○滋賀県景観調査指針
平成14年9月2日
滋賀県告示第414号
ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例(昭和59年滋賀県条例第24号)第10条の4第1項の景観調査指針として滋賀県景観調査指針を次のとおり定めたので、同条第4項の規定に基づき告示する。
滋賀県景観調査指針
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 景観影響調査の手法の選定等(第3条―第9条)
第3章 景観形成のための措置(第10条―第13条)
第4章 景観影響調査書の作成方法(第14条)
第5章 雑則(第15条)
付則
第1章 総則
(景観影響調査実施の基本方針)
第1条 対象行為に係る景観に与える影響の調査の実施に当たっては、景観指針に掲げる滋賀の景観特性の保全に十分に配慮するものとする。
(1) 対象行為 ふるさと滋賀の風景を守り育てる条例(昭和59年滋賀県条例第24号。以下「条例」という。)第10条の2第1項各号に掲げる行為をいう。
(2) 行為者 対象行為をしようとする者をいう。
(3) 景観影響 行為の実施が景観に及ぼす影響をいう。
(4) 景観影響調査 景観影響について調査、予測および評価を行うとともに、これらを行う過程においてその行為に係る景観形成のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における景観影響を総合的に評価することをいう。
第2章 景観影響調査の手法の選定等
(行為の特性および地域特性の把握)
第4条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての調査および予測の手法を選定し、および評価するに当たっては、当該選定を行い、および評価するのに必要と認める範囲内で、景観に影響を及ぼす対象行為の内容(以下「行為特性」という。)ならびに対象行為が実施される区域(以下「対象行為実施区域」という。)およびその周囲の景観の状況および自然的社会的状況(以下「地域特性」という。)に関し、次に掲げる情報を把握するものとする。
(1) 行為特性に関する情報
ア 対象行為の場所
イ 対象行為の種類
ウ 対象行為の規模
エ その他の対象行為に関する事項
(2) 地域特性に関する情報
ア 景観の状況
(ア) 琵琶湖、内湖、樹林、山並み、独立峰等の自然景観資源、歴史的建造物、寺院、集落等の人文景観資源その他の景観資源の状況
(イ) 公園、水泳場、史跡名勝その他の不特定多数の者が利用する場所で、景観資源を眺望できるものの分布の状況
イ 地形の起伏その他の自然的状況
ウ 社会的状況
(ア) 土地利用の状況
(イ) 湖辺の利用の状況
(ウ) 交通の状況
(エ) 景観の保全に関する法令、条例等により指定された地域および当該地域に係る規制の内容その他の状況
(オ) その他の事項
2 行為者は、前項第2号に掲げる情報を現地の状況の確認および文献その他の資料により把握するものとする。この場合において、行為者は、現地の状況の確認の方法および当該資料の出典を明らかにできるよう整理するとともに、必要に応じ、県、関係する市町村、専門家その他の当該情報に関する知見を有する者から聴取するよう努めるものとする。
(調査の手法の選定)
第5条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての調査の手法を、別表に掲げる調査の手法を基準として、景観影響を予測し、および評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できるよう選定するものとする。
(予測の手法の選定)
第6条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての予測の手法を、別表に掲げる予測の手法を基準として、景観影響を評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できるよう選定するものとする。
(手法選定に当たっての留意事項)
第7条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての調査および予測の手法の選定を行ったときは、選定された手法および選定の理由を明らかにできるように整理するものとする。
(評価の手法)
第8条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての評価を次の各号により行うものとする。
(1) 琵琶湖景観形成地域における景観形成基準(以下「景観形成基準」という。)により、調査および予測の結果を評価すること。
(2) 国または関係する市町村により景観形成に関する基準または目標が示されている場合には、当該基準または目標により、調査および予測の結果を評価すること。
(評価に当たっての留意事項)
第9条 行為者は、対象行為に係る景観影響についての評価を行うに当たって、行為者以外の者が行う景観形成のための措置(以下「景観形成措置」という。)の効果を見込む場合には、当該措置の内容を明らかにできるようにするものとする。
2 行為者は、対象行為に係る景観影響についての評価を行うに当たって、景観影響に関する既往の知見その他の評価のために必要な情報を参考にする場合には、当該知見その他の評価のために必要な情報の内容を明らかにできるようにするものとする。
第3章 景観形成のための措置
(景観形成措置の検討)
第11条 行為者は、景観影響がないと判断される場合および景観形成基準に適合していると判断される場合以外の場合にあっては、行為者により景観影響をできる限り回避し、または低減すること、および景観形成基準への適合に努めることを目的として景観形成措置を検討するものとする。
(検討結果の検証)
第12条 行為者は、前条の規定による検討を行ったときは、対象行為に係る景観影響ができる限り回避され、または低減されているかどうかを検証するものとする。
(検討結果の整理)
第13条 行為者は、第11条の規定による検討を行ったときは、次に掲げる事項を明らかにできるように整理するものとする。
(1) 景観形成措置の実施主体、方法その他の景観形成措置の実施の内容
(2) 景観形成措置の効果および当該景観形成措置を講じた後の景観の状況の変化
(3) 景観影響の回避もしくは低減または景観形成基準への適合が困難である場合は、その理由
第4章 景観影響調査書の作成方法
(景観影響調査書の作成方法)
第14条 行為者は、対象行為に係る景観影響調査書(以下「調査書」という。)を作成するに当たっては、次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) 対象行為の場所
(2) 対象行為の種類
(3) 対象行為の規模
(4) 対象行為が実施される期間
(5) 対象行為の内容に関する事項であって、その変更により景観影響が変化することとなるもの
(6) 対象行為実施区域およびその周囲の概況
(7) 対象行為に係る景観影響調査を実施した地域
(8) 対象行為に係る景観影響についての調査、予測および評価の手法
(9) 景観影響調査の結果のうち、次に掲げるもの
ア 景観影響についての調査の結果の概要ならびに予測および評価の結果
イ 景観形成措置
ウ 対象行為に係る景観影響の総合的な評価
2 相互に関連する2以上の対象行為をしようとする場合は、当該対象行為に係る行為者は、これらの対象行為について、併せて調査書を作成することができる。
第5章 雑則
(委任)
第15条 この調査指針に定めるもののほか、景観影響調査の実施に必要な事項は、知事が別に定める。
付則
この告示は、平成14年10月1日から施行する。
別表(第5条、第6条関係)
調査の手法 | 予測の手法 |
(1) 調査すべき情報 調査は、次に掲げる事項について行う。 ア 主要な視点場の状況 イ 景観資源の状況 ウ 主要な眺望景観の状況 エ 重要な眺望景観の状況 (2) 調査手法 調査は、現地調査および文献その他の資料による情報の収集ならびに当該情報の整理および解析により行う。 (3) 調査地域 調査の対象とする地域は、主要な視点場の状況、景観資源の状況、主要な眺望景観の状況および重要な眺望景観の状況を適切に把握できる地域とする。 (4) 調査地点 調査地点は、主要な眺望景観および重要な眺望景観に係る景観影響を予測し、および評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できる地点とする。 (5) 調査時期等 調査の対象とする時期または時間帯は、主要な眺望景観および重要な眺望景観に係る景観影響を予測し、および評価するために必要な情報を適切かつ効果的に把握できる時期および時間帯とする。 | (1) 予測手法 予測は、主要な眺望景観および重要な眺望景観についてのフォトモンタージュ法、完成予想図その他の視覚的な表現方法により行う。 (2) 予測地域 予測の対象とする地域は、主要な眺望景観および重要な眺望景観に係る景観影響を受けるおそれがあると認められる地域とする。 (3) 予測地点 予測地点は、重要な眺望景観を眺望する主要な視点場、特に景観影響を受けるおそれがある主要な視点場、保全すべき景観への景観影響を的確に把握できる視点場その他の予測に適切かつ効果的な視点場とする。 (4) 予測時期等 予測の対象とする時期または時間帯は、主要な眺望景観および重要な眺望景観に係る景観影響を的確に把握できる時期および時間帯とする。 |
備考
1 この表において「主要な視点場」とは、湖岸、湖上、湖岸道路、琵琶湖近傍の史跡名勝等において不特定多数の人が利用する場所で、景観資源を眺望できるものをいう。
2 この表において「主要な眺望景観」とは、主要な視点場から眺望できる琵琶湖、内湖、樹林、独立峰、山並み等の景観をいう。
3 この表において「重要な眺望景観」とは、主要な眺望景観のうち特に優れた景観をいう。