文字サイズ

新春座談会 2030年にはどうなっている?滋賀の未来をのぞいてみよう

今から20年後の2030年ー
滋賀県はどうなっていて、人々はどんな暮らしをしているのでしょう。
現在小学校5・6年生の子どもたちは、そのころ30歳を迎えています。
みんなが大人になったときも住みやすい県であってほしい。
その実現のために何が求められるのか。
昨年中国で開催された世界湖沼会議に「びわっ子大使」として参加してくれた子どもたちと嘉田知事が語り合いました。

  • びわっ子大使
    横川 大輝さん、木村 優伽さん、片山 稀さん、西島 かれんさん、日田 琥珀さん、堤 えりかさん、望月 大地さん
  • 滋賀県知事
    嘉田 由紀子

びわっこ大使(環境特派員)として中国へ行って、どんなことを感じましたか?

知事

この座談会では、自分が30歳になったときのことを意識してもらいながら、これからの滋賀について、ぜひ前向きな提案をしてもらいたいと思います。あまり難しく考えずに、みんながふだん思っていることをそのまま聞かせてくださいね。
ここに集まってくれているみんなは、昨年の秋に「びわっこ大使」として中国・武漢での世界湖沼会議に行ってくれたんだよね。まずはそのときの感想を聞かせてくれるかな。

横川

子どもセッションで中国の発表を聞いて、琵琶湖は少し濁っているだけだけど、中国はとても緑色に濁っていて汚いなと思いました。泊まるホテルでは水道の水を飲んではいけないって言われて、中国は深刻なんだなと思いました。

木村

私は、中国や韓国の人たちと交流をして、他の湖のことを教えてもらったり、琵琶湖のことを伝えられたりしたことがよかったと思います。中国の人の温かさや優しさがわかったし、琵琶湖のこともしっかり聞いてくれてうれしかったです。

知事

どういうところが優しいと思った?

木村

言葉が伝わらなくて困っていたら、ジェスチャーで伝えてくれたことです。

日田

ぼくもジェスチャーで気持ちが通じ合えてうれしかったです。

知事

どんなことが通じた?

日田

例えば、小学校を訪問して一緒に絵を描いていたときに、消しゴムを貸してくださいと言おうとしたけど、「消しゴム」と言っても通じなくて、それでジェスチャーで伝えたら通じて、うれしかったです。

知事

しぐさで通じたんだね。堤さんはどうですか?

中国に行くのは初めてで、ずっと不安だったけど、中国のみんなが一生懸命しゃべりかけてくれたり、自分たちの気持ちを伝えようとしてくれていたのがうれしかったです。

知事

環境についての話し合いだけでなく、中国の小学校との交流もできたようですね。
ではここからは、みんなが30歳くらいになっている2030頃年のことを考えていきましょう。みんなは30歳になったら何をしていると思いますか?

第13回世界湖沼会議(中国・武漢)。
第13回世界湖沼会議(中国・武漢)

「2030年の自分」はどうなっていると思いますか?

望月

僕はスポーツ選手で、特に野球選手になりたいです。あと、小学校の先生にもなりたい。

知事

スポーツ選手にもなりたいし、先生にもなりたいんですね。堤さんは?バレリーナですか。今、バレエ習ってるの?バレリーナになるためには、これからどんな努力をしなきゃいけないですか?

最近トゥシューズをはき始めたばかりで、先生に、「脚が曲がってたら立てないよ」と注意されています。そういう点を直すためにもっといっぱい練習して、頑張ってうまくシューズをはきこなさないと…。

知事

自分が舞台で踊っている場面っていうのは夢見ている?びわ湖ホールで踊れるといいね。

前に、アメリカのバレエスクールが、びわ湖ホールでレッスンをしているところを見学に行きました。先生がすごく厳しくて、生徒も一回通しただけでしっかり全部覚えてて、すごいなと思いました。

知事

いいですね、その練習の場を見せてもらえるって。日田くんはどうだろう?

日田

ぼくは獣医になりたいです。小さいころから動物が好きで、北海道に行ったときに野生のタヌキを触ったことがあって、そのときからです。

知事

獣医になって野生の動物を助けたい?難しいとなんだけど、今、サルやシカが農作物を食べてしまうので、被害にあっている人たちは困っています。そういう動物を「害獣」って言ってるんだよね。獣医としてどうする?サルやシカの命を助ける?

日田

そのサルの問題についての会議に一回出たことがあって、ぼくはそこで、「サルが被害を出すなら動物園とかモンキーセンターみたいなものを作って、サルにも負担を与えないで生きてもらう。そういう感じにしてほしい」という意見を出しました。

知事

サルが増えすぎてしまったらどうする?

日田

畑まで来るのは、山の中に食べ物がなくなってきたってことが原因やから、そこを何とかしないといけないと思う。その会議でも、被害を受けている人もすごく怒っていた。サルを撃つという人もいたけど、ぼくは撃つことはできません。

知事

これは大きな問題になっているんです。難しい課題です。

西島

私はインテリアコーディネーターになりたいです。雑誌とかで紹介されているのを見て、すごいと思って。それで自分の家もきれいにしたいから。

片山

ぼくは小学校の先生になりたい。自分が知っていることを教えたいです。

横川

ぼくも先生になりたいです。老蘇小学校はエコスクールとして学校全体で活動しているんですが、自分も大人になったら先生としてエコスクールにもっと力を入れて、子どもたちにエコや環境のことについて教えてあげて、琵琶湖や滋賀県をきれいにしたいです。

木村

私は、職業はペットトリマーになりたいです。そして、エコ活動をしていると思います。子どもたちと一緒にエコ活動をしたいです。

知事

エコ活動ってどういうこと?

木村

例えば、琵琶湖の生き物で絶滅しかけている魚がいれば、増やすために協力したいです。

片山稀さん草津市立玉川小学校6年生。
片山稀さん草津市立玉川小学校6年生
西島かれんさん湖南市立石部南小学校5年生。
西島かれんさん湖南市立石部南小学校5年生
横川大輝さん安土町立老蘇小学校6年生。
横川大輝さん安土町立老蘇小学校6年生
木村優伽さん大津市立田上小学校6年生。
木村優伽さん大津市立田上小学校6年生
望月大地さん甲賀市立甲南第二小学校5年生。
望月大地さん甲賀市立甲南第二小学校5年生
堤えりかさん草津市立玉川小学校5年生。
堤えりかさん草津市立玉川小学校5年生
日田琥珀さん栗東市立大宝西小5年生。
日田琥珀さん栗東市立大宝西小5年生

「2030年の滋賀県」はどうなっていると思いますか?

知事

頼もしいですねえ。さてここまでは、「20年後の自分はどうなっているか」ということを話してくれたけれど、今度は「20年後の滋賀県はどうなっているか、どうなってほしいか」について聞かせてくれるかな?

西島

今もちょっと汚れているけど、未来には工場も増えているかもしれへんから、琵琶湖がもっと汚れていると思います。

片山

ぼくがもし学校の先生になっていたら、子どもたちにエコのことを話して、エコ活動をする子が増えていてほしい。それによって、みんなが琵琶湖のことを知ってくれて、滋賀県のほとんどがエコ活動してくれたら、琵琶湖もきれいになるんじゃないかなあと思います。

知事

片山くんの考えているエコ活動って、例えばどんなこと?

片山

琵琶湖がなぜ汚くなったらダメなのかとか、まずそういうところから教えたい。

知事

なぜダメなの?

片山

魚や生き物がいなくなったり、水が飲めなくなったりするから。

木村

私は、今と比べて、たくさんの子どもたちが川で遊んでいると思います。子どもたちは川や湖に関心があって、きれいにして、そこで遊んでいると思います。私も今の琵琶湖のことを伝えていきたいです。

横川

ぼくも、今からエコ活動をしていけば、琵琶湖がきれいになると思います。今から何もせずに放っておくと、だんだん悪化していって、生物とか、琵琶湖の固有種も少なくなっていくし、飲めない水になってしまうかもしれんけど、今からエコ活動をすると、きれいで透明な、あんまり茶色の水にならないと思う。

知事

今は蛇口の水を飲めるけれど、飲み続けられるように、ということだね。

日田

ぼくは、エコ活動をしている人がたくさんいて、生き物がたくさんいると思います。琵琶湖だけでなく、いろんなところでエコ活動して、日本全体でもっと野生動物が増えてほしい。魚なら、今は絶滅しかけている固有種とかナマズとか、そういうのが増えてほしい。

知事

たくさんの種類の生き物でにぎわってほしいということですね。

望月

ぼくは、滋賀県は近畿の中でも環境の面で重要なところになっていると思います。琵琶湖の水は、大阪湾まで流すときに、大阪や京都の人の水にもなっているし、近畿の中でも環境面でしっかりしていないといけないと思う。このままいくと汚くなってしまうかもしれんから。

知事

近畿の中でも、より重要性があるということですね。今も、京都、大阪、兵庫の人は琵琶湖の水を飲んでくれているんですよ。大変重要な指摘をしていただきました。

私は、琵琶湖でどこでも泳げるようになってほしいと思います。西の湖で漁師をしている
奥田修三さんから聞いた話では、昔は内湖でも泳げたし、透きとおってきれいなところだったって。内湖で魚とか貝殻とかをもぐって採ってたって聞いたけど、今は内湖では泳げないし。

知事

どこでも泳げるようにしたい、ということですね。そのためにはどうしたらいいかな?

琵琶湖にゴミを捨てないとか、排水を直接流さないようにするとか。油をそのまま流すんじゃなくて、紙とかにしみ込ませて油をとってから洗うようにしたら、琵琶湖はきれいになるんじゃないかな。

知事

フライパンでも油をちょっと紙で拭き取るだけで全然違うよね

望月

スポイト1本の油をお風呂に入れると、それだけで魚がすめなくなる。だから、油をそのまま流さないようにたくさんの人が協力すると、琵琶湖はもっときれいになって、魚もすめるようになると思う。

知事

そう。みんなちゃんと勉強してくれているんだね。

もし、あなたが知事だったら、滋賀県のために何をしたいですか?

知事

さて、ここまで、みなさんに2030年の滋賀の姿について話してもらいました。みんなが大人になったときも住みやすい県であってほしいですね。そのために、県がどんな取り組みを進めるのか、県民のみなさんの意見を聴いて考え、議会と話し合いながら税金の使い方を決めていくのが知事の仕事です。
では、ここで最後の質問です。2030年に、もしあなたが知事だったら、滋賀県のために何をしたいですか?

子ども達

え~っ、知事って大変そう!!

知事

2030年にはこんな滋賀県であってほしいって話してくれたけど、あなたが知事だったらどんな取り組みをする?

日田

琵琶湖がないと飲み水が送られてこないし、望月くんが言ったように、近畿にとっても琵琶湖は大事なところやから、ぼくが知事やったら、一番に琵琶湖をきれいにしたい。まずはぼくたちがごみを捨てないこと。沖に出ると缶などがたくさん浮いているのを見ます。以前に、学校のクラスでも琵琶湖をきれいにするためにどうすればいいか聞いてみたら、水草を減らしたらいいっていう意見があったけど、水草は魚のすみかにもなっていて大事やから、それはあかんなっていうことがわかった。だから水草を減らすのではなく、ごみを減らしていきたいと思います。

私は、琵琶湖とか内湖とかを船に乗って回ったときに、湖の上にごみが浮いているのがとても気になっていて、街の中に落ちているごみも気になります。この前、テレビを見ていたら、シンガポールにはごみを捨てたら罰金というルールがあって、街はとてもきれいでした。だから琵琶湖にごみを捨てたら罰金というルールをつくって、ごみを捨てることができないようにしたいです。

知事

例えば罰金という方法で、みんなに行動をあらためてもらうということですね。

横川

ぼくは、琵琶湖の環境を守るために県で決まりをつくりたい。堤さんが話したシンガポールみたいに、ごみを捨てたら罰金とか、琵琶湖に悪い影響を与えることに対して決まりをつくって、それができないようにしたいです。

知事

実は今ね、「琵琶湖ルール」っていうのがあって、例えばブラックバスとかブルーギルなどの外来魚を釣った後、湖に戻してはいけないという決まりがあるんです。

木村

前に琵琶湖で釣りをしている人に「何釣ってるんですか」って聞いたら、「ブルーギル」って答えたので、「湖に戻したらいけないんですよ」って言ったら「はい、わかりました」って言ってくれました。

知事

へえー、すごい。木村さんが戻してはいけないって言ってくれたの?

木村

学校のクラスのみんなで注意しました。

知事

すでにつくられたルールもあるけれど、横川くんが知事なら、どんな新しいルールを作りたい?

横川

うーん、これ以上琵琶湖を埋め立てたり、その周りの木とかヨシを減らしてはいけないというルール。埋め立てが増えれば生き物も減っていくし、生き物のすみかが減っていくから。

知事

それは大事なルールですね。生き物を増やすということも含まれたルールなんですね。実は「ヨシの保全条例」っていうヨシ帯を増やしましょうというルールは今もあるんですよ。琵琶湖以外にやってみたいことはありますか?

横川

学校だったら、社会のことを勉強する校外学習を増やしたい。ぼくの小学校では、自分で火をおこしたりする泊りの体験学習が、フローティングスクール以外にもう一つあったんですけど、お金が足りなくてそれがなくなったので。過去には琵琶湖一周を一泊二日、自転車で琵琶湖の環境を守ろうとPRしながら一周するという活動もしたらしくて…。

知事

子どもたちが琵琶湖の自然に触れる宿泊体験を増やしたいんですね。心強いですね。

木村

私は、琵琶湖の周りに住んでいる人の目線に立って、琵琶湖の良さを伝えたい。滋賀県から遠い地方の人にも、琵琶湖が大事やっていうのを知ってもらうために活動をしたいです。例えば、東京に行って、私たちが中国に行ったみたいに交流して、琵琶湖ではこんな活動をしていますっていうことを伝えて、また琵琶湖に来てくださいって言いたいです。

知事

今回みんなが中国・武漢の湖沼会議で言ってくれたことって、それに近いことでしたね。

木村

他には、病室が増やせるように、病院にお金を出したい。救急の患者さんが来てもすぐに病室がとれるようにしたいです。

知事

医療も充実したいということですね。これもみんなが安心して暮らすために、大切なことですね。

片山

ぼくは、子どもたちが遊ぶ場所を増やしたい。公園が狭くて、鬼ごっことかいろんな人数でしたくても、今はできないから。広い遊び場所がほしい。狭い場所はいっぱいあるけど、もっと身近なところに広い場所があればいいのに。

望月

ぼくは、琵琶湖のことをもっと観光的にPRしたいです。

木村

琵琶湖一周とか?

西島

船?

望月

琵琶湖の名産品かな。鮎の佃煮とか、おいしいから。

西島

私が住んでいる湖南市は古いお寺が多いから、そういうところを大切に守って残していきたいです。

知事

琵琶湖を観光としてPRしたいし、文化財も守り伝えたいということですね。これも知事として大事な仕事ですね。望月くんは小学校の先生にもなりたいと言ってくれていたけど、どういう教育に取り組みたい?

望月

学校の機材を増やしたいです。もっと分かりやすくていろんな種類の機材があれば、学習しやすくなると思う。

知事

なるほど。いろいろな意見が出ましたが、話に出なかったことに「地球温暖化」という課題があります。それに関連して、今、琵琶湖がちょっと息苦しくなっているっていわれているんだけど、聞いたことある?

望月

琵琶湖の水がかきまわされないことかな?

知事

そうそう。琵琶湖は、冬に寒くなると酸素をいっぱい含んだ冷たい水がもぐりこんで、酸素の少なくなった湖底の水と入れ替わるんです。これは「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれています。地球温暖化になると、この深呼吸がしにくくなるんです。

横川

琵琶湖の中にいる住む生き物もすみにくくなる。

知事

そう。琵琶湖の一番底にいるのはイサザやスジエビ。こうした琵琶湖の生き物などにも影響があるんです。だから滋賀県では地球温暖化を防ぐために、原因となっている二酸化炭素などの温室効果ガスがこれ以上増えないようにと、必要以上にエネルギーや石油を使いすぎないとか、自家用車に乗りすぎないっていうルールやしくみを作ろうとしています。このまま何もしなかったら大変なことになる、そして琵琶湖の水も飲めなくなるかもしれないから、今、私は知事としてみなさんに警鐘を鳴らしています。

座談会のおわりに・・・

知事

みんなの意見を聞いていて、私が何よりもうれしいなと思うのは、「これ以上悪くなったら、まず自分たちが困るし、そしてみんなが困るから、自分たちが気をつけよう」というふうに、“自分のこと”として考えてくれていることです。共通してエコ活動をやりたいと言ってくれて、そして芸術とか環境とか、文化とかそういうところに関心をもってくれていることを心強く思いました。というのは、これらは成果が目に見えにくいからです。良くなっているのか、はっきりと見えないので、こうした分野にお金を使うときには様々な意見が出ます。でも、どれも大切なことなのです。

木村

こうやってみんなで勉強している人は、琵琶湖が大切なんやなってわかるけれど、やってない人には分からない。友だちに「ゴミ捨てんといて」って言ってるけど、「別にいいやん」って言われる。わかってないと行動できないんやなって思う。

知事

ほんとに、今みんなが言ってることがまとめですね。中国・武漢での湖沼会議で、中国、韓国の子どもたちと「これから湖や環境を守るためにどうしたらいいか」という話し合いをしてくれたときに、中国の子どもたちは「ごみを捨てない」、韓国は「水質をきれいにする」と言ったけど、滋賀県のみんなは「湖の良さ、大切さをみんなに伝えることが大事だ」とまとめてくれたよね。あれは私びっくりしてね、とってもうれしかった。だってそこが根っこだもんね。

片山

やることの意味や効果がわかったら、自分も何かしなきゃって思ってもらえる。そうしたら、どんどん進んでいくと思う。

知事

政府や知事がそう言うからやるというのではなくて、なぜ琵琶湖が大切なのか、なぜ文化が大切なのか、なぜ教育が大切なのか、そういう意味や効果をみんながわかること。それが大切なんですね。今日の話の中でも、わかるように知らせることが大事だって言ってくれました。そこは私たち行政も一番気をつけなければならないことだと思います。県が何をやっているのか、なぜそのことをやっているかを理解してもらえるようにしなければなりません。なぜなら、行政の仕事はみんな税金でやらせてもらっているからです。税金を納めてくれる人たちが納得できるよう、わかりやすい説明をきちんとすることが大切です。そのことを、今日みんなが話し合ってまとめてくれました。ありがとうございました。

子どもたち

ありがとうございました。