ダムは、洪水調節のほか、発電や水道用水、農業用水の供給など、人々の安全で豊かな生活に役立つものですが、その一方で、ダム建設にともない、土地や家屋などが水没することにより、周辺地域も含めたコミュニティそのものに大きな影響を与えることがあります。
また、多くの場合、過疎化や高齢化に悩む山間部にダムが建設されるため、水没にともなう転居や転職など新しい生活への地域住民の不安に加え、治水や利水などのダムによる恩恵を受けるのが下流域となることから、ダム建設による上流域の住民の犠牲感は大きいものがあります。
こうしたダム建設にともなうさまざまな影響に対し、水没地の住民の生活再建や水源地域の活性化などに支援を行い、ダム建設による影響をできるだけ緩和しようとするのが水源地域対策です。
北川ダム
滋賀県が計画した北川ダムについては、ダム検証の結果、河道改修を先行することとなり、平成24年7月に北川ダム建設事業の一旦中止を決定し、平成25年3月に地元と締結した協定書に基づき、政策転換による影響を緩和するための地域整備を実施しています。
大戸川(だいどがわ)ダム
国が計画する大戸川ダムについては、平成13年から地域整備を実施しており、平成28年8月にダム本体工事が凍結されたことから、地域整備の一環として県道大津信楽線の付替工事に取り組んできましたが、令和5年3月25日には完成式が行われました。
令和3年8月に変更された淀川水系河川整備計画において、必要な調査を行ったうえで本体工事を実施するとされたことから、凍結された地域整備について再開に向けた検討を進めています。
丹生(にう)ダム
独立行政法人水資源機構が建設を予定していた丹生ダムについては、平成28年7月20日に中止の対応方針が示されたため、国をはじめとした関係者と協力しながら、丹生ダムに代わる治水対策としての高時川の改修や、地域振興の核となる県道中河内木之本線の整備など、地域整備に取り組んでいます。