3月21日から施行)

(準備行為)

2 改正後の第25条の2第1項に規定する保護増殖指針の策定に関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、同項および同条第2項の規定の例により行うことができる。

(経過措置)

3 付則第1項ただし書に規定する規定の施行の日からこの条例の施行の日の前日までの間における改正後の第12条第1項の規定の適用については、同項中「第7項および第21条の2」とあるのは、「第7項」とする。

4 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例

平成18年3月30日 条例第4号

(令和2年3月21日施行)

体系情報
第11編の2 生活環境/第2章 自然保護
沿革情報
平成18年3月30日 条例第4号
平成27年3月23日 条例第8号
平成31年3月22日 条例第46号