○滋賀県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例

平成17年12月27日

滋賀県条例第109号

滋賀県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例をここに公布する。

滋賀県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、プレジャーボートの係留保管の適正化に関し、県、所有者等および事業者の責務を明らかにするとともに、係留保管のための場所の確保を義務付け、および琵琶湖をはじめとする公共の水域等の係留保管のための場所としての使用を禁止することにより、プレジャーボートの係留保管に関する秩序の確立を図り、もって公共の水域等における経済活動の円滑な実施および利用者の安全を確保し、ならびに周辺住民の良好な生活環境を保全し、あわせて公共の水域等を利用するレジャー活動の健全な発展に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 公共の水域等 国、地方公共団体その他規則で定める公共団体が管理する河川、湖沼、水路、運河、堀その他これらに類するものの区域をいう。

(2) 琵琶湖 河川法(昭和39年法律第167号)第4条第1項の規定に基づき一級河川に指定された琵琶湖(規則で定める区域を除く。)および淀川(瀬田川洗堰から上流の区域に限る。)ならびに規則で定める河川および内湖をいう。

(3) プレジャーボート 船舶(人または貨物を積載し、自航、えい航を問わず、水面を移動するために用いられる物をいう。以下この号において同じ。)のうち、次に掲げる船舶以外の船舶をいう。

 漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項に規定する漁船

 海上運送法(昭和24年法律第187号)の規定による船舶運航事業の用に供する船舶

 国または地方公共団体が所有する船舶

 専らレジャーの用に供する船舶以外の船舶として規則で定める船舶

(4) 係留保管 航行の途中で一時的に置く場合を除き、反復し、または継続して、水面または陸上の同一の場所または近接した場所にプレジャーボートを置くことをいう。

(5) 所有者等 プレジャーボートの所有者その他プレジャーボートを使用する権利を有する者で、自己のためにプレジャーボートを航行の用に供するものをいう。

(6) 事業者 プレジャーボートの製造、販売、貸付けまたは係留保管を業とする者をいう。

(県の責務)

第3条 県は、プレジャーボートの係留保管の適正化に関する総合的な施策を策定し、および実施するものとする。

2 県は、プレジャーボートの係留保管の適正化に関し、所有者等および事業者の理解を深めるため、広報、啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。

3 県は、プレジャーボートの係留保管の適正化に関し、公共の水域等の管理者および市町との連携を図るものとする。

(所有者等の責務)

第4条 所有者等は、その使用するプレジャーボートの適正な係留保管を行うとともに、県が実施するプレジャーボートの係留保管の適正化に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業を行うに当たっては、プレジャーボートの適正な係留保管に関し情報の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるとともに、県が実施するプレジャーボートの係留保管の適正化に関する施策に協力しなければならない。

(権原を有する係留保管場所の確保)

第6条 県内の公共の水域等においてプレジャーボートを航行の用に供しようとする所有者等は、当該プレジャーボートについて、正当な権原を有する係留保管のための場所(以下「権原を有する係留保管場所」という。)を確保しなければならない。

(禁止行為)

第7条 何人も、権原を有する係留保管場所以外の公共の水域等を、プレジャーボートの係留保管のための場所として使用してはならない。

(指導および警告)

第8条 知事は、プレジャーボートの所有者等が第6条の規定に違反して権原を有する係留保管場所を確保していないときは、その所有者等に対し、当該プレジャーボートについて、権原を有する係留保管場所を確保するよう指導することができる。

2 知事は、前条の規定に違反してプレジャーボートの係留保管のための場所として公共の水域等が使用されているときは、当該プレジャーボートが係留保管されている場所において当該プレジャーボートを現に管理している者(以下「管理者」という。)に対し、当該プレジャーボートを権原を有する係留保管場所に移動するよう指導することができる。

3 前項の場合において、管理者を確知することができないため同項の規定による指導をすることができないとき、または同項の規定による指導を受けた管理者(当該プレジャーボートの所有者等を除く。)が当該指導に従わないときは、知事は、当該プレジャーボートの所有者等に対し、当該プレジャーボートを権原を有する係留保管場所に移動するよう指導することができる。

4 前2項の規定による指導を受けた所有者等が当該指導に従わない場合において、前条の規定に違反してプレジャーボートの係留保管のための場所として使用されている公共の水域等が琵琶湖であるときは、知事は、当該プレジャーボートの所有者等および管理者に対し、当該プレジャーボートを権原を有する係留保管場所に移動するよう警告することができる。

(プレジャーボートの移動)

第9条 知事は、第7条の規定に違反して琵琶湖がプレジャーボートの係留保管のための場所として使用されている場合であって、当該係留保管に関し、当該プレジャーボートの所有者等および管理者が前条第4項の規定による警告を受けたにもかかわらず当該警告に従わないとき、または緊急の必要があると認めるときは、その職員に、当該プレジャーボートをあらかじめ知事が定めた場所に移動させることができる。

2 知事は、前項の規定による移動を行うため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、当該移動に係るプレジャーボートに立ち入らせることができる。

(移動したプレジャーボートに対する措置)

第10条 知事は、前条第1項の規定によりプレジャーボートを移動させたときは、当該プレジャーボートを保管しなければならない。

2 知事は、前項の規定によりプレジャーボートを保管したときは、当該プレジャーボートの所有者等に対し、規則で定めるところにより当該プレジャーボートの保管を始めた旨および速やかに引き取るべき旨を通知しなければならない。

3 知事は、第1項の規定により保管したプレジャーボートが滅失し、もしくは破損するおそれがあるとき、または前項の規定による通知が所有者等に到達した日から起算して6月を経過してもなお当該プレジャーボートを所有者等に返還することができない場合において、規則で定めるところにより評価した当該プレジャーボートの価額に比し、その保管に不相当な費用もしくは手数を要するときは、規則で定めるところにより当該プレジャーボートを売却し、その売却した代金を保管することができる。

4 知事は、前項の規定によりプレジャーボートを売却しようとするときは、あらかじめ、売却しようとするプレジャーボートの所有者等(当該プレジャーボートの所有者等が当該プレジャーボートの所有者でない場合にあっては、当該プレジャーボートの所有者を含む。)に対し、規則で定めるところにより当該プレジャーボートを売却し、その売却した代金を保管する旨を通知するとともに、当該売却に係る意見を述べる機会を与えなければならない。

5 知事は、第2項の規定による通知が所有者等に到達した日から起算して6月を経過してもなお第1項の規定により保管したプレジャーボートを所有者等に返還することができない場合において、当該プレジャーボートがその本来の用途に供することが困難な状態にあり、かつ、第3項に規定する価額が著しく低いときは、当該プレジャーボートを廃棄することができる。

6 第4項の規定は、前項の規定によるプレジャーボートの廃棄について準用する。この場合において、第4項中「売却し、その売却した代金を保管する」とあるのは、「廃棄する」と読み替えるものとする。

(プレジャーボート等の返還)

第11条 知事は、前条第1項の規定により保管したプレジャーボートを所有者等に返還するときは、当該所有者等に、規則で定めるところにより、当該プレジャーボートの返還を受けるべき所有者等であることの証明および当該プレジャーボートの権原を有する係留保管場所についての報告をさせ、かつ、受領書と引換えに返還するものとする。

2 前項の規定は、前条第3項の規定により売却した代金を所有者等に返還する場合について準用する。この場合において、前項中「証明および当該プレジャーボートの権原を有する係留保管場所についての報告」とあるのは、「証明」と読み替えるものとする。

(移動、保管等の費用の負担)

第12条 第9条第1項の規定によるプレジャーボートの移動、第10条第1項の規定によるプレジャーボートの保管および同条第3項の規定によるプレジャーボートの売却に要した費用は、当該プレジャーボートの所有者等の負担とする。

(立入調査)

第13条 知事は、第8条第2項もしくは第3項の規定による指導または同条第4項の規定による警告を行うため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、当該指導または警告に係るプレジャーボートに立ち入らせ、当該プレジャーボートの所有者等を確認するため必要な調査をさせることができる。

2 前項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(証明書の携帯等)

第14条 第9条第1項の規定により移動を行う職員、同条第2項の規定により立入りを行う職員および前条第1項の規定により立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(公表)

第15条 知事は、事業者がその事業に係る係留保管に関し第8条第4項の警告を受けたにもかかわらず当該警告に従わなかったときは、当該事業者の氏名または名称、当該警告の内容その他規則で定める事項を公表することができる。この場合において、知事は、あらかじめ、当該事業者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。

(規則への委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(罰則)

第17条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。

(1) 詐欺その他不正の行為により、第12条の規定による費用の負担を免れた者

(2) 第13条第1項の規定による立入調査を拒み、妨げ、または忌避した者

この条例は、平成18年7月1日から施行する。

滋賀県プレジャーボートの係留保管の適正化に関する条例

平成17年12月27日 条例第109号

(平成18年7月1日施行)