○「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例

平成15年3月20日

滋賀県条例第5号

「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例をここに公布する。

「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例

安全は、豊かでゆとりある生活を営む上での基盤となるものであり、何ものにも代え難い私たちの共通した願いである。

私たちは、満々と水をたたえた琵琶湖と四囲の山々が織りなす豊かな自然の中で、多くの恵みを受けながら、人と人がふれあい、支え合う地域社会を形成し、安全で心やすらぐ生活空間を享受してきた。

しかしながら、近年、都市化や国際化の進展とともに、地域社会が変容し、人間関係の希薄化が進みつつあることなどから、私たちの郷土においても、様々な犯罪が数多く起きるようになり、その内容も凶悪化の傾向にあるなど、安全とは言えなくなってきており、日常生活の中での不安感が高まっている。

こうした状況から、個々人が、自らの安全は自らが守るという意識を身に付けるとともに、身近な地域社会において、相互に連携と協働を図りながら、安全な社会の実現に向けて主体的な取組を進めていくことが重要である。

すばらしい環境に恵まれたこの滋賀において、犯罪に対する不安を取り除き、安全に暮らすことができる地域社会を実現することが、私たちの強い願いであり、喫緊の課題である。

私たちは、地域での着実な取組の重要性にかんがみ、一人ひとりが自らの安全を守るための意識を持ち、警察をはじめ、県、市町、県民、事業者等の一体となった取組を進め、だれもが安心して生き生きと暮らすことのできる安全な地域社会を築くために、たゆまぬ努力を傾けることを決意し、ここに「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、県民および滞在者(以下「県民等」という。)が生命、身体または財産に危害を与える犯罪(以下「犯罪」という。)に遭いにくい安全なまちづくり(以下「安全なまちづくり」という。)に関し、基本理念を定め、県、県民等および事業者の責務を明らかにするとともに、安全なまちづくりを推進するための基本となる事項を定め、犯罪の防止に留意した施設の普及その他安全なまちづくりに関する施策を推進し、もって県民等が安全に暮らすことができる社会の実現に資することを目的とする。

(基本理念)

第2条 安全なまちづくりは、犯罪に遭いにくい安全なまちの実現が県民等の強い願いであり、県民等が豊かでゆとりある生活を営む上での基盤となるものであることにかんがみ、県民等一人ひとりが安全に対する意識を高め、県、市町、県民等および事業者が相互の連携の下に地域における安全を守るための活動を展開し、県民等が犯罪に遭うことなく安全に安心して生き生きと暮らすことができる社会が実現されることを旨として推進されなければならない。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(県の責務)

第3条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、安全なまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、安全なまちづくりの推進に当たっては、県民等、事業者および市町と相互に連携を図るものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(県民等の責務)

第4条 県民等は、基本理念にのっとり、相互の理解と協力の下に、地域における安全なまちづくりに関する活動に自主的に取り組むよう努めるとともに、県が実施する安全なまちづくりに関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、犯罪の防止に留意した製品の普及その他の安全なまちづくりのために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県が実施する安全なまちづくりに関する施策に協力しなければならない。

(基本方針)

第6条 知事は、安全なまちづくりを推進するための基本方針(以下「基本方針」という。)を策定するものとする。

2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 安全なまちづくりに関する基本的方向

(2) 安全なまちづくりの推進のための方策に関する事項

(3) その他安全なまちづくりの推進に関し必要な事項

3 知事は、基本方針を策定するに当たっては、あらかじめ県民等および事業者の意見を反映することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。

4 知事は、基本方針を策定したときは、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。

(推進体制の整備)

第7条 県は、県民等、事業者および市町と連携して、県、市町等の区域を単位とする安全なまちづくりを推進する体制の整備に関し必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(広報、啓発等)

第8条 県は、県民等および事業者の安全なまちづくりについての理解を深めるため、広報、啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

(活動の促進)

第9条 県は、県民等、事業者またはこれらの者が組織する団体が行う安全なまちづくりに関する活動を促進するため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

2 県は、前項の支援を効果的に行うため、安全なまちづくりに関する活動についての助言を行う防犯アドバイザーの設置その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 警察署長は、その管轄区域において、地域の実情に応じた第1項の活動を促進するため、当該管轄区域における犯罪の発生状況等の情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。

(一部改正〔平成26年条例81号〕)

(市町に対する助言等)

第10条 県は、市町に対し、市町が実施する安全なまちづくりの推進に関する施策について、必要な技術的助言および協力を行うものとする。

(一部改正〔平成16年条例38号〕)

(自主活動団体に対する支援)

第11条 県は、地域における安全なまちづくりに関する自主的な活動を行う団体が当該活動について計画を作成し、その計画を実施しようとする場合においては、当該計画が基本方針に照らし適切なものであり、かつ、地域における安全なまちづくりに資するものであると認められるときは、当該団体に対し、当該計画の達成のために必要な指導、助成その他の支援を行うことができる。

(高齢者等の安全の確保)

第12条 県は、県民等、事業者および市町と連携し、高齢者、障害者、子ども、女性その他の犯罪による被害の防止に特に配慮を要する者(以下「高齢者等」という。)が犯罪による被害を受けることがないようにするため、高齢者等の特性を踏まえた情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(追加〔平成26年条例81号〕)

(学校等における犯罪の防止)

第13条 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校および特別支援学校ならびに専修学校および各種学校(規則で定めるものに限る。)ならびに児童福祉施設(規則で定めるものに限る。)(以下「学校等」という。)を設置し、または管理する者は、当該学校等において、侵入者による幼児、児童、生徒等(以下「児童生徒等」という。)に対する犯罪を防止するよう努めなければならない。

2 知事および県教育委員会は、学校等における侵入者による児童生徒等に対する犯罪を防止するために必要な方策に関する指針を定めるものとする。

3 県は、その設置する学校等において前項の指針に従い必要な方策を講ずるよう努めるとともに、学校等における侵入者による児童生徒等に対する犯罪を防止するため、同項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成18年条例41号・72号・19年59号・26年81号・28年21号〕)

(通学路等における犯罪の防止)

第14条 児童生徒等が通学、通園等に利用する道路および児童生徒等が日常的に利用する公園等(以下「通学路等」という。)を管理する者、児童生徒等の保護者、学校等を管理する者および地域の住民は、当該通学路等において、児童生徒等に対する犯罪を防止するよう努めなければならない。

2 知事および県教育委員会は、通学路等における児童生徒等に対する犯罪を防止するために必要な方策に関する指針を定めるものとする。

3 県は、その管理する通学路等において前項の指針に従い必要な方策を講ずるよう努めるとともに、通学路等における児童生徒等に対する犯罪を防止するため、同項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(追加〔平成18年条例41号〕、一部改正〔平成26年条例81号〕)

(特殊詐欺の防止)

第15条 特殊詐欺(刑法(明治40年法律第45号)第246条の罪または同法第246条の2の罪であって、財産を得る方法としてその被害を受けた者からの預金口座または貯金口座への振込みが利用されたものその他のこれらの罪に当たる行為の態様が特殊なものとして規則で定めるものをいう。以下同じ。)に当たる行為に利用されるおそれのある役務の提供を業として行う者として規則で定める者は、当該役務が特殊詐欺に利用されないよう必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 知事は、特殊詐欺を防止するために必要な方策に関する指針を定めるものとする。

3 県は、特殊詐欺を防止するため、前項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(追加〔平成26年条例81号〕)

(犯罪の防止に留意した道路等)

第16条 道路、公園、駐車場および駐輪場(以下「道路等」という。)を設置し、または管理する者は、当該道路等が犯罪の防止に留意した構造、設備等を有するものとなるよう努めなければならない。

2 知事は、道路等について、犯罪の防止に留意した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。

3 県は、その設置し、または管理する道路等について、前項の指針に適合するものとなるよう努めるとともに、犯罪の防止に留意した構造、設備等を有する道路等の普及のため、同項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成18年条例41号・26年81号〕)

(犯罪の防止に留意した深夜商業施設等)

第17条 深夜(午後11時から翌日の午前5時までの間をいう。)に営業を行う商業施設で規則で定めるもの(以下「深夜商業施設」という。)もしくは大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号)第2条第2項に規定する大規模小売店舗(以下「大規模小売店舗」という。)を設置し、もしくは管理する者または当該深夜商業施設もしくは大規模小売店舗において事業を営む者は、当該深夜商業施設または大規模小売店舗が犯罪の防止に留意した構造、設備等を有するものとなるよう努めなければならない。

2 知事は、深夜商業施設および大規模小売店舗について、犯罪の防止に留意した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。

3 県は、犯罪の防止に留意した構造、設備等を有する深夜商業施設および大規模小売店舗の普及のため、前項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(追加〔平成21年条例13号〕、一部改正〔平成26年条例81号〕)

(犯罪の防止に留意した住宅)

第18条 住宅を設計し、または建築しようとする者および住宅を所有し、または管理する者は、当該住宅が犯罪の防止に留意した構造、設備等を有するものとなるよう努めなければならない。

2 知事は、住宅について、犯罪の防止に留意した構造、設備等に関する指針を定めるものとする。

3 県は、その設計し、または建築しようとする住宅について、前項の指針に適合するものとなるよう努めるとともに、犯罪の防止に留意した構造、設備等を有する住宅の普及のため、同項の指針の周知その他の必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成18年条例41号・21年13号・26年81号〕)

(盗難の防止に留意した自動車等の普及)

第19条 自動車(道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第9号に規定する自動車および同項第10号に規定する原動機付自転車をいう。)または自転車(以下「自動車等」という。)の販売を業とする者は、その販売を行うに当たっては、盗難の防止に留意した構造および設備を有する自動車等ならびにひったくりによる被害その他の盗難を防止するための装置および用具の普及のため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 県は、前項の自動車等ならびに装置および用具の普及のため、自動車等の販売を業とする者に対する情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(一部改正〔平成18年条例41号・21年13号・26年81号〕)

(規則への委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(一部改正〔平成18年条例41号・21年13号・26年81号〕)

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

(平成16年条例第38号抄)

1 この条例は、規則で定める日から施行する。

(平成16年規則第66号で平成17年1月1日から施行)

(平成18年条例第41号)

この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(平成18年条例第72号)

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成19年条例第59号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成21年条例第13号)

この条例は、平成21年4月1日から施行する。

(平成26年条例第81号)

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

(平成28年条例第21号)

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例

平成15年3月20日 条例第5号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第11編の2 生活環境/第1章 県民生活
沿革情報
平成15年3月20日 条例第5号
平成16年10月25日 条例第38号
平成18年3月30日 条例第41号
平成18年12月28日 条例第72号
平成19年12月27日 条例第59号
平成21年1月23日 条例第13号
平成26年12月26日 条例第81号
平成28年3月23日 条例第21号