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淡海の人

このコーナーでは首都圏でご活躍中の滋賀県ゆかりの人、滋賀県出身有名人にインタビューしています。

株式会社博報堂ブランド・イノベーションデザイン局イノベーションデザイン部 部長 岩嵜 博論さん

岩嵜 博論さん

いわさき ひろのり さん

滋賀県長浜市(旧高月町)生まれ、虎姫高等学校卒業国際基督教大学卒業、慶應義塾大学大学院修士課程、イリノイ工科大学修士課程修了
株式会社博報堂入社、国内外のマーケティング戦略立案やブランドプロジェクトに携わった後、現在ブランド・イノベーションデザイン局イノベーションデザイン部 部長
著書に『機会発見――生活者起点で市場をつくる』(英治出版)、共著に『アイデアキャンプ――創造する時代の働き方』(NTT出版)など
東京上野にある長浜市が運営する情報発信拠点『びわ湖長浜KANNON HOUSE』の企画・デザインに関わる

『ビジネス×クリエイティブ』の世界へのきっかけ

日本産業は世界に追いつくために『HOW(どのように効率的に造るか)』を追い求め、世界指折りの産業国となりました。すると、次はどのようなものかを作り考えていく、ゼロベースからの『WHAT(なにを造るか)』という、クリエイティブな世界の重要性が高まってきています。

私の仕事は、この中で、『ビジネスとクリエイティブの掛け算』、つまり創造的な方法論や視点から、ビジネスの課題を解決し、新しいモノを生み出す。そのお手伝いをする広告会社の中のコンサルティングチームをリードしています。

高校生のときに滋賀県事業のミシガン州への派遣のプログラムに参加させてもらい、そこで、グローバルな視点から物事を考えるというきっかけを得ました。

大学では、社会学を専攻しました。その後、社会のことを理解するだけでなく、何らかのアウトプットに結び付けたいと考え、大学院で建築・都市デザインの分野を学びました。

就職は、企業や社会の課題を広告という形でアウトプットする広告会社の道に進みました。10年ほど前から、商品・サービス開発や、事業開発に関わる仕事をしています。途中機会があり、アメリカのデザインのスクールに留学し『ビジネスとクリエイティブの掛け算』を学び、現在その経験を活かした仕事をしています。これから、さらに、何を造るかが重要視される中で、クリエイティブの力を活用したビジネス課題解決のお手伝いができると思っています。

滋賀との関わり ~びわ湖長浜 KANNON HOUSE~

私はローカル(地域)からイノベーティブなものが生まれるということが面白いと考えていて、自分の出身である長浜で、個人的な活動も含め、様々な取り組みを行ってきました。

そうしたところ、機会があり長浜市が東京で情報発信拠点を設けるということに対し、仕事として関わることになりました。

今はローカルなものでもグローバルにインターネットなどで情報発信することができるようになり、オンリーワンであるものが評価されるようになっています。

びわ湖長浜KANNON HOUSEは、東京にある長浜の観音堂というコンセプトであり、どこにもないもので、オンリーワンであるものです。東京という場所で滋賀、長浜を体現することをコンセプトとして考えました。それが評価され、世界的に権威のあるデザイン賞『Red Dot Award: Communication Design 2016』を受賞することができました。

岩嵜 博論さん

滋賀に対する想い

これから先、さらにローカル発の、世界と戦える革新的なものがもっと評価されると思います。今までは首都圏、都市圏で生まれ、それが地方に伝播するというスタイルでした。これからは地方で生まれたものが東京に逆流すること、地方発のイノベーティブなものが東京を経由せずに、ダイレクトに海外に発信するという流れになると思います。

私が育った長浜は、比較的田舎であるのですが、観音文化や木之本宿、余呉湖などもあり、このような地域にこそ、オンリーワンのものは数多くあると思っています。

しかし、地元の人の多くは、東京、都心部で生まれた流行りなどとの比較で、「いやいやこんなもの、大したことない」と思ってしまい、注目されないままになっています。オンリーワンのものがグローバルに評価される今こそ、「地域が持っている個性」を大切に価値があるものとして受け継いでいくことが、外部からの評価につながると思います。

何も流行にあわせたものをつくるのではなく、「当たり前の日常こそ地域のブランディング、ここにしかない魅力になる」という考えが必要で、地域に素材があれば、外部からは『宝がある』と思っていろんな人がやってきます。

外部の人の視点を持ち込むことで、別の視点から地域の価値が見いだせます。外部の目線も取り入れ、滋賀の良さを再認識し、伝承し、残し続け、そして発信することが大切です。都心部から離れた滋賀だからこその価値が評価される時代になってきており、将来に向けて可能性があるという希望をもっと持ってもいいと思います。私自身も滋賀の価値の発見に今後も関わっていきたいと思っています。

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