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1 だれもが取り組むユニバーサルデザイン(テキスト版)

(1)継続的な理解促進

目指す方向

  1. 外見からはわかりにくい障害など困難を抱えている人に対する理解促進を図ります。

  2. 率先してユニバーサルデザインに基づく行動を実践できるよう県職員の人材育成を行います。

県における具体的な取組例

  • ユニバーサルデザインの理解促進のための情報発信、研修、事例収集、普及啓発

  • 滋賀県車いす使用者等用駐車場利用証制度の推進および適正利用の普及啓発

  • バリアフリートイレ等の配慮が必要な人が利用するトイレの適正利用の普及啓発や様々な人の利用を考慮したトイレ設置の普及啓発

  • じんけんミニフェスタ/人権ふれあい啓発におけるユニバーサルデザインに関する意識啓発

  • ヘルプマーク・ヘルプカードの普及啓発(イベントにおける啓発、講演会・研修会等における周知、市町の配布窓口の設置等)

  • コミュニケーションボードや筆談ボードの購入、簡易スロープや手すりの設置等の民間事業者に対する合理的配慮の提供に係る費用助成

  • 共生社会サポーターステッカーの配布・活用による、県内事業者における合理的配慮の提供の推進

  • 県職員に対し、障害特性に応じた対応方法や合理的配慮の提供、障害当事者が参画される会議における留意点の具体例等の周知・啓発

  • 認知症サポーター養成の推進や支援のための仕組みづくり(チームオレンジ)などによる認知症に関する理解促進を通して、認知症になってからでもできる限り住み慣れた地域で暮らし続けていくための「認知症バリアフリー」を推進

〔注釈〕チームオレンジ:市町村がコーディネーター(地域支援推進員など)を配置し、地域において把握した認知症の方の悩みや家族の身近な生活支援ニーズ等と、認知症サポーターを中心とした支援者をつなぐ仕組みとして、地域ごとに整備される

市町に期待される取組例

  • ユニバーサルデザインについての情報発信、様々な媒体への情報提供、研修会等の開催、事例集の作成等による普及啓発

  • 会議やイベント等の開催にあたって、様々な人の利用を想定した会場設営、一時保育の実施、手話や多言語通訳の配置、点字や多言語資料の準備といった運営や説明、またパネル展示等による普及啓発

  • 地域や事業者、民間団体、学校等を対象とした出前講座の実施

  • 「バリアフリー法」に基づく基本構想をはじめ、ユニバーサルデザインを取り入れたまちづくりに関する基本計画の策定・継続改善

  • 行政、事業者、民間団体、大学などが連携してユニバーサルデザインの考え方を推進するネットワークの構築

  • 事業ごとに実施するPDCAの考え方を取り入れた施策評価や、あらかじめ定めた指標等による進行管理

  • 公的施設の整備にあたって、様々な利用者の意見を聴くための仕組みづくり

  • 庁内から地域住民まで、ユニバーサルデザインの考え方を浸透させるための、継続した啓発・普及活動

県民に期待される取組例

  • ユニバーサルデザイン情報の収集、活用

  • 家庭や地域、職場等において、ユニバーサルデザインをテーマにした話し合いの場づくりや、積極的な参加

  • 相手の立場に立って考える気持ちを忘れず、高齢者や障害者等の行動の妨げとなる行為をしないこと

    <例>歩道への自転車放置、点字ブロックの上に自転車や看板等を置く、車いす使用者駐車区画に車いす使用者でない人が駐車するなど

  • 自分の住むまちや、日常使用している製品等に関心を持ち、何が使いにくいか、どうすれば使いやすくなるのかといった点検を行う等、生活の中にユニバーサルデザインの視点を取り入れること

  • 行政や事業者などに対して、PDCAサイクルへの参画、問題点の指摘や改善に向けた提案、取組の評価や支持

事業者・民間団体に期待される取組例

  • ユニバーサルデザインについて、従業員等への意識啓発と、自社製品やサービス等を通した事業所内、業界内外への普及

  • 会議やイベント等の開催にあたって、ユニバーサルデザインの考え方に基づく運営や、ユニバーサルデザインに関する説明、パネル展示等による普及啓発

  • 利用者が求める様々な配慮を行った施設や製品等の開発、情報提供

  • 「PDCAサイクル」による事業評価の徹底

  • 施設の整備や製品の開発などの場合に、計画段階から利用者の声が反映される仕組みづくり

  • だれもが気軽にまち歩きを楽しむために利用できるユニバーサルデザインマップづくりなど、地域密着型のまちづくり活動

  • 行政や事業者への利用者の声の伝達や、改善に向けての提案

(2)当事者参画の仕組みづくり

目指す方向

  1. 「Nothing about us without us(私たちのことを私たち抜きで決めないで)」という障害者権利条約の理念のもと、ユニバーサルデザインを進めるために、様々な場面で利用者の声が反映される機会の確保や、利用者が参画する仕組みを活用することにより、常に改良を続けていくという取組に努めます。

  2. イベントや会議等のユニバーサルデザイン化を図ることで当事者参画を推進します。

県における具体的な取組例

  • 様々な当事者団体で構成する福祉のまちづくり推進会議において、ユニバーサルデザインに関する意見交換の実施

  • 障害者施策推進協議会等において、障害当事者の参画を進めることで、当事者視点からの意見を活用した政策決定の促進

  • 会議において、多様な障害当事者の参画を促すため、点字・手話通訳や支援者の同席などユニバーサルデザイン化の推進

市町に期待される取組例

  • 当事者の意見を市の施策に広く取り入れ、ユニバーサルデザインの基本理念を市民に普及、啓発を行うため、専門的な見地から指導および助言するアドバイザーの設置

県民に期待される取組例

  • 施設整備にあたっての意見等の積極的な提案

  • ユニバーサルデザインに関する意見や提案を求められる場への積極的な参加

事業者・民間団体に期待される取組例

  • 多様な障害当事者が参画したワークショップの開催等により、障害当事者による評価と意見反映をしながら施設整備を実施

  • 施設整備にあたって、基本設計段階から利用者の意見を聴くなど、だれもが利用しやすいよう配慮すること

(3)ひとづくり、ともに学ぶ環境づくり

目指す方向

  1. ユニバーサルデザインの考え方について、子どものときから生涯を通じて、学校や地域、職場等で学習する環境づくりを進めます。

  2. すべての児童・生徒がわかりやすく学習できるよう、授業のユニバーサルデザイン化を促進します。

  3. 障害のある子どもと障害のない子どもがともに学ぶ環境づくりを進める中で学校におけるユニバーサルデザインの意識の醸成を図ります。

  4. 施設の設置者、施設の整備に携わる事業者、製造事業者、交通事業者など様々な人を対象にユニバーサルデザインの意識づくりを広げます。

  5. 地域や職場などでユニバーサルデザインを推進するリーダー、ボランティア活動に参加するNPOをはじめとする民間団体の育成に努めます。

  6. 率先してユニバーサルデザインに基づく行動を実践できるよう県職員の人材育成を行います。

県における具体的な取組例

  • 県庁および市町職員をはじめ企業、県民向け研修会の実施

  • 小中学校や地域学習の機会等、またどのような人・場面でも福祉を学ぶことができる教材の活用促進

  • 小学生を対象にした障害理解のための学習用資材を作成・配布

  • 知的障害・発達障害など外見からわかりにくい障害特性についての疑似体験学習や当事者とのコミュニケーションなど気づきの機会を広めることで、人々の多様性の理解を促進

  • 県庁各所属に設置するユニバーサルデザイン推進員による職員への啓発やユニバーサルデザインの視点を反映した事業の実施

  • 「滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例」に基づく、出前講座や県職員に対する研修の実施

  • 災害発生時に外国人県民等を支援する災害時外国人サポーター(ボランティア)の養成

  • 地域アドボケーター(滋賀県地域相談支援員)の各地域への配置による障害者差別解消相談員との連携

  • だれもが参加し楽しめる文化芸術プログラムの開催

市町に期待される取組例

  • 学校における、総合的な学習の時間などを活用した、ユニバーサルデザインの考え方やボランティア体験などの学習機会の確保

  • 行政職員や教職員等が率先してユニバーサルデザインを学習したり、取り入れたりできるような場づくり

  • 住民等への様々な形でのユニバーサルデザインに関する学習機会の提供

  • 利用者をはじめ、様々な事業者、民間団体を対象としたユニバーサルデザイン説明会等の開催

  • 交通機関や施設等で、身体障害者補助犬やその利用者が円滑に利用できるよう、各種広報媒体を通じた啓発の実施

  • ボランティアセンターにおけるリーダー養成、ボランティア活動に関する情報提供の実施

  • 高齢者、障害者等も自らボランティア活動を行い、多様な社会参加を促すためのボランティア活動促進支援

  • 民間団体等が実施するユニバーサルデザイン普及啓発活動への支援

  • 庁内での意識醸成とともに、地域住民の理解促進を図り、災害時における避難行動要支援者支援対策を促進するため、出前講座等を活用した継続的な啓発

県民に期待される取組例

  • 子どものときからお互いの違いを認め合い、相手の立場になって考えられる心の育成

  • ユニバーサルデザインの学習や推進リーダー育成などを目的とした研修会等の機会への積極的な参加

  • 地域や職場等での、ボランティア活動やNPO等を通したユニバーサルデザイン運動への参画

事業者・民間団体に期待される取組例

  • ユニバーサルデザイン化された施設見学を行うユニバーサルデザイン学習の受け入れ

  • 高齢者、障害者等の施設やサービス利用者の利便性や快適性などを高めるため、まちづくりへの理解と介助サービスや身体障害者補助犬への理解、さらにはユニバーサルデザインの考え方などについて事業所内教育による学習機会の提供やリーダー育成

  • 行政等が実施するまちづくり関係の研修会などに積極的に参加するなど、知識と技術の向上に自ら努めること

  • ボランティア体験や、高齢者、障害者、外国人等との交流学習への協力

  • 地域や職場等で、NPOやボランティア活動等を通したユニバーサルデザイン運動の自主的な展開