広報誌「滋賀プラスワン」2019年5・6月号掲載
Teppei Hayakawa
1982年、石川県金沢市生まれ。滋賀県米原市の山間集落に拠点をおき、日々出逢う自然や動物をテーマに制作活動をしている。精密な切り絵作品にとどまらず、大掛かりなインスタレーションやライトアップを手がけるなど、新しい切り絵表現の可能性を模索している。
大阪から移り住んだ、気鋭の切り絵作家・早川鉄兵さん。米原市の奥伊吹に在住です。切り絵が仕事になるまでの経緯、そして作品に込めた滋賀の自然への想いを語っていただきました。
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切り絵のテーマは、僕が大好きな自然と動物です。森の中には植物や動物など、いろいろな生き物がいて、そのつながりがあってはじめて熊一匹、鳥一羽が存在できる。そんな全ての命がつながっている自然を表現したくて、切り絵にする動物の中に植物や小さな動物がいる作品を制作しています。
幼い頃から暇があれば切り絵を作っていましたが、仕事になるとは考えもしませんでした。
大阪の服飾専門学校を卒業して、専門学校の被服科の教員など、いろいろな仕事を経験した後、フリーのカメラマンになりました。大自然を撮影するため、小笠原や北海道、海外にも行きました。しかし、大自然の表面しか撮影できていないのではと考えるようになったんです。
そんな時、撮影のアシスタントで冬の米原に行きました。地元の方が自然などにも感謝の念を持って「ありがたい」と言っていることに感銘を受け、こんな自然と人の中で暮らしながら写真を撮りたいと思いました。偶然、米原市の「みらいつくり隊員」の募集を知って、29歳で奥伊吹に移り住みました。
趣味で作っていた僕の切り絵を見た「みらいつくり隊」の同期が、第一回目の里おこしイベント「伊吹の天窓」のチラシに使おうと言ってくれたことがきっかけです。その後、地元の交流センターで切り絵の作品展をしたら、いろいろな所から声をかけていただいて、いつの間にか切り絵が仕事になっていました。
好きな場所は多賀大社。煮詰まった時によく立ち寄ります。静かな境内で心が洗われます。
滋賀は派手さはないけど、人や自然、環境も含めた「空気」がすごくいい。米原には自然があり交通の便がよく、周囲には様々な文化圏がある。僕にとって東京や大阪は行きたい所ですが、滋賀は「帰りたい場所」ですね。
早川鉄兵さん情報
●首都圏で滋賀をPRするための情報誌「SHIGA’s GUIDE」。表紙は早川さんの切り絵で滋賀が表現されています。
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