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広報誌「滋賀プラスワン」2010年3・4月号掲載

パレットしが

狂言師 野村萬斎 さん

昨年3月に行われた県立芸術劇場びわ湖ホール開館10周年の記念公演『唐人相撲』の一場面。一般公募で選ばれた小学生を含む17人と野村萬斎さんが共演しました。(写真提供:財団法人びわ湖ホール)

のむら まんさいさん

1966年生まれ。東京都出身。国内外の狂言・能公演はもとより、現代劇や映画、NHK「にほんごであそぼ」に出演するなど幅広く活躍。県立芸術劇場びわ湖ホール開館以来続く、父・万作さんとの狂言公演は今年で12回目。2年前には、NHK「鞍馬天狗」のロケ撮影で彦根城も訪れた。

心を元気にする芸術・文化にもっと触れてほしい

初舞台から40年、狂言だけでなく映画や現代劇などでも才能を発揮し続けている野村萬斎さん。滋賀県とは狂言公演をきっかけに、10年を超えるつながりが続いています。

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琵琶湖のいろんな表情は 心を照らす大きな鏡のよう

滋賀の風景で特に印象に残っているのは、さまざまな変化を見せる琵琶湖の表情ですね。風雨が強いと暗い色で波立ち、晴れ渡るときらめく金色に・・・。

輝く湖面を眺めていると自然と気分も晴れ、心が洗われます。私にとって琵琶湖は心を照らす大きな鏡のようです。狂言には『竹生島』や『白髭神社』など滋賀県を舞台にした演目が数多くあり、プライベートでゆっくり巡りたいと思っています。

県外の方々には、文化財や食べ物などの個々の魅力を“すごろく”のようにつないで紹介し、周る楽しさを味わってもらう。そうすれば、真ん中に琵琶湖がある地形を不便だと感じさせず、むしろ楽しんでもらえるのではないでしょうか。

演技に集中できる舞台は 他の劇場にはない魅力

滋賀県は、昔から交通の要衝として人が行き交い、日本各地の文化が集まる “文化の交差点”というイメージがあります。そういう環境で育まれた文化への愛着は、今も受け継がれていると感じますね。

私が長年続けているびわ湖ホールの狂言公演では、毎年楽しみに待っていてくれるリピーターの観客が多く、客席から伝わる集中力も他の劇場とは違います。演じる側も神経が研ぎ澄まされ、より高度な芸が披露できます。長年公演を続けられているのは、熱心に観てくださる観客のおかげですね。

狂言は人の心を元気にする良薬だと信じ、舞台に立ってきました。狂言だけでなくさまざまな芸術や文化には、心を豊かにする力があると思います。まずは気軽に足を運んで、芸術や文化にぜひ触れてほしいですね。

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