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湖の人クローズアップ

免疫学者・大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授 坂口 志文さん

坂口 志文さん

さかぐち しもん さん

1951年滋賀県長浜市出身。
県立長浜北高校、京都大学医学部卒業。免疫とT細胞に関する研究を進め、過剰な免疫反応を抑える「制御性T細胞」を発見。2015年、医学に関する最も著名な賞の一つで、ノーベル賞の登竜門ともいわれているガードナー国際賞を受賞。過去には利根川進さんや、山中伸弥さんが受賞。

滋賀には琵琶湖があり歴史があり、他にはない独特の風景があります。

アレルギーなど過剰な免疫反応を抑制する「制御性T細胞」を発見し、免疫疾患に対する役割の解明に貢献。医学に関して世界で最も権威ある賞の一つ「ガードナー国際賞」の受賞が決まった長浜市出身の坂口志文教授にお話をうかがいました。

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免疫反応を抑える細胞 がん治療等への応用めざして

私は長浜市出身ですが、子どもの頃はまだびわ村と呼ばれていました。母方の家系に医者が多く、医学に親近感を持っていたこともあって、地元の高校を卒業後、医学の道に進みました。
今回30年以上続けている免疫の研究でガードナー国際賞を受賞し世界に認められたことをうれしく思います。免疫反応は、体に有害な病原体を排除するのに必要ですが、それが過剰や異常になるとアレルギーなどの病気になります。今回の受賞では、そうした免疫反応を抑制するリンパ球「制御性T細胞」を発見したことが功績として認められました。この細胞をコントロールすることで、免疫に関する病気や、がんの新しい治療法の開発につながるのではという期待が高く、研究も活発化しています。いかに人に応用するかがここ5年ほどの課題になっています。

滋賀でしか見られない風景、感じられない情感がある

子ども時代に住んでいたのは、琵琶湖や姉川に近く、自転車に乗れば伊吹山にも行けるところでした。湖の中に木が生える、琵琶湖独特の風景があり、竹生島も見えて、湖岸道路もない頃でしたが、自転車に乗っているだけでも楽しかったですね。今でも滋賀には時々帰ります。足を延ばせば渡岸寺の十一面観音もあり、様々な歴史のある良いところだと改めて思います。芭蕉に「行く春を近江の人と惜しみける」という句がありますが、あれは京都でも他でもなく、近江じゃなければおさまらない、独特のイメージがあると思いますね。今も出張の新幹線で米原付近を通ると、伊吹山あたりの見慣れた風景に親近感を覚えながら眺めているんですよ。
そんな環境で学ぶ滋賀の若い人々には、サイエンスに限らず、興味を持てることを見つけて欲しいですね。私も30年コツコツと研究を続けてきたことが今回認められたように、何でもいい、興味のあることをとことん追求していると、思わぬ形で広がり、つながり、自分の人生を豊かにしてくれると思います。

ガードナー国際賞を受賞時の記者会見の様子
▲ガードナー国際賞を受賞時の記者会見の様子。

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