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起立性調節障害に伴う頭痛について
起立性調節障害は腹痛や全身のだるさ、朝起きれないといった症状(不定愁訴といいます)で受診することが多い病気で、自律神経の調節がうまくいかない体質が原因と考えられています。その中で頭痛症状を認めて外来受診する患者さんも多く、当科では特にその診断に注意しています。
片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛の特徴は知られていますが、起立性調節障害の頭痛症状はあまり知られていません。当科の経験では、ズキズキするといった拍動性の頭痛で、中等度の痛み(学校には行ける程度)、そして一日の中で痛くなる時間がだいたい決まっているということが特徴と考えています。これは、片頭痛、緊張型頭痛の特徴を併せ持ったもので、最初は片頭痛と診断していても、後に起立性調節障害と診断されていることもあります。
特徴的な体の症状から起立性調節障害を疑い、起立試験という検査を行って診断します。診断基準は下に書いたとおりです。起立試験は横になった状態から起立しその間に血圧と心拍数を測定する方法です。
起立性調節障害に伴う頭痛は二次性頭痛の一つになりますので、一般的な頭痛薬はあまり効果がありません。しっかりと起立性調節障害の治療を行う必要があります。自律神経の調節がうまくいかない元々の体質に、不規則な生活やストレスなどで体に負担がかかり起立性調節障害の症状が出現すると考えられており、それらを元に戻す必要があります。つまり、規則正しい生活、身体・精神的な負担を軽減することが最も大切です。さらに、水分を多めにとること、塩分を少し多めにとること、寝た状態から立ち上がるときに時間をかけることなどで体質改善を行います。こういった方法で大半の起立性調節障害の頭痛症状は改善しますが、中には薬物治療を行わなければならないことも少なくありません。その場合は血圧を上げたり、心拍数があまりあがらないようにする薬を使用します。
頭痛症状が改善されても起立性調節障害の他の症状が残っていることはよくあります。頭痛外来ではそれらの残った症状に対しても治療をおこないます。より正確な起立性調節障害の診断(細かくは4種類に分類されます)、生活指導、薬物治療も血圧・心拍数に対処するもの以外に漢方薬なども使用して治療を行います。これらの治療を行っても起立性調節障害の治療は長期にわたり、日常生活に支障の出る中等症といわれるものでは1年間の治療で症状が改善するのはおよそ50%程度といわれています。
大症状が3つか大症状2+小症状1、または大症状1+小症状3以上で、器質性の心臓病や貧血などがなければ、ODと診断する。
A~E、a~fには、「しばしば」「時々」「たまに」の指標がそれぞれ規定されており、それに従って陽性かどうかを判定する。