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しが ∞ モノ語り

-湖国に伝わる文化を読む。-

楽器糸(長浜市)

「この村は、むかしから、桑を植え、蚕を飼って、家々で繭をとって、糸とりします。この糸が、なんと、よそでとれる糸とちごうて…(略)…三味線や琴の糸にもってこいの、シンの強い糸になりますねや。」

水上勉は小説『湖の琴』で、長浜市木之本で作られている楽器糸について、三味線の名手に語らせています。

『湖の琴』は賤ヶ岳や余呉湖の美しい風土を背景に、大正時代の糸とり女工と糸作り職人の悲恋を描いた作品です。舞台である木之本は良質の生糸がとれ、清らかな水に恵まれたため、古くから楽器糸作りが盛んでした。小説で描かれた糸作りの伝統は、今も大切に受け継がれています。

音色を支える糸づくり

橋本 英宗さん 伝統を活かしつつ時代に合った音を目指します。

丸三ハシモト株式会社
橋本 英宗さん
TEL : 0749-82-2167
住所 : 長浜市木之本町木之本1427
HP: http://www.marusan-hashimoto.com/(外部サイトへリンク)

現在、和楽器糸の製造元は全国で7軒。そのうち4軒が滋賀にあります。湖北で楽器糸作りが盛んになったのは、賤ヶ岳の麓で、弾力があり丈夫な生糸がとれたからです。この生糸を用い、楽器糸を作っています。糸の音色は生糸の質、糸の撚り方、糸に染みこませる糊の濃度、乾燥させるときの張り方などで違ってきます。伝統的な独楽撚りで作ると、自然な撚りがかかった三味線糸になり、深い余韻のある音が出るんです。

物語の地をたずねて

『湖の琴』の舞台となった余呉湖は、天女の羽衣伝説が残る神秘の湖。湖面が鏡のように静かで「鏡湖」とも呼ばれている。

みんなで楽しみながら次の世代へ 木之本町邦楽器原糸製造保存会

木之本の大音で、今も楽器糸の生糸を作っているのは佃三恵子さんの工房ただ一軒。「繭は一つずつ個性があり糸とりが難しいのですが、きれいに糸をたぐることができると、楽しさを感じます」と話す佃さん。鍋で煮た繭から手で糸をたぐる伝統的な糸のとり方「座繰り」の技を、次の世代へ伝えようと奮闘しています。国産の糸にこだわりたいと、5年前、地域の人に声をかけ、まずは蚕の飼料となる桑の栽培を始め、養蚕を復活させました。

木之本町邦楽器原糸製造保存会
住所:長浜市木之本町大音975
FAX:0749-82-2935

木之本トピックス

北国街道木之本宿の町並み

北国街道の宿場町、木之本地蔵院の門前町として栄えた木之本。宿場町の風情を伝える本陣跡の薬局や造り酒屋など古い町並みが残り、散策が楽しめる。

木之本地蔵院

境内では秘仏である本尊を模した、約6メートルの地蔵菩薩銅像が参拝客を出迎える。眼にご利益のある菩薩として信仰を集めている。

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