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「美の滋賀」発信懇話会委員 長谷川祐子さん

はせがわ ゆうこさん

「美の滋賀」発信懇話会委員。2004年会館の金沢21世紀美術館の立ち上げに参加した後、2006年4月から東京都現代美術館チーフキュレーター、多摩美術大学芸術学科特認教授を務める。国内外で多くのビエンナーレ、展覧会を企画している。

アートとの出会いであなたが変わる

アートというと、自分とは縁遠いと思っておられる方が多いと思います。でも社会の情報化が進み、生活の中で視覚情報が占める割合が多くなってくると、そこから自分が何を受け取るか、何を美しく、あるいは嫌だと思うか、その接し方が大切になってきています。アートは、豊かな視覚情報の読み取り方を教えてくれる、入口になると思います。

例えば、椅子を例にとってみると、ただ「座れればいい」というものではなく、いいデザインの椅子に出会うと、「この椅子は自分に合っている」あるいは、「この椅子に座ると、自分の中に力が湧き上がってきたり、ひらめきが生まれたりする」といった経験が出来ることがあります。

だから、アートというものは、対象を深く見ることによって、自分の中にある潜在的な想像力・創造力を養ってくれる。あるいは、ものを見る力を目覚めさせてくれる力があると思います。

最近は、美術館だけではなく街の中や自然の中にも現代アートの作品を展示するような、アート・フェスティバルが各地で開催されていますが、作家が身近な現場で創作する、その課程に立ち会えると、大変面白くて、好奇心が生まれるきっかけになります。

このような様々な機会を通して質の高いアートに接することで、気がつかないうちに自分自身の感性が洗練され、創意工夫を大切にする姿勢が生まれてくるのではないでしょうか。

これからは美術館も、多くの方に「あそこはなんだか素敵な場所だし、自分の気持ちが豊かになるから、ちょっと行ってみよう」と思ってもらえるような、開かれたたたずまいを持つことが大切です。

また、美術館がネットワークのセンターとして、県内各地でアートの活動をしている方々が集まって話をしたり、一緒に企画に取り組んだりする場となることで、滋賀ならではの「日常の中に根付いた美」をさらに豊かにし、広げていくことにもつながると思います。

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