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滋賀県主要集団茶園の気温情報・予測情報の作成方法

滋賀県内の主な集団茶園である向山、寺谷、奥山(甲賀市信楽町)、八束・市場、布引、頓宮開パイ、畑、今宿(甲賀市土山町)、虫生野、波涛ヶ平(甲賀市水口町)、北山(蒲生郡日野町)の計11カ所の気温、一番茶の生育、クワシロカイガラムシの防除適期を推定、予測し、情報提供しています。

気温の推定方法

近隣のアメダス観測地点である信楽、土山、大津、東近江(滋賀県)、上野、亀山(三重県)、京田辺(京都府)の計7カ所の気温データを使って、清野(1993)のアメダスデータのメッシュ化手法に従い、集団茶園毎に気温を推定しています。

メッシュ化手法

一番茶の生育予測方法

一番茶の生育の予測については、推定した気温を使って、集団茶園毎に一番茶萌芽期、一番茶開葉数などを予測しています。一番茶の萌芽期は、3月10日からの積算気温が256.5℃を超えた翌日を萌芽期として予測しています。一番茶の開葉数は、(式)推定葉数=0.011×萌芽期推定日からの積算気温-0.8522により葉数を予測してます。また、これらの予測は、予測実行日までは推定された気温を使い、これから迎える日の気温は平年値を使って行っています。

生育予測法

クワシロカイガラムシの防除適期予測方法

クワシロカイガラムシの防除適期の予測については、推定した気温を使って、集団茶園毎にクワシロカイガラムシの第1世代幼虫と第2世代幼虫のふ化盛期を予測しています。第1世代のふ化盛期は、武田(2002)による「1月1日からの有効積算温度(発育零点10.5℃)が287日度に達した日」として予測しています。また、第2世代のふ化盛期は、久保田(2000)による「前世代ふ化盛期からの有効積算温度(発育零点10.8℃)が688日度に達した日」として予測しています。なお、クワシロカイガラムシの防除適期は、各世代ともふ化盛期の翌日から4日間程度となります。

気温情報・予測情報の作成方法

これらの気温情報や予測情報は、気温の推定や生育予測、防除適期予測を、パソコン上で素早く処理できる「茶栽培管理支援システム」を利用して、作成しています。

参考文献

  1. 清野豁(1993), アメダスデータのメッシュ化について, 農業気象48(4), 379-383
  2. 久保田栄(2000), 粘着トラップと有効積算温度則を用いたクワシロカイガラムシの防除適期予測, 第44回応用動物昆虫学会大会講要
  3. 武田光能(2002), チャ寄生クワシロカイガラムシ第1世代幼虫のふ化盛期の予測, 平成13年度野菜茶業研究成果情報
  4. 近藤知義・吉澤喜代雄・中嶋治男(2002),「やぶきた」における有効積算温度による一番茶開葉数の予測, 平成13年度近畿中国四国農業研究成果情報, 581-582
  5. 近藤知義(2004), チャ主要品種’やぶきた’における一番茶新芽の生育と積算気温の関係, 茶業研究報告97, 39-47
  6. 近藤知義(2005), メッシュ気温を利用した「やぶきた」一番茶生育予測法, 平成16年度近畿中国四国農業研究成果情報, 477-478
  7. 近藤知義(2005), メッシュ気温を利用した「やぶきた」一番茶生育予測, 滋賀県農林水産主要試験研究成果13, 57-58
  8. 近藤知義・今村嘉博・奥村茂夫(2005), アメダスメッシュ気温データを用いた’やぶきた’一番茶新芽の生育予測の検討, 茶業研究報告100(別), 40-41
  9. 近藤知義・竹若与志一・今村嘉博(2007), アメダス気象データを活用した茶栽培管理支援システム, 平成18年度滋賀県農林水産主要試験研究成果, 45-46
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