滋賀県には約1300の城跡があり、安土城や彦根城といった巨大城郭から、小規模な城館や砦まで、バラエティに富んでいます。また、武士以外にも僧侶や百姓など、様々な人々が城を築いており、城は、滋賀の歴史や文化の特徴を色濃く反映した、滋賀ならではの歴史・文化遺産です。滋賀の城は、滋賀の魅力を伝える地域の宝として全国の人々から関心を寄せられており、多種多様な滋賀の城の魅力を広く発信していくことが求められています。
彦根城は、関ヶ原合戦後に石田三成の旧領を与えられた井伊氏の居城として、慶長9年(1604)から築城が開始されます。諸大名に築城を分担させる天下普請として築かれた城で、彦根城の戦略的重要性を物語っています。彦根城は、彦根藩井伊家の居城として領国支配の拠点であり、以後260年続く、徳川の平和を象徴する城として、幕末まで存続し、明治維新の荒波を乗り越えて今もその姿を現地にとどめています。全国に5つしかない国宝天守の一つである天守をはじめ、重要文化財に指定された多くの建造物が残っており、また、城下町にも随所にその痕跡が見られるなど、彦根城は江戸時代の城の姿を残した全国でも非常にまれな城です。「彦根城を見れば江戸時代の日本がわかる」といっても過言ではありません。
滋賀県では現在、令和6年の彦根城世界遺産登録を目指しています。徳川の平和を象徴する城として、他に比類のない価値を備えた城と評価しています。
この講座では、彦根城の歴史や遺構を紹介するとともに、その歴史的・文化的特質について考察します。そして様々な特色を持つ滋賀の城の魅力を首都圏で広く発信し、滋賀県への来訪者の拡大を図ります。