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甲賀市 平成25年9月台風18号

水害履歴

位置図
位置図
水害写真
甲賀市 平成25年9月台風18号の水害写真

場所:JR貴生川駅前
提供:県民

信楽町牧 平成25年台風18号

位置図
位置図
水害写真
増水している大戸川と紫香楽橋 提供:県民
信楽大橋より、国道307号方面をみる 提供:県民

【地域の状況】

この調査は、関西大学景観研究室と協働で行いました。

大戸川が集落の真ん中を流れている。浸水するところは昔から同じ川沿いなので、田になっているところが多い。

・牧大橋上流付近で溢れた大戸川の水と、大戸川に流れ込めなかった西山川の水が、合流地点手前で溢れ、低地になっている西山川・大戸川・国道307号に囲まれた土地が広く冠水。一面が湖のようだった。

・もっと下流の陶芸センターたぬき村の前、亀石のところは大戸川が直角に曲がっているので、その付近一帯で氾濫した。

・収穫前の田んぼも広く浸水したが,1日ぐらいで水が引いたため、収穫できた

被害の詳細や箇所は、水害マップをご覧ください。


信楽町長野 平成25年台風18号

位置図
位置図長野
手前国道307号に濁流が流れ込み信楽川と同じ水位になった。
平成25年台風18号
提供:県民
現在の国道307号とその奥の信楽川
撮影:滋賀県

手前国道307号に濁流が流れ込み信楽川と同じ水位になった。

平成25年台風18号

提供:県民

現在の国道307号とその奥の信楽川

撮影:滋賀県

体験者の語り

民男性3Aさん(昭和27年生まれ)、Bさん(昭和25年生まれ)、Cさん(昭和24年生まれ)

Aさん:私の家の前がすぐ信楽川で、左岸側に家がある

Aさん:当時、16日の夜中12時くらいにBさんと私が近くの信楽川の水量の様子を見に行った。まだ大丈夫だろうと思い一旦帰った。

Aさん:Bさん:また心配になり二人で5時くらいに再度見まわりした時に新町橋の欄干あたりに少し浸水して来た。

Aさん:朝方、新町橋の橋桁にあたり濁流が左岸側に流れてきた。(右岸の堤防の方が高いため)

Bさん:同時刻Aさんの家から上流の三代出橋(みよでばし)付近で堤防から濁流が溢れてきた。

Cさん:私は自宅2階から、カメラで写真を撮りながらその状況を見ていた。新町橋あたりから濁流が来た。そして国道307号に沿って流れて来た。国道は広く、こちらの道路は狭いので入ってきにくいと思ったが、水が溢れてきてこちら側にも入ってきた。だけど新町橋より少し下流の東側左岸の床上浸水はなかった。

Bさん:周辺からも溢れてここら辺の道路が川になってきた。

Bさん:新聞配達本舗さんのあの重たい束になった新聞が、6時くらいに、国道を渡って流れてきた。これはかなりの重量~。

Bさん:Cさん:その時はどんどん泥水が入って来周辺は浸かった。

Aさん:濁流で信号機も倒れた。

Bさん:下流側の昔役場があった場所も浸かり、そこからも溢れて泥水が流れてきた。

Bさん:水害に気づかない出勤用の車が自宅前を通って行った。通った後にこちら側に泥波がザーと押し寄せてきた。

Bさん:その車はしばらくすると引き返して来た。重大な水害に気付いたのだろうな。

Aさん:新町の古い家の方は、低い土地にあり床上浸水が多かった。

Aさん:私の家は朝5時頃浸水して来て、畳上10cm浸水、裏の家の方は私の敷地より低いので20cm浸水した。

Cさん:私の家は地面からだいたい37cm~38cmくらいまで浸水して、床上まで後5cmのところであった。もう浸かるかなあと思っていたがその時スーと水が引いていった。

Cさん:8時~9時くらいになると水が引いていった。

Aさん:新町の川を隔てた反対側の栄町の住宅も30cm~40cmの床下浸水だった。床上はぎりぎり浸水しなかった。

ボランティアさんに感謝

Aさん:大勢のボランティアの方が来てくれて泥処理等の掃除を助けていただいた。住むところは助けていただいたが、店舗は断られた。(住むところ優先かな)

Cさん:ボランティアが初めての方は何をして良いのかわからないので、家の者は指示する必要がある。被災者は毎日水害の片付けで疲れており、考えて色々と指示するのは逆にしんどい。スーパーボランティアのベテラン勢は要領がわかっているので自分で考えて動くので非常に助かる。そんな状態なので疲れて断った事もあった。

 

これからの人に伝えたいこと

Aさん:水害の目安は旭橋の水位が判断基準になっているが、旭橋で警戒水位になっていなくても新町橋は溢れる。

Aさん:橋の浸水順は、新町橋➡信楽橋➡愛宕橋。

Aさん:私のところは一番新町橋に近くて、川をすぐに見られる位置にある。

Bさん:定点(橋桁)を見まわりに行った時、この水位で大丈夫と見るか、危ないと見るか難しい。

Aさん:川が決壊すると10倍の被害がある。(Bさん:今は改修しているので決壊はない。越水はある。)

Cさん:私の家は家具屋をしていたが全部浸かって駄目になった。それ以後どんと水害保険をかけた。

Bさん:信楽に住みたかったら、高台に住むのだろうな。この地域は居住としてはやめて商店だけにして、財産としては残す。

Bさん:我々は仕方がないが、息子の代になると今の場所では住まない。

Aさん:浸水しても商売的には今の位置の方が良い。

 

国道が全面浸水していて、川か国道かわからない
平成25年台風18号
提供:県民
現在の国道307号とその奥の信楽川
撮影:滋賀県

国道が全面浸水していて、川か国道かわからない。

平成25年台風18号

提供:県民

現在の国道307号とその奥の信楽川

撮影:滋賀県


水口町三本柳 平成25年9月台風18号

位置図
位置図
水害写真
甲賀市 平成25年9月台風18号の水害写真

増水した杣川 北杣橋
平成25年9月16日7時52分撮影
提供:県民


体験者の語り(地元の方21名による) 聞き取り日:平成27年9月26日

【この調査は、立命館大学歴史都市防災研究室と協働で行いました】

 甲賀市水口町三本柳地区は、杣(そま)川左岸に位置し、信楽道、伊勢新街道、杣街道などの旧街道が交錯する交通の要所として形成された地区。杣川の渡し場にもなっていたため、宿場町としての機能も果たしていた。
 しかし、三本柳地区は杣川の渡し場としての特性上、河川のすぐそばに立地しており、それに加えて、杣川に流入する滑(なめり)川・里川・城(じょう)川の四つの河川に囲まれた地形になっていることから、大雨の時にはそれぞれの河川の増水、氾濫により被害を受けてきた。
 昭和28年には、杣川の決壊や旧里川の越水により、地区のほぼ全域が床下浸水、一部床上浸水した。
 同様に、昭和34年の伊勢湾台風の時や、昭和40年にも地区内で床下・床上浸水した。平成に入ってからも、全国初の特別警報が発令された平成25年台風18号の時に、杣川から旧里川へ逆流して溢れた水が地区内に流れ込み、数件の家が浸水した。また、城川は決壊寸前にまで増水した。


甲賀市 平成25年9月台風18号の水害写真

増水した城川 9月16日
提供:県民

甲賀市 平成25年9月台風18号の水害写真

平常時の城川
撮影:滋賀県


参考(「滋賀県災害誌」より各水害の概要)
【昭和28年8月多羅尾豪雨・台風13号の水害】
 
8月14日~15日にかけて、多羅尾地域を中心にした甲賀郡(当時)南東部の山間部一帯で、300mmを超す雷雨を交えた豪雨となり、河川は急速に増水し、随所で土砂災害も起こり、多羅尾村(当時)では、全半壊流失戸数が全村の4割という大惨事に見舞われた。
 杣川も急速に増水し、危険水位1mを越えて3mに達し、堤防の決壊や橋が流失し、建物や田畑に大きな被害をもたらした。
 その復旧作業が動き始めた1か月後の9月25日、台風13号が襲来し、再び随所で河川が氾濫、決壊した。
【昭和34年伊勢湾台風 】
 
9月25日夜間、台風の眼が彦根地方を通過したため、暴風雨が続き、河川の堤防決壊による洪水で、浸水地域が広がった。
【昭和40年9月 台風23・24号】
 
9月9日以来、秋雨前線による雨が続くなか、10日に台風23号が、17日に24号が立て続けにやってきた。
 台風24号は、この年の最も大きい台風で、各河川はこれまでの増水した水量に加え、さらに急速に増水し、9月17日23時頃には、各地で堤防の決壊が起こった。そのため、家屋の全半壊をはじめ、田畑の流失・冠水などによる水害被害・農作物被害が甚大なものになった。
【平成25年台風18号 】
 
強風域半径500kmを越える大型の台風18号は、滋賀県で過去に経験したことのない暴風雨をもたらし、滋賀県・京都府・福井県に、初の特別警報(平成25年8月30日から運用)が発令された。
 このため、県内各地で記録的な大雨となり、高島市鴨川と草津市金勝(こんぜ)川の堤防が決壊したのをはじめ、多くの河川が氾濫し、人家や田畑等広い範囲で浸水して甚大な被害をもたらした。
 9月15~16日の総雨量は、大津市葛川(かつらがわ)で635mmを記録している。

伝承・言い伝え