【上席専門研究員】
奥山 智緒(おくやま ちお)
【専門】
核医学、放射線医学
【略歴】
平成6年京都府立医科大学医学部卒業京都府立医科大学放射線医学教室入局平成15年京都府立医科大学医学博士取得。平成15-17年医療法人坂崎診療所PET画像診断センターセンター長、平成17年―25年京都府立医科大学大学院医学研究科放射線診断治療学講師、平成25年-29年遠隔画像診断イメージコミュニケーション株式会社診断部長
【抱負】
大学を卒業し、放射線科に入局、画像診断、放射線治療、IVR、核医学など各領域を学ぶ中で、比較的早い時期から核医学に興味を持ちました。画像診断装置の技術革新が進む中、形態画像では捉えることのできない脳の変性や機能、腫瘍の代謝やレセプターなどを評価可能な機能画像に惹かれて診療や研究を続けてまいりました。当研究所においては、これまでの経験を生かしつつ、PETを用いて各種領域の疾患の診断や治療、病態把握につながる新たな研究を行っていきたいと思います。
【主な論文】
こちら
【主任研究員】
加川 信也(かがわ しんや)
【専門】
放射性薬品化学、PET・SPECT用診断薬に関する研究・開発
【略歴】
平成11年大阪薬科大学大学院薬学研究科修了、平成11-13年大阪大学医学部研究科トレーサ情報解析学研究部にて新規放射性薬剤の研究開発に従事、平成13-15年住重加速器サービス株式会社技術部にて国立循環器病センターのサイクロトロン装置運転及び保守管理業務に従事、平成16年から滋賀県立成人病センター研究所画像研究部門の研究員として勤務(薬剤師、第一種放射線主任者、博士)
【抱負】
PET・SPECT用放射性薬剤の研究開発
核医学検査法は、放射性同位元素で標識した化合物である放射性薬剤を工夫することによって、様々な機能の評価が可能であり、腫瘍、心筋梗塞、脳虚血性疾患など様々な疾病の診断や治療効果判定に貢献してきた。従って、更なる核医学検査の発展を目指し、これらの病態解析に有用な新規PET・SPECT用放射性薬剤の研究開発を行っていきたいと考えている。
また、臨床利用を視野に入れた自動合成装置の開発にも積極的に取り組み、核医学の分野において貢献したい。
【主な論文】
こちら
【診療放射線技師】
藤田 喜治(ふじたよしはる)
【略歴】
平成18年3月鈴鹿医療科学大学 保健衛生学部 放射線技術科学科卒業
平成18年4月社会保険滋賀病院 放射線部に勤務
平成21年4月滋賀県立成人病センター 放射線部に勤務
平成30年1月滋賀県立総合病院 放射線部に名称変更
令和6年4月滋賀県立総合病院 臨床研究センター 画像研究部門に兼務として配属
【抱負】
平成18年(2006年)に診療放射線技師として仕事を始めて以来、1年目から核医学検査を専門として勤務してきました。入職6年目で核医学専門認定技師を取得し、日々患者さんの核医学診断と臨床研究に携わってまいりました。これまでの経験を活かして、臨床研究センターの業務に貢献できることを目指しています。
【診療放射線技師】
伊藤 未希(いとう みき)
【略歴】
平成13年京都医療技術短期大学診療放射線技術学科卒業
平成13年4月~平成18年3月 仙養会北摂総合病院放射線科勤務
平成18年4月~平成29年12月滋賀県立成人病センター放射線部に勤務
平成30年1月~令和 3 年 3月 名称変更により滋賀県立総合病院放射線部に勤務
令和 3 年4月~現在滋賀県立総合病院研究所画像研究部門に勤務
【抱負】
学校を卒業してから放射線診療業務(X線撮影、CT検査、MR検査等)を中心に携わってきました。今回、研究所の画像研究部門に配属されましたが、診療業務以外の研究としての医療への取り組みは初めてになります。また、画像研究部門は核医学のPET領域について研究を行われていますが、PET領域も初めてです。新しいことばかりですが、必要な知識を深め、先生方の研究支援がスムーズに行えるように頑張りたいと思います。診療業務としてはPETCT検査を担当させて頂くので、スタッフ間で協力して患者様に安心して検査を受けて頂けるように心がけたいと思います。
【看護師】
藤居 由紀子 (ふじいゆきこ)
【看護師】
郷田 紗弥香(ごうだ さやか)
PET(ペット)装置を用いて研究しています。PETは、陽電子放射断層撮像法という意味で、陽電子(positron)という特殊な放射線を出す放射性物質を含むいろいろな薬剤を作成し、人に投与して、体の中の薬の分布を画像化し、診断する方法です。画像研究部門では、保険適用となっているPET検査と研究用のPET検査を行っています。
保険適用検査としては、FDG-PET検査とO-gas-PET検査、さらにアミロイドPET検査、F-18 フルシクロビンPET検査を行っています。FDG-PET検査は、がん診療に欠かせない標準検査の一つであり、がん拠点病院として大切な検査です(がんのPET検査について)。Gas-PET検査は、脳血管障害の精査として、ほかの検査では評価できない機能を評価するもので、当院は県内で実施している唯一の施設です(脳血管障害のPET検査について)。アミロイドPET検査は2023年末に保険承認となったアルツハイマー病の治療薬であるレカネマブの治療適応を決定するためのアミロイド病理の証明のための検査、フルシクロビンPETは、脳腫瘍の一種(悪性神経膠腫)が疑われる患者における腫瘍摘出計画のための腫瘍の可視化を目的に行うPET検査です。これらの検査については、通常の診療と同様に、健康保険の一部負担額を患者さんにご負担いただいています。研究用PET検査としては、医師および薬剤師の研究員を中心に、臨床研究センター内にて、腫瘍や認知症、脳梗塞、および認知症の病気の特定の部位に集まる薬剤の開発や、各種の病気の診断に役に立つ診断法の開発を行っています。これらの研究用PETは、薬剤の人への投与の安全性も確認し、日常の診療行為の一部分として実際の患者さんに対しても使用し、成果を論文として発表しています。
また、診療放射線技師や、看護師も含めた多職種でPET検査を行うための様々な技術的検討も活発に進めています。
PETは短寿命放射性同位元素を含む物質の生化学的性質を利用して生体内での物質の動きを非侵襲的、定量的に追跡し画像化する装置である。癌の診断、血液動態、薬物動態の解析に強力な情報を提供しています。本センターではPET画像研究を滋賀県立総合病院の画像検査診療に直結させ、県民の医療に真に貢献する研究を展開しています。
PETカメラで撮影された再構成画像を元に、動脈血中データからコンパートメントモデル解析を行い、脳や腫瘍などの定量画像を作ることができます。定量画像を作成する際には、様々な阻害因子が影響しますが、真の定量画像を追求すべく研究を行ってきました。今年度は、呼吸停止FDG-PET撮影法における画像加算に関する検討をすすめ、サイノグラム加算法による定量画像への影響を中心に研究報告を行いました。
これまでの当センターの検討で、脳血管障害の患者さんでは形態画像上異常のない大脳皮質においても選択的神経細胞障害が起こっていることが明らかになっています。今年度も引き続き血栓性脳主幹動脈閉塞性疾患患者を対象として検討をすすめ、O-15のガスとC-11 Flumazenilを用いたPETで中枢性ベンゾジアゼピン受容体密度等を測定し、脳主幹動脈のアテローム血栓性閉塞の結果、局所脳組織灌流圧が低下して生じる血行力学的脳虚血により、ベンゾジアゼピン受容体の低下が起こるということが臨床的に明らかになり、著名な医学雑誌に掲載されました。さらなる検討を進めていく予定です。
これまで当センターでは診断アルゴリズムに関するプロジェクトで、撮像法の改良、画像所見の蓄積、定量的評価を通じて、FDG-PETによる診断アルゴリズムを提唱してきました。学会等を通じた活動の成果により、平成22年4月より一部の腫瘍に対象が限定されていた腫瘍FDG-PETの保険適応は、早期胃癌をのぞくすべての悪性腫瘍に拡大され、病期診断、転移再発診断、治療効果判定を中心としたものに変更となりました。今後も個別の腫瘍の違いに対応したFDG-PETによる診断アルゴリズムのテーラーメード化を目指して研究を進めます。
現在、当PET施設において使用が許可されている放射性化合物は、日本アイソトープ協会が成熟薬剤として認め、指針が公となっている薬剤がほとんどです。今後、その他の有望な新規放射性薬剤に関しては、短寿命放射性薬剤臨床利用委員会及び倫理委員会にて順次承認されていく予定です。そうした比較的新しい薬剤を人へ応用していく際には、様々な基礎実験や厳格な製造管理と品質管理といった安全性の確認とともに、生体内での動態を解析し検査方法を確立しておく必要があります。また、現在まだ臨床応用がなされていない薬剤の開発や、全く新しいアイディアに基づくトレーサー・リガンドの開発を行っていきます。
当PET施設において日本で初めて開発された人工アミノ酸PET製剤であるMeAIBが、厳しい安全性検査などを経て、倫理委員会で承認され、現在腫瘍患者さんを中心に臨床応用されています。保険適応である腫瘍FDG−PETの弱点である炎症性疾患との鑑別、脳腫瘍診断などに威力を発揮しており、一歩進んだ腫瘍診断として、米国核医学会最優秀論文賞も受賞し、国際的にも注目されています。ますますの応用発展を目指します。
小児神経疾患には、その原因、病態が不明のものが多い。PET検査を用いた脳神経代謝および神経伝達機能の定量的画像診断を行うことで、小児神経疾患の病態解明や診療に直結する診療画像情報を追求しています。West症候群は乳児期に発症し発達の退行を伴い治療に難渋するてんかん性脳症です。ヒプスアリスミアという特徴的な脳波所見を示すことが多いのですが、この所見をもつ症例と持たない症例で、 FDG-PET、FMZ-PETの所見を比較検討し、基底核、視床がヒプスアリスミアの形成に重要な役割を担っている可能性を指摘しました。無呼吸発作は自律神経発作に分類される稀なてんかん発作ですが、呼吸中枢の異常による中枢性無呼吸との鑑別が困難でした。我々は中枢性無呼吸を発症しやすい18トリソミーの乳児で無呼吸発作時の発作時PETをとらえて、てんかん性無呼吸であることを示しました。
業績はこちらをご参照ください。
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