○滋賀県男女共同参画推進条例

平成13年12月27日

滋賀県条例第62号

滋賀県男女共同参画推進条例をここに公布する。

滋賀県男女共同参画推進条例

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第8条―第19条)

第3章 滋賀県男女共同参画審議会(第20条・第21条)

付則

すべての人は平等であり、男女の性別にかかわらず、一人ひとりが大切な存在であって、個人として互いに尊重され、自分らしく生きることを認め合わなければならない。

滋賀県では、男女平等の実現に向けて、様々な取組を進めてきたが、今なお、性別によって役割を固定的にとらえる意識や社会慣行などの男女の多様な生き方の選択を妨げる要因が存在するなど課題が残されている。

また、少子高齢化の進展や経済活動の成熟化など私たちを取り巻く環境の大きな変化の中で、誰もが豊かに安心して暮らせる21世紀にふさわしい社会を築くためには、男女が、性別にかかわりなく、一人ひとりの個性と能力を十分に発揮することが求められている。

こうした状況から、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって家庭、地域、学校、職域などあらゆる分野の活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的および文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担う男女共同参画社会の実現が緊要な課題となっている。

私たち県民は、琵琶湖の環境保全や福祉において進取の気性をもって取り組んできた。そうした取組姿勢と経験を生かし、家族のきずな、地域のきずな、自然とのきずなを大切にして、男女が共に輝いて生きることができる湖国を創るため、私たちは一体となってあらゆる分野で男女共同参画を推進することを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、県、県民および事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策(以下「男女共同参画施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的および文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた個人の生活の環境を害することまたは性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として個性および能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、推進されなければならない。

2 男女共同参画は、社会における制度または慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとすることを旨として、推進されなければならない。

3 男女共同参画は、男女が、社会の対等な構成員として、すべての団体における方針の立案および決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、推進されなければならない。

4 男女共同参画は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、推進されなければならない。

5 男女共同参画は、男女が互いの性について理解を深め、妊娠または出産に関する事項に関し双方の意思が尊重されることおよび生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすることを旨として、推進されなければならない。

6 男女共同参画は、その推進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に、推進されなければならない。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める男女共同参画の推進についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、および実施するものとする。

2 県は、県の政策の立案および決定に男女が共同して参画する機会を確保するように努めるものとする。

3 県は、男女共同参画の推進に当たっては、県民、事業者、市町および国と相互に連携を図るように努めるものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(県民の責務)

第5条 県民は、男女共同参画について理解を深め、基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、職域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画を推進するように努めなければならない。

2 県民は、県が実施する男女共同参画施策に協力するように努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、男女共同参画について理解を深め、基本理念にのっとり、雇用その他の分野における事業活動において、男女共同参画を推進するように努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、男女が職業生活における活動と家庭生活における活動とを両立して行うことができるように就業環境の整備に努めなければならない。

3 事業者は、県が実施する男女共同参画施策に協力するように努めなければならない。

(セクシュアル・ハラスメント等の禁止)

第7条 何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

2 何人も、配偶者等に対して身体的または精神的な苦痛を与える暴力的行為を行ってはならない。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(男女共同参画計画)

第8条 知事は、男女共同参画施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するものとする。

2 男女共同参画計画には、男女共同参画の推進に関する長期的な目標、施策の方向その他男女共同参画施策を推進するために必要な事項を定めるものとする。

3 知事は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、あらかじめ県民および事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 知事は、男女共同参画計画を策定するに当たっては、あらかじめ滋賀県男女共同参画審議会および市町長の意見を聴くものとする。

5 知事は、男女共同参画計画を策定したときは、これを公表するものとする。

6 前3項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 県は、男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策の策定および実施に当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。

(広報活動等および教育等の促進)

第10条 県は、県民および事業者の男女共同参画についての理解を深めるため、広報活動、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 県は、男女共同参画に関する教育および学習が促進されるように必要な措置を講ずるものとする。

(県民等の活動に対する支援)

第11条 県は、県民、事業者またはこれらの者の組織する団体が行う男女共同参画の推進に関する活動に対して、情報の提供、人材の育成、交流の機会の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(市町に対する助言等)

第12条 県は、市町に対し、男女共同参画施策の策定および実施について、必要な助言および協力を行うものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(苦情の処理)

第13条 知事は、県が実施する男女共同参画施策または男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策について、県民または事業者から苦情の申出があった場合は、当該申出の適切な処理を行うものとする。

2 知事は、前項の申出があった場合において必要があると認めるときは、当該申出の処理に関し、滋賀県男女共同参画審議会の意見を聴くことができる。

(相談の処理)

第14条 知事は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害すると認められることに関し、県民または事業者から相談の申出があった場合は、当該申出の適切な処理を行うものとする。

2 知事は、前項の申出の処理に関する業務を行わせるため、男女共同参画相談員を置くものとする。

3 男女共同参画相談員は、第1項の申出に係る相談に応じ、必要な調査および助言を行うほか、関係行政機関への通知その他申出の処理のため必要な措置を講ずるものとする。

(拠点施設の整備)

第15条 県は、県民、事業者および市町による男女共同参画の取組を支援するための総合的な拠点となる施設を整備するものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(附属機関等における積極的改善措置)

第16条 県は、その設置する附属機関またはこれに類するものの委員その他の構成員を任命し、または委嘱するに当たっては、積極的改善措置を講ずるように努めるものとする。

(調査研究)

第17条 県は、男女共同参画施策を策定し、効果的に実施するため、性別による差別的取扱い等男女共同参画の推進を阻害する要因その他の男女共同参画に関する事項について、必要な情報の収集および分析ならびに調査研究を行うものとする。

(財政上の措置)

第18条 県は、男女共同参画施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

(年次報告)

第19条 知事は、毎年、男女共同参画の状況および県が実施した男女共同参画施策について、滋賀県男女共同参画審議会に報告するとともに、公表するものとする。

第3章 滋賀県男女共同参画審議会

(滋賀県男女共同参画審議会)

第20条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として、滋賀県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、第8条第4項および第13条第2項に規定する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する事項を調査審議するものとする。

3 審議会は、前項の調査審議を行うほか、男女共同参画の推進に関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。

(審議会の組織等)

第21条 審議会は、委員16人以内で組織する。

2 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないものとする。

3 委員は、男女共同参画に関し学識経験を有する者および県民から公募した者のうちから知事が任命する。

4 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、再任されることを妨げない。

6 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

7 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成14年4月1日から施行する。

〔次のよう〕略

(平成16年条例第38号抄)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。

(平成16年規則第66号で平成17年1月1日から施行)

滋賀県男女共同参画推進条例

平成13年12月27日 条例第62号

(平成17年1月1日施行)

体系情報
第11編の2 生活環境/第1章 県民生活
沿革情報
平成13年12月27日 条例第62号
平成16年10月25日 条例第38号