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滋賀県情報公開審査会の答申(第61号)について

滋賀県情報公開審査会(会長 毛利 透)は、滋賀県知事(以下「実施機関」という。)が行った公文書一部公開決定に対する異議申立てについて、知事から諮問を受けておりましたが、本日、知事に対して次のとおり答申しましたのでお知らせします。

1諮問案件

「大津草津線自転車転倒事故関係書類」の公文書一部公開決定に対する異議申立ての結論

2審査会の結論

  1. 「施行しなかった検討段階の回答案」について
    滋賀県知事(以下「実施機関」という。)が、これを非公開とした決定は妥当である。
  2. 「大津草津線自転車転倒事故(H24年1月5日)の経緯」について
    実施機関は、非公開とした部分のうち、異議申立人が公開を求めている部分について、個人の氏名を除いて公開すべきである。

3知事の担当部署

土木交通部道路課(TEL 077-528-4134)

4異議申立人

大阪府在住の男性

5事案の概要

  1. 公文書公開請求のあった内容
    県道において発生した特定の自転車転倒事故に関して作成、取得された一切の文書
  2. 公開請求に対する公文書一部公開決定の内容
    1. 非公開部分
      事故当事者の住所・氏名・電話番号等、「施行しなかった検討段階の回答案」、「大津草津線自転車転倒事故(H24年1月5日)の経緯」において県内部の打合せを記録した部分など
    2. 非公開理由
      ア個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであるため(条例第6条第1号該当)
      イ県の機関内部の審議、検討または協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ等があるため(条例第6条第5号該当)
      ウ公にすることにより当該事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため(条例第6条第6号該当)
  3. 異議申立ての対象公文書
    • 「施行しなかった検討段階の回答案」
    • 「大津草津線自転車転倒事故の経緯」
  4. 異議申立ての趣旨
    条例第6条第5号および第6号に基づく非公開部分を公開することを求める。

6審査会の判断の要旨

  1. 結論
    1. 実施機関が、「施行しなかった検討段階の回答案(以下「回答案」という。)」につき、これを非公開とした決定は妥当である。
    2. 実施機関は、「大津草津線自転車転倒事故の経緯(以下「事故記録」という。)において非公開とした部分のうち、異議申立人が公開を求めている部分について、個人の氏名を除いて公開すべきである。
  2. 対象公文書について
    本件対象公文書は、平成24年1月5日に県道大津草津線において発生した自転車転倒事故に関して作成されたものである。
    回答案は、事故当事者から提出された質問書に対して、回答文の案として作成された12件の文書である。また、事故記録は、同年1月5日から同年2月22日における実施機関と事故当事者とのやり取りおよび実施機関と県の他機関との打合せ等について記録した文書である。
  3. 非公開部分について
    実施機関は、条例第6条第5号および同条第6号に該当するとして、回答案については全てを、事故記録については、実施機関と県の他機関等との打合せに関する部分を非公開としているが、異議申立人は当該非公開部分の公開を求めていることから、以下、非公開情報該当性を検討する。

(4)非公開情報該当性について

1.条例第6条第5号該当性について

条例第6条第5号は、県の機関等の内部または相互間における審議、検討または協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民等の間に混乱を生じさせるおそれまたは特定の者に不当に利益を与え、もしくは不利益を及ぼすおそれがあるものを非公開情報とするものである。

そして、ここでいう「おそれ」があるかどうかの判断は、審議、検討等の途中段階の情報を公にすることの公益性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が見過ごしできない程度のものをいうと解される。

ア回答案について

実施機関は、回答案は県の機関内部における未成熟な情報であって、これを公にすると、県の機関内部における率直な意見交換、または意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると主張している。

しかしながら、本件に係る回答は、すでに交通事故の当事者に対し施行されているものであると認められるところであり、現段階で公にしても、外部からの干渉や圧力を招き、実施機関の意思決定の中立性等が損なわれるおそれはないものである。

したがって、回答案は、条例第6条第5号には該当しないものである。

なお、実施機関は、回答案を公にすると、県の機関内部の信頼関係を損ね、実施機関の事務に支障が生じるとの趣旨の主張もしているが、当該主張は条例第6条第5号に該当しないことが明らかであり、条例の適用を誤ったものと言わざるを得ない。一方で、当該主張については、条例第6条第6号に該当し得ると考えられることから、2.において、同号該当性を検討することとする。

イ事故記録について

実施機関は、事故記録は内部的に行った検討等の記録であり、公にすると、県の機関内部における率直な意見交換、または意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると主張している。

しかしながら、非公開部分の内容は、回答案の作成に関する打合せの記録であり、この結果作成された回答については、すでに施行されているものと認められる。

したがって、現段階で打合せの内容を公にしても、回答の作成に関して外部からの干渉や圧力を招き、実施機関の意思決定の中立性等が損なわれるおそれはないものであり、非公開部分は条例第6条第5号には該当するものとは認められない。

なお、実施機関は、非公開部分を公にすると県の機関内部の信頼関係を損ね、実施機関の事務に支障が生じるとの趣旨の主張もしているが、これについては、アと同様であり2.で検討する。

2.条例第6条第6号該当性について

条例第6条第6号は、県の機関等が行う事務または事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務または事業の性質上、当該事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報とするものである。

そして、ここでいう「支障」については、その程度は名目的なものでは足りず、実質的なものが要求され、「おそれ」については、その程度は抽象的な可能性では足りず、法的保護に値する蓋然性が要求されると解される。

ア回答案について

実施機関は、回答案を公にすると、県の機関内部の信頼関係を損ね、実施機関の事務に支障が生じるとの趣旨の主張をしていることから、この点について検討する。

対象公文書を見分したところ、回答案は、実施機関が県の他機関と協議を行って作成したものであり、事故処理に関する記述等において修正が重ねられているものである。

そして、その内容は、実施機関および関係機関において公開することが前提とされていたものではなく、交通事故の当事者に対する説明に関し、県の見解を修正しているものであって、これを公にすると、当該当事者と実施機関との間に誤解が生じることにより、今後の実施機関の事務処理に支障が生じるおそれがあるものと認められる。

また、本件対象公文書は、交通事故の処理に関して実施機関と他機関とが協議、検討の上、修正を行った文書についての作成上の途中経過を示すものであり、これを公にすると、実施機関において、今後発生する同種の交通事故の処理について他機関の協力が得られなくなる等、適正な事務の遂行に支障が生じるおそれがあると認められるものである。

したがって、回答案は、条例第6条第6号に該当するものと認められる。

なお、非公開情報該当性が認められる以上、実施機関の他の主張については判断を要しないものである。

イ事故記録について

実施機関は、事故記録の非公開部分は、具体的な争訟に対応するため内部的に行った検討等の情報で、公にすると、県の内部における検討や協議に支障を来したり、将来の個々の争訟における県の適切な対応を困難にしたりするなど、争訟の一方当事者となる可能性のある県の地位を不当に害するおそれがあると主張している。

条例第6条第6号では、公にすることにより、県が行う事務等の遂行に支障を及ぼすおそれがあるものとしてアからオのおそれが例示されているが、このうちイにおいて、「契約、交渉または争訟に係る事務に関し、県、国、独立行政法人等、他の地方公共団体または地方独立行政法人の財産上の利益または当事者としての地位を不当に害するおそれ」が示されている。そして、この「争訟に係る事務」とは、現在提起され、または提起されることが想定されている争訟についての対処方針の策定や、そのために必要な事実調査などの事務を指すものと解するものである。

しかしながら、対象公文書を見分したところ、事故記録の非公開部分は、回答案の作成にあたっての打合せの記録に過ぎないものであって、実施機関において争訟についての対処方針が策定等されているものとは認められない。仮に、このような理由で非公開とすることを認めれば、同様の理由で大半の公文書は非公開とできることとなり、実施機関の恣意的な運用が可能となるおそれがあるものであって、実施機関の当該主張は採用することができないものである。

また、実施機関は、非公開部分は、不当要求対策をとるために内部的に行った検討の経緯等であって、公にすることにより、不当要求行為を容易にし、もしくはその発見を困難にするおそれがあり、不当要求対策事務の遂行に支障を及ぼすおそれあるとも主張している。

しかしながら、非公開部分は回答案の作成に係る打合せの記録であって、不当要求対策について協議、検討等を行ったと認められるような記述は見当たらず、実施機関の主張の趣旨は判然としない。たとえ回答案の作成が不当要求を想定しながら行われていたものであったとしても、非公開部分において何ら不当要求に係る具体的な記述が認められない以上、実施機関の主張は採用の余地がないものと言わざるを得ない。

更に、実施機関は、非公開部分を公にすると、県の機関内部の信頼関係を損ね、実施機関の事務に支障が生じるとの趣旨の主張をしているが、事故記録の非公開部分については、あくまで他機関等との協議の事実が記録されているに過ぎず、実施機関の主張するような支障が生じるおそれは抽象的な可能性に過ぎないものである。

したがって、事故記録において非公開とされた打合せ部分は、条例第6条第6号に該当するものとは認められない。

(5)付言

異議申立人は、理由付記について何ら異議も意見も述べていないが、本件処分における公文書一部公開決定通知書においては、回答案の非公開理由として条例第6条第6号が記載されておらず、実施機関は当該理由を理由説明書において追加している。また、当決定通知書に記載されている非公開理由は、実施機関が理由説明書および口頭説明で主張した内容と一致しているものとは言い難く、不適切な理由付記であると言わざるを得ない。

理由付記の制度は、条例第10 条第3項により、非公開理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意的な判断を抑制するとともに、処分の理由を公開請求者に知らせることによって、その不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものであり、公開しないこととする根拠規定および当該規定を適用する理由については、原則として当該決定を通知する書面の記載から知り得るものでなければならないものである。

実施機関においては、今後、理由付記制度の趣旨を踏まえ、公文書一部公開決定または公文書非公開決定を行うに際しては、根拠条文を正確に示すことは当然のこと、併せてその根拠条文を適用する理由をも適切に付記することを徹底すべきである。

7経過

  1. 平成24年2月29日公文書公開請求
  2. 平成24年3月15日公文書一部公開決定
  3. 平成24年4月11日異議申立て
  4. 平成24年5月11日知事が情報公開審査会に諮問
  5. 平成25年2月5日答申

※本件答申を受け、今後、教育委員会が審査請求に対する裁決を行うこととなります。

8審査会委員(平成25年2月5日現在)

(五十音順)
氏 名 役職名等 備考
岩沢 清秀 公募委員
遠藤 糸子 滋賀県商工会議所女性会連合会会長
小谷 真理 同志社大学政策学部准教授
平井 建志 弁護士 会長代理
松浦 さと子 龍谷大学政策学部教授
毛利 透 京都大学大学院法学研究科教授 会長
若杉 貞子 京都女子大学教員

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