鍛冶屋敷遺跡はこれまでの発掘調査により、聖武天皇の甲賀寺造営と密接に関係する官営工房であり、他に類例のない規模のものであることが明らかとなった。今回指定された考古資料は、検出遺構とともに、鍛冶屋敷遺跡の価値を証明する出土品の中から、特にその歴史性を表す一群である。
これらの考古資料と遺構群を総合化すると、鍛冶屋敷遺跡では極めて大規模かつ計画的に銅の精錬および大型製品の鋳造が行われていたことが明らかとなり、大仏の造立、甲賀寺の造営が古代国家の総力をあげた事業であったことを証明した重要な価値を持つものと評価できる。