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誰の命も等しく尊いものであり輝いている

~共生社会の実現に向けて~

今年7月、神奈川県相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件は私たちに大きな衝撃を与えました。誰もが暮らしやすい共生社会とは? 事件後声明を発表した「全国手をつなぐ育成会連合会」会長の久保厚子さんと三日月知事に語り合っていただきました。

全国手をつなぐ育成会 連合会会長 久保 厚子さん 滋賀県知事 三日月 大造

「前向きに生きて」を届けたい

久保 厚子さん

全国手をつなぐ育成会連合会会長久保 厚子さん2014年に知的障害者と家族らでつくる同会会長に就任。社会福祉法人「しが夢翔会」理事長として障害者施設運営に携わる。大津市在住。


三日月

滋賀県は糸賀一雄※先生の思想を大切に、「すべての人に居場所と出番のある共生社会」の実現を目指し取組を進めています。こうした中、今回の事件が起こったわけですが、事件後、迅速に声明を出された意図をお聞かせ願えますか。

久保

事件当日に、会として対外的な声明を発表しましたが、その検討をしている最中にも、本部あてに「怖い」「私たちはどう生きていけば良いのか」「隣にいる支援者を僕は信じていいのだろうか」などといった当事者や家族からの電話やファクスが寄せられ、もっと当事者や家族が前向きにならなければと思いました。そこで、「大丈夫だから、今までどおり前向きに堂々と生きてください。支えますからね」という、今度は障害のある皆さんに向けたメッセージを発信したんです。

“世の光”としての存在

三日月

同様の事件が起こらないように、私たちは障害のある人たちの生活や活動、働きなど原点に帰って考えるべきです。障害のある人から我々が教えられることや学ぶこととはなんでしょう?

久保

容疑者の「障害者はいないほうがいい」との考え方に同調するメールなどもいただきましたが、とんでもない。彼らの存在は、社会の中に障壁がいかに多いかを気付かせてくれます。支援の方法を身をもって教えてくれているのです。そのことで社会が変わり、すべての人の暮らしやすさにつながります。また、その人だからこそ、周りを和やかにできたり。糸賀先生の言葉に「この子らを世の光に」という言葉がありますが、まさに社会をより良いものにしていく道しるべとしての光なのです。

三日月

光っている障害のある人は数多くおられる…いや、みんなそうなのだと思います。今回のパラリンピックに滋賀からも出場されましたが、その方々の活躍はもちろん、障害者アスリートの方々、一心に働く知的障害のある方々、県育成会の本人の会の皆さん、様々な人に心を動かされます。

久保

どんなに重い障害があっても、それぞれ得意分野があり、どの人も光を持っています。一人ひとりがかけがえのない大切な存在なのです。

三日月

「この子らを世の光に」という言葉は、県民として大切にすべき言葉、理念だと考えています。障害のあるなしにかかわらず、すべての人が光となる、そんな社会づくりを進めたいと考えています。

※糸賀一雄(1914~1968)

日本の障害者福祉の第一人者として知られる。1946年に障害児入所施設「近江学園」を創設。

共に学ぶ

久保

私には重い知的障害のある長男がいます。保育園ではみんなが本当に分け隔てなく一緒に遊んでいたのですが、成長するにしたがって共に学び、共に過ごす場がなくなり、気持ち的にも距離ができてしまいました。

三日月

障害のある人が地域社会とつながりを持ち続けるって大切なことですよね。滋賀県では、障害のある子どもとない子どもが同じ場で学び合う仕組み、例えば、地域の小中学校と特別支援学校の両方に籍を置くといったことができないか研究を始めました。言葉だけではなく、一緒にいる、一緒に学ぶことで、お互いが分かり合い共に暮らす社会へとつながるものと確信しています。

共に生き、共に暮らす社会に

久保

誰でも得意・不得意ってありますよね。得意なことを伸ばすことで、その人の社会が広がり、できなかったことができるようになることもあります。そのことが社会への一層の参加につながり、その人なりの形で自立していけます。県民の皆さんには、お互い得意分野を活かしながら、共に支え合い、共に歩んでいただければうれしく思います。

三日月

みんながそういう心持ちで動いていける社会は、誰にとっても居心地良く優しい社会ですよね。今、県では、そのような共生社会の実現に向けて、障害者差別解消の条例を検討しています。当事者やご家族の皆さんと十分に議論を積み重ねる過程で、様々なご意見をしっかりと受け止め、それらを皆さんと共有しながら、納得感と滋賀らしさのある条例の制定に向け頑張ります。

久保

みんな期待していると思います。すべての人に少し意識していただくことで、社会は変わってくると思います。

障害のある人の活動レポート 自分でやれることはやる! 自分らしく輝くために

自分らしく輝くために

しが本人の会なかよし会 会長中村 一冶さん

障害者本人が主体となって活動する「しが本人の会なかよし会」。育成会全国大会が滋賀で行われた際、実行委員だったメンバーを中心に平成22年に発足した会です。会長の中村一治さんに、その活動内容やふだん感じていることなどをお聞きしました。

私たちの会は、現在県内に8グループあり、ふだんは各地域でレクリエーションや旅行、ボランティア活動などを行っています。実行委員会は年に4回。「県大会本人大会」や「本人の会交流会」を開催するための企画や運営について話し合っています。本人大会では悩みや要望を決議文として発表します。その内容は「できないことを助けてもらいながら、できることは自分たちでやろう」という気持ちを込めてひとつずつみんなで考えたもの。私たちのこのような活動を多くの方々に知ってもらいたいです。また、「本人の会」への参加も待っています。

今私は、一般の会社で働いています。いろいろ大変なこともありますが、どうしたら働きやすくなるか、職場の人と相談しながら頑張っています。他の人にも、自分は自分らしく輝いてほしいと思います。また、皆さんには障害者のことをできるだけ知ってもらい、その人に合った方法で接してほしいです。

来年3月5日に交流会を予定しています。障害のあるなしに関わらず多くの人に来てもらえるとうれしいです。

「こんにちは!三日月です」で、知事に「しが本人の会なかよし会」の取組を知ってもらいました。
「本人の会交流会」に向け、自分たちで会議を進行します。
お問い合わせ
知事公室 広報課 県庁障害福祉課
電話番号:077-528-3542
FAX番号:077-528-4853
メールアドレス:ec00@pref.shiga.lg.jp