広報誌「滋賀プラスワン」2012年5・6月号掲載
もちづき さとるさん
滋賀県大津市出身。
守山高校時、高校選手権ベスト4。
元日本代表。Jリーグでも活躍。びわこ成蹊スポーツ大学監督。2011年W杯で日本女子代表を指導し、チームは初優勝。なでしこジャパンの一員として国民栄誉賞を受賞。2012年夏の五輪での活躍も期待されている。
日本中を熱くさせ勇気をくれた「なでしこジャパン」。その実力を育み、支えた望月コーチ。滋賀に生まれ、県内の大学でも指導にあたる望月さんに、大会を通じて感じたことや地元への思いを伺いました。
* * *
W杯の優勝以降「プレッシャーは?」とよく尋ねられます。しかし、注目されることが少なく、選手の環境も良いとはいえなかったので、女子サッカーをこれほど応援していただけるのは、プレッシャーより喜びのほうが大きいんです。
なでしこジャパンの強さは、チームワークと粘り。目指すものが高いと全員が課題に向けて協力するので、自然にチームワークが生まれます。強いメンタル(精神)は、勝たないと認めてもらえないことや、これからの選手のためにも、自分たちが頑張らねばという気持ちの表れだと思います。W杯に続き、五輪でも優勝してこそ、世界で本物だと認められます。その姿が、サッカーをする子どもはもちろん、日本の未来をささえる若い世代の夢や希望につながればと思います。そのためにもプレッシャーを喜びに変えて、五輪でもメダルを取ることが一番の目標です。
サッカーを始めたのは小学生の時ですが、当時はサッカーだけでなく、校庭や膳所公園で野球などあらゆる遊びをしました。膳所公園ではボールを蹴りすぎて、琵琶湖に入ったこともしばしばあります。でも、実はそんな中で身に付けた距離感やコントロール力が、プロへの道につながり、今のコーチングにも役立っているのではと思います。教科書通りの技術も大切ですが、それ以前に環境に合わせて自分たちで考えていく、創造力が必要です。
そうした滋賀の環境の中で、私は育ててもらい、工夫する力を身につけたんだと思います。だから今度は私がここで、夢につながる環境を与えていく番なのかと思っています。
* * *