○滋賀県議会基本条例

平成26年3月31日

滋賀県条例第8号

滋賀県議会基本条例をここに公布する。

滋賀県議会基本条例

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 組織および権限(第6条―第10条)

第3章 効果的な調査審議の推進(第11条―第19条)

第4章 開かれた議会の実現のための取組(第20条―第25条)

第5章 雑則(第26条・第27条)

付則

私たちの滋賀県は、日本列島のほぼ中央に位置し、古来、交通の要衝として栄え、人と情報が盛んに行き交う中で、人々は進取と自律の気性を育んできた。中世末から近世初頭の近江国にあっては、全国でも早くから、村法を備え、衆議を重んじた村落自治の発達した姿を実現するとともに、明治維新後は、県会の設置に先んじて、先進的な民会制度をいち早く考案し、導入しえたのは、その表れである。

近年、生活様式の多様化、経済の成熟化や少子高齢化は一層進み、地球環境問題やエネルギー問題が顕在化するなど、私たちを取り巻く社会経済情勢は大きく変化している。一方、地方分権改革の進展に伴い、地方公共団体の自己決定の自由の領域は拡大し、地域の実情に即した政策を実行する余地も広がりつつある。

この時代の転換期にあって、私たちには、先人が培ってきた自主、自律の気風を保ち、滋賀の自治を更に推し進めることによって、新しい時代の諸課題に的確に対応し、真に豊かさの実感できる個性的で活力ある地域社会を築いていくことが求められている。

私たちは、地方自治における二元代表制の下で、共に県民の代表である議会の議員と知事が切磋琢さたく磨し、議会において県民の福祉向上と県勢の発展のためのかっ達な議論が交わされることを通じて、時代に適合した滋賀らしい自治の実現を目指すことを決意し、ここに滋賀県議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、県の議会運営について、基本理念を定め、議員等の責務を明らかにするとともに、議会の活動の基本となる事項等を定めることにより、地方分権の進展に対応した議会運営を確保し、もって知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)による行政運営と相まって県民の負託に応える県政を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、地方自治における二元代表制の一方を担う機関として、知事との相互の牽制と調和の関係の下に県民の福祉の増進および県勢の発展を図ることを旨として運営されなければならない。

2 議会は、県民の代表機関として、議員の議会における活動を通じ、県民の多様な意見を県政に適切に反映させる役割を積極的に果たすことを旨として運営されなければならない。

3 議会は、県の議事機関として、議決によりその意思を決定するほか、次に掲げる役割を積極的に果たすことを旨として運営されなければならない。

(1) 知事等の事務の執行に係る監視および評価(以下「行政監視」という。)を行うこと。

(2) 県の政策に関する調査研究および企画立案(以下「政策形成」という。)を行うこと。

4 議会は、その会議(以下「本会議」という。)および委員会における調査審議を通じ、県政の課題および論点を県民に明らかにすることを旨として運営されなければならない。

5 議会は、学識経験者、利害関係人その他の県民が議会の諸活動に関与することを通じ、これらの者の知見を前項の調査審議に積極的に活用することを旨として運営されなければならない。

6 議会は、議会運営の透明性の向上を図るとともに、議会の諸活動ならびに県の政策の内容およびその形成の過程を県民に説明する責務を全うすることを旨として運営されなければならない。

7 議会は、自ら運営の円滑化および機能の強化に努めるとともに、執行機関による効率的な事務の執行に配慮することにより、議会と執行機関が一体となって、効果的な県政運営が確保されるよう、運営されなければならない。

(議長等の責務)

第3条 議長、副議長ならびに常任委員会、議会運営委員会および特別委員会(以下「委員会」という。)の委員長は、前条に定める議会運営についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、職務を遂行しなければならない。

(議員の役割および責務)

第4条 議員は、基本理念にのっとり、本会議、委員会および協議等の場(地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条第12項に規定する議案の審査または議会の運営に関し協議または調整を行うための場をいう。以下同じ。)に出席し、調査審議を行わなければならない。

2 議員は、前項に規定する職務を的確に遂行するために必要な調査研究を積極的に行うよう努めなければならない。

3 議員は、議会における活動を通じて県民の多様な意見を県政に適切に反映させるため、地域における情報の収集、広報その他の方法により、県政の課題および県民の意思の把握に努めなければならない。

4 議員は、識見の向上ならびに前3項に定める議員の役割を果たすために必要な知識および技術の修得に努めなければならない。

5 議員は、県民全体の代表として、県の全体の利益の実現を図ることを旨として行動するとともに、政治倫理の向上に努めなければならない。

(職員の責務)

第5条 議会事務局の職員は、基本理念にのっとった議会運営を補佐し、および支援する役割を適切に果たすために必要な知識および技術の修得に努めなければならない。

第2章 組織および権限

(議員の定数等)

第6条 議会は、議員の定数および選挙区について、議会が県民の多様な意見を県政に反映する機能を発揮するために必要な最小限度の数および適切な市町の区域の組合せをもって定められるよう、必要な見直しを行わなければならない。

(議会の議決すべき事件)

第7条 法第96条第1項に定めるもののほか、同条第2項の規定に基づき、次に掲げる事件を議会の議決すべきものとする。

(1) 発電事業を行い、または廃止しようとすること。

(2) 水資源開発促進法(昭和36年法律第217号)第3条第1項または第4条第1項の規定に基づき、知事が国土交通大臣に意見を述べようとすること。

(3) 河川法(昭和39年法律第167号)第16条の2第5項の規定に基づき、知事が国土交通大臣に意見を述べようとすること。

(4) 独立行政法人水資源機構法(平成14年法律第182号)第13条第1項もしくは第6項または第16条第1項の規定に基づき、知事が独立行政法人水資源機構の協議に応じようとすること。

(5) 別に条例で定めるところにより、知事等が県の政策の基本的な方向を定める計画を策定し、変更し、または廃止しようとすること。

(6) 別に条例で定めるところにより、知事等が附属機関の委員を任命しようとすること。

(委員会)

第8条 議会は、毎年度、常任委員会および特別委員会の設置について、行政監視、政策形成その他の議会が果たすべき機能を十全に発揮し、県政の課題の変化および社会経済情勢の変化に的確に対応し得るものとなるよう、必要な見直しを行わなければならない。

(議会事務局)

第9条 議長は、議会事務局について、基本理念にのっとった議会運営を補佐し、および支援する役割を適切に果たすことができる体制の充実に努めなければならない。

(議会図書室)

第10条 議員の調査研究に資するため、法第100条第19項の規定に基づき、議会に議会図書室を付置する。

2 議会図書室は、その設置の目的を妨げない限度において、これを県民の利用に供する。

3 前項に定めるもののほか、議会図書室の管理および運営に関し必要な事項は、別に議長が定める。

第3章 効果的な調査審議の推進

(定例会の回数)

第11条 法第102条第2項の規定により、定例会の回数は、年1回とする。

(議員の質問)

第12条 議会は、本会議における調査審議について、議員の質問を通じ、県政の課題および論点が明確となり、かつ、行政監視および政策形成の機能が実効的に発揮されるよう、一問一答等の多様な方法による質問の実施その他の必要な措置を講じなければならない。

(委員会の運営方針)

第13条 常任委員会および特別委員会は、毎年度、行政監視および政策形成に係る活動を計画的かつ重点的に推進するための運営に関する方針を定め、これを公表しなければならない。

(議員相互間の討議)

第14条 議会は、委員会の活動を通じ、県政の課題および論点が明確となり、かつ、行政監視および政策形成の機能が実効的に発揮されるよう、議員相互間の自由な討議を促進するための仕組みの整備およびその活用を図らなければならない。

(政策等の提言)

第15条 議会は、国もしくは県の政策または法制の整備について提言を行い、県政の課題の解決、本県の実情に即した政策の推進その他県の公益の増進に寄与するため、意見書の提出、決議その他の必要な措置を講じなければならない。

(決議等の処理)

第16条 知事等は、議会または委員会が議決した決議および議会が採択した請願について、誠意をもって、これを処理しなければならない。

2 議長および委員長は、議会または委員会が議決した決議の処理の経過および結果の報告を知事等に請求することができる。

(資料の提出の請求等)

第17条 委員会および議員は、調査審議その他議会における活動を行うため必要があると認めるときは、知事等に対し、その目的を明らかにして、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 知事等は、委員会または議員から前項の規定による資料の提出の求めがあったときは、公務の効率的な遂行を阻害するおそれその他公務の遂行上特別の支障がない限り、その求めに応ずるよう努めなければならない。

(学識経験者等の意見の聴取)

第18条 議会は、重要な県政の課題または議案に関する調査審議を行うときは、緊急を要する場合その他特別の事情がある場合を除き、委員会において参考人を招致し、または公聴会を開催すること等により、学識経験者、利害関係人その他の県民の意見を聴くよう努めなければならない。

(請願提出者等の意見の聴取)

第19条 委員会は、請願の審査のため必要があると認めるときは、請願の提出者、紹介議員その他の関係人に意見を聴く機会を設けるものとする。

第4章 開かれた議会の実現のための取組

(会議の公開)

第20条 委員会および協議等の場は、他の条例または会議規則に特別の定めがある場合を除くほか、これを公開する。

(傍聴)

第21条 議会は、本会議および委員会を開こうとするときは、県民が傍聴に必要な情報を容易に入手することができるよう、あらかじめ、日程、議題その他の情報をインターネットの利用その他多様な方法により公表しなければならない。

2 議会は、本会議および委員会を開くに当たっては、傍聴者が調査審議の内容をできる限り容易に理解することができるよう、議案および会議資料の提供、供覧その他の必要な措置を講じなければならない。

3 議会は、高齢者、障害者等が本会議を円滑に傍聴することができるよう、車椅子使用者が円滑に利用することができる傍聴スペースの設置その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(情報の公表)

第22条 議会は、県の政策形成の過程の公正性および透明性を確保するとともに、県民が議会の諸活動に関する評価を的確に行うことができるようにするため、本会議、常任委員会および特別委員会の記録、会議資料、会議の出欠および議案に対する賛否の状況その他必要な情報をインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

(広報活動等)

第23条 議会は、県の政策形成および議会の諸活動についての県民の理解と関心を深めるため、広報活動その他の必要な措置を講じなければならない。

(意見の公募)

第24条 議長は、議員または委員会が県の政策に関する重要な条例の立案をしようとするときは、当該議員または委員会の申出に基づき、あらかじめ、当該条例の案およびこれに関連する資料を公表し、広く県民の意見を求めなければならない。

2 議員および委員会は、前項の申出をして条例を立案するときは、提出された当該条例の案についての意見を十分に考慮しなければならない。

(県民との意見交換)

第25条 議会は、毎年度、県政の課題に関する情報の収集を図るとともに、調査審議の充実に資するため、委員会による調査活動を通じ、幅広い層の県民と意見を交換する機会を設けなければならない。

第5章 雑則

(議会改革)

第26条 議会は、この条例の実施状況、地方分権の進展、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、議会が果たすべき機能の充実強化の方策ならびにこれを担う組織および議員の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない。

(条例の尊重義務等)

第27条 議員および委員会は、この条例が議会運営の基本となる理念を定めるものであることに鑑み、議会に関する他の条例を立案するに当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない。

2 議会および議長は、議会に関する規則その他の規程を制定し、または改廃するに当たっては、当該規則その他の規程がこの条例の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。

付 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の属する年における定例会の回数は、第11条の規定にかかわらず、2回とする。

(検討)

3 議会は、一般選挙の執行後おおむね2年を経過するごとに、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(滋賀県議会の定例会の回数を定める条例等の廃止)

4 次に掲げる条例は、廃止する。

(1) 滋賀県議会の定例会の回数を定める条例(昭和31年滋賀県条例第26号)

(2) 滋賀県議会の議決事件を定める条例(昭和24年滋賀県条例第43号)

滋賀県議会基本条例

平成26年3月31日 条例第8号

(平成26年3月31日施行)

体系情報
第1編 則/第1章
沿革情報
平成26年3月31日 条例第8号