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しがの風ふわり

近江・匠の風土 人と水の共生

近江の人々は、豊かな水をたたえた琵琶湖や周辺の自然に抱かれるように暮らしてきました。自然の水は今も人や物を運び、生き物を育て、生活用水となり、また由緒ある湧き水も今に残り、人と結び付いています。そして水は、和紙や染織など匠の仕事に欠かせないものとして、近江の地場産業を支えています。

糸を染色している様子
湖南市 下田 紺喜染織 糸を染色している様子
大津市 桐生 成子紙工房 紙漉き
紙漉き
湖南市 下田 紺喜染織 糸を染色している様子
浜ちりめん 水撚八丁撚糸

桐生の里(大津市)で作られる近江のなるこ和紙は、地元の山野に自生する雁皮原料と草津川の良質な伏流水を使います。職人が手間ひまをかけて柔らかく強靭な紙を漉きあげる技術は、県の無形文化財にも認定されています。

難波村(現長浜市)で始まった浜ちりめんは、伊吹山系の伏流水と琵琶湖の軟水に恵まれた環境で作られる絹織物。水を利用して撚りをかけた糸は弾力があって切れにくく、生地に美しい光沢があるのが特徴です。県内各地で織られる木綿の藍染は、染色した糸を手織りしたものです。豊かな水を使い、独特の美しい色が生み出されます。

また水の利がよい草津川の畔(草津市)では、京の友禅染の下絵に使われる青花を、江戸時代から栽培してきました。夏に摘み取った花から汁を絞り青花紙を作ります。その青花紙を絵皿に落とし、染み込んだ青汁を戻すことにより優美な文様の下絵が描かれます。

匠の手仕事を支える 近江の「水」

近江のなるこ和紙(大津市)

近江のなるこ和紙(大津市)

貴族文化に彩りを添えた雁皮紙。原料を水中で浮遊させ作り上げる。なめらかな紙質は草津川の軟水によるもの。

浜ちりめん(長浜市)

江戸時代から生産が始まった高級絹織物。強撚糸を使った高いシボ(生地上のシワ)が特徴。

浜ちりめん(長浜市)

藍染(県内各地)

藍染(県内各地)

京都から伝わった紺染が起源。藍の栽培から発酵、染色、織りまで昔の技法が守り続けられている。

青花(草津市)

ツユクサの変種で、花弁から絞った青色の液体は和紙への浸透と乾燥を経て、友禅染の下絵を描く絵具となる。

青花(草津市)

撮影・取材協力:(有)成子紙工房(近江のなるこ和紙)、紺喜染織(藍染)、浜縮緬工業共同組合・(有)吉正織物工場(浜ちりめん)、草津市(青花)