電話0570-00-5031

〒524-8524 滋賀県守山市守山5丁目4番30号

[診療受付時間]午前8時30分~午前11時 ※2科受診の患者様を除く

[休診日]土曜日・日曜日、祝祭日/年末年始(12/29~1/3)

現在の位置 滋賀県立総合病院 > こども/療育 > 診療科案内 > 小児科 > 小児免疫アレルギー科 > 最新の文献から【臨床的研究】

更新日:2026年10月1日

ここから本文です。

最新の文献から【臨床的研究】

C-26-9-1乳児のアレルギー予防のために母が鶏卵やピーナッツを多く摂取する試み➡母が食べても予防効果確認できずPalmer DJ et al. Trial of maternal diet rich in eggs and peanuts to reduce infant allergy. New Engl J Med 2026; 395: 1090-9. ★★★

妊娠・授乳期の母親による鶏卵・ピーナッツの積極的摂取が、児の食物アレルギーを予防するかを検討するため多施設ランダム化比較試験(PrEggNut Study)を行った。アレルギー疾患の家族歴を有する妊婦2137人を、妊娠23週未満から産後4か月まで、週6個以上の卵・60粒以上のピーナッツを摂取する群と、週3個以下・30粒以下の標準摂取群に割り付けた。 1歳時の児のIgE依存性卵またはピーナッツアレルギーは、それぞれ7.8%と8.4%で有意差を認めなかった(RR 0.93、95%CI 0.69–1.26、P=0.65)。 卵・ピーナッツ個別のアレルギーや感作、湿疹にも明らかな差はなく、妊娠・授乳期に母親がこれらを多量摂取しても、児の食物アレルギー予防効果は示されなかった。乳児への卵・ピーナッツ早期導入が普及したことで両群とも食物アレルギー発症率が予想以上に低くなり、母親の妊娠・授乳期における高摂取による「上乗せ効果」を検出しにくかった可能性がある。

C-26-9-2室温、凍結溶解、極端な気温などの条件下でのアドレナリン経鼻スプレーの安定性➡ネフィは温度変化にも安定 Dorsey BT et al. Stability of epinephrine nasal spray under room temperature, freeze-thaw, and extreme temperature conditions. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 2162-64. ★★

アドレナリン点鼻薬(neffy)の実環境を想定した保存安定性を検討。室温(25℃)では、1 mg製剤は24か月、2 mg製剤は30か月まで規格内の力価を維持した。 さらに40℃で6か月、50℃で3か月という高温条件でも安定しており、50℃、3か月後の力価は99%で、注射製剤より劣化が少なかった。-20℃~40℃の凍結融解を繰り返しても力価は維持された。 この高い安定性には、注射製剤より亜硫酸水素ナトリウム含有量が約100分の1と少ないことが関与すると考察されている。以上より、neffyは通常保存だけでなく高温や凍結などの厳しい条件でも高い安定性を示し、実生活での携帯・使用における信頼性が示された。

C-26-9-3日本の小児におけるアドレナリン自己注射薬の針と骨の安全域:接種部位の違いによる影響➡小さい子だと骨に当たるリスクあり Kumagai C et al. Needle-to-bone safety margin of adrenaline auto-injectors in Japanese children: impact of injection site variation. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70475. ★

日本人小児におけるアドレナリン自己注射薬(AAI)の針長12.7 mmの安全性を、注射部位の違いに着目して検討。体重10~20 kgの97例を対象に、大腿前外側部の皮膚‐筋肉間距離および皮膚‐骨間距離を超音波で測定した。12.7 mmの針は全例で筋肉に到達可能であったが、骨に達する可能性は大腿遠位1/3では11.3%、大腿中央部では3.7%に認められ、後者の2例はいずれも12 kg未満であった。以上より、AAIは大腿中央部への正確な注射がより安全であり、特に15 kg未満の小児では、保護者に適切な注射部位を十分指導することが重要である。

C-26-9-4 2020年COVID-19のロックダウン下で出生したCORALコホートの5年後におけるアレルギー疾患有症率➡コロナ禍から5年経ち… Sokay A et al. Atopic outcomes at 5 years in the CORAL cohort born during the 2020 COVID-19 lockdown. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70477. ★

2020年のCOVID-19ロックダウン中にアイルランドで出生したCORALコホートを5歳まで追跡し、乳幼児期の特殊な環境がアレルギー疾患に及ぼす長期的影響を検討。5歳時には、アトピー性皮膚炎は2歳時の21.3%から10.4%へ減少し、食物アレルギーは引き続き低頻度であった。一方、吸入抗原感作は8.9%から24.0%へ増加し、アレルギー性鼻炎症状と強く関連した。喘鳴は約22%で変化せず、主に最近の感染と関連した。ロックダウンに伴う授乳増加、抗菌薬使用減少、早期のアレルゲン食品導入などが食物アレルギー低頻度に関与した可能性がある一方、全体としてアレルギー疾患は通常の年齢依存的な推移を示した。

C-26-9-5コロナ禍の最中と終了後に生まれた乳児における早期曝露:CORAL及びFLORAL出生コホートを比較する前方視的観察研究➡コロナ禍開始時と終了時に生まれた子を比較Sokay A et al. Early-life exposures in infants born during and after the COVID-19 pandemic: a comparative prospective observational study of the CORAL and FLORAL birth cohorts. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70471. ★

COVID-19流行中の2020年に出生したCORALコホートと、流行後の2025年に出生したFLORALコホートを比較し、生後6か月までの環境・生活要因の変化を前方視的に検討。両群の背景は概ね同等であったが、FLORAL群では入院(13.1% vs 5.1%)と抗菌薬曝露(13.1% vs 6.2%)が有意に多かった。一方、完全母乳栄養率はともに38%と維持され、アレルゲン食品の早期導入は増加し、特にピーナッツは13.6%から44%、鶏卵は26%から56%へ増加した。社会活動再開後、感染関連曝露は増加した一方、母乳栄養や早期アレルゲン導入などの望ましい食習慣は持続しており、今後の腸内細菌叢やアレルギー発症への影響が注目される。

C-26-9-6小児における経口免疫療法中断に、味覚嫌悪と副反応が同等に関与している:実臨床における多項目アレルゲン分析➡“味が嫌い”が治療成績に影響Maria B et al. Taste aversion and adverse events contribute equally to OIT discontinuation in children: a real-world multi-allergen analysis. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70482. ★★★

小児の食物経口免疫療法(OIT)中止の原因を実臨床で前方視的に観察。307例406コースのOITのうち61コース(15%)が中止され、中止理由は有害事象41%と味・匂い・食感に対する嫌悪(taste aversion)39%がほぼ同程度を占めた。有害事象による中止は治療早期に多く、特異的IgEが高値であった一方、味覚嫌悪は年齢を問わず維持期にも多く認められた。中止率は牛乳で最も高く、カシューナッツやゴマで低かった。OITの継続にはアレルギー反応への対策だけでなく、味覚嫌悪など行動・感覚面の障壁を早期から評価し、個別に対応することが重要である。

C-26-9-7牛乳アレルギー児の栄養摂取と口腔衛生状態➡口腔ケアも重要IIeri T et al. Nutrient intake and oral health outcomes in children with cow’s milk allergy. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70458. ★

牛乳アレルギー(CMA)児の栄養摂取と口腔・歯科健康との関連を検討した横断研究。2~12歳のCMA児66例と健常児44例を比較。CMA児では脂質、乳糖、カルシウム、フッ素、リン摂取量が少なく、鉄、ビタミンD、ブドウ糖、食物繊維が多いという栄養摂取の違いが認められた。一方、乳歯う蝕や幼児期う蝕(ECC)の頻度には両群間で有意差はなかったが、CMA児では歯肉炎症を示すgingival indexがわずかに高値であった。またCMA児では、血清25(OH)ビタミンD低値(<25 μg/L)が乳歯う蝕(dmft≧1)と独立して関連し、調整ORは4.64であった。CMA自体がう蝕リスクを高めるとはいえないものの、歯周・口腔管理とビタミンD状態の評価が重要である可能性が示された。

C-26-9-8アトピー性皮膚炎乳幼児における家埃中クルミ、カシューナッツ、ピーナッツたんぱく量と感作との関連➡クルミ感作が関連Hamada M et al. Walnut, cahew, and peanut proteins in household dust and sensitization in young children with atopic dermatitis. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70496. ★

アトピー性皮膚炎があり、クルミ、カシューナッツ、ピーナッツ未摂取の3歳以下の小児58例を対象に、家庭内粉塵中の各食品タンパク濃度と感作との関連を検討した多施設症例対照研究。クルミ感作児では対照児に比べ粉塵中クルミタンパク濃度が有意に高く(中央値9.82 vs 0 μg/g)、ピーナッツでも同様の関連を認めたが、カシューナッツでは有意差を認めなかった。また、クルミはカシューナッツやピーナッツより微細粒子を生じやすかった。家庭環境中のクルミタンパク曝露が乳幼児期の感作に関与する可能性が示唆された。ただし横断的な評価であり、環境曝露が感作に先行したかは不明で、因果関係は証明されていない。

C-26-9-9低閾値の鶏卵、牛乳及び小麦アレルギー乳幼児における定量極少量経口免疫療法:前方視的コホート研究➡ほんの少しでも続けることに意味があるKitamura K et al. Fixed very-low-dose oral immunotherapy in infants and toddlers with low-threshold egg, milk and wheat allergy. Clin Exp Allergy 2026; 56: 1107-9. ★★

鶏卵・牛乳・小麦に少量で反応する乳幼児を対象に、一定量の極少量経口免疫療法(very-low-dose OIT)の有効性と安全性を検討した前向きコホート研究。体重15 kg未満の178例をOIT群117例と除去群61例で比較した。OIT群では、OFC閾値などに応じた少量を週3回以上摂取した。約1年後の2 g負荷試験陰性率はOIT群57%、除去群21%で、OIT群で有意に高かった(OR 4.90)。また偶発的摂取による症状も13%対34%と少なく、OIT摂取に伴う反応はまれで軽症であり、アドレナリンを要するアナフィラキシーは認めなかった。増量を伴わない極少量OITは、通常のOITが難しい乳幼児における実用的な管理法となる可能性が示された。ただし観察研究であり、ランダム化試験による検証が必要。

C-26-9-10クリニックにおける3種類の鶏卵経口免疫療法プロトコールの安全性、有効性➡少量維持がお薦めBuckey TM et al. Safety and efficacy of three office-based egg oral immunotherapy. Ann Allergy Asthma Immunol 2026; 137: 357-361. ★★

鶏卵アレルギーに対する3種類の経口免疫療法(OIT)(加熱卵、通常量の生卵、低用量の生卵)の安全性と有効性を後方視的に比較。OITを開始した96例(平均8.4歳)のうち、71例(74%)が加熱卵と生卵蛋白3 g以上を自由に摂取可能となり、57例(58%)が生卵蛋白12 gの負荷試験に合格した。特に低用量OITでは、94%が加熱卵+生卵蛋白3 g以上を摂取可能となり、78%が12 g負荷試験に合格した。また、前投薬やアドレナリン使用も他のプロトコルより少なかった。低用量OITは安全性と治療継続性に優れ、鶏卵の食事への再導入を促す実用的な方法である可能性が示された。

C-26-9-11成人ピーナッツアレルギー症例における、経口負荷試験後の多様な生体免疫反応パターン ➡負荷試験後の免疫学的変化を探るFauchere F et al. Diverging in vivo immune response patterns after oral food challenge in peanut allergic adults. Clin Exp Allergy 2026; 56: 1063-75. ★★

 ピーナッツアレルギー成人における経口食物負荷試験(OFC)後の免疫応答を4週間追跡。患者20例と非アレルギー者6例を対象に、ピーナッツ特異的T・B細胞および特異的IgEなどを解析した。患者ではOFC後のAra h 2特異的B細胞の増加程度から、強反応群(SR)と弱反応群(WR)に分類された。SRではB細胞・Th2細胞の活性化と増殖、ピーナッツ特異的IgEの増加が顕著で、アレルギー反応を維持する免疫応答がみられた。一方WRではピーナッツ特異的制御性T細胞(Treg)が早期に活性化し、抑制的な免疫応答が示された。同じピーナッツアレルギーでも、抗原摂取後の免疫応答には大きな個人差があり、将来の耐性獲得や治療反応性に関係する可能性が示唆された。

C-26-8-1デュピルマブで治療されたアレルギー児における自己免疫疾患の発症➡長期使用では皮膚の自己免疫疾患に注意Gabryszewski SJ et al. Incidence of autoimmune diseases in children with atopy treated with dupilumab. J Allergy Clin Immunol 2026; 158: 533-41. ★★

アトピー性皮膚炎や喘息を有する6~17歳の小児を対象に、デュピルマブ治療と自己免疫・自己炎症性疾患発症との関連を検討した多施設後ろ向きコホート研究。電子診療録を用い、交絡因子を調整して治療群と非治療群を比較した。デュピルマブ治療群では自己免疫疾患全体の発症リスクが1.45倍、皮膚自己免疫疾患が1.57倍と有意に高く、特に乾癬や円形脱毛症が影響していた。一方、内分泌・消化管・リウマチ性疾患では有意な増加を認めなかった。絶対的な発症率は低く、因果関係は確定できないものの、治療中の継続的な臨床観察の重要性が示された。

C-26-8-2加熱卵及び低加熱卵の負荷試験を行ったアレルギー児における、鶏卵に対するIgE抗体機能とマスト細胞活性化➡マスト細胞活性化試験の臨床的有用性Houghton V et al. IgE antibody function and mast cell activation to egg in children undergoing baked and loosely cooked egg challenges. Allergy 2026; 81: 2874-84. ★

鶏卵アレルギー児におけるマスト細胞活性化試験(MAT)の診断性能と、IgEやIgG4の機能的役割を検討。経口負荷試験で評価した133例を解析したところ、MATは加熱卵アレルギー児と耐容児を識別できたが、診断精度は68%で、好塩基球活性化試験(BAT)や特異的IgE検査を上回らなかった。 一方、IgE量、特異活性、アビディティはマスト細胞活性化と正相関し、卵特異的IgG4/IgE比は逆相関した。MATは新鮮血を必要とせず保存検体を利用できるため、BATが実施困難な場合の代替検査や、IgE機能およびIgG4による抑制作用を解析する研究手法として有用と考えられた。

C-26-8-3早期にピーナッツ経口免疫療法を受けた小児は摂取の継続及び免疫学的変化と結びつく➡早期摂取で効果が持続Dantzer JA et al. Early-life peanut oral immunotherapy associated with long-term ingestion and immunologic changes. J Allergy Clin Immunol 2026; 158: 482-91. ★★★

1~3歳でピーナッツ経口免疫療法(pnOIT)を受けた小児の長期効果を、IMPACT試験参加者78例で8~11年後に検討。追加治療を受けなかったpnOIT群40例の80%が追跡時もピーナッツを摂取し、寛解を達成した15例は全員が摂取を継続していた。一方、35%に摂取後のアレルギー反応がみられ、5例でアドレナリンを使用した。pnOIT群ではプラセボ群に比べ、ピーナッツおよびAra h 2特異的IgEが低く、IgG4が高値であった。幼児期のpnOITは、約10年後にも持続する臨床的・免疫学的効果をもたらす可能性が示された。

C-26-8-4低リスクアナフィラキシー児に対する救急部経過観察時間の短縮➡リスク評価を見直しSchroter S et al. Reducing emergency department observation time for patients with low-risk anaphylaxis. Pediatrics 2026; 158: e2024066711. ★

小児救急部における低リスクアナフィラキシー患者の観察時間短縮を目的とした研究。二相性反応のリスク因子がなく、アドレナリン1回投与後に速やかに症状が消失した患者を低リスクと定義し、医療者教育、電子カルテの最適化、医師へのフィードバックを実施した。 その結果、低リスク患者の平均観察時間は233分から154分へ79分(34%)短縮し、その効果は7か月間持続した。一方、標準リスク患者の観察時間は短縮せず、介入期間中に低リスク患者の二相性反応による再受診も認めなかった。以上から、リスク層別化に基づく介入により、安全性を損なわず救急部での観察時間を短縮できる可能性が示された。

C-26-8-5リモートで耐性誘導:IgE依存性鶏卵アレルギーにおいて電話診療が鶏卵の段階的解除を支える➡食物アレルギー診療に電話診療の活用をCousens M et al. Building tolerance remotely: telemedicine support for egg ladder completion in IgE-mediated egg allergy. Clin Exp Allergy 2026; 56: 960-962. ★★★

IgE依存性鶏卵アレルギー児に対する段階的解除(エッグラダー療法)について、遠隔診療を併用したハイブリッド型フォローアップと従来の対面診療の成績を比較した後ろ向き単施設研究。77例(対面44例、遠隔併用33例)を解析した結果、ラダー完了率(81.8% vs 84.8%)や治療期間、治療失敗、脱落率に有意差を認めなかった。 一方、遠隔診療の導入により対面受診への依存を減らしつつ、診療の継続性を維持できた。以上から、遠隔診療は治療成績を損なうことなく対面診療を補完でき、小児鶏卵アレルギー管理に安全かつ有効に組み込める可能性が示された。

C-26-8-6小児食物アレルギーへの積極介入では個別の臨床的ゴールを目指す:短期間で個別のゴールを目指した管理➡食物アレルギー診療はSDMでWei P et al. Active paediatric food-allergy interventions pursue distinct clinical goals: a brief, goal-directed synthesis. Clin Exp Allergy 2026; 56: 963-965. ★

小児食物アレルギーに対する積極的介入を、単一の治療効果ではなく「臨床目標」に基づいて整理したレビューである。2010~2026年の文献233報を検討し、発症予防、反応閾値の上昇、治療中の脱感作、治療終了後も持続する効果を区別した。 その結果、早期アレルゲン導入は発症予防、オマリズマブは反応閾値上昇とリスク軽減、EPIT・SLITは負担の少ない脱感作、OITは最もエビデンスが蓄積した脱感作法と位置づけられた。特に早期OITでは持続的効果・寛解の可能性も示される。各治療を単純に優劣比較するのではなく、患者ごとの治療目標や負担、効果の持続性に応じて選択することが重要と結論づけている。

C-26-8-7小児および成人におけるIgE依存性食物アレルギーの頻度:多国間ASSESS FA調査の結果➡共通の手法で世界規模の調査Fiocchi A et al. Prevalence of IgE-mediated food allergies in children and adults: results from the multinational ASSESS FA study. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 1849-57. ★★

IgE介在性食物アレルギー(FA)の有病率を国際的に統一した方法で評価。米国、カナダ、欧州5カ国、日本、中国の9カ国で、小児46,711人、成人44,219人を対象にオンライン調査を実施した。 症状と発症時間から判定したFA有病率は、小児2.4~7.5%、成人2.1~6.6%と国によって差を認めた。主な原因食品は、小児ではピーナッツ、乳・乳製品、木の実、成人ではピーナッツ、エビ、甲殻類であった。食物アレルギーが年齢や地域を問わず重要な公衆衛生上の課題であり、地域ごとの有病率や原因食品の違いを踏まえた診断・管理体制の整備が必要であることを示した。因みに日本のFA有病率は、小児 3.9%(95%CI 3.4–4.4)、成人 2.1%(1.7–2.5)で、成人は調査9カ国中で最も低い値であった。

C-26-8-8喘息のない患者において複数項目食物アレルギーのバイオマーカーとして呼気一酸化窒素(NO)が有用である可能性➡エピペン使用の有無で有意差Lanz MJ et al. Utility of exhaled nitric oxide as a potential biomarker for multiple food allergies in patients without asthma. Ann Allergy Asthma Immunol 2026; 137: 243-250. ★

喘息を伴わないIgE依存性複数項目食物アレルギー(mFA)患者において、呼気一酸化窒素(FeNO)が重症度評価の指標となるかを検討した。6歳以上46例を対象に、過去のアナフィラキシーでアドレナリンを使用した22例と非使用24例を比較した。 FeNOは使用群40±16 ppb、非使用群25±10 ppbと使用群で有意に高かった(P<0.01)。一方、好酸球数、総IgE、皮膚プリック試験では両群に有意差を認めなかった。 FeNOは簡便かつ非侵襲的に測定でき、喘息のないmFA患者でもアナフィラキシー高リスク群を識別するバイオマーカーとなる可能性が示された。今後は前向き研究による検証が必要である。

C-26-8-9急性卵黄FPIES乳児において、より早期の食物経口負荷試験が可能かもしれない➡再チャレンジのタイミング早められるかもKato M et al. Earlier oral food challenge may be feasible in infants with acute egg yolk-induced food protein-induced enterocolitis syndrome. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70450. ★

急性卵黄FPIES乳児において、従来推奨される最終症状から12~18か月より早期の経口食物負荷試験(OFC)が可能かを前向きに検討した。対象20例の診断時月齢中央値は8か月、初回OFCは15か月で、14例(70%)が陰性、6例(30%)が陽性であった。 陰性例では最終症状からOFCまで中央値5か月と短く、その後の段階的な自宅摂取でも再発を認めなかった。一方、陽性例の一部は3歳まで反応が持続した。以上から、卵黄FPIESでは早期に耐性を獲得する乳児が存在し、不要な除去期間を短縮できる可能性があるが、一律の早期OFCではなく、症例ごとに実施時期を判断する必要がある。

C-26-8-10クルミとカシューナッツアレルギーに対する低用量、漸増方式の自宅で続ける経口免疫療法:後方視的症例検討➡木の実類も少量から少しずつ食べてみようHagino K et al. Low-dose, slow-escalation home-based and sustainable oral immunotherapy for walnut and cashew allergy: a retrospective case series. Clin Exp Allergy 2026; 56: 966-968. ★★

クルミ・カシューナッツアレルギー児を対象に、超低用量から開始し緩徐に増量する経口免疫療法(OIT)の安全性と有効性を検討した単施設後ろ向き症例集積研究。OFCで安全性を確認した量を「安全上限」とし、それを下回る量を自宅で毎日摂取した。対象33例(クルミ27例、カシューナッツ6例)のうち15例にアナフィラキシー歴があったが、全例が最終的に蛋白量750 mg以上のOFCをクリアした。治療中に中等度以上のアレルギー反応やアドレナリン使用は認めなかった。個別化した超低用量・緩徐増量OITは、自宅での症状誘発を抑えつつ実用的な耐容量を獲得できる安全な治療戦略となる可能性が示された。ただし、後ろ向き研究で選択バイアスなどの限界がある。

C-26-7-1日本の山梨県の学童に発生したびわによる口腔アレルギー症候群に関する質問紙式調査➡びわアレルギー集団発生の記録Shimamura A et al. Questionnaire survey on Loquat-induced oral allergy syndrome in school children in Yamanashi, Japan. Allergy 2026; 81: 2511-2514. ★★

2024年に山梨県の学校給食でビワを食べた児童・生徒を対象に、ビワによる口腔アレルギー症候群(OAS)の有病率と危険因子を調査した。ビワ摂取者1,768人中264人(14.9%)がOASを発症し、3.8%に口腔外症状も認められた。発症は、バラ科・ウリ科食品によるOAS既往や、ブナ目・イネ科花粉への感作と有意に関連し、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)の機序が示唆された。地域特性を踏まえた患者教育や、学校給食でのアレルギー対策の重要性が示された。

C-26-7-2アトピー性皮膚炎と食事に対する副反応を合併したイヌにおける便中脂質代謝産物や腸内細菌の違い➡アレルギーのイヌの腸内環境は?Hayashi A et al. Fecal lipid metabolites and microbiota in dogs with concurrent atopic dermatitis and adverse food reaction. Allergy 2026; 81: 2549-2552. ★★

アトピー性皮膚炎(cAD)と食物有害反応(cAFR)を併発した犬を対象に、糞便中の腸内細菌叢と脂質代謝物を解析し、その病態との関連を検討。患者犬では健常犬に比べ腸内細菌の多様性が低下し、Prevotellaceaeの減少、Lachnospiraceaeの増加、さらに酢酸・プロピオン酸・酪酸など短鎖脂肪酸の低下が認められた。一方、リポキシゲナーゼ(LOX)経路由来のロイコトリエンやHETEなど炎症性脂質メディエーターが著しく増加し、脂質代謝経路の活性化が示された。これらの変化は腸内環境異常と慢性炎症の相互作用を反映し、糞便中脂質プロファイルが犬アレルギー疾患の新たなバイオマーカーや病態解明の手がかりとなる可能性が示唆された。ただし、症例数が少なく、疾患特異的機序の解明にはさらなる検証が必要である。

C-26-7-3食物アレルギーやIgE感作に関するゲノムワイド関連性研究のメタ分析➡37個のSNPが食物アレルギーと関連Maier L et al. Meta-analysis of genome-wide association studies of food allergy and IgE sensitization. J Allergy Clin Immunol 2026; 158: 194-208. ★

食物アレルギー(FA)の遺伝的背景を明らかにするため、欧州系の成人229,426人と小児14,234人を対象としたGWASメタ解析を実施。自己申告、医師診断、食物特異的感作、および医師診断と感作の併存という4表現型を年齢別に解析し、FAと関連が示唆される37個のSNPを同定した。成人ではFGL1近傍とAKAP6–NPAS3領域の2座位がゲノムワイド有意となったが、外部集団や経口負荷試験で再現されなかった。遺伝的構造は小児と成人、FAの定義によって異なり、他のアレルギー疾患との遺伝的重複も認められた。精度の高い統一的なFA定義が必要である。

C-26-7-4食物アレルギー児における不安や偏食に関連したARFID行動➡食物アレルギー児がかかえる食の闇Sahin MK et al. Fear and picky eating-related ARFID behaviors in children with food allergy. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70403. ★

食物アレルギー児117名と健常児117名(2~9歳)を比較し、ARFID(回避・制限性食物摂取症)関連の摂食行動をNIAS-PRで評価した。食物アレルギー児では総スコアが有意に高く、その差は主に「食べ物への恐怖」と「偏食」の項目で認められた一方、「食欲低下」には有意差がなかった。また、蕁麻疹やアナフィラキシーの既往をもつ児では恐怖スコアがさらに高かった。これらの結果から、食物アレルギーでは必要な除去食に加え、アレルギー反応への不安が過度な食物回避や偏食につながる可能性が示された。食物アレルギー児の診療では栄養管理だけでなく、ARFID関連行動や心理的側面も評価し、多職種による支援を検討すべきである。

C-26-7-5食物アレルギー児及び対照児におけるARFIDの頻度➡食物アレルギー児に見られる食行動異常Ciciulla D et al. Prevalence of avoidant/restrictive food intake disorder (ARFID) in children with and without food allergy. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70393. ★

オーストラリアの出生コホート(HealthNuts)の10歳児951名(食物アレルギー102名を含む)を対象に、ARFID(回避・制限性食物摂取症)の有病率を比較した。EDY-Qによる評価では、ARFIDリスクは食物アレルギー児23%、非アレルギー児21%で有意差は認められなかった。一方、この評価法は食物アレルギー特有の「アレルギー反応への恐怖」を捉えられないため、食物アレルギー不安(FAA)を加味すると、アレルギー児のARFIDリスクは32%まで増加した。従来のスクリーニングツールでは食物アレルギー児のARFIDを過小評価する可能性があり、アレルギー反応への恐怖を含めて評価できる新しい診断ツールの活用と、摂食障害症状を示す児への早期介入が重要である。

C-26-7-6牛乳アレルギーにおける小麦除去の焼成牛乳製品の抗原性➡ミルベークは牛乳OITに使える?Naito M et al. Antigenicity of a wheat-free baked milk product in cow’s milk allergy. Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70422. ★

小麦アレルギーを合併する牛乳アレルギー児にも使用可能な小麦不使用ベイクドミルク製品「Milbake」の抗原性を評価した。牛乳、加熱牛乳、スキムミルク粉末(Milkona)、Milbake、通常の小麦入りベイクドミルクを比較した結果、Milbakeは通常のベイクドミルクと同程度にIgE結合能が低下し、牛乳や単なる加熱牛乳より抗原性が有意に低かった。一方、タンパク質の変性様式は通常のベイクドミルクとは異なり、高温焼成による凝集が抗原性低下に寄与すると考えられた。これらの結果から、Milbakeは小麦アレルギーを合併した牛乳アレルギー児に対する経口食物負荷試験(OFC)や経口免疫療法(OIT)の標準化素材として有望であり、今後は臨床試験で安全性と有効性を確認する必要がある。

C-26-7-7アトピー性皮膚炎治療のための健康食による介入:パイロット無作為化比較試験➡食への介入でアトピーが改善?Lim JJ et al. Healthy diet intervention for treating atopic dermatitis: a pilot randomized controlled trial. Clin Exp Allergy 2026; 56: 803-806. ★★

アトピー性皮膚炎(AD)成人を対象に、シンガポールの「My Healthy Plate」に基づく健康的な食事介入の有効性を検討したパイロット無作為化比較試験。57名を食事介入群と通常食群に割り付け、8週間評価した結果、介入群ではSCORADが43.4点から29.0点へ有意に改善し、その効果は介入終了4週後も維持された。一方、皮膚バリア機能、生活の質、薬剤使用量、体格や脂質指標には群間差を認めなかった。介入群では食事の質が向上し、飽和脂肪酸摂取量が減少したが、食事提供終了後は元の食習慣へ戻る傾向がみられた。健康的な食事はAD治療の補助療法として短期的な症状改善に有望である一方、長期的な有効性や持続性を確認するためには、より大規模・長期間の臨床試験が必要である。

C-26-7-8出生時の胎盤を利用した小児アレルギー予測のための第一相前方視試験➡胎盤を使ってアレルギー予防Clifton VL et al. A phase 1 prognostic trial for predicting paediatric allergy using the placenta at birth. Clin Exp Allergy 2026; 56: 748-757. ★

出生時の胎盤における糖質コルチコイド応答遺伝子の発現から、小児アレルギー発症リスクを予測できるかを検討した第I相予後研究。オーストラリアの2つの出生コホート計366例の胎盤を解析し、機械学習モデルを構築した結果、AFF1、ARID5B、IER3、ATF4、SLC19A2が予測に重要な遺伝子として抽出された。最良のランダムフォレストモデルのAUCは0.664と中等度の予測性能を示し、特に将来アレルギーを発症しない児を識別する能力に優れていた。一方、単一遺伝子では十分な予測力は得られず、複数遺伝子の組み合わせが重要であった。胎盤は胎児期環境を反映する有望なバイオマーカー源であり、出生時からリスク児を同定して早期介入につなげる可能性を示したが、臨床応用には大規模コホートでの検証と予測精度の向上が必要。

C-26-7-9人工乳摂取のタイミングと牛乳アレルギー、牛乳感作のリスクHealthNuts研究から➡人工乳いつから始めるべき?Pitt E et al. Timing of exposure to cow’s milk formula and risk of developing cow’s milk formula and risk of developing cow’s milk allergy and sensitization in the HealthNuts study. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 1627-35. ★

出生後早期の牛乳由来ミルク(Cow’s Milk Formula:CMF)への曝露時期と、1歳および6歳時の牛乳アレルギー・感作との関連を、オーストラリアのHealthNuts出生コホート940名を対象に検討。CMF曝露を「曝露なし」「出生1週以内のみの一過性曝露」「出生1週以内から継続曝露」「1週以降3か月以内の曝露」に分類して解析した結果、出生1週以内のみの一過性曝露は、1歳・6歳いずれの牛乳アレルギーや感作リスクとも有意な関連を示さなかった。一方、継続曝露や1週以降の曝露では感作や保護効果を示唆する傾向もみられたが、統計学的根拠は限定的であった。出生直後の一時的なCMF補足が牛乳アレルギー発症リスクを高める明確な証拠は得られなかった。

C-26-7-10アメリカ成人における食物アレルギーの頻度、事例、持続性:縦断的一般集団調査➡成人食物アレルギーの実態Ohayon MM et al. Prevalence, incidence, and persistence of food allergies among U.S. adults: a longitudinal population-based study. Clin Exp Allergy 2026; 56: 795-797. ★★

米国成人15,929名を対象とした縦断的住民調査により、成人食物アレルギーの有病率・発症率・持続性を検討。医師診断に基づく食物アレルギーの有病率は約7%で、約3年間の追跡では新規発症率は年間1.7%、既存患者の65.7%が食物アレルギーを持続していた。女性は男性より発症・持続ともにリスクが高く、喘息、他のアレルギー疾患、ADHD、慢性疾患なども関連因子であった。特に喘息合併例では持続率が高く、食物アレルギーが全身的なアレルギー素因の一部である可能性が示唆された。成人発症食物アレルギーは決して稀ではなく、多くが長期間持続するため、小児だけでなく成人においても継続的な診療と長期管理が重要であると結論づけている。一方、診断は自己申告の医師診断に基づいており、経口食物負荷試験による確認が行われていない点が本研究の限界である。

C-26-7-11経口免疫療法後の持続的脱感作を予測するバイオマーカー➡エピトープ特異的IgEが有用Ni D et al. Predictive biomarkers for sustained unresponsiveness following oral immunotherapy. Clin Exp Allergy 2026; 56: 798-802. ★

食物経口免疫療法(OIT)後に治療終了後も耐性が維持される「持続的無反応(Sustained Unresponsiveness:SU)」を予測するバイオマーカーについて、11の臨床研究(22報)のナラティブレビューとデータ再解析を行った。比較の結果、アレルゲン特異的IgE、特にエピトープ特異的IgE(例:ピーナッツのAra h 2特異的IgE)は、腸内細菌叢やT細胞・好塩基球機能、皮膚プリックテストなど他の指標より高い予測能を示した。また、機械学習を用いてIgEプロファイルを統合したモデルでは極めて高い予測精度(AUC 0.99)が報告された。アレルゲン特異的IgEは臨床で測定しやすく費用対効果にも優れることから、OIT開始前の患者選択や個別化治療に有用な予測バイオマーカーであり、今後は臨床情報や治療経過を組み合わせた予測モデルの開発が重要である。

C-26-6-1オートクレーブされたピーナッツはIgE結合能が低下し、経口寛容を誘導しやすくなる➡熱と圧でピーナッツアレルギーを克服Cohen CG et al. Autoclaved peanuts exhibit reduced immunoglobulin E binding and improved oral tolerability. Allergy 2026; 81: 2133-2144. ★★

ピーナッツを高温高圧でオートクレーブ処理することで、アレルゲン性と臨床反応性が低下するかを検討。生・焙煎・オートクレーブ処理ピーナッツ抽出物を用い、タンパク量、IgE結合、質量分析によるアレルゲン分解を比較した。130℃、2.4気圧、30分の処理により主要アレルゲンAra h 1、Ara h 2は大きく分解され、Ara h 8は完全に分解された。さらに短いペプチド断片が増え、重症アレルギー患者血清のIgE結合は生ピーナッツに比べ74%低下した。41例の皮膚プリック試験でも膨疹径は有意に縮小し、10例の二重盲検経口負荷試験では全例がオートクレーブ処理ピーナッツ444 mgを摂取できた一方、通常ピーナッツでは少量で反応した。より安全な免疫療法素材となる可能性が示された。

C-26-6-2 1~4歳小児において、ピーナッツコンポーネント特異IgEやIgG4は舌下免疫療法によって変動し、寛解と関連しているSingh N et al. Peanut component-specific IgE and IgG4 are modulated by sublingual immunotherapy and are associated with remission in 1-4-year-old children. Allergy 2026; 81: 2089-2102. ★

1〜4歳のピーナッツアレルギー児を対象とした36か月間の舌下免疫療法(SLIT)が、ピーナッツ成分特異的IgEおよびIgG4抗体に与える影響と、寛解との関連を検討。30名の患児についてAra h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 6に対する特異的IgE・IgG4を経時的に測定した結果、SLITによりIgEは有意に低下し、IgG4は増加した。一方、プラセボ群ではIgEの変化は認められなかった。特に治療後に寛解を達成した児は、治療前から各成分に対するIgE値が低く、IgG4値も低い傾向を示した。またAra h 2特異的IgG4は寛解群のほうが非寛解群より低く、寛解予測バイオマーカーとなる可能性が示唆された。さらに3歳未満の児は3歳以上より寛解率が高く、特定の抗体値も低かった。以上より、ピーナッツSLITは幼児期の免疫応答を変化させて寛解を促進し、成分特異的IgE・IgG4測定が治療効果予測に有用である可能性が示された。

C-26-6-3鶏卵早期摂取推奨ガイドラインの前後における鶏卵アレルギーの頻度➡オーストラリアでも減っていたKoplin JJ et al. Egg allergy prevalence before and after guidelines for earlier egg introduction. JAMA Pediatrics published online June 8, 2026. ★★★

オーストラリアで2016年に導入された「乳児期早期(生後6か月頃まで)の鶏卵摂取を推奨する食物アレルギー予防ガイドライン」が、実際の鶏卵アレルギー有病率に与えた影響を検討。著者らは、ガイドライン改訂前(2007~2011年、5276人)と改訂後(2018~2019年、1933人)の1歳児集団を同一手法で比較した。その結果、卵の導入時期の中央値は8か月から6か月へ早まり、生後6か月までに卵を摂取した乳児の割合は25.4%から57.3%へ増加した。既知のアレルギー危険因子を調整した解析では、鶏卵アレルギー有病率は9.2%から7.6%へ有意に低下し、相対的に約18%の減少が認められた。特に早期湿疹を有する高リスク児では34.6%から21.9%へ大幅に減少した。一方、湿疹のない児では明確な変化はみられなかった。以上より、早期卵導入ガイドラインは、地域社会で十分に普及すれば、集団レベルで鶏卵アレルギーの発症を減少させる可能性が示された。

C-26-6-4FPIESと診断された小児におけるシンバイティックな腸内細菌の消失➡腸内細菌の乱れがFPIESと関連?Winberg A et al. Loss of symbiotic gut bacteria in children at diagnosis of food protein-induced enterocolitis syndrome. J Allergy Clin Immunol 2026; 157: 1355-64. ★★★

スウェーデンのFPIES患児56名と年齢を一致させた健常児43名を対象に、診断時の便サンプルを16S rRNA遺伝子解析で調べ、腸内細菌叢を比較した。その結果、FPIES児では腸内細菌叢の構成が健常児と有意に異なり、とくに乳児期の代表的な共生菌であるBifidobacterium(ビフィズス菌)および腸管バリア機能維持に重要なVerrucomicrobiotaが減少していた。一方で、Bacteroides、Haemophilus、Veillonellaなどの菌は増加していた。年齢は腸内細菌叢を規定する最大の因子であったが、FPIESそのものも独立して細菌叢に影響していた。また、多くの原因食物はVerrucomicrobiotaの減少と関連していた。これらの変化は帝王切開分娩や抗菌薬使用だけでは説明できず、FPIES特有の腸内細菌異常(ディスバイオーシス)を示唆した。著者らは、ビフィズス菌やAkkermansia属菌の減少が腸管バリア機能や免疫寛容の形成を妨げ、FPIESの病態形成に関与する可能性を指摘している。今後は縦断研究やメタゲノム解析を通じて因果関係を解明し、腸内細菌を標的とした予防・治療法の開発につながることが期待される。

C-26-6-5親が報告する早期からの持続したアレルゲン食品の摂取に対する障壁と促進要因:複数の方法による系統的なレビュー➡早期摂取を拒む6つの要因Su AYX et al. Parent-reported barriers and facilitators to early and sustained feeding of allergenic foods: a mixed-methods systematic review. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 1399-412. ★

「乳児期に卵・ピーナッツ・牛乳・小麦などのアレルゲン食品を早期導入し、その後も継続的に摂取することを推奨する。」というガイドラインに対して、保護者が感じる障壁(バリア)と促進要因(ファシリテーター)を体系的に検討した混合研究法のシステマティックレビュー。2008~2024年の文献を検索し、4,898人の保護者を対象とした9研究を系統的に解析した。その結果、主な障壁として(1)アレルギー反応への不安や恐怖、(2)調理や継続摂取に伴う時間的・生活上の負担、(3)乳児の食べ嫌い・拒否や体調上の問題、(4)専門医へのアクセス不足や医療者からの不十分または矛盾した助言、(5)早期導入ガイドラインへの懐疑的態度、の5つが抽出された。特に「アレルギー反応が起こるのではないか」という不安が最も頻繁に報告された。一方、促進要因としては、医師やアレルギー専門医からの助言、教育資料の提供、アレルゲン食品の安全な与え方に関する情報などの「教育的・医療的支援」が挙げられた。著者らは、保護者・乳児・医療システムの各レベルに存在する障壁がガイドライン遵守を妨げていると結論し、実践的で分かりやすい情報提供や医療支援体制の強化が、食物アレルギー予防のための早期・継続摂取を促進するために重要であると述べている。

C-26-6-6オーストラリアの乳児食物アレルゲン導入ガイドラインへの遵守:乳児期の食生活に影響する因子➡いかにして正しい情報を伝えるか?Odoi A et al. Adherence to Australian infant food allergen introduction guidelines: factors influencing infant feeding practices. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 1416-29. ★

2016年に改訂されたオーストラリアの乳児向け食物アレルギー予防ガイドラインへの遵守状況と、その影響要因を調査。メルボルンの1,699名の乳児(11~15か月齢)を対象に、アレルゲン食品導入時期や保護者が受けた育児・栄養指導を解析した。その結果、99%の家庭が何らかの離乳食指導を受けており、その多くは正確な内容であった。正確な指導を受けた家庭では、ピーナッツ、卵、木の実、乳製品を推奨時期(生後4~11か月)に導入する可能性が有意に高かった。特に母子保健看護師(Maternal Child Health Nurse)からの助言は、適切なアレルゲン導入を促進する重要な要因であった。一方で、親が海外出生である家庭では指導の受領率や正確性が低い傾向がみられた。地域保健サービスによる情報提供がガイドライン普及に大きく影響しており、今後は文化的・言語的背景に配慮した支援の充実が必要である。

C-26-6-7大変だが、間違いなくやりがいあり!保護者にとっての生後早期からの経口免疫療法の体験に関する混合研究法による調査➡親への配慮も必要Barten LJC et al. Demanding, but definitely worth it! A mixed-methods study on parental experiences with early-life oral immunotherapy. Pediatr Allergy Immunol 2026: 37: e70366. ★

3歳未満の食物アレルギー児に対する早期経口免疫療法(eOIT)について、保護者の視点から評価した混合研究法(量的・質的研究)による調査。124人の子ども(189件のアレルギー治療)を対象に調査した結果、保護者の不安は比較的低く、治療継続率は高かった(遵守率約95~97%)。また、多くの保護者が治療を日常生活に組み込みやすいと評価した。

一方、フォーカスグループ調査では、(1)治療への希望、(2)精神的負担、(3)投与継続の実務的困難、(4)医療者の支援の重要性、(5)治療機会への感謝、という5つの主要テーマが抽出された。保護者は、アレルギー改善への期待から治療に対するモチベーションは高かったが、副反応への不安や毎日の投与管理による大きな心理的負担を経験していた。総じて、eOITは保護者にとって「負担は大きいが、それだけの価値がある治療」と認識されていた。著者らは、治療成功のためには家族中心のケア、十分な教育、実践的指導、心理社会的支援、そして医療者へのアクセスのしやすさが重要であるとしている。

C-26-6-8単独または複数の食物経口免疫療法施行中の好酸球性食道炎の発生➡OIT中の消化器症状は要注意Buckey TM et al. Eosinophilic esophagitis incidence during single and multiple food oral immunotherapy. Ann Allergy Asthma Immunol 2026; 136: 693-698. ★

食物アレルギーに対する経口免疫療法(OIT)中に発症する好酸球性食道炎(EoE)の頻度を後ろ向きに検討。米国CHOP病院で2018~2024年にOITを受けた1200人の小児を解析した結果、消化器症状からEoEが疑われた51人のうち8人がEoEと診断され、新規発症率は0.7%であった。単一食品OITと複数食品OITでEoE発症率に差は認められなかった。EoE患者では、嚥下障害、食物つかえ感、体重減少、持続する悪心など、より多くかつ重い消化器症状がみられた。従来EoEの原因食品とされる牛乳・小麦・大豆のOITではEoEは認められず、ピーナッツと卵で消化器症状が多かった。OITそのものがEoEを誘発する場合もあるが、多くは治療前から潜在的に存在していたEoEが発見された可能性がある。治療開始前および治療中の綿密なスクリーニングと症状モニタリングにより、EoEの早期発見と安全なOIT実施が重要である。

C-26-5-1実臨床におけるオマリズマブ投与後の経口食物負荷試験➡実臨床での有効性を確認Tseng H et al. Oral food challenges after treatment with omalizumab in the clinical setting. J Allergy Clin Immunol Pract 2026; 14: 1142-52. ★★

食物アレルギー患者に対する抗IgE抗体オマリズマブ投与後の経口食物負荷試験(OFC)の実臨床成績を後ろ向きに検討。51例73件のOFCを解析した結果、牛乳・卵・小麦を中心に、多くの患者で高用量の食物摂取が可能となり、6000mg以上を目標とした試験では66%がクリアした。副反応は45%にみられたが、多くは軽症で、アドレナリン投与を要したのは2例のみであった。また、92%の症例でアレルゲン食品の食事導入が許可された。治療反応性は総IgE値高値、2週毎投与、体重当たり投与量高値、アレルゲン特異的IgE/総IgE比低値、と関連していた。実臨床でもオマリズマブは食物アレルギー治療に有効であり、患者の食事制限緩和に寄与する可能性が示された。

C-26-5-2母乳栄養は若年成人期に至るまで、喘息やIgE感作と逆相関している➡母乳効果成人までKull I et al. Breast-feeding is inversely associated with asthma and IgE sensitization up to young adulthood. J Allergy Clin Immunol 2026; 157: 1052-60. ★★

母乳栄養と喘息やIgE感作との関連を出生コホート研究で24歳まで追跡。スウェーデンの3919人を対象に解析した結果、4か月以上の完全母乳栄養は、24歳までの喘息リスク低下(調整オッズ比0.75)およびIgE感作低下(同0.82)と関連していた。特に喘息との逆相関は12歳頃まで有意で、持続性喘息やアレルギー性喘息で顕著だった。一方、思春期以降に発症する喘息との関連は認められなかった。また、乳児期早期の湿疹や喘鳴を除外すると関連はさらに強まった。著者らは、母乳栄養が免疫成熟や腸内細菌叢に影響し、アレルギー疾患予防に寄与する可能性を指摘している。

C-26-5-3致死的食物アナフィラキシーにおける現場での救護:全国規模の症例分析➡死亡例を振り返るCoveney J et al. Prehospital care in fatal food anaphylaxis: a nationally representative case series. Clin Exp Allergy 2026; 56: 550-552. ★★

英国のNational Child Mortality Databaseを用いて、小児の致死的食物アナフィラキシー19例を解析し、病院前救護の実態を検討した症例集積研究。全例で症状は病院外で発症し、多くは自宅や公共の場であった。心停止は全例で病院到着前に発生し、初回救急要請時には32%が、救急隊到着時には79%が心停止状態であった。症状出現から心停止までの中央値は14分と極めて短く、74%では心停止前のアドレナリン筋注が0〜1回にとどまっていた。アドレナリン自己注射器を携帯していなかった事例も多く、迅速な認識と早期アドレナリン投与、さらに病院前対応体制の強化が重要である。

C-26-5-4小児における食物開始のタイミングと食物関連アレルギー症状:エコチル研究からのエビデンス➡原因か?結果か?Nakatsu H et al. Timing of food introduction and food-related allergic symptoms in childhood: evidence from the Japan environment and children’s study (JECS). Pediatr Allergy Immunol 2026; 37: e70368. ★

エコチル調査(JECS)の約6万4000人を対象に、離乳食開始時期と食物アレルギー症状・特異的IgE抗体との関連を検討した全国出生コホート研究。卵、牛乳、小麦を13か月以降まで摂取していない児では、保護者報告による食物アレルギー症状の頻度が有意に高く、特に小麦ではオッズ比26.69と強い関連を示した。また、卵や牛乳の摂取開始が遅い児では、2〜6歳時点で卵白・オボムコイド・牛乳特異的IgE値が高値であった。一方、果物、甲殻類、そば、ピーナッツでは明確な関連は認められなかった。但し、観察研究であり因果関係は断定できない。

C-26-5-5アトピー性皮膚炎小児においてデュピルマブ投与は非病変部、病変部両方の上皮バリア機能を修復する➡湿疹のないところにも効くCork MJ et al. Dupilumab treatment restores epithelial barrier in nonlesional and lesional skin in children with atopic dermatitis. Ann Allergy Asthma Immunol 2026; 136: 558-564. ★

中等症〜重症のアトピー性皮膚炎(AD)を有する6〜11歳児に対するデュピルマブ治療が、皮膚バリア機能へ与える影響を第4相試験で検討。23例のAD患児と18例の健常児を比較し、経皮水分蒸散量(TEWL)や光干渉断層法(OCT)による表皮厚を非侵襲的に評価した。その結果、デュピルマブ投与16週後には病変部・非病変部ともにTEWLと表皮肥厚が有意に改善し、健常皮膚に近い状態まで回復した。さらに、かゆみ、痛み、EASIスコア、生活の質も改善し、その効果は28週まで維持された。以上より、デュピルマブは小児ADにおいて炎症抑制だけでなく皮膚バリア修復にも寄与し、アトピーマーチ進展が予防できる可能性が示唆された。

C-26-5-6牛乳アレルギー乳児における血中マイクロRNAや制御性サイトカインの発現プロファイルの違い➡寛解の新たなマーカーになるか?Lorez-Gomez R et al. Differential expression profile of circulating microRNAs and regulatory cytokines in infants with cow’s milk allergy. Clin Exp Allergy 2026; 56: 585-588. ★★

IgE依存性牛乳アレルギー(CMA)乳児における血清中microRNA(miRNA)とサイトカインの発現変化を解析し、免疫寛容獲得との関連を検討。CMA患児16例を対象に、6か月間の牛乳除去食前後で血清miRNAおよび免疫関連タンパク質を測定した。その結果、miR-200b-3p、miR-223-3p、miR-340-5pが寛容獲得と関連し、特にmiR-340-5pは非寛容群で高値を示した。また、寛容群ではIL-10やIKBKGなど制御性免疫応答に関わるサイトカインの増加傾向が認められた。これらの結果から、特定のmiRNAやサイトカインが牛乳アレルギーの病態や寛容化を反映する非侵襲的バイオマーカーとなる可能性が示唆された。

 

お問い合わせ

総合病院    

電話番号:077-582-5031

ページ上部へ