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びわこ地球市民の森

1. はじめに

私たちは、地球という環境の中で生き、生かされています。しかし、その地球は温暖化の進行で急激に環境が変化し、人間をはじめ多くの生物が、将来、その生存さえもおびやかされかねない状況になっています。このため、地球温暖化の大きな原因である二酸化炭素の排出を抑制することが国際的な課題となっており、二酸化炭素を吸収する緑の保護と再生は世界各地で取組まれています。
滋賀県においても、このような緑を再生するための事業を野洲川の廃川敷地を活用して、県民の皆さんと共に取り組むことにしました。そして県民はもとより、下流府県の人々やできれば海外の人々にも参加してもらえるような息の長い植樹運動として展開していきたいと考えています。

つどいのゾーン

つどいのゾーン

2. 計画の概要

◆ 計画地

野洲川は鈴鹿山脈に水源を持つ県下最大の河川であり、守山市で南流と北流に分派し琵琶湖に注いでいました。下流部ではいわゆる天井川を形成し、洪水によりたびたび大災害をもたらしてきました。
このため、南流と北流の間に新放水路が計画され、建設省により琵琶湖総合開発事業として、昭和56年度に完成しました。
これにより、南流と北流は廃川となり、平地化事業が行われてきました。このうちの、南流の一部を「豊かな森」として再生することとなりました。対象となる地区の面積等は以下のとおりです。

  • 面積:42.5ha
  • 延長:3.2km
  • 幅:100〜200m
  • 標高差:4.1m

※なお、北流の最下流部は広域公園「湖岸緑地」の一部としてビオトープ型の整備に平成13年度から着手しています。
地図(外部サイトへリンク)はこちら☆

◆ 森のイメージ

この森は、県民をはじめ多くの人々に苗木を植えていただき、長い時間をかけて、昆虫や鳥などさまざまな生きものが暮らす豊かな森にしていきたいと考えています。また、この森が人々の心に残る森となり、何度でも訪れたいと思うような場所になればと願っています。
このため、次のようなコンセプトで森を作っていくことにしています。

<1>生態系の形成に配慮したビオトープ空間の創造

<2>照葉樹の林と、訪れる人たちが自由に楽しめる落葉樹の林や原っぱ形成。


◆ ゾーニング

この森は、細長い敷地を利用してつくることもあって、いくつかのゾーンに分け、それぞれのゾーンの性格を次のように設定して、計画を進めています。

  • 出会いのゾーン(エントランス・シンボルエリア) → 多様な森へのいざない、人と森との出合いの場
  • 里の森ゾーン(森の環境学習フィールド) → 四季の花や緑、木の実のある森の観察フィールド
  • ふれあいゾーン(水辺の環境学習フィールド)→ 流れ、池、湿地と森の生態観察ゾーン
  • つどいのゾーン(集いと交流の広場) → 多彩な遊び、活動の出来る集いと交流の広場
  • ふるさとゾーン(現況保全のエリア) → かつての野洲川の河畔林(河原などに自生していた高木の林)が残されたエリア
  • ☆ 区分図(外部サイトへリンク)はこちら ☆

◆ 計画施設

  • 樹林帯
  • 原っぱ
  • 水路、池、湿地
  • 管理センター、駐車場、園路、トイレ、四阿(あずまや)など

3. 森づくりの進め方

◆ 整備の方法

植栽基盤を含む公園施設は県で整備し、植樹については木陰となる木や施設周辺の植樹などを除き、県民等によるボランティアにより、苗木を中心に植樹していく計画です。
施設整備については国土交通省が地球温暖化対策の観点から都市公園事業で制度化した「平成の森づくり事業」により平成12年度から事業を進めています。
平成13年度末で「つどいのゾーン」の整備をほぼ終え、平成14年度から「ふれあいゾーン」を整備しています。
◆ 植樹のスタート

21世紀最初の「緑の日」となった平成13年(2001年)4月29日に「滋賀県植樹のつどい」を実施し、森づくりのスタートが切られました。
県内外から約3,500人が参加し、拾ってきたドングリを家で大切に育てた苗(苗木のホームステイ)など、8千本あまりが植えられました。
また、植樹祭では子どもたちにより次のような「森づくり宣言」が行われました。

森づくり宣言(Declaration on the Creation of the Biwako World Citizen’s Forest)

●日本語版(Japanese) / ●英語版(English)

◆ 植樹の募集

この森づくりでは、植栽を県民との協働(パートナーシップ)により進めていくため、広く一般から植樹の募集を行っています。その際、「記念植樹」ではなく、苗木を植栽してトータルとして森となるという考えのもと、次のような前提条件で応募いただいています。
<1>個人、グループを問わない

<2>植樹の場所、次期、樹種はあらかじめ指定

<3>苗木等、植樹に必要なものは応募者で準備

<4>米津の標識やモニュメントは設置できない

(植樹の記録を残し、随時閲覧可能とする)

予想以上に申し込みが多く、植栽基盤の造成が間に合わないため、多くの方に植樹を待ってもらっているという状況となっています。

ボランティアによる植樹の様子


▼詳しくはこちら : びわこ地球市民の森HP[苗木の植樹活動](外部サイトへリンク)
 

◆ 植樹申し込みの手続きは、森づくりセンター(外部サイトへリンク)〕で行っています。

◆導入植物について

郷土に根ざした多様な森づくりのために、導入樹種は潜在種(かつてこの地域に自然に生えていたと思われる木の種類)を原則に選定しています。
高木については主に次のような樹種を選定し、苗木を主体に植樹しています。

  • 落葉樹:クヌギ、コナラ、エノキ、ヤマザクラ、コブシ、ヤマモミジ、ケヤキなど
  • 常緑樹:アラカシ、シラカシ、クスノキ、シイ類、タブ、ヤブツバキなど

苗木の植栽は2〜3本/平方メートルと、かなり高密度で植えていますが、今後、淘汰や間伐により適正な密度となるよう管理していく予定としています。
中低木についても導入を計画していますが、高木の生育状況を見ながら、植栽時期等について検討していきたいと考えています。
草本類については、森となる部分では播種(早期に緑化するための種の散布)等は行わず、自然の推移を見守っていくこととしていますが、苗木の生育の支障となる雑草については刈り取っています。原っぱについては、野芝の播種等を行っていますが、今後の管理のなかで除草は行わず刈り込みだけを行い、徐々に野草主体に変えていく予定です。また、希少種のタコノアシという植物が見つかっています。

4. 森の管理等について

◆ 森づくりセンター

更地から森づくりを行っているため、今後、植えた木がどう育っていき、樹木の生長とともにどんな昆虫や鳥、動物が棲みつき、どのように生態系が形成されていくのかといった情報を収集、発信するために、森づくりセンターを建設しました。現在4名のスタッフで、こういった情報の収集・整理や、植栽樹木の維持管理、植樹の受付、指導、記録等を行っています。

◆市民参加による管理

森づくりを手伝っていただくために、県植樹祭を機に、「森づくりサポーター」を募集しました。苗木づくりや植樹および植栽木の管理に参加していただくことにしていますが、植樹については申込が多いため、当面、植栽木の管理を中心に年3回の活動を行っており、毎回100人前後の方に参加頂いています。
森づくりが始まったばかりで、野鳥や野草の観察、落ち葉を集めての焚き火やドングリ拾いといった、森での楽しみも今のところ少ないため、今後どれだけ参加していただけるか心配であり、いろいろ工夫していく必要があると感じています。

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