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滋賀に気づいた人INTERVIEW#42 守内晴美さん

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守内晴美さん

スターブライド株式会社 アートディレクター
和歌山県→大阪府→滋賀県


 

余白があるから面白い
“自分らしさ”を問い続けて
たどり着いたこの場所

暮らす場所を選ぶことは、生き方を選ぶこと。「ここで生きていきたい」と思う場所に、滋賀を選んだ人たちがいます。

今回ご紹介するのは、和歌山県出身の守内晴美さん。大阪の大学を経て、就職で滋賀県へ。都会でデザイナーとして働くという選択肢を一度捨てて、自分らしくいられる場所を探した結果、この場所に辿り着きました。
滋賀での暮らし、滋賀の人たちとの関わり、この場所に移り住んだからこそ見えてきた、自分らしく生きる理由を伺いました。


 

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人の想いを、形にする仕事

栗東市にあるスターブライド株式会社で、アートディレクター兼デザイナーとして働く守内さん。グラフィックデザインをメインに、ウェブサイトや紙媒体の制作、動画制作、写真撮影、看板デザイン、空間提案まで、幅広い業務を手がけています。
「滋賀県内の企業や農家、自治体、病院、店舗や個人で活動する方々のブランディングやプロモーションなどを中心に行っています。大学ではグラフィックデザインを学びましたが、仕事ではグラフィックに限定せず色々なことに携わりたいと考えていました。クライアントの想いやご要望、課題を“デザイン”で解決するのが、今の私の仕事です」

この場所に来て3年。日々いろいろな人と話すなかで、共通して感じるのは「滋賀の人は、想いが熱い」ことだと言います。

「滋賀県の人は、全体的に静かな人が多いイメージを持っているのですが、内側に秘めている想いや熱量の強さには圧倒されます。商品を効率良く作り、たくさん売る、という形ではなく、時間をかけてでも自分たちの想いをしっかり伝わるような商品を届けたい、たくさんの人に知ってほしい、愛してほしいという気持ちが、みなさんすごく強いんです。農家さんなら、この野菜をどう育ててきたか。職人さんなら、どんな技術でこの商品を作り上げたか。一つ一つの工程に込められた想いを、丁寧に語ってくださいます。そのためにとことんこだわる人ばかり。そんな人たちと一緒に仕事できているということが、滋賀で仕事をすることのやりがいにつながっています」


 

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未来に、余白がある
ここで生きていきたいと思った理由

守内さんが生まれ育ったのは、滋賀にも似た、自然溢れる山あいの町。学生の頃は、決して自分の意見を強く持つタイプではなかったそうです。

「中学校で仲のいい友達ができて、何をするにもその子と一緒でした。同じ陸上部に入り、高校でもそのまま陸上を続けていたのですが、あるとき同じ学年の子から『あ、〇〇ちゃんといつも一緒にいる子だよね』と言われて。『あれっ私って、“守内晴美”としてではなく、“〇〇ちゃんの隣の子”っていう認識なんだ』と驚いたんです。そこから、『じゃあ、どうすれば“守内晴美”として認識してもらえるだろう』『“自分らしさ”ってなんだろう』と考えるようになりました」

数学が得意だったため、教師を目指して大学に進もうと思っていた守内さんですが、それにも特に強い意志があったわけではないことに気づきます。「このままでいいの?」「本当に先生になるの?」と何度も何度も自分に問い続け、好きだった絵を仕事にしようと、大阪の芸術大学へ進学します。
転機は、4年生の秋。高知で活動するデザイナー・梅原真さんのドキュメンタリー番組をテレビでたまたま目にしたときのことでした。

「自分が抱いていた“デザイナー像”が大きく覆されました。それまでは、都会のきれいなオフィスでひたすらパソコンに向かい、クライアントの依頼に合わせてかっこいいビジュアルのものを作るのが“デザイナー”だと思い込んでいたんです。でも、テレビで見たのは、使い込まれた軽トラックに乗って田舎の山を登り、農家さんの畑に何度も通って、栗や柚子などどこにでもありそうな作物の魅力を農家さんと一緒になって考える梅原さんの姿。その地域の人たちにしか知られずに終わってしまうようなものが、魅力的なデザインを加えることで全国の人に魅力を伝えることができるんだ、そういう働き方もあるんだ、と衝撃を受けました」

「このまま流されていいのか」という気持ちが強くなり、すでに内定をもらっていた大阪市内のデザイン事務所を辞退して就職活動を再開。地方の小さなデザイン会社まで一つ一つ地道に調べ、現在の会社を見つけます。

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自分の目で見て、納得できる会社で働くため、会社見学を希望。最寄り駅から多賀町(当時)の事務所に向かう途中の車窓を眺めているときに「心地よい」という感覚があったといいます。

「田んぼが一面に広がってて、空が大きくて、遠くに山が見える。この風景が、とても心地よいと感じたんです。就活で訪れた企業では、入社後に自分がどんな暮らしをしてどんな働き方をするのかという想像がなんとなくできました。でも滋賀に訪れたときに、この場所で自分がどんな生活をするのかという想像が全くできなかったんです。それって、自分の未来にたくさんの余白があるってことだと思って」

想像がつかない未来を、“余白がある”とポジティブに捉えた守内さん。
この場所には、“守内晴美としての可能性”が大きく広がっている。そう確信し、滋賀への移住を決めました。


 

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特別な心構えはいらない
ガイドブックにない景色こそ、素晴らしい

滋賀での暮らしは、「“人があたたかい”の一言に尽きる」といいます。

「休日は、マルシェや産直市場、地域で開催されるイベントに足を運ぶことが多いです。雑貨やコーヒーショップに立ち寄って、出店者さんとお話をしたりするのが楽しい。世代も全然違う人たちなのにみなさん本当にフランクで、初対面でもこちらが話しかけたら、みんな快く答えてくれます。これは仕事でも同じなんですが、県外から引っ越してきたと話すと『来てくれてありがとう!』と喜んでくれて、自分の知っている滋賀の魅力やおすすめスポット・お店などを紹介してくれて。みなさん本当に自分の住んでいる場所が好きなんだなと思います」

「自分の住んでいる場所が好きという気持ちが強いから、こっちも自然と聞きたくなって、話がはずむんです」と守内さん。地域の人たちの誇りや“好き”の連鎖が、暮らしをより豊かにしているそ

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「栗東市は大阪や京都へもアクセスしやすいですし、不便さはあまり感じません。ただ、住む場所によっては交通の便が良いとは言えないこともあるので、県内を色々と楽しめるように、車やバイクなどの移動手段はあったほうがいいですね。でもそれ以外には、特別な心構えは要りませんよ」

学生時代は大阪で一人暮らしをしていた守内さんが、都市部と地方の暮らしの両方を経験したからこそ感じる、滋賀の魅力。それは、「観光地以外の、日常の中に素敵な風景があること」だそう。

「滋賀には琵琶湖をはじめ有名な観光スポットがたくさんありますが、ガイドブックやSNSで紹介されていない場所にこそ素敵な風景が広がっています。これは、来てみないと説明が難しいです。実際に訪れて、何気ない滋賀の空気にも触れてみてください。ドライブの最中、気になったところで止まってちょっと周辺を歩いてみるのもおすすめです。この先、もしこの土地を離れることがあったとしても、きっと“滋賀に住んでいた”と言いたくなる。滋賀って、そんな場所なんです」


 

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“想いを届ける”ということ
この場所で生きていく、守内さんのこれから

デザインは、コミュニケーションを繋ぐ手段。“デザイン”や“グラフィック”という言葉の枠を超えて、商品やサービスを必要とする人へ届けるということは、守内さんが仕事をする上で大切にしているもののひとつです。

「学生の頃に作っていたのは、与えられた条件の元、自分の好きなものやセンスを形にするもので、どちらかといえばアートに近い表現でした。でも仕事として関わるようになって改めて感じたのは、見た人に“与えたい印象”がちゃんと届いているか、伝わる形になっているかという視点が何より大切だということでした。美しいビジュアルを作ることよりもクライアントにフィットするもの、その先にいるお客様に伝わるものを作ることが大切なのだとだんだん分かってきました」

「今は、情報も知識もどこにいても手に入る時代。だからこそ、“どこで生きるか”よりも“どう生きるか”が大切だと思っています。都心でキャリアを積む選択肢もありましたが、あえてそちらの道を選ばなかったのは、自分が関わることで確かな変化を生み出したい、 その変化を自分の手でつくりたいという思いがあり、それが実感できる場所で働く必要があったからです。今は、お客さんの悩みを直接聞くことができたりと、地方の小規模な会社に所属しているからこそ、商品づくりから全体的なブランディングまで事業全体に関わることができています。日々学びや成長の機会があり、今の働き方は私にすごく合っていると思っています」

滋賀県には、想いを込めて作られた魅力的な商品が多い一方で、見せ方や伝え方の工夫が行き届いていないことで、県内の人ですら知らないまま埋もれてしまっているものも少なくないそう。「ここには、自分の力を活かして新しい価値を生み出していける場所としての可能性が、まだまだあると思う」と守内さん。

「魅力的な商品に出会うたび、知ってもらえる機会が少ないのはすごくもったいないと感じていて。ほんの少しデザインの視点が入るだけで、もっといろんな人に届くきっかけになるんじゃないかなと思っています。滋賀には、新しい価値を生み出していける場所がまだまだ広がっていて、本当に楽しみです」


 

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