○滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例

平成24年12月28日

滋賀県条例第66号

滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例をここに公布する。

滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例

滋賀の中小企業は、地域の経済や社会の担い手として、生産や消費活動、さらには雇用や地域づくりなどの面において、重要な役割を果たしている。

全国有数の「モノづくり県」である本県産業を支えているのは、確かな技術や品質管理を誇る滋賀の中小企業である。また、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」に代表される近江商人の精神は、滋賀の中小企業に受け継がれている。

しかしながら、今、中小企業を取り巻く経済や社会の状況を見ると、人口減少や少子高齢化によって生産活動を支える労働力や国内需要が減少し、ライフスタイルや意識の変化によって消費行動は変化している。さらには、アジア等の新興国の台頭や急激な円高により、コストダウンの圧力が高まり、産業の空洞化なども懸念され、また、自然災害などに対する危機管理も課題となっている。

滋賀の経済や社会が今後も持続的に発展していくためには、その主役である中小企業の活性化が不可欠である。これによって、地域でヒト、モノ、カネ、情報の集積と好循環が生まれていく。

また、厳しい経済や社会の状況の中にあっても、中小企業には、未来に向け果敢に事業活動を展開するとともに、強みや可能性を伸ばしながら様々な課題を乗り越え、地域で生き生きと活躍することが強く求められている。

私たちは、中小企業が本県経済の持続的な発展の原動力となり、また、地域に貢献する企業として成長するよう、様々な関係者による一層の連携と協力の下に、中小企業の活性化を推進していくことを決意し、ここに滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業の活性化に関し、基本理念を定め、および県の責務等を明らかにするとともに、中小企業の活性化に関する施策(以下「中小企業活性化施策」という。)の基本となる事項を定め、中小企業活性化施策を総合的かつ計画的に実施することにより、中小企業の活性化を推進し、もって本県の経済および社会の発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、県内に事務所または事業所を有するものをいう。

(2) 中小企業の活性化 中小企業による自らの成長を目指す取組が促進され、その経営基盤が強化され、および産業分野の特性に応じた中小企業の事業活動が活発に行われることにより、中小企業が地域の経済および社会の担い手としての役割を主体的に果たしつつ、その多様で活力ある発展が図られることをいう。

(3) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、県内に事務所または事業所を有するものをいう。

(4) 大企業者 中小企業者以外の事業者(会社および個人に限る。)であって、県内に事務所または事業所を有するものをいう。

(一部改正〔平成28年条例40号〕)

(基本理念)

第3条 中小企業の活性化は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) 中小企業者の自主的な努力および創造的な活動が尊重されること。

(2) 小規模企業の活力が最大限に発揮され、その事業の持続的な発展が図られること。

(3) 小規模企業者に配慮する等中小企業者の経営規模が勘案されること。

(4) 地域の特性に応じた産業の振興、地域住民の利便の増進その他の地域づくりに資するものとなること。

(5) ものづくり産業(製造業その他の工業製品の設計、製造または修理と密接に関連する事業活動を行う業種をいう。以下同じ。)の集積、環境の保全のためのこれまでの取組その他の本県の特色が生かされること。

(6) 県、中小企業者、関係団体等(中小企業に関係する団体、大企業者、大学その他の教育研究機関(以下「大学等」という。)および金融機関をいう。以下同じ。)、国および他の地方公共団体の連携および協力が図られること。

(一部改正〔平成28年条例40号〕)

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業活性化施策を総合的に策定し、および実施するものとする。

2 県は、中小企業活性化施策の策定および実施に当たり、中小企業者、関係団体等、国および他の地方公共団体との連携に努めるとともに、中小企業者および関係団体等に対し、必要な情報の提供、助言、支援または調整を行うものとする。

3 県は、中小企業の活性化に市町が果たす役割の重要性に鑑み、市町が中小企業活性化施策を策定し、および実施しようとするときは、必要な情報の提供、助言、支援または調整を行うものとする。

(中小企業者の努力)

第5条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に対応して、自主的かつ自立的に経営の向上および改善に努めるものとする。

2 中小企業者は、基本理念にのっとり、商工会議所、商工会、商店街振興組合等への加入、地域における雇用の機会の創出、地域づくりへの参画等により、地域の経済および社会に貢献するよう努めるものとする。

(関係団体等の役割)

第6条 中小企業に関係する団体は、基本理念にのっとり、中小企業の活性化のために支援および協力を積極的に行うよう努めるものとする。

2 大企業者は、基本理念にのっとり、その事業の実施に当たっては、中小企業者との取引の拡充、中小企業者の研究開発に対する支援、商工会議所、商工会、商店街振興組合等への加入その他の方法により、中小企業の活性化に資するよう努めるものとする。

3 大学等は、基本理念にのっとり、中小企業者の研究開発、新規事業の創出ならびに人材の確保および育成に対する支援その他の方法により、中小企業の活性化に資するよう努めるものとする。

4 金融機関は、基本理念にのっとり、中小企業者の資金需要に対する適切かつ積極的な対応、経営改善に対する支援その他の方法により、中小企業の活性化に資するよう努めるものとする。

(県民の役割)

第7条 県民は、基本理念にのっとり、中小企業の活性化が地域の経済および社会の発展に寄与することについての関心および理解を深めるとともに、中小企業者が供給する物品の購入その他の方法により、中小企業の活性化に資するよう努めるものとする。

(中小企業活性化施策の基本)

第8条 県が実施する中小企業活性化施策は、次項から第4項までに定める施策を基本とするものとする。

2 県は、中小企業による自らの成長を目指す取組が円滑に行われるようにするため、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 将来において成長発展が期待される分野への参入に向けた環境の整備、当該分野における研究開発に対する支援その他の方法により、当該分野における中小企業の参入および事業活動の促進を図ること。

(2) 地域の実情および特性を踏まえた商品および役務の開発に対する支援、これらの利用の推進その他の方法により、県民の安全および安心に配慮した中小企業の事業活動の促進を図ること。

(3) 海外における新たな需要の開拓に対する支援、外国との経済交流の推進その他の方法により、中小企業の海外における円滑な事業の展開の促進を図ること。

3 県は、中小企業の経営基盤が強化されるようにするため、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 勤労観および職業観の醸成、職業能力の開発の促進、就業環境の整備その他の方法により、中小企業の事業活動を担う人材の確保および育成を図ること。

(2) 資金の供給の円滑化、経営改善および危機管理に関する支援体制の整備、事業および技術の円滑な承継に対する支援その他の方法により、中小企業の経営の安定および向上を図ること。

(3) 創業に向けた環境の整備、創業に関する意識の啓発、新商品の開発に対する支援その他の方法により、中小企業の創業および新たな事業の創出の促進を図ること。

(4) 県の物品、役務等の調達に関する中小企業者の受注の機会の増大、中小企業者が供給する物品、役務等に対する情報の発信その他の方法により、中小企業者が供給する物品、役務等に対する需要の増進を図ること。

4 県は、産業分野の特性に応じ、中小企業の事業活動が活発に行われるようにするため、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 付加価値の高い製品の開発能力の向上および製品の新たな需要の開拓に対する支援、地場産業における製品の魅力の発信、企業の設備投資の促進その他の方法により、ものづくり産業を担う中小企業の事業機会の増大を図ること。

(2) 商店街への来訪客の増加を図るための環境の整備、商店街における創業の促進その他の方法により、小売商業およびサービス業の振興を通じた中小企業の事業機会の増大を図ること。

(3) 新たな観光資源の発掘、観光資源の魅力の増進およびその発信、これらを活用した事業の推進その他の方法により、観光客の来訪および滞在の促進による中小企業の事業機会の増大を図ること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、産業分野の特性に応じた中小企業の事業機会の増大を図ること。

(連携および協力の推進)

第9条 県は、中小企業活性化施策を効果的に実施するため、事業の分野を異にする事業者の交流の機会の提供、共同研究の実施に対する支援その他の方法により、中小企業者および関係団体等の有機的な連携を促進するものとする。

2 中小企業者および関係団体等は、中小企業活性化施策の実施について協力するよう努めるものとする。

(実施計画)

第10条 知事は、毎年度、中小企業活性化施策の総合的かつ計画的な実施を図るための計画(以下「実施計画」という。)を策定するものとする。

2 知事は、実施計画を定めるに当たっては、あらかじめ、滋賀県中小企業活性化審議会の意見を聴かなければならない。

3 知事は、実施計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

4 前2項の規定は、実施計画の変更(軽微な変更を除く。)について準用する。

(検証および施策への反映)

第11条 知事は、毎年度、実施計画の実施の状況を検証するとともに、その検証の結果を遅滞なく、公表しなければならない。

2 知事は、前項の規定による検証の実施に当たっては、滋賀県中小企業活性化審議会の意見を聴かなければならない。

3 知事は、第1項の検証の結果を中小企業活性化施策に適切に反映させるよう努めるものとする。

(中小企業者等の意見の反映)

第12条 県は、中小企業活性化施策の策定および実施に当たっては、中小企業者、関係団体等および市町の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

(調査研究の実施等)

第13条 県は、中小企業活性化施策を効果的に実施するため、必要な調査および研究を行うとともに、その成果の普及に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第14条 県は、中小企業活性化施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制の整備を図るものとする。

(財政上および税制上の措置)

第15条 県は、中小企業活性化施策を推進するため、必要な財政上および税制上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(滋賀県中小企業活性化審議会)

第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として、滋賀県中小企業活性化審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、第10条第2項および第11条第2項に規定する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、中小企業の活性化に関する事項を調査審議するものとする。

3 審議会は、前項の調査審議を行うほか、中小企業の活性化に関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。

(審議会の組織等)

第17条 審議会は、委員20人以内で組織する。

2 委員は、中小企業の活性化に関し学識経験を有する者、県民から公募した者その他知事が適当と認める者のうちから知事が任命する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 委員は、再任されることを妨げない。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(滋賀県ちいさな企業応援月間)

第18条 県民の間に広く小規模企業をはじめとする中小企業への関心および理解を深めるとともに、小規模企業者等による中小企業活性化施策の活用を促進するため、滋賀県ちいさな企業応援月間を設ける。

2 滋賀県ちいさな企業応援月間は、10月とする。

3 県は、小規模企業者をはじめとする中小企業者、関係団体等、国および市町と連携して、滋賀県ちいさな企業応援月間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。

(追加〔平成28年条例40号〕)

1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

2 滋賀県中小企業振興審議会設置条例(昭和38年滋賀県条例第34号)は、廃止する。

〔次のよう〕略

(平成28年条例第40号)

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

滋賀県中小企業の活性化の推進に関する条例

平成24年12月28日 条例第66号

(平成28年4月1日施行)