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滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会の答申(答申(情)第2号)について

 滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会(会長 横田 光平)は、滋賀県知事(以下「実施機関」という。)が行った公文書非公開決定に対する審査請求について、実施機関から諮問を受けておりましたが、本日、実施機関に対して次のとおり答申しましたのでお知らせします。

1 諮問案件

答申(情)第2号(諮問第150号)

 「特定の事業者の不法投棄、不適正処理に関する一切の情報等」の公文書非公開決定に対する審査請求

2 審査会の結論

 実施機関は、請求1(特定の事業者の不法投棄、不適正処理に関する一切の情報)に対して行った処分を取り消すべきである。

3 担当所属

 

・琵琶湖環境部環境政策課(TEL 077-528-3350)(裁決担当課)

・琵琶湖環境部循環社会推進課(TEL 077-528-3670)(主務課所)

4 審査請求人

三重県在住の方

5 事案の概要(審査請求の対象部分)

(1)公開請求の内容

 特定の事業者の不法投棄、不適正処理に関する一切の情報(行政指導、改善命令、措置命令)【請求1】

(2)実施機関の決定

ア 請求1の類型化

類型1 特定の法人の不法投棄、不適正処分の疑いに係る通報、調査等に関する情報(事実が判然としていない疑いの段階の情報)
類型2 特定の法人の不法投棄、不適正処分に係る行政指導に関する情報(事実関係が確定し、自主的な是正を指導する段階の情報)
類型3 特定の法人の不法投棄、不適正処分に係る改善命令、措置命令に関する情報(自主的な是正が見込めず、行政処分を行う段階の情報)

イ 決定の内容

類型1 対象文書の存否を明らかにしない(対象公文書の存否を明らかにすると、特定の法人による不法投棄や不適正処分があったかどうかや、県が特定の法人に対して調査を行っているか否かが明らかとなり、違反行為の有無にかかわらず、いかにも当該法人が不法投棄等を行っているかのような印象を県民等に与え、条例第6条第2号アに掲げる当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため)
類型2 対象文書の存否を明らかにしない(対象文書の存否を明らかにすると、特定の法人が行政指導を受けた事実の有無が明らかとなり、当該法人の取引上の信用、評価、名誉等、条例第6条第2号アに掲げる法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、かつ、行政指導によって基準への適合や是正等が自主的に行われることが見込まれる状況においては、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益の保護に優先して、人の生命、健康、生活または財産を保護するため公にする必要があるとまでは言えないため)
類型3 不存在(対象文書を保有していない)

※本件審査請求の対象は類型1および類型2である。

(3)審査請求の趣旨
 本件処分(類型1、類型2)を取り消すとの決定を求める。

6 審査会の判断の要旨

(1) 類型1の情報に関する存否応答拒否処分について

 実施機関は、類型1の情報について、対象公文書の存否を明らかにすれば、特定の法人による不法投棄や不適正処分があったかどうかや、通報、調査等があった事実の有無が明らかになることによって、いかにも当該法人が不法投棄等を行っているかのような印象を県民に与え、法人の社会的評価を損なうおそれがあり、条例第6条第2号アに該当する非公開情報の保護利益が害されると主張している。
 確かに、一般的に、特定の法人の関与の事実が判然としない段階でこうした情報を明らかにすれば、いかにも当該法人が不法投棄等を行っている可能性が高い印象を県民等に与え、当該法人の社会的評価を損なうおそれがあることが考えられる。
 しかしながら、当初審査請求後に審査請求人とは別の者が行った公文書公開請求では、当初審査請求後に作成された文書と思われるが、「○○○○採石場の不法投棄通報にかかる今後の対応について(協議記録)(平成29年2月6日付)」といった当該法人の名称を冠した複数の文書が特定され、一部公開決定がされていることが認められる。これらの文書は本件公開請求時点では作成されていないものであり、また、本件公開請求の内容である「○○○○の不法投棄、不適正処理」とは対象文書の指し示す内容が異なると考えられるものであるが、「○○○○」、「不法投棄」という文字については共通している。
そして、本件処分時においては、こうした事情を加味して判断を行うこととなるが、既に、実施機関として前述のような文書を特定して決定を行っていることからすると、類型1の情報の存否を明らかにすることによって、実施機関が主張するような当該法人の社会的評価を損なうおそれは必ずしも高くはないと考えられるから、「通報、調査等」が行われた事実の有無が明らかになること自体は条例第6条第2号アには該当しない。
したがって、実施機関が、類型1の情報について、その存否について応答を拒否したことは妥当ではない。

(2) 類型2の情報に関する存否応答拒否処分について

実施機関は、類型2の情報について、対象公文書の存否を明らかにすれば、特定の法人の不法投棄、不適正処分に関して、当該法人が行政指導を受けた事実の有無が明らかとなることで当該法人の取引上の信用、評価、名誉等が損われるおそれがあることから、条例第6条第2号アに該当する非公開情報の保護利益が害されると主張している。
そもそも、行政指導とは、「県の機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの(行政手続条例(平成7年滋賀条例第40号)第2条第7号)」と定義されている。また、行政指導は県行政の様々な局面において実施されており、相手方の任意の協力により実現されるものであって、その範囲は、助言程度のものから、例えば、法令上不利益処分を行う前に行われる改善勧告のように行政処分と要件を同じくするものまで多種多様で幅広いものとなっている。
そのため、単に、行政指導の事実があったことのみをもって直ちに条例第6条第2号に該当するとは言えないが、一方で相手方の法人を特定して、例えば、行政処分と要件を同じくする規制的な行政指導に係る文書を請求対象文書とする公開請求が行われた場合、対象公文書の存否を明らかにすることで、そのような行政処分に近い行政指導を受けた事実の有無が明らかとなるため、当該特定法人の取引上の信用、評価、名誉等が損なわれるおそれがあり得る。
そこで、本件公開請求の内容をみると、「○○○○の不法投棄、不適正処理に関する一切の情報(行政指導、改善命令、措置命令)」とあることから、ある程度内容が特定された行政指導とみることもできる。しかし、「○○○○の不法投棄、不適正処理」との文言は特定されているものの、「に関する一切の情報」とあることからは、多様な内容がそこに含まれ得ることが読みとれるのであり、上記のように一般に行政指導が多種多様であることも考え合わせると、行政処分に近い行政指導を受けた事実の有無が明らかになるなど、対象公文書の存否を明らかにすること自体が条例第6条第2号の規定に反することになるとはいえない。
そして、存否応答拒否の趣旨は、当該案件につき存否応答拒否をしないことにより、他の同種案件につき存否応答拒否をする必要がある場合に存否応答拒否をしたとしても、文書の存否が明らかになってしまうことを防ぐ点にあるところ、仮に○○○○とは異なるA社に関し「A社が不法投棄、不適正処理をしたことに対する行政指導に関する情報」といった内容の公開請求がなされた場合を想定すると、A社に関する公開請求に対し存否応答拒否をする必要があるとしても、A社に関する公開請求の内容は本件公開請求の内容と同様とはいえないことは上記のとおりであり、本件公開請求に対して存否応答拒否をしないことが、A社に関する公開請求につき存否応答拒否をすることの妨げとなるものではない。
存否応答拒否処分は、対象公文書の存否自体を明らかにしない処分であるから、公開請求権を侵すことのないよう、条例第9条の適用が必要な類型の情報か否かは慎重な判断が求められるところ、条例第6条第2号アにおいては、法人の正当な利益を害するおそれのあるもの、そして、そのおそれは法的保護に値する蓋然性が要求されていることに鑑みると、「不法投棄、不適正処理に関する」何らかの行政指導が行われた事実の有無が明らかになること自体は条例第6条第2号アに該当するものとはいえない。
したがって、実施機関が、類型2の情報について、その存否について応答を拒否したことは妥当ではない。

7 経過

平成281121日 公文書公開請求

・平成2812月2日 公文書非公開決定

・平成2812月8日 審査請求

・平成29年1月19日 情報公開審査会に諮問

・平成30年3月30日 答申

・平成30年4月6日 裁決

・平成30年4月26日 公文書非公開決定(本事案に係る処分)

・平成30年5月7日 審査請求(本事案に係る審査請求)

・平成30年6月11日 情報公開審査会(現公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会)に諮問

・令和元年7月5日 答申

※審議会の審議経過は、別添答申の「審議会(審査会)の経過」のとおりです。

※本件答申を受け、今後、実施機関が審査請求に対する裁決を行うこととなります。

 

8 審議会審査部会第一分科会委員(令和元年7月5日現在)

委員名簿
氏名 役職名等 備考
井上 理砂子 元京都新聞論説委員
高木 啓子 公募委員
中井 陽一 弁護士
久末 弥生 大阪市立大学大学院都市経営研究科教授
山田 文 京都大学大学院法学研究科教授 会長代理
横田 光平 同志社大学大学院司法研究科教授 会長

【参考】滋賀県情報公開条例(抜粋)

(公文書の公開義務)

第6条 実施機関は、公開請求があったときは、公開請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非公開情報」という。)のいずれかが記録されている場合を除き、公開請求者に対し、当該公文書を公開しなければならない。

(1)(略)

(2)法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体および地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報または事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報を除く。
ア公にすることにより、当該法人等または当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
イ(略)

(3)~(6)(略)

(公文書の存否に関する情報)

第9条 公開請求に対し、当該公開請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非公開情報を公開することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否することができる。

お問い合わせ

総合企画部 県民活動生活課 県民情報室
電話番号:077-528-3122
FAX番号:077-528-4813
メールアドレス:kenmin-j@pref.shiga.lg.jp
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