○滋賀県生きる力を育むための学校教育の情報化の推進に関する条例

令和4年3月25日

滋賀県条例第4号

滋賀県生きる力を育むための学校教育の情報化の推進に関する条例をここに公布する。

滋賀県生きる力を育むための学校教育の情報化の推進に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、学校教育の情報化の推進に関する法律(令和元年法律第47号。以下「法」という。)第21条の規定の趣旨にのっとり、学校教育の情報化の推進に関し、基本理念を定め、県および学校の設置者の責務等を明らかにするとともに、学校教育の情報化の推進に関する基本的な事項等を定めることにより、学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代の社会を担う児童生徒の生きる力の育成に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「学校」とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。

2 この条例において「学校教育の情報化」とは、学校の各教科等の指導等における情報通信技術の活用および学校における情報教育(情報および情報手段(電子計算機、情報通信ネットワークその他の情報処理または情報の流通のための手段をいう。)を主体的に選択し、およびこれを活用する能力の育成を図るための教育をいう。第11条において同じ。)の充実ならびに学校事務(学校における事務をいう。以下同じ。)における情報通信技術の活用をいう。

3 この条例において「児童生徒」とは、学校に在籍する児童または生徒をいう。

4 この条例において「デジタル教材」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)として作成される教材をいう。

5 この条例において「デジタル教科書」とは、学校教育法第34条第1項に規定する教科用図書に代えて、または同項に規定する教科用図書として使用することができるデジタル教材をいう。

(基本理念)

第3条 学校教育の情報化の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 児童生徒の学習活動の状況等に関する情報を活用した個別最適な学びと情報通信機器を使用した意見交換、発表等を活用した協働的な学びの一体的な充実、対面による指導と遠隔授業(情報通信技術を利用して、授業を行う場所以外の場所で履修させる方法による授業をいう。)等を融合した授業づくりその他の情報通信技術を日常的に活用した教科等の指導等が適切に行われることにより、情報活用能力(情報および情報手段を適切かつ効果的に活用する能力をいう。)および確かな学力(基礎的な知識および技能ならびにこれらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力ならびに主体的に学習に取り組む態度をいう。)の育成が効果的に図られること。

(2) デジタル教科書その他のデジタル教材を活用した学習その他の情報通信技術を活用した学習とデジタル教材以外の教材を活用した学習、体験学習等とを適切に組み合わせること等により、多様な方法による学習が推進されるよう行われること。

(3) 全ての児童生徒が、その家庭の経済的な状況、居住する地域、障害の有無等にかかわらず、等しく、学校教育の情報化の恵沢を享受し、もって教育の機会均等が図られるよう行われること。

(4) 情報通信技術を活用した学校事務の効率化により、学校の教職員の負担が軽減され、児童生徒に対する教育の充実が図られるよう行われること。

(5) 児童生徒等の個人情報の適正な取扱いおよびサイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成26年法律第104号)第2条に規定するサイバーセキュリティをいう。第14条において同じ。)の確保を図りつつ行われること。

(6) 児童生徒が、自己または他人の権利を尊重し、情報化社会での行動に責任を持つとともに、犯罪被害を含む危険を回避し、および情報通信技術を適切に利用することができるよう行われること。

(7) 児童生徒による情報通信技術の利用が児童生徒の健康、生活等に及ぼす影響に十分配慮して行われること。

(8) 県、市町、学校の設置者および保護者の適切な役割分担による協働により推進されること。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、学校教育の情報化の推進に関する計画的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、学校教育の情報化の推進に市町が果たす役割の重要性に鑑み、学校教育の情報化に関する施策の推進に当たっては、市町との連携協力を図るものとする。

3 県は、学校の設置者が行う学校教育の情報化の推進に必要な情報の提供、助言、支援または調整を行うものとする。

(学校の設置者の役割)

第5条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校における学校教育の情報化の推進のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学校教育情報化推進計画)

第6条 県は、法第8条第1項の規定により文部科学大臣が定める学校教育の情報化の推進に関する計画を基本として、学校教育の情報化の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、学校教育の情報化の推進に関する施策についての計画(以下「学校教育情報化推進計画」という。)を定めるものとする。

2 学校教育情報化推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 学校教育の情報化の推進に関する基本的な方針

(2) 学校教育情報化推進計画の期間

(3) 学校教育情報化推進計画の目標

(4) 学校教育の情報化の推進に関する施策に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策

(5) 前各号に掲げるもののほか、学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 学校教育情報化推進計画は、教育基本法(平成18年法律第120号)第17条第2項の教育の振興のための施策に関する基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。

4 県は、学校教育情報化推進計画を定めるに当たっては、あらかじめ市町、学校の設置者および県民の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

5 県は、学校教育情報化推進計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

6 前2項の規定は、学校教育情報化推進計画の変更(軽微な変更を除く。)について、準用する。

(情報通信技術を活用した指導方法等の普及)

第7条 県は、情報通信技術を活用した多様な方法による学習が促進されるよう、情報通信技術を活用した指導方法等の普及の促進に必要な施策を講ずるものとする。

(情報モラル教育の充実等)

第8条 県は、保護者、市町、学校の設置者その他の関係者と連携し、インターネットを通じて行われるいじめ(いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)第2条第1項に規定するいじめをいう。)を防止するとともに、児童生徒に対する情報モラル(情報化社会の中で適正な活動を行うための基となる考え方および態度をいう。第11条において同じ。)に関する教育の充実を図るために必要な施策を講ずるものとする。

(障害のある児童生徒の教育環境の整備)

第9条 県は、情報通信技術の活用により可能な限り障害のある児童生徒が障害のない児童生徒と共に教育を受けることができる環境の整備が図られるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(特別な配慮を要する児童生徒に対する適切な指導等)

第10条 県は、情報通信技術の活用により障害のある児童生徒、疾病による療養その他の事由のため相当の期間学校を欠席する児童生徒および日本語の指導が必要となる外国人の児童生徒その他の特別な配慮を要する児童生徒に対する適切な指導またはきめ細かな支援が実施されるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(学校の教職員の資質の向上のための研修の実施等)

第11条 県は、情報通信技術を活用した効果的な教育方法の収集、分析および普及、情報通信技術の活用による教育方法の改善および情報教育の充実ならびに情報通信技術の活用による学校事務の効率化を図るとともに、教職員の情報モラルを高め、教職員が適切な指導または助言をすることができるよう、学校の教職員の資質の向上のための研修の実施その他必要な施策を講ずるものとする。

(県立学校における情報通信技術の活用のための環境の整備)

第12条 県は、デジタル教材の円滑な使用を確保するための情報通信機器その他の機器の導入および情報通信ネットワークを利用できる環境の整備、学校事務に係る情報システムの構築その他の県立学校における情報通信技術の活用のための環境の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(学習の継続的な支援等のための体制の整備)

第13条 県は、児童生徒に対する学習の継続的な支援等が円滑に行われるよう、情報通信技術の活用により児童生徒の学習活動の状況等に関する情報を蓄積し、分析し、および活用できる環境の整備に必要な施策ならびに学校間および学校の教職員間で適切に共有するために必要な施策を講ずるものとする。

(個人情報の保護等)

第14条 県は、児童生徒および学校の教職員が情報通信技術を適切にかつ安心して利用することができるよう、学校における児童生徒等の個人情報の適正な取扱いおよびサイバーセキュリティの確保を図るため、学校におけるサイバーセキュリティに関する統一的な基準の策定、研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

(人材の確保等)

第15条 県は、学校の教職員による情報通信技術の活用を支援する人材の確保および資質の向上が図られるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(調査研究等の推進)

第16条 県は、情報通信技術を活用した教育の効果、情報通信技術の利用が児童生徒の健康、生活等に及ぼす影響等に関する調査研究、情報通信技術の進展に伴う新たなデジタル教材、教育方法等の事例の収集、調査研究等の推進およびその成果の普及に必要な施策を講ずるものとする。

(県民の理解と関心の増進)

第17条 県は、学校教育の情報化の重要性に関する県民の理解と関心を深めるよう、学校教育の情報化に関する広報活動および啓発活動の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(推進体制の整備)

第18条 県は、学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備その他必要な措置を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第19条 県は、学校教育の情報化の推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

滋賀県生きる力を育むための学校教育の情報化の推進に関する条例

令和4年3月25日 条例第4号

(令和4年4月1日施行)