ふれあいプラスワン/映画は人権を考える身近なツール

「キクとイサム」公開から50年 映画は人権を考える身近なツール

1959年に公開された映画「キクとイサム」は、戦後の日本が抱える問題を取り上げて絶賛を博しましたが、9月11日に開催した「じんけんフェスタしが2010」でもこの映画を上映し、高い評価を得ました。
今回、この映画に製作スタッフとして参加された角沙門さんとイサム役で出演された奥の山ジョージさん(ともに草津市在住)にお話を伺いました。

キクとイサム
©独立プロ名画保存会

「キクとイサム」あらすじ

会津磐梯山の麓の寒村を舞台に、進駐軍の黒人米兵と日本人との間に生まれた姉弟キク(高橋恵美子)とイサム(奥の山ジョージ)、そして母方の年老いた祖母しげ子(北林谷栄)の暮らしを描いた物語。12歳のキクと9歳のイサムは、肌が黒いためにいじめられることもあったが、元気に学校に通い、祖母の畑仕事を手伝いながら暮らしていた。あるとき、イサムがアメリカに養子に行くことになった。涙の別れの末、引き離された姉弟。以後キクは孤独を感じるようになった。ある日、キクは子守をしていた近所の赤ん坊をトラックの荷台に置き忘れ、祖母に叱られる。この一件をきっかけにキクはある決意をする…。

角沙門さん写真
角沙門さん
奥の山ジョージさん写真
奥の山ジョージさん

――お二人がこの映画に参加されたきっかけは

  • 映画館を経営していた私の父である角正太郎が、映画を作りたいという思いから、出資を通じて映画製作に関わっていく中で、ちょうど学校を卒業したばかりの私も撮影助手として参加することになりました。

――撮影後、暮らしに変化はありましたか

  • 撮影が終わると、様々な事情によりジョージを父が引き取って草津で一緒に暮らすことになりました。ジョージは、草津という全く知らない所に来ることになり、寂しかったのではないかと思います。

――上映された当時多くの賞を受け、現在も映画を上映すると高い評価を受けているとか。この作品のどの部分が時代を超えて人々をひきつけているのでしょうか。

  • 人々をひきつけているのは、基本的には映画の内容であり、作り手のこだわりが詰まった出来栄えだと思います。 当時は、朝鮮戦争で米兵との間に生まれた子どもがたくさんいました。そういう事実をしっかりと社会に伝えたいという製作者の思いがあったと思います。 しかし、この映画はそういった社会問題をストレートに訴えるのではなく、家族間の愛なども取り上げて、問題をやわらかく包み込んでいるような気がします。それがこの映画のよさではないかと思います。

――映画を通して、人権や社会問題を考えるということは、50年前も今も変わっていないのでしょうか

  • 第82回アカデミー賞作品賞を受賞した「ハート・ロッカー」もイラク戦争の問題点を浮き彫りにした作品でした。そういう作品が受賞したというのは、今の時代への警鐘とも言えるのではないでしょうか。 このように映画は、映像、音楽、台詞などによって、視覚と聴覚に訴えかけるのでわかりやすいと思います。人権や社会問題について考えるのに身近なツールだと思います。

これまでに”じんけんフェスタしが”で上映した映画

「キクとイサム」の他にも、じんけんフェスタしがではこれまで様々な人権をテーマとする映画を上映してきました。レンタルビデオ・DVDなどで観ることができる映画もありますので、人権について考えるきっかけとして、ぜひ一度ご覧ください。

  • 運動靴と赤い金魚
    少年アリは妹ザーラの靴を買い物の途中で失ってしまう。親にも言えず、兄の靴一足しかない兄妹はそれを共有することに。ある日、小学生のマラソン大会で3等の賞品の運動靴を狙ってアリは必死に走るのだった…。第22回モントリオール国際映画祭グランプリ受賞、アカデミー外国語映画賞ノミネート。1997年。
  • トントンギコギコ図工の時間
    東京都品川区立第三日野小学校の図工室を舞台に、子どもたちが自由に想像してモノをつくる、キラキラ輝く宝の時間を描いたドキュメンタリー映画。文化庁文化記録映画優秀賞受賞、2004年度キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門第3位。2004年。
  • 最高の人生の見つけ方
    ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン主演。自動車整備工と大金持ちの実業家、入院先の病院で相部屋となったことがきっかけで知り合った2人はともに末期ガンであることが判明。死を意識した初老男性2人の希望に満ちた余生を描く人間賛歌。2007年。
キャッチコピー「母なる湖・琵琶湖。-あずかっているのは、滋賀県です。」