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しが ∞ モノ語り(広報誌プラスワン 平成31年(2019年)1・2月号 vol.177)

-湖国に伝わる文化を読む。-

鮒ずしと発酵文化(高島市)

遠藤周作のエッセイ集『万華鏡』には、遠藤の雅号「狐狸庵」にちなんで、「湖里庵」と名づけられた高島市マキノの料亭が登場します。
おいしい鮒ずしを求め来訪した遠藤は、滋味あふれる鮒ずしと、マキノから見た琵琶湖の風景に深い愛着を持ち、東京から何度も足を運びました。
高島でも、古くから鮒ずしをはじめとする発酵食が盛んに作られてきました。夏の暑さと冬の厳しい寒さが、独特の深い味わいを育みます。
素材はニゴロブナと米と塩。乳酸菌の力で発酵させます。冷蔵の技術がない時代に、食材を大切にする先人の知恵が生んだ郷土食です。

受け継いだ伝統を次世代に伝えていきたい

魚治 七代 治右衛門左嵜 謙祐さんTEL : 0740-28-1011住所 : 高島市マキノ町海津2304(本店)HP :
HP : http://uoji.co.jp/(外部サイトへリンク)※湖里庵は現在休業中

「菌の時間」で考える

鮒ずしの味を決めるのは、蔵に棲む乳酸菌です。乳酸菌を守るため、雑菌を持ち込まぬよう蔵に入るのは当主の私一人です。高島の気候は発酵食に適し、夏の暑さで発酵が進み、冬には雪が降ることで菌が落ち着き、低温熟成できるのです。人の都合ではなく「菌の時間」を大切にすることを心がけています。
鮒ずしは家庭でも作れるもの。気温が大きく変動しても、毎年同じ味に仕上げるのが職人の仕事だと考えています。

物語の地をたずねて

「湖里庵」から望む海津大崎は、遠藤周作が愛した風景。海津西浜の湖岸には石積みが残り、国の重要文化的景観に選ばれている。

滋賀の発酵食の奥深さに魅了されて

美食倶楽部料理家たやまさこさんは高島生まれで幼少から発酵食に馴染みがあるとのこと。発酵食は消化・吸収しやすく、免疫力向上や腸内環境を良くする効果があり、「もっと発酵を家庭に取り入れてほしい」との想いから、甘酒や塩麹を使った発酵料理の販売や料理教室、「ここ滋賀」などで滋賀ならではの「発酵のある暮らし」を提案。「鮒ずしやへしこだけでなく、醤油や酢・味噌も発酵食品。水が良い滋賀には、体に良い食材がたくさんあるんですよ!」

美食倶楽部住所:高島市安曇川町田中47-16TEL:090-9054-0446

高島トピックス

針江生水の郷

湧き水の豊富な地域である針江。集落を巡る水路や、湧き水を各々の家庭で使用するための「川端(かばた)」が見られる。

乙女ヶ池

かつては「水城」であった大溝城の景観を伝える、琵琶湖の内湖。大溝の水辺景観として日本遺産に登録されている。