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障害者雇用の手引き

平成22年度中小企業のための障害者雇用促進事業を実施し、実際に障害者雇用をされている企業へのヒアリングを行った結果、障害者雇用を始めるにあたっての不安、疑問や課題などをお伺いすることができました。そこで、そういった生の声にお答えできるものとして障害者雇用の手引きを作成しました。
それぞれの質問の答えは、障害者働き・暮らし応援センターなどの支援機関が実際に担当したケースをもとに、解決策のひとつとしてお答えしています。
障害のある人でも、十分な就労能力と意欲を持っている方が大勢いらっしゃいますが、実際に障害のある方とない方がともにいきいきと働くことができる職場づくりを進めるためには、支援機関と協力しながら、事業所全体で障害のある肩の受け入れ体制を整えていくことが重要です。事業所において障害者雇用を進めるためのポイントをわかりやすくまとめてありますので、ぜひご活用ください。

中小企業のための障害者雇用ガイドブック(平成23年3月発行)

当ガイドブックの内容は平成23年3月現在のものです。その後変更している場合がありますので、ご了承願います。

よくある質問と回答

  • Q1 社内の理解が得られない、会社のトップが障害者雇用を認めてくれない
  • Q2 (知的障害のある方に)やってもらえる仕事がない
  • Q3 障害者を雇用するときは具体的にどうしたらいいの?
  • Q4 仕事を始めてもらうときは、どんなことに気をつけたらいい?
  • Q5 危険な仕事が多いけど?
  • Q6 危険を伴う作業での工夫は、どんなものがあるの?
  • Q7 障害者の方で話すことが苦手な方がいます。どのようにコミュニケーションをとったらいい?
  • Q8 以前に雇用したがすぐ辞めてしまった。採用しても長続きするか心配
  • Q9 本人の生活のサポートまではできないのですが?
  • Q10 給料を無駄遣いしてしまっているみたいだけど?
  • Q11 長年勤務しているので、自分流に仕事をしてしまい、周りの言うことを聞かなくなったらどうしたらいい?
  • Q12 障害者雇用をきっかけに設備を新たにしたいけど補助金ってあるの?

Q1 社内の理解が得られない、会社のトップが障害者雇用を認めてくれない

A1
 支援機関の協力を得ながら会社全体で障害者雇用へ向けた意識を高めていかれてはいかがでしょうか。
 障害者雇用が進んでいる事業所には、経営者自らが障害者雇用について高い意識を持って推進しているところが多く見られます。企業のトップ自らが重要性を認識し、組織の方針として従業員に向けてアピールすることで障害者雇用をスムーズに進めることができるようになると思います。経営者の理解がなかなか得られないときには、障害があっても高い職業能力を有する方がおられることや、企業の社会的責任等について経営者に丁寧に説明し、理解を求めるとよいかもしれません。
 障害者働き・暮らし応援センター、障害者職業センター、ハローワークは、実際に企業で障害者雇用を始めるにあたっての十分な支援実績やノウハウをもっていますので、社内の意識を高めるために、従業員向けの講習会を依頼するのも一案です。
 障害者働き・暮らし応援センターには、障害者雇用の先行企業の見学会を定期的に開催しているところがあります。雇用についての理解が社内でなかなか得られないような場合、障害があっても十分な就労能力と意欲をお持ちの方が多くいることが理解されていないかも知れません。実際に障害者雇用を行っている企業の様子を見学し、いきいきと働く姿を見ることで、自社で働く障害者の姿をイメージできるようになると思います。

Q2 (知的障害のある方に)やってもらえる仕事がない

A2
 支援機関に相談しながら、事業所の仕事内容を整理してみたり、見直してみてはいかがでしょうか。
 難易度の高い仕事から低い仕事までの見直しを行い、簡易作業を集約したり、逆に難易度の高い作業を分割することで障害者雇用が可能になることがあります。また、障害者雇用のために作業分析をした結果、会社全体の生産性が上がったという事例もあります。
 例えば、会社では個々の従業員が多様な業務をこなされていることがあるかと思いますが、こうした多様な業務の中には、誰もができる作業が潜んでいるかもしれません。職場内に散在する簡易な作業を組み合わせることで1人分の仕事を創り出すことも可能です。障害者職業センターでは、事業所の方々と相談しながら業務内容を分析し、障害者が従事することが可能な作業に組み替えることができるよう支援を行っています。
 「障害者には無理ではないか」と決めつけてしまっている業務でも、ちょっとした工夫で、十分、能力を発揮できるようになる場合があります。障害者雇用マトリクス表として、業種別に代表的な障害者雇用の導入事例を一覧にまとめてみました。様々な分野で障害のある方が実際に活躍していることがお分りいただけると思います。是非参考にしてください。

Q3 障害者を雇用するときは具体的にどうしたらいいの?

A3
 一般的な採用活動では、ハローワークに障害者求人の申し込みをすることになりますが、このほかに、県内各地で開催される障害者就職面接会に参加する方法もあります。これは、就職を希望する障害者と求人事業所が一堂に会して合同面接会を行うもので、一時に多くの方を面接することができるメリットがあります。障害者就職面接会に参加を希望される際は最寄りのハローワークにご相談ください。
 面接においては、緊張などからうまく自分のことを伝えられなかったり、正しい自己理解ができていない場合などがあります。面接後、職場実習(訓練)を行い、本人の働く姿を見ていただくことで、「どのくらいの作業ができるか」、「どこに配慮が必要か」、「必要な支援機関によるサポートは何か」など、より具体的なイメージが深まり、本人に対する理解も早まると思います。様々な形態の職場実習(訓練)に対応するため、各種の訓練制度が設けられています。

Q4 仕事を始めてもらうときは、どんなことに気をつけたらいい?

 A4
 雇用をスタートするときは、障害者だからと遠慮していただく必要はありませんが、業務上、一定の配慮が必要な場合もあります。
 障害の程度や状況は、人によって異なりますので、本人の能力や必要な配慮について事前にしっかり理解しておくことが大切です。採用前に、本人のことをよく知るために、所属機関の支援者等から本人の情報を事前に聞いておくのも有効です。ハローワーク、障害者働き・暮らし応援センターや特別支援学校、障害福祉サービス事業所などには、本人を一番身近で支援してきた支援者がいますので、障害の特性や就労上の配慮事項を聞くことができます。
 本人の就労能力と事業所が期待する成果にミスマッチがあると、現場のスタッフの方の負担が大きくなったり、本人に必要以上の負荷がかかったりすることがあります。雇用のスタート前には十分支援機関に相談しながら、その人と仕事の最適なマッチングを図っていくのがよいと思います。
 なお、それぞれの障害の特性と就業上の配慮事項を「障害の基礎知識」にまとめております。ぜひ参考にしてください。

Q5 危険な仕事が多いけど?

 A5
 障害があるからといって安全に対する意識がないわけではありません。適切な指導や教育を行うことによりルールを守って安全に仕事を進めることができるようになります。
 例えば、知的障害のある方の場合、安全面での配慮ができないのではというイメージをお持ちの方が多いのですが、決してルールを理解できないわけではありません。大切なのは危険な業務に関する注意点を関係者間で話し合い、本人が十分に理解できるよう分かりやすく伝えていくことです。
 トライWORKなどの実習やトライアル雇用といった制度を通じてどのような仕事が本人にあっているか、また、どのような配慮をすれば安全に業務を遂行することができるかといったことを確認することができます。障害者職業センターのジョブコーチや障害者働き・暮らし応援センターの就労サポーターに現場に入ってもらい、しっかりと労働安全教育をすることで、より高い安全意識を身に付けていただくことが可能です。
 また、高齢・障害者雇用支援機構の助成制度には、安全対策を進めるための設備の導入等にかかる経費助成があります。詳しくは滋賀高齢・障害者雇用支援センターにお問い合わせください。

Q6 危険を伴う作業での工夫は、どんなものがあるの?

 A6
 誰でも一目で分かる表示をするなどの工夫が効果的です。
 例えば、物流などの仕事で荷物を積み上げる仕事に従事する場合、荷物を積み上げ過ぎて倒れる危険を伴ったりすることがあります。その際には、積み上げてもよい高さをラインで示すことにより「ここまで」という区切りが分かりやすくなり、安全に作業をすることができるようになります。
 広い工場やフォークリフトが通る危険がある職場では、「通ってはいけない」というラインを表示するより、「この道を通ります」というラインを設け、実際に道をペイントすることも有効です。また、一旦停止をして欲しい場所には足跡のマークを記入することにより、安全確認のポイントが分かりやすくなった例もあります。
 これらはいずれも、障害のある人のためだけではなく、職場全体の安全対策にも役立っています。
 また、障害者をよく知っている支援者が現場を見ることで、社内の人とは違った視点からの工夫をすることができる場合があります。本人や職場の状況に合わせたご提案をさせていただきますので、障害者働き・暮らし応援センター等の支援機関にお気軽にご相談ください。

Q7 障害者の方で話すことが苦手な方がいます。どのようにコミュニケーションをとったらいい?

 A7
 障害があるからといって特別扱いをするのではなく、他の従業員と同じように接してください。
 ただ、知的障害のある方の中には、スムーズに言葉が出にくかったり、相手の質問の意味が理解しにくいために話すこと自体を苦手に感じている方もいます。簡単な言葉に置き換えたり、センテンスを短くする、また、できるだけ抽象的な質問ではなくYES/NOで答えられるような質問に言い換えることで本人の気持ちが伝えられる場合もあります。環境に慣れてくると自分から積極的に話すことができるようになる場合も多く見られます。
 精神障害や発達障害のある方の中には、周囲と円滑な対人関係を図ることが苦手な方が多く、社会生活の中で極度に緊張したり、疲れやすかったりすることがあります。また、会話が一方的だったり、こだわりが強かったりする傾向もあります。このため、性格の偏りと誤解されがちなのですが、このような障害特性があることを周囲が十分に理解し、関係機関と相談しながら本人と接するようにすることが大切です。
 コミュニケーションのあり方は、人によって様々です。本人が以前に所属していた機関で実際に本人の支援をしていた方などに、コミュニケーションのとり方のコツを聞いてみるのもよい方法かもしれません。

Q8 以前に雇用したがすぐ辞めてしまった。採用しても長続きするか心配

 A8
 企業のトップの判断だけで障害者雇用を開始すると現場でうまくいかず行き詰まることがあります。障害者の受け入れにあたっては、経営者だけ、あるいは、現場の部署だけで考えるのではなく、人事担当課や関係する他の部署とも十分話し合って疑問点を解消していくとよいと思います。社内の複数の関係者を構成メンバーとする支援チームを作り、チーム全体で本人を支援する方法を考えるのも効果的です。障害者職業センターのジョブコーチや障害者働き・暮らし応援センターの就労サポーターを活用し、職場での就労継続支援を行う方法も有効です。

Q9 本人の生活のサポートまではできないのですが?

 A9
 職場だけでなく家族や支援機関が連携しあって本人を支援することが大切です。
 仕事と生活は両輪です。生活が破綻してしまうと、仕事にも大きな影響を及ぼします。生活面をきちんと把握し、支援を行う機関があることで、障害者本人も安心して仕事に就くことができるようになります。体調管理などに不安がある方の場合は、家庭やグループホームのキーパー(世話人)と事業所の方との間で連絡帳を交わしているところもあります。事業所の方から仕事の様子を伝えていただくことで、家庭や支援機関が本人の生活上の課題に気づく場合もあります。障害者働き・暮らし応援センターでは、生活習慣の形成、健康管理、金銭管理等の助言から住居、障害年金、余暇活動などにいたるまで生活全般の相談に応じています。直接的な生活支援を行っている障害者生活支援センターや市や町の福祉課等と連携し、ネットワークを活かしながら、必要な支援を考えます。

Q10 給料を無駄遣いしてしまっているみたいだけど?

 A10
 適切な金銭管理ができることは、就労の継続を考える上でとても重要なことです。障害者働き・暮らし応援センターの支援ワーカーは、金銭管理に関する相談に応じています。また、金銭面の管理については社会福祉協議会等の「地域福祉権利擁護事業」を活用する方法もあります。これは、金銭管理が難しい方に対して社会福祉協議会が日常的な金銭管理の援助などを行うサービスです。具体的には金銭管理の管理表を作ったり、高額の買い物をする際には支援者が同行したりします。

お問い合わせ
滋賀県商工観光労働部労働雇用政策課 
電話番号:077-528-3759
FAX番号:077-528-4873
メールアドレス:[email protected]
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