平成19年9月20日(木曜日)13時30分〜15時30分
コラボしが3階中会議室1
1.新指針改訂骨子案について事務局より
事務局より資料に基づき説明2.その他
岩根委員、岡田委員、岸本委員、高橋委員(副委員長)、殿村委員、中本委員、藤田委員、宮川委員、八木委員、安居委員、山崎委員、脇田委員
滋賀県商工会連合会、日本労働組合総連合会滋賀県連合会、(財)滋賀県産業支援プラザ
沢井商工観光労働部長、中西商工政策課長、商工観光労働部関係課・室長
(1)新指針改訂骨子案について事務局より
事務局より資料に基づき説明(委員)・資料2の第3章にある基本目標の「地域産業」と第4章の4の「地域産業」は同じ定義か。
(事務局)・基本目標の「地域産業」については、製造業や商業、サービス産業もすべて含めた産業と捉えていただけたらと考えている。次回までには明確に区分するよう整理する。
(委員)・基本的視点(2)の「活力ある中小企業」とは、具体的にはどういうことなのか。
(事務局)・色々な施策を推進するに当たって、ベースは中小企業と考えているため、基本的視点の1つとして中小企業の振興を設定している。
・元気があり、やる気のあるような中小企業の創出ということを基本としたいため、基本的視点(2)を設定した。
(委員)・「活力ある中小企業」という表現がよく見られるが、非常に疎外感を持たれる中小企業も多くなっている。
・基本的視点(2)については、「中小企業の力強い成長に向けた基盤強化」の方が適切ではないかと思うので、ぜひ見直しをお願いしたい。
(委員)・基本的視点(1)で、「三方よし」をもってこられたのは間違いではないと思う。
・京都でCSRの認証が始まっているが、滋賀県では5、6年前から取り組んでおり、京都に先を越されたということで非常に残念である。
・ 「三方よし」については、ここであえて「売り手よし、買い手よし、世間よし」という言葉を入れて欲しくない。「企業市民としての立場」ということも明確に出したことが近江商人の経営理念であるから、この表現では、間違って認識されてしまう。商いの中で地域産業の振興や地域活性化をやってきたのが、近江商人なので、そのような視点を持てば、活力ある中小企業にするために、「だれがどうするのか」ということが生まれてくると思う。
(委員)・「三方よし」という近江商人の経営理念が京都であれ日本であれ、広がっていくということは、大変すばらしいことである。むしろ、グローバルスタンダードとして「三方よし」を持ち上がっていくような発信をするべきである。
(事務局)・基本的視点(1)で、「売り手よし、買い手よし、世間よし」という近江商人の経営理念をそのまま当てはめると、今、委員からご指摘のあったような部分もある。
・もともと近江商人発祥の地のすばらしい経営理念を、産業振興の中に生かしていき、それを世界に発信していくということを産業振興の視点に入れている。
(副委員長)・考え方は一緒であるが、「三方よし」については文章表現などを再度検討する必要がある。
(委員)・指針を策定していることや指針の内容を全国や世界に発信するためにも、「三方よし」は注目させる1つのキーワードではないか。
・具体的な政策を、織田信長などで表現したらどうか。例えば、金融政策を、「21世紀の楽市楽座」であるとか、わかりやすいキーワードで考えるのもひとつの手である。
・指針の中でも中小企業への金融政策ということで、具体的に出来るのであれば、そういうことは大きな魅力となる。また、それらをわかりやすく発信するキーワードとして、滋賀の歴史などから抜粋すればいいのではないか。
(委員)・基本的視点(3)について、例えば、環境に配慮した持続的な産業の「集積」もしくは「創出」などの言葉がいるように感じた。
(委員)・地方分権の進展により、以前は県が国の代行的な立場であったが、今は市町と国は対等な関係になっている。そのような時に、この指針の目標が果たして合っているのかということが若干気になる。
・民営化の進展により、公がやっていたことが指定管理者制度などで開放されているが、地元に受け皿ができなければ、地域産業が小さくなっていく。この点については、非常に緊急のテーマであるが、産業振興の指針に入れなくていいのか。
・市町の産業政策を、県としてはしっかりと支援するという形にかわってきたが、そのような取り組みついて指針では、あまり触れられていない。県として基礎自治体の産業政策の支援について、しっかりと触れる必要がある。
(副委員長)・指定管理者制度については、地域産業を広げていくのか、それとも抑えてしまうのか、そこのところが問題になっている。
(事務局)・新指針を進めていく視点としては、企業・事業者やNPOの方々の自主的かつ積極的な動きを基盤として、お互いがこのことを共管しましょうというものであった。
・構造改革や地方分権という流れの中で、新指針を策定した時の県の考え方、策定委員の皆さん方にお集まりいただいて考えていただいた方向性というのは、特に変わっておらず、変えていく必要もないと考えている。
(副委員長)・新指針を策定時から現在で、極端に変わっていることは、県の財政が非常に悪くなっているのではないか。
(事務局)・国の三位一体改革において地方交付税を国全体で削減したことで、県が平成10年から取り組んできた財政再建の努力が一瞬にして無になってしまった。このような中で、地方が疲弊してしまっている。
・県では、今までどおりの取り組みができなくなっているので、今後どの様に取り組んでいくかを現在模索中である。
(副委員長)・新指針の考え方については、もはやこういう県の財政に期待することはできないので、民間活力をどのようにつくっていって活用していくかということに視点をおく必要がある。
(事務局)・平成15年の段階でも、認識としては従前のこのような政策については、民間のウェイトが大きかったと思う。しかし、これだけ景気が悪くなったので、分野を決め、また、特区などを設けて、民間に元気を出してもらおうとする取り組みを行ってきた。これまでの新指針に基づいた取り組みを、「もういい」という形にはできない。中小企業の方々はその恩恵を受けておらず、景気回復は道半ばという状況にあるので、新指針のスタンスとしては変えなくてもいいのではないかと思っている。
・ただ、もともとこの指針は民間主導を中心にして、いかに環境を行政が整えていくのかというのが大きなポイントという認識は持っているので、色々なご意見を伺って調整していきたいと考えている。
(副委員長)・委員がおっしゃったことは、現実ですので、それを踏まえてしっかりと検討していく必要はある。
(委員)・第3章については、基本的な考え方の部分であり、基本目標はこういうもので、それを達成するために配慮していくことは何かということが基本的視点の部分に記載されている。基本目標や基本的視点については、これで十分ではないか。
(委員)・第4章の「1.新規成長分野のさらなる振興」で、「環境課題の解決と持続可能な社会経済システムの実現」という重要なフレーズがあるが、環境課題を解決するには、技術開発は重要であるが、環境負荷を削減していく仕組み作りも重要になる。資料では、技術のことのみが出ているが、最後の重要なテーマである地域づくりなど、企業だけが努力をしても実際の地域社会の中で定着して活用されることにより、その技術や地域社会や法がリンクしていく仕組みをつくっていかないと、「環境課題の解決と持続可能な社会経済システムの実現」というのは、なかなか難しい。そのようなことも目指すという意欲を何らかの形で指針の中に示していただきたい。
・技術や経済、法、価値とライフスタイル、地域社会などが上手く結びつかないと、「環境課題の解決と持続可能な社会経済システムの実現」というのはできない。それらが上手く結びつく実験の場として、滋賀県があって欲しいと思う。
・公共的な価値、総合的なインフラを整備していくことが、近江商人の理念である。
・ローカルからグローバルへ、一般性のあるものを発信していく活動が可能になるのではないか。そういう意味での「滋賀モデル」のようなものが、こういう政策の中から力強く出てくることに期待したい。
(委員)・第4章の「2.産学官金連携による連携構築の推進」の(2)については、従来、製造業間での企業連携というのは行われていたと思うが、もっと幅広い連携が必要である。
・企業間や産学官金の連携はもちろんであるが、製造と販売の連携や、商工と農林など産業の枠を超えた連携を求めている。なおかつ、そのような連携を進めるための前提としては、県の組織内の連携も必要である。
・滋賀県の特徴を出すためには、産学官金の連携がすばらしく取れている県ということを発信していければいいのではないか。
(事務局)・行政組織内部の推進体制については、今ご指摘の通りである。産業振興については部局間の連携は大前提という認識を持っている。
(委員)・県は市町に連携のあるべき姿を見せていただきたい。また、その辺が感じられる表現を追加していただければいいのではと思っている。
(委員)・第4章の「2.産学官金連携による連携構築の推進」について、自然科学系の大学だと産学官連携のモデルがたくさんあるが、法文系については、まだ産学官連携を模索している段階のように思う。
・MOT(Management of Technology)などの取り組みがあるが、ベンチャー企業などの創業のバックアップとしては、弁護士や税理士など色々な意味での法文系の人たちが力を発揮しやすいと思うので、文理連携ということをこの指針の中に入れられないか。
・地方分権を考えると、県と市町との連携をもっとしっかりと打ち出すべきではないか。連携についてはもっと広げていただきたい。
(事務局)・最近では滋賀大学が、会計や税務などの経営アドバイスや知的所有権の確立などで企業と連携するようになっており、全体で言えば、県内の大学では文系を含めて、産学官連携が整いつつある。
(委員)・この大きな変化というトレンドの中にいるということを考えた場合、キーワードは地方分権ということになる。
・今までは役所は役所で、民間は民間で独自に取り組みを進めてきたのですが、産学官金が連携して地域の特性を出してくるということが、実は金太郎飴的な20世紀の政策から脱却することであり、そうすることによって地域間競争が明確に見えてくる。
・それらのことを考えても、骨子の文章は何かとんがっていないように感じる。やはり、どこかとんがる必要があると思う。
・連携についても、連携の向こうのテーマがはっきり見えてこないと連携のしようがない訳ですが、そういう意味ではあらゆる意味で連携には大きな可能性がある。
(委員)・現指針については、だれがどんな形ですすめるのかという、指針の現実性を担保する部分が非常に希薄だったと感じている。その結果として、指針を推進したことによる明確な答えが出てきていない。
・産業振興会議のようなものを是非作っていただいて、そこで日常的にこのような論議をし、様々なトライアンドエラー(試行錯誤)を繰り返しながら、滋賀県における本当の産業振興策はどうあるべきかを検証していく以外には、正解を得ることができない。
・東京の墨田区や大田区、大阪では八尾市、または千葉県や函館市などで産業振興会議を中心とした経済振興策の取り組みを始めて、多くの成果を得られている。
(委員)・結局この指針をつくらなくてもいいのではと思ってしまう。この指針をつくって、議会にかけ承認をもらって、細かい施策を考えて予算を取っていくことを考えると、実際に実現するのは来年には間に合わないだろうと感じる。
・産業振興会議のようなものや、例えばトップ会談のようなもので、議会を通さなくても取り組みができるような方法を検討していただく方が先のような気がする。
(副委員長)・重点的な取り組みなどをしっかりと委員会で検討して、県に予算をつけるということは表裏一体であり、これがなかったら取り組みの実現はない。だからこそ、しっかりと指針をつくり上げていくことは必要である。
・指針の推進に対しての担保ということについても、今までしっかりとやられてきている。決して産業振興の取り組みを放ったらかしにしている訳ではなく、フォローアップ委員会でも、進捗状況のチェックはしっかりと実施している。
・この指針については、県民のみなさまのためになるものだと信じてつくっている。
(事務局)・現在の新指針については、トップ会議である産業振興推進会議と、その下のフォローアップ部会で新指針の取り組みの進捗状況管理や課題分析を行っており、今後もこのような取り組みを進めていかなくてはいけないと考えている。
(委員)・第4章の「5.地域産業を担う人材の育成や確保」の(3)について、事前に送付頂いた資料では、若年者や中高年齢者、障害者などという記述があったが、今回の資料ではそれがなくなっているので、わかりにくくなっている。
・現在、中小企業では人手不足の現象が起こっており、女性や障害者の方の雇用を積極的に進めていかなくてはいけない状況にある。
・障害者の授産施設が就労収入向上支援プロジェクトや事業項目の変更などに取り組んでいるが、そのために設備投資の必要があるが、彼らは社会福祉法人なので、法的な融資の枠から外れてしまうという現象がある。これは予算をつけなくても、運用で中身さえ理解をできれば、何らかの対策ができると思う。我々は「まず予算ありき」ではないと考えている。
・産業に関する問題点などの細かい情報を持っているのは、中小企業の経営者やNPO関係者なので、それらの人々を産業振興施策の中心において、汗を掻いていただいたらいいのではないか。そのようなことをイメージして、産業振興会議のことを申し上げている。是非、産業振興会議についてはご検討いただきたい。
(委員)・第4章の「2.産学官金連携による連携構築の推進」の(4)について、従来から滋賀県では色々な業種に対して、融資であると補助金であるとか様々な形でバックアップ体制をしいておられますが、なかなかベンチャー企業の方などへのファイナンスが大変難しい。
・ベンチャー企業の技術力を評価する目利き委員会が設置されているが、非常に重要であり、民だけではなくて官のバックアップのようなものが必要となる。
・中小企業を活力ある状態に導くためにも、補助金制度などの充実には必要であるが、民だけではダメで、幅広く支援ができるようにするためにも、しっかりと民と官が連携をする必要がある。
・せっかく指針を見直すのであれば、地場産業についても反映していただきたい。滋賀県には良いブランドもあるので、将来世界に羽ばたくものができるのではないかと思っているので、しっかりとした方向性を持っているものについては、その取り組みを支援するべきである。
・企業の再生を支援する再生支援協議会というものが設置されているが、再生に関する支援の強化をお願いしたい。
(委員)・策定した指針を見て、「じゃあやってみようか」と人々の意欲を喚起するためには、具体的な、もしくはモデル的な活動が必要である。その様な事例から企業の方は学び取る力をお持ちなので、事例のデータベースが、一般的な指針とともに必要である。
・現場の中から生み出されてくる知恵というものを大切である。また、その知恵によって状況を変えることができたら、勇気が出てきて、それぞれの人々が自分の力を信じることができ、他分野の人との連携にも確信が持てると思う。
・墨田区や大田区の例を参考にして、滋賀県の特性にあったモデルをつくっていけばいい。県でやるのは大変ですので、市町や商工会、商工会議所などで進めるという段階もあり、交流ができて、知恵を出し合える場が、私は大事だと思う。
(副委員長)・場づくりというのは交流を深め、一緒に事業を進めていくということでも非常に大事である。また、そのようなことが進められる政策が大事とである。
(事務局)・現在も9〜12月末までビジネスカフェを開催しており、去年も3ヶ月で3000人弱の方が参加された。また、交流の場の提供は、リエゾン会議やビジネスマッチング、サンデー起業塾など色々な取り組みで積極的に進めている。
(委員)・その成果はどうか。
(事務局)・ビジネスカフェについては、色々な商談や起業に結びついたということも聞いており、まちづくりなどにも結びついている。
(委員)・交流の場に関する情報が発信されないと意味がなく、それからその取り組みが分析されて知見を抽出しないといけないと思う。
・それらの取り組みについては、短いスパンで検証しないと、今の社会や経済の変化のスピードに追いついていけない。
(副委員長)・交流の場に企業ももう少し積極的に参加するべきである。一方、これらの取り組みについての情報が不足しており、取り組み自体を知らない企業もあるので、もったいない。
(委員)・第4章の「4.地域産業の振興」の(3)に関連するが、産業観光についてもう少し指針に入れていただきたい。観光については、滋賀県は自然や文化を持っていますが、モノづくりなど、これまで築き上げてきた産業も上手く活かさなくてはいけないと思っている。
(委員)・「1.感性価値を創造する「滋賀ブランド」の構築」については、やはり特色ある滋賀ブランドを構築しないと、なかなかイメージがわきにくいと思う。
・特色があり、差別化ができる商品を開発し、知的所有権が取れるようなことをすれば、コラボレーションもいくらでもできると思う。また、連携についても産学官金「福(福祉)」といけたらいいと思っている。
(委員)・「1.感性価値を創造する「滋賀ブランド」の構築」については、大変重要なことであり、ブランディングをインテグレーション(統合・統一)する必要がある。(事例として、京都や十勝)・「2.滋賀ならではの環境関連産業の拡大・集積」については、きわめて戦略的なプラットフォームの構築が重要であり、具体的に伸ばしていく必要がある。
・「3.「地」と「知」の利点を活かした戦略的な企業立地の展開」については、「地」の利は滋賀県が交通のハブとなっていること、「知」の利は大学が多く立地しているということだと思う。これからの地域の価値は、地域を構成している人々のレベルが左右するため、大学の知を向上させることが必要になる。
・「4.中心市街地の活性化による魅力あるまちづくりの推進」については、まちにプラットフォームがあって、活力ある人たちが色々と取り組める環境がないと、制度でがんばってみても無理だと思う。
・「5.歴史や自然を活かした観光産業の展開」については、外国人や団塊の世代を滋賀県に呼び込むための仕掛けや仕組みづくりをしっかりと検討する必要がある。
・「6.モノづくり立県を支える人材の育成」については、企業は人なりということで非常に重要となる。先ほども出たプラットフォームでしっかりと議論していくことで、本当の知恵というものが出てくる。
(副委員長)・今後どの様なテーマでやっていくのかということが重要になってくる。本日はいろいろ意見を出していただいたが、本委員会はより良い指針を作っていくために必要であると思う。
・骨子について、いつまでも議論はできないので、今後原案をつくっていくためにも、委員長にある程度お任せ頂くことでよろしいでしょうか。
(各委員)(異議なし)(副委員長)・委員長に原案を見ていただいて、次回以降検討させていただくということで、本日は終了とする。
(2)その他 (事務局)・骨子案まとめについては、委員の皆さまには概ね理解を得られつつあるという認識を持っている。本日提示させていただいた骨子に肉付けをして、委員長とも相談をさせていただきながら、素案を作成し、次回委員会でお示しする。
・次回は11月9日でお願いしたい。また、時間については一応、午後ということで調整させていただきたい。
入江、武村