木造住宅・滋賀らしい環境こだわり住宅
- 地球温暖化、資源の濫用、廃棄物の累積といった地球規模の環境問題に関心が高まるなか、住宅においては、できる限り環境に負荷をかけず、世代を超えていつまでも愛着を持って住み続けられるような「人や環境にやさしい良質な住宅ストック」を形成することが求められています。
- 木材は、植林と伐採により再生産が可能であり、加工に要するエネルギーも少なく、成長の過程で二酸化炭素を吸収・固定化するほか、人の心や体を癒したり調湿効果もあることから、木造の住まいは人や環境に配慮した住宅といえる。また、地産地消※1や循環型社会の形成の観点に加え、県内の森林を適正に管理し県土の保全などの森林の多面的機能を確保していくうえで、県産材を有効に活用していくことが喫緊の課題となっており、木材消費の最も大きな市場である木造住宅産業に大きな期待が寄せられています。
- 一方、住宅産業や建築工法は工業化や多様化が進むなかで、木造軸組住宅は日本の気候風土に培われてきたとともに、増改築がしやすく維持管理が容易で長く住み続けられることに適した住宅であるといえます。
- このため、県産材や地場産自然素材などを活用した良質な木造軸組住宅を『滋賀らしい環境こだわり住宅』と位置づけ、地域の林家・木材供給者、大工・工務店および建築設計士などの地域の木造住宅供給関係者の責任ある取り組みや連携・協働とともに、その整備を推進することが重要です。
- 【関連】滋賀らしい環境こだわり住宅(湖国すまい・まちづくり推進協議会)
滋賀らしい環境こだわり住宅整備指針(平成19年3月22日付滋住第312号)
- 滋賀らしい環境こだわり住宅整備指針は、滋賀らしい環境こだわり住宅の整備を推進するために、住まいづくりや環境性能等の向上に向けて配慮すべき事項をとりまとめたもので、『住まい手が満足する住まいづくりを推進するにあたって配慮すべき事項』と『「滋賀らしい環境こだわり住宅」の整備にあたって配慮すべき事項』の2つの配慮事項に大別されます。これら配慮事項についての説明を整理しましたので、木造住宅供給関係者の取り組みとともに、設計する住宅のコンセプトを考える際や具体的な仕様を決定する際の参考としてください。
住まい手が満足する住まいづくりの推進にあたって配慮すべき事項
- 地域木造住宅供給ネットワーク形成
「滋賀らしい環境こだわり住宅」を供給するために、林家・木材供給者、大工・工務店および建築設計士など地域の木造住宅供給関係者によるネットワークをつくり、互いの住宅づくりのノウハウを共有しましょう。
- 「滋賀らしい環境こだわり住宅」に関する情報提供
住まい手が、住宅づくりを考える際に役に立つよう、情報提供や相談体制を充実させましょう。
- 住まい手が住まいづくりに参加できる工夫
勉強会の開催や、住まい手による計画づくり、材料選び、部分施工、現場チェックなど、住まい手が住まいづくりに参加できるように工夫しましょう。
- 木の家づくりの伝統技術を尊重、継承
大工が責任をもって家づくりをする工法を尊重し、伝統技術の良さを引き出しましょう。また、家づくりの技術向上と承継や人材育成に努めましょう。
『滋賀らしい環境こだわり住宅』の整備にあたって配慮すべき事項
●環境への配慮
- 滋賀県産木材等の多用
間伐材も含めた県産材や地場の自然素材を、構造材や造作材、仕上げ材等にできる限り多く使用しましょう。
- 住宅の長寿命化への対応
物理的長期耐用性と安全性の確保
(雨水、結露、地面からの湿気等に起因する木材の腐朽や蟻害、金物の錆、基礎コンクリートの中性化等による構造躯体等の劣化の軽減を図ること。地震、風圧、積雪等に対する構造上の安全性を確保するとともに、火災に対する安全性の確保に努めましょう。)
維持保全性・更新の容易性の確保
(設備配管等の交換、補修、清掃等が、構造躯体に影響を及ぼすことなく容易に行える工夫等を行いましょう。一般流通もしくは地域で供給可能な部品・部材の活用や、モデュラーコーディネーション(住宅の各部の寸法がモデュール(基準寸法)に当てはまるようにすることをいう。)の採用等に努めましょう。)
可変性の確保
(家族構成や生活様式の変化といった使用形態の変更に伴う改修等へ容易に対応できるように、ゆとりのある大きな空間の確保、続き間にみられる複数の部屋の一体利用を可能とする工夫等の長く住み続けられる平面・断面・設備計画等を採用しましょう。身体機能が低下した場合においても移動や介助がしやすいように、間取り、浴室・便所・寝室の面積、廊下・出入口の幅員、階段の安全性等の確保に努めましょう。)
- 省エネルギーへの対応
断熱性等の確保
(室内における冷暖房のエネルギー使用量をできる限り抑えられるように、適切な断熱性等を確保する構造としましょう。)
自然エネルギーの有効活用
(日照や通風を十分利用できるよう、住宅配置、平面、外構等の計画や構法を採用すること。また、太陽光や風力などの新エネルギーの活用に努めましょう。)
エネルギー効率のよい設備機器の使用
(冷暖房、給湯等の設備機器の選定に際しては、省エネルギーに配慮した機器の採用に努めましょう。)
- 資源の有効活用
建設段階及び維持管理段階において、できる限り古材やリサイクル資材、再使用や再生利用が容易となるものの活用を図るとともに、雨水等の活用、節水に配慮した機器の採用に努めること。また、建設副産物や廃棄物を抑制するよう努めるとともに、発生したものは再利用するように努めましょう。
●周囲の景観との調和への配慮
- 地域の風土や景観に調和した工法、素材等の採用
地域の地形、気候、生活様式等に則し、長期にわたり良好な居住環境が維持され、経年とともに風格が備わっていくような住宅配置、形態、意匠、色彩、素材等の採用に努めるとともに、地域を特徴づける地場産素材等の活用に努めましょう。
- 周辺緑化と樹木等の保全
うるおいのある景観ならびに敷地内の微気候※3を形成するよう植栽や生垣を設置するとともに、敷地内に生育する樹木はできる限り残し、敷地内緑化に努めましょう。
●健康への配慮
- 防露・防かびへの配慮
居室の通気・換気性を確保し、また調湿機能を持つ素材を活用すること等によって、結露やかび等の発生を防止しましょう。
- 室内空気汚染の防止
内装材は木材等の自然素材を多用するとともに、防腐・防蟻剤、接着剤などについても人体に有害な物質をできる限り含まないものを採用すること。