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ふれあいプラスワン

今こそ、思いやりの心を ~感染症による差別が繰り返されない社会へ~ (広報誌滋賀プラスワン 令和2年(2020年)9・10月号 vol.187)

新型コロナウイルス感染症の流行によって、感染者や医療従事者、その家族などに対する人権侵害が起こっています。しかし、このような感染症による人権侵害は、今回初めて起こるものではありません。新たな感染症の脅威を前にした今、こうした問題をなくすためには何が必要でしょうか。過去の歴史も踏まえて考えてみましょう。

県内の状況

滋賀県が令和2年5月に実施したWebアンケート調査では、約23%の人が新型コロナウイルス感染症に関連した差別やいじめなどを見聞きしたことがあると回答しています。また、そのうち約19%の人は職場や学校で見聞きしたと回答しており、県内でも実際に差別などの人権侵害が発生していることが考えられます。

人権侵害の対象については、感染者・医療従事者またはその家族が多くなっていますが、生活物資の輸送などの社会機能の維持に貢献してくれている人、海外からの帰国者、外国人など、様々な人が差別や偏見などの対象となっていることが分かります。

どのような問題が起こっている?

新型コロナウイルス感染症に関連して起こった差別などの問題として報道されたものには、左のようなものがあります。

このような行為は人権侵害として問題になるだけではなく、プライバシーの侵害や名誉毀損といった不法行為に該当する場合もあります。特に、インターネットやSNSでは、その匿名性や利用の手軽さによって誹謗中傷が簡単にエスカレートしてしまい、想像もしない重大な結果を招く可能性があることを意識する必要があります。また、ネット上には真偽が不明な情報も多いため、簡単にうのみにはしないよう心掛けることも重要です。

滋賀県人権啓発キャラクター ジンケンダー

「しがWebアンケート調査」 結果(抜粋)
調査対象:県内在住の満18歳以上の個人
回答者数:500人 調査期間:令和2年5月18~20日

Q1

新型コロナウイルス感染症に関連して、感染者、医療従事者、帰国者、外国人など(いずれもその家族を含む)への不当な差別や誹謗中傷、いじめなどを見聞きしたことがありますか?

Q2

どこで見聞きしましたか?
(いくつでも)

Q3

誰に対する人権侵害でしたか?
(いくつでも)

報道されている新型コロナウイルス感染症による差別などのケース

インターネット上での誹謗中傷

・感染者の特定につながる個人情報を書き込む
・「あの店は感染者の家族が経営している」といったデマを流す

特定の職業の人とその家族への差別的な対応

・病院に勤務しているというだけでタクシーに乗車を拒否されたり、子どもの保育所への通園を断られた
・小売業の従業員が品薄のために客から暴言を浴びせられた

いわゆる「自粛警察」による過剰な対応

自治体の自粛要請を受けて時短営業している店や、県外ナンバーの車が落書きなどの嫌がらせを受けた

差別や偏見はなぜ起こる?

ウイルスが心や行動を支配する

目に見えない未知のウイルスは、人の心に強い「不安」や「恐れ」を抱かせます。

新型コロナウイルス感染症に関する研究は、現在世界中で進められていますが、ワクチンや治療法はまだ完成していません。そのため、一度心の中でウイルスへの不安や恐れが芽生えると、簡単に消えることがなく、知らず知らずのうちにどんどん膨らんでいき、次第に冷静な判断力が奪われていきます。

そして、少しでも役に立ちそうに見える情報があれば、真偽が不確かであっても信じてしまい、不安や恐れに行動まで支配されるようになってしまうのではないでしょうか。

無自覚のうちに育つ差別や偏見

一人ひとりの心にある不安や恐れは、その人の行動を支配するだけでなく、不確かな情報にのせられて、ウイルス自身と同じように人から人に伝染し、あっという間に広まっていきます。その結果、自覚のないままウイルスに関係のありそうな人を嫌悪したり、遠ざけようとする言動が至る所で行われ、社会の中に差別や偏見の芽が生まれます。

一人ひとりの言動は、取るに足らないささいなものであるかもしれません。しかし、それが社会の様々な場面で繰り返されるうちに、差別や偏見の芽も大きく育ってしまうのではないでしょうか。


今、私たちにできること

繰り返される人権侵害

感染症による人権侵害が起こるのは、今回が初めてのことではありません。日本には、過去にハンセン病患者が強制的に隔離され、患者本人やその家族に対する様々な差別が行われたという事実があります。また、他にもエイズ患者・HIV感染者、肝炎患者などに対して、不確かな知識や誤解による差別や偏見が今なお存在します。

現在起こっている新型コロナウイルス感染症による様々な人権侵害は、このような感染症に関わる差別などの問題が繰り返されているものであると言えます。そして、今、私たち一人ひとりの意識や行動が変わらない限り、差別や偏見によって悲しい思いをする人がなくならないのではないでしょうか。

思いやりと敬意をもって行動しよう

私たちが本当に恐れなければならないのはウイルスそのものであり、感染者などの特定の「誰か」ではありません。

まずは、不安や恐れをコントロールすることに心を向けてみましょう。自分自身の状況を客観的にとらえて、今、自分にできることは何かを問いかけるとともに、「誰か」に対する言葉や行動として本当にふさわしいものは何か、冷静に考えてみてください。

今は様々な人が、それぞれの立場でウイルスに立ち向かっています。大切な命を守るためにも、不確かな情報に惑わされることなく、相手のことを思いやる気持ちをもって行動していきましょう。

お問合せ
県庁人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:[email protected]