と畜検査の現場では様々な疾病や異常が見られます。
検査の結果、全身症状を呈するような疾病や異常、または感染性の疾病が疑われた場合、精密検査を実施します。そして以下のような疾病にかかっていると診断された場合、その家畜はと畜場法に定められた措置として枝肉・内臓等、すべての部分が廃棄されます。
(敗血症、膿毒症、尿毒症、高度の黄疸、牛伝染性リンパ腫、破傷風、口蹄疫、炭疽、流行性脳炎等)
また全身症状は呈していなくても、内臓や枝肉の一部に疾病や異常が見られた場合、その部位のみを廃棄にします。
(各部位に限局した炎症、変性、奇形、腫瘍等)
牛の枝肉の色が高度に黄染しています。人間の場合と同じように、肝臓に疾病があるとき、このように体全体が黄色い色になります。
下の写真は、肝臓(左)と頭部(右)です。
肝臓には炎症が見られ、眼瞼にも黄染が見られます。
腎臓の機能不全および尿排出不全により、枝肉や内臓などから強い尿臭を放つことがある病気です。
主な原因は、尿道結石などで尿道が閉塞し、排尿障害をきたすことです。雄で多く見られる傾向にあります。
症状としては、尿の減少、下腹部の浮腫、口腔などの尿臭、興奮や沈うつなどの神経症状などが見られます。
血液中の細菌が増殖し、全身症状を引き起こした状態をいいます。
症状としては、発熱、心拍数の上昇、呼吸数の増加、白血球の増加などが見られます。
特徴として、心臓内膜に疣状の菌塊ができる疣贅性心内膜炎が見られることがあります。
肝臓に灰白色球形の膿瘍が多発します。
細菌感染によるものです。
肺、腎臓等、他の臓器にもこのような膿瘍が見られることがあります。
肝臓辺縁に白色の硬い結節ができます。
この結節は、肝臓内の静脈が肥厚してできたものです。
なぜこのような病変ができるのか、原因はわかっていません。
肝蛭が牛肝臓に寄生し、肝臓の変形や胆管の肥厚を引き起こします。