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2 だれもが暮らしやすいまちづくり(テキスト版)

生活を営むうえで、行動範囲が広がっていくことは、こころ豊な生活につながっていきます。あらゆる場面でだれもが自らの意思で自由に行動でき、快適に生活するためには、利用者の視点に立った生活環境の整備や、その機能を維持していくことが必要です。

これまでの主な取組

(1)公益的施設等のバリアフリー化・ユニバーサルデザインに配慮した整備

 [実績]条例に基づく届出件数:H7~R3 4,749件、H29 198件、H30 206件、R1 164件、R2 153件、R3 155件

〔注釈〕公益的施設等:多数の者の利用に供する建築物、官公庁舎、道路、公園、駐車場および公共交通機関の施設

(2)車いす使用者等用駐車場利用証制度の推進

 [実績]車いす優先区画駐車場・思いやり区画駐車場設置状況、車いす優先区画:H30 368 → R1 827 → R28 38 → R3 1,075、思いやり区画用:H30 391 → R1 556 → R2 577 → R3 562

(3)歩行空間のユニバーサルデザイン化や歩道整備

 [実績]特定道路におけるバリアフリー化率:H28 70.3%、H29 73.4%、H30 75.8%、R1 70.3%、R2 72.9%、R3 75.3%

(4)条例に基づく整備基準等を解説した施設整備マニュアル

 [実績]H17 作成、R2 改定、R4 一部改定

(5)交通信号機に視覚障害者用付加装置の機能を付加するなどの改良・高度 化、歩車分離信号機の整備

 [実績]視覚障害者用付加装置の整備:R3 6箇所更新、歩車分離信号機への改良:H30 1基

(6)鉄道駅におけるエレベーター・エスカレーター等の整備に対して、市町に補助を実施

 [実績]補助実績:H28~R1 JR甲南駅、R2~ JR石部駅、比良駅

 [実績]駅バリアフリー化率(乗客1日3千人以上):H28 80.0%、H29 88.9%、H30 88.9%、R1 88.9%、R2 88.9%、R3 90.5%

(7)市町における移動円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進

 [実績]バリアフリー基本構想策定状況:策定済12市町、未策定7市町

 〔注釈〕バリアフリー基本構想:旅客施設を中心とした地区や、高齢者、障害者等が利用する施設が集積している地区において、公共交通機関、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等のバリアフリー化を重点的・一体的に推進するために、市町村が作成する具体的な事業を位置づけた計画

(8)公営住宅の建替等における住戸内等のバリアフリー化の推進

 [実績]バリアフリー化実施率:H28 24.7%、H29 25.1%、H30 25.7%、R1 26.2%、R2 26.7%

(1)利用しやすい施設等

現状と課題

  • 新設施設でのユニバーサルデザインは一定進んでいる一方、既存の施設ではだれもが利用することに配慮されていないものもあります。

  • 車いす使用者等用駐車場の適正利用と区画設置に向けての事業者への働きかけが必要です。

  • 建物や公園、道路などを造る際、様々な利用者の視点が十分に取り入れられずに、設置者や設計者のみの思いで計画、整備された例が見受けられます。

  • 「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」に定められた整備基準は必要最低限のものであるにもかかわらず、施設の設置者には、それに沿った整備をすれば十分であるという意識が見受けられることがあります。

  • 利用者のニーズに応えるためには、施設や設備の整備や維持管理などハード面での対応に加えて、運営の方法や利用案内などのソフト面での対応も重要という認識が必要です。

  • 公共施設や公園、観光地等に加えて、ちょっとした休憩や交流ができる場所といった憩いの空間の整備も考えていく必要があります。本県を何度も訪れたくなる観光地にしていくためには、すべての人にとってストレスなく過ごせる環境を整えていくため、更なる多言語案内、トイレの洋式化、Wi-Fi整備、バリアフリー化などの受入環境整備を進める必要があります。

 

目指す方向

  1. 多くの人が利用する施設の整備にあたっては、「Nothing about us without us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)」という障害者権利条約の理念のもと、計画段階から利用者のニーズ把握や意見交換を行い、ユニバーサルデザインの考え方に基づいて、だれもがより利用しやすい施設となるよう推進します。

  2. 施設設置者や施設整備に携わる事業者などに対する意識啓発を行い、施設の機能を維持するとともに、職員等の接遇意識の向上に努めることで、さらに利用しやすい施設に改良していきます。

  3. 「ひと中心のまちづくり」を目指し、安全、安心で安らぎのあるまちづくりの実現に向けて、また、みんなが憩える空間やそこに至る経路も含めたユニバーサルデザインの導入を進め、まち全体の連続的、一体的な施設整備などを行っていきます。

  4. 「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」に規定する整備基準への適合だけではなく、より望ましいとする整備を目指すための取組を行います。

  5. 公共の交通機関や建物、公園等におけるバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化の取組を進めます。

  6. だれもが安全・安心で快適に楽しめる観光地の受入環境整備に取り組みます。

(2)移動しやすいまち

現状と課題

  • すべての県民、来訪者が地域交通から広域交通まで様々な交通手段を組み合わせ、円滑に移動できる環境の形成が必要です。

  • 旅客施設には、階段を利用しないと移動できない、車両も車いすの利用を考慮していないといった構造のものがあります。また、旅客施設からまちへ至る経路も段差があるなど整備が不十分な箇所があります。

  • 特定道路について、引き続き、道路整備アクションプログラムに基づき、整備を進めることが必要です。

  • 駅のバリアフリー化を着実に進めていく必要があります。

目指す方向

  1. 「バリアフリー法」や「だれもが住みたくなる福祉滋賀のまちづくり条例」などに定める基準への適合を促進し、個々の施設整備にとどまらず、だれもが安全で快適に移動できる線的、面的基盤の整備を推進します。

  2. だれもが安心して移動しやすいまちづくりを進めるために、公共交通機関や道路等における必要な整備を推進します。

  3. 国、県、市町等の道路管理者および交通事業者は一層連携して、だれもが円滑に移動できるような交通ネットワーク形成を図ります。

  4. 様々な場面で利用者の声が反映される機会の確保や参画する仕組みづくりを検討し、だれもが気軽に外出できるよう、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた地域の公共交通、休憩できる場所、公衆トイレ、信号機等の整備を計画的に進めます。また、案内標識や案内表示についても、だれもが簡単に理解できる表示方法や色彩、設置場所などに配慮して整備するよう努めます。

  5. すべての人にとってわかりやすく使いやすい交通の実現に向けた交通施設のユニバーサルデザイン化の促進により、だれもが便利に出発地から目的地まで様々な交通機関を円滑に組み合わせて利用できる、シームレスな(継ぎ目のない)交通体系を構築します。

(3)快適に過ごせる住まい

現状と課題

  • 障害や加齢により身体能力が低下した場合等に対応した住宅に関する情報や、住宅相談窓口に関する情報を十分周知していく必要があります。

  • 滋賀県では全国平均に比べて高齢世帯の持ち家率が高い傾向にあります。しかし、多くの住宅は 建築時期が古く、バリアフリー化されていないなど高齢期に不安を感じる構造となっています。

目指す方向

  1. 「住まい」のユニバーサルデザイン化に関する情報を積極的に提供するとともに、住民に身近な相談窓口が有効に活用されるよう努めます。また、住宅のつくり手などには、ユニバーサルデザインについて啓発したり知識を広めます。

  2. 公共賃貸住宅のユニバーサルデザイン化を率先して推進します。