問い合わせ/ひこね繊維協同組合
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ファンデーションと言っても化粧品とは違う。本来の下着の役割に加え、体型を整え理想のプロポーションに近づけるアイテムのことを言う。ブラジャー、コルセット、ガードルなどがそうである。ちなみにキャミソールといった装飾的な下着はランジェリー、パジャマはナイトウェアとされている。彦根ファンデーションの製品は下着がほとんどだが、ぬいぐるみ、介護用品など、なんでも縫えるというほど加工技術の幅が広いのが特徴だ。
明治時代、政府は富国強兵策の一環として、地方各地における繊維工業に力を入れだし、彦根にも製糸工場が相次いで建てられた。その後、彦根は足袋の優れた仕上げで知られるようになったのだが、戦後の洋装化とストッキングの登場により窮地に立たされた。工場に残ったのは多くのミシンと女子従業員。「ミシンが縫える女子がこれだけいるのだから、何かできるはず」と思い立ったのが、洋服が定着したため必要になったブラジャーの生産だった。当時はブラジャー自体の認知が低く、需要がほとんどなかったが、昭和27年(1952)のアメリカへの輸出によりファンデーションの縫製地として大きく飛躍した。
しかし、またも暗雲がたちこめた…。昭和32年、日本製のブラウスがあまりに大量に輸出されため、アメリカが輸入規制をかけた。そこでブラウスの二の舞になってはいけないと、各メーカーは自主規制に乗り出した。この後、本格的な輸出規制となり、再び生産は国内向きに切り替わっていった。そんな度重なる困難を乗り越える間にも彦根ファンデーションは技術を磨き、今日に至る。
ファンデーションの工程は大きく、「企画・デザイン」「裁断」「縫製」に分かれる。ボディラインを美しく引き出す機能に加え、多種多様の好みに対応できるように企画とデザインを常に考えている。標準のブラジャーでパーツは30枚。裁断は平面の生地を立体のボディにフィットさせるために、より美しくより自然に仕上げる高度な技術が要求される。特に左右のカップに施す、一対のレースの柄をぴったり合わせるのは熟練を要するという。そして、デザインと裁断の美しさを最大限に活かす技術を必要とするのが縫製。ブラジャーだと25〜36の工程があり、一人が4、5つの工程を受け持つ。同じミシンのように見えても10種類ほどあるという。平面と立体面をつなぐ、カーブをつけるといった縫製には経験でしか養うことができない感覚が必要だ。綿や絹、化学繊維、混紡など素材もさまざま。柔らかい、伸びやすいといった素材の特徴を熟知して、独自のノウハウを駆使する。
昨今、海外からの低価格商品が数多く流通し、産地は新たな課題を抱えている。そこで産地一丸となって乗り出そうとしているのが、産地ブランド展開だ。彦根ファンデーションの高品質に新しい感性をプラスしたオリジナルブランドの発信を目指す。いつか彦根ブランドに身を包んだ女性は、きっと内面から出る美しさで輝いて見えるだろう。
(取材:2007年12月)
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