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さざなみVOICE

大阪大学教授・ロボット工学者 石黒 浩さん

ERICA

ERICA(エリカ)

2015年に発表された自律対話型アンドロイド「ERICA(エリカ)」。親しみやすい整った容姿に最新の技術を搭載。目の動きやしぐさで喜怒哀楽を表現でき、相手の言葉を認識して自然に対話ができる。

©ERATO石黒共生ヒューマンロボットインタラクションプロジェクト

石黒 浩さん

いしぐろ ひろし さん

1963年高島市出身。
ロボット工学者。大阪大学基礎工学研究科教授(特別教授)。ATR石黒浩特別研究所客員所長。社会で活動するロボットの実現をめざし、知的システムの研究を行う。従来の産業用ロボットから、アンドロイド、ジェミノイドといった日常活動型ロボットを世界に先がけて開発。2014年、マツコ・デラックスさんをリアルに再現したマツコロイドを開発し、メディアでも大きな話題となった。

滋賀の自然の中で培った”考え、創る力” 「人間とは何か」を追求したロボット開発を

まるで人間のようにふるまい、会話ができるアンドロイド。そんなSFのような世界を現実にしたのが、ロボット研究をとおして文部科学大臣表彰を受賞した、世界的なロボット研究の第一人者・石黒浩さん。生まれ故郷の高島の自然の中での原体験や、今の滋賀への思い、そしてロボットと人間のこれからについて語っていただきました。

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田舎の風景と暮らしが今の原点

高校までを高島市安曇川町で育ちました。もう驚くほど自然が豊かでね。山ではマツタケやシメジがどっさり穫れ、川で子どもが獲ったアユがその日の食卓に上りました。クワガタやホタルも湧き出るくらいにたくさんいましたね。夏は川や琵琶湖で泳ぎ、冬は雪遊び。田舎そのものの風景と季節に密着した暮らしは、今も鮮烈な思い出です。
幼少期を過ごした安曇川では、自然の中で自由に遊んだり、考えたりする時間がたっぷりありました。ビニールハウスでカブトムシを育てたり、ミジンコの増やし方を研究したり…。人工的に作ったものではない自然の中だからこそ、自分で考え、手を動かして、疑問を解決していく力が養われたと思います。同時に「生命」について漠然と何かを学んだ気がするんです。
そんな、自分の土台を育ててくれた滋賀は、昔のような山や水、ゆったりとした時間が流れる場所であってほしいですね。

人との距離が近いロボットを創りたい

転機は小学校5年生のとき。「人の気持ちを考えなさい」という先生の言葉でした。「人の気持ちはどうすればわかるのか?」という疑問を抱えたまま研究者の道に進み、今なおぼくのアンドロイド研究の基本課題となっています。よくロボットが好きだと思われるんですが、実は人間が好きなんです。
今、自律型パーソナルロボットの研究を進めています。人の意図をくみながら対話できるロボットが、ここ数年の間に普及するでしょう。そのキーとなるのが「人間とは?」という基本課題です。それをどこまでも追求することが、人間とロボットが豊かに関わる近未来につながると思っています。

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