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滋賀に気づいた人INTERVIEW#32鈴木芳洋さん

鈴木さん

「水がおいしくて、人があたたかい滋賀で、自分たちにしかできないお店をしています。」

大阪で飲食業に携わっていた鈴木さん。「田舎で自分の店を持ちたい」という夫婦の夢を叶えるために高島市に移住し、現在はセルフリノベーションした古民家でカフェを営んでいます。湧き水で淹れたコーヒーと、のんびりできる空間を訪れる人に提供し続けている今の暮らしは「満足度120%」だと語ります。

自分たちにしかできない暮らしがしたかった。

___今、どんな仕事をしていますか?

2021年から高島市で「Cafe&confectioneryスズノイエ」というカフェを営んでいます。一人ひとりが自由なスタイルで過ごしてもらえるように、ランチタイムなどは設定せず、すべてのメニューをどの時間でも提供できるようにしています。友達のおうちに遊びに来るような感覚で訪れてほしいと思っているので、ふらっと気楽に立ち寄ってもらえるように、予約席も半分ほどしか設けていません。地元の方々はもちろん、市内にあるメタセコイア並木を見にこられた市外や県外のお客さんにもよく立ち寄っていただけます。

 

鈴木さん


 

___自分のお店を開こうと考えたきっかけは何ですか?

大阪の外食チェーンで10年ほど働いていましたが、いい暮らしを維持するために、ネクタイを締めてオフィスで大半の時間を過ごす生活がしっくりこないなと感じていました。お金を稼ぐために仕事をするのではなく、好きでやる仕事が「暮らし」に直結すれば満たされるんじゃないかと考えたのがきっかけです。元々私も妻も「田舎で自分のお店を持ちたい」という夢を持っていました。なので模倣と淘汰を繰り返す社会で生きるよりも「自分たちにしかできないお店と、そこに来てくれるお客さんとの暮らし」という生活のほうがしっくりくるだろうなと思い、移住を決めました。

 

料理

――滋賀を選んだきっかけは何ですか?

「じゃあお店はどこで開く?」となった時に真っ先に候補にあがったのが、子どもの頃から釣りをしに通っていた琵琶湖がある滋賀県でした。社会人になってからも琵琶湖上に浮かんでいない週末はないというくらい釣りで訪れていて、それ以外では主に湖西地域で自転車やキャンプといったアウトドアを楽しんでいました。そうするうちにキ ャンプ場などで地元の方々と知り合うようになったので、出身地よりも仲間が多い高島で暮らすことに決めました。知り合った中には果樹園やキャンプ場の経営者といった仲間もいて、料理に使う無農薬野菜や薪ストーブ用の薪などはそこから仕入れさせてもらっています。

 

鈴木さん

おいしい水と食べ物が当たり前にあるという贅沢。

___滋賀ならではだと感じたものはありますか?

お米と野菜がおいしいですし、無農薬など新鮮な野菜が簡単に安く手に入ります。またこの地域では、山の雪解け水や雨水が自然ろ過された「生水(しょうず)」と呼ばれる伏流水が各家庭から湧き出ていて、飲み水としても使えますし、水道水よりおいしいです。私のお店のコーヒーはすべてこの生水で淹れています。おいしい湧き水を使 って、生産者の顔がわかるお米や無農薬の野菜で食事するって、贅沢なことじゃないですか。でもその暮らしが、この地域では生まれた時から当たり前なのが、滋賀ならではだと感じます。

 

水


 

___お店では何を売りにしていますか?

この地域を流れる生水の温度は年中変わらないので、夏場に手足をつけるとひんやりしますし、冬場はよく川から湯気がたちこめる光景が見られます。川からやってきたカニが家の中を歩いていることだ ってあります。またお店の窓からの景色は開放的で、客席の間隔も広く取っているので、お客さんからはよく「落ち着くわぁ」と言っていただけます。コーヒーなどを味わう際は、そういう生水がある文化、お店の空間、私たち夫婦のキャラなどをひっくるめて味わってほしいなと考えています。なので商品自体は売りにしていないので、SNSやホ ームページにはメニューを載せていません。

すずのいえ


 

滋賀に暮らすということは、家族が増えるということ。

___移住の際に市のサポートはありましたか?

高島市が運営する空き家バンクに登録して、今のお店兼住居である古民家を見つけました。まずはお店を開くことをしっかりと地域の方々に説明したいと思った際も、市役所の担当者さんに説明会の開催をサポートしてもらえました。また高島市には、移住者を対象とした住宅リフォームの補助金の制度などもあります。そういった移住者向けの支援は市町村によって異なるので、移住を検討されている方は、事前に市町村ごとの制度を調べられたほうがいいかもしれませんね。

鈴木さん


 

___地域の人との交流はありますか?

移住前に抱いていた、地域特有の排他的な空気があるんじゃないかという不安は最初の説明会の段階でなくなりましたね。むしろ「お店うまくやっていけそうか?」とこちらのことを心配してくれる声が多か ったです。

みんなすごく優しくて、大阪から古民家のセルフリノベーシ ョンために通っていた時も、来るたびに近所の方が「おかえり」と言ってくれました。工事中はまだキッチンも無かったので、それを気遣い晩ご飯を用意してもらえたり、工事を手伝ってもらえたりした時もありました。開店前のレセプションに地域の方々を招いた際は、一緒になって開業を泣いて喜んでくれる人もいて、滋賀に来てからはまるで家族が増えたような心地です。今では地域の方が常連さんになってくれています。

すずのいえ

おじいちゃんおばあちゃんになっても、夫婦でここに立ち続けたい。

___挑戦したいことはありますか?

家の中で湧き出た生水を、洗い物や飲み水などに利用する文化やその水場のことをカバタ(川端)というのですが、いつかこのカバタも客席にしようと考えています。カバタは個人宅の中にあるので、見学したいと思っても市の窓口に問い合わせてガイドしてもらう方法くらいしかないんですよね。そのカバタを、コーヒーを注文するだけで見学できるようにする。そういう文化に触れられる場所を、お店を始めた時から作ろうと思っていました。でっかい夢を持つというよりは、おじいちゃんおばあちゃんになってもここに立ち続けられるように、お店を守っていきたいですね。

 

かばた


 

___滋賀への移住を検討している方にメッセージはありますか?

滋賀での暮らしはおすすめしかないです。人は温かいし、食べ物はおいしいし、ネガティブなものは何もない。自由ですね。普段はお店の中で働きづめなのですが、たまにぱっと外に出ると、空が広くて、星がきれいなんですよ。この辺りは虹もよく出ますしね。夢のようなところに住んでいるなぁと思って暮らしています。今は店をはじめたばかりで趣味の時間があまり取れていませんが、落ち着いたらまた滋賀の豊かな自然の中で色々と楽しみたいと思います。

さっぷ

ある一日のスケジュール

  • 6時00分起床・朝食
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