文字サイズ

滋賀県経済振興特別区域認定審査・評価委員会(第1回)議事録

滋賀県経済振興特別区域認定審査・評価委員会(第1回)の会議概要

日時:平成16年6月25日(金曜日)15時00分〜18時00分
場所:滋賀県公館ゲストルーム

経済振興特別区域計画の認定審査について

■伊吹・山東エコミュージアム薬草特区

<計画の内容>

  • 伊吹町と山東町の共同申請。場所は伊吹山の麓、岐阜県と滋賀県の境。
  • 薬草をキーワードとして産業振興を図り、安全で健康な生活が営める環境をつくる。
  • エコミュージアムとは、エコロジー(生態学・環境)と、全体が博物館という意味を持ち、エコノミーが適度なバランスで環境を支えるシステムとして、まちづくりへ繋げていく。
  • 「製薬企業誘致」「薬科大学研究室誘致」「薬草コミュニティビジネス展開」で産業振興を図る。
  • 特区のイメージとしては「薬草関連コミュニティビジネス展開」、「薬草関連研究所ゾーン」、「薬草温泉・スパ・スポーツセンターゾーン」、「伊吹山麓まるごとミュージアム施設ゾーン」、「薬草関連コミュニティビジネス」

<特区の目標>

  • 地域住民が地域素材の良さを改めて知り、薬草を健康的に使用する知恵を再確認できる。
  • 薬草によるコミュニティビジネスの展開と同時に、企業・大学の研究所等の誘致を図る際に、薬草という目的が明確化され、薬草による健康産業という、地域特有の産業振興が図れる。

[質疑応答]

●薬草というテーマの独自性について

委員:ユニークで良いアイデアだが、類似のものが他地域にあるのか。
申請者:他の地域では、ここまで文献で調べているところはないと思う。

●実現のための課題

委員:これを実現するために、解決しなければならない課題は何か。
申請者:薬事法の問題。医薬部外品としてクリアできるかどうか。
委員:薬事法は、薬草を植えているだけでは抵触しないので、薬草植物園なら問題はない。

●ビジネスモデルについて

委員:薬事関係の産業分野に力を入れた特区を目指すのか、特産品に力を入れるのか。
申請者:薬草の風土がある地域に立地するメリットを、企業や大学に理解してもらいたい。
委員:プロデュースする人材を得て、大きなビジョンを描いて、参加企業を探す専門職がいると芽のある事業になると思う

■PIP(Pioneer Industrial Park)特区

<計画の内容>

  • 甲南フロンティアパークを活用し、いずれ大きくなると思われる中小企業の振興を図る。
  • 業種を絞り込まず、元気のある企業を集積させる。
  • パイオニア研究会(仮称)を組織し、地域産業全体のボトムアップへ協力する。

<特区の目標>

  • 地元企業として末永く活躍してもらえる組織形成、中小企業の発展による地域振興を目指す。
  • PIP特区を甲賀地域の産業集積のランドマークとしての役割を担いたい。

[質疑応答]

●立地の対象とする企業について

委員:中小企業を狙ったのはなぜか。
申請者:地域に根付いて成長してもらうことが、地域振興としては大切だと考えている。
委員:地元に根付くとはどういうことか。
申請者:地域ブランド化を考えている。中小企業は同じ立場で話ができると考えており、町も運命共同体として、一緒になって取り組む。

●特区の特色について

委員:全国で工業誘致が行われているが、他の工業団地と比べて、この構想の特色は何か。
申請者:多様な企業がネットワークを組み、多様なニーズに応えられるというイメージである。
委員:それを町の窓口が1本化して、ワンストップで探してくれる組織をつくるのか。
申請者:1本ではないが、そういう組織はつくりたいと思っている。
委員:この特区計画で、企業誘致がどう変わるのかわからない。
申請者:特区制度の税の軽減は、来る企業には大きなインセンティブになる。
委員:税の減免による企業誘致を目的に特区を申請するのは、県が特区を先導する意義がない。
委員:中小企業の誘致には賛同するが、何を解決すればよいのか、どうすれば高技能の技術者が集まるのかという点を固めておかなければならない。
委員:どこでも税制さえ減免されれば来るのかという話になる。

■近江八幡くらし・環境産業特区

<計画の内容>

  • エコ村を整備し、コミュニティビジネスを創出し、企業も集まって生活質を改善するビジネスを展開するコンソーシアムをつくる。
  • 国の都市再生本部から選定された事業を踏まえて、地域資源を活かしながら産業の振興を考える。
  • 環境や地域社会の活力、産業を含めた総合的な支援制度が必要であると考えている。

<特区の目標>

  • ないコストで環境・社会・経済の目的を達成する。生活質の改善につながるビジネスをプロモートし、これにつながる社会システムをつくる。

[質疑応答]

●エコ村の事業内容と目的について

委員:具体的にエコ村は何をするのか。観光産業が目的なのか。
申請者:観光産業は一つの効果であり、地域の水循環の開発、持続可能なエネルギーの利用、健全な地域の物質循環の仕組み、社会の健全性という四つのテーマについて研究開発を行い、事業へ展開していく。
委員:閉鎖系の村づくりのように見えるが、波及効果が出るのか。
申請者:企業の研究開発グループも立地して、開発された技術を周辺の産業や既存の地域でビジネスとして展開する。
委員:興味はあるが、ビジネスモデルに近づこうとするコアになるものが見えない。
申請者:健康管理については医療機器メーカー数社と話を進めており、プラスチック製品の循環技術を開発している会社とも話を進めている。

●プロジェクトの主旨について

委員:企業は何の目的でそこに立地するのか。
申請者:新しい産業のシーズづくりを狙う。ニーズとシーズをマッチングして、生活改善の場から新しい技術のシステムを開発したいと考えている。

■長浜バイオ・ライフサイエンス特区

<計画の内容>

  • 全国初のバイオ系4年制大学を開学し、地域の新産業創造拠点形成を目指した長浜サイエンスパークの整備を進めてきた。
  • 琵琶湖バイオステージ構想のバイオ・インフォマティックス分野の重点推進エリアであり、関西圏バイオサイエンス国際拠点形成基本構想でも、学術研究基盤を核としたバイオ産業創出プロジェクトが掲げられている。
  • 大学のシーズや人材を活かして、民間企業や研究所を誘致する。大学院設立をはじめ、バイオビジネス支援機関、インキュベーション施設、バイオ関連公的研究機関の立地を考えている。
  • 民間研究所や大学とともに、長浜ゲノム健康電子便プロジェクトにも取り組むこととしており、健康管理センターの整備を目指す。
  • 長浜バイオ産業促進懇話会を中心に、商工会議所、バイオビジネス創出研究会、琵琶湖バイオ産業機構や金融機関の参画を得て準備を進めている。

<特区の目標>

  • 特色のあるバイオクラスターの形成を図り、県域におけるバイオの技術革新を牽引して、新しい市場と雇用の創造を図る。

[質疑応答]

●バイオ産業誘致のための優位点について

委員:バイオ産業を呼ぶには、何をつくれば一番喜ばれるのか。ここの有利な点は何か。
申請者:大学が弾みになるので、2年後を目標に大学院の形成を目指す。有利な点は、バイオ・インフォマティックス分野の人材育成を柱としており、優秀な先生方を招いている。

●企業誘致の現状と特区への期待

申請者:社会事情から、イニシャルコストの低減を求める声が出ている。特区における税の減免措置は重要であると考えている。
委員:特区になってイニシャルコストが下がれば、進出したいというベンチャーはあるのか。
申請者:調印等はまだしていないが、話としては2〜3ある。

●研究者が集まる住環境の整備

委員:学生数はどのくらいで、教授陣を含めてどのくらいが住んでいるのか。
申請者:定員198名だが、志願率が高く、昨年は290名、今年は250名が入学した。県内が4割だが、全国から応募があり、約4割が下宿している。教授陣はここに住んでもらうことを採用条件としており、家族で住んでいる方もいる。
委員:知的な人々が住みやすいソサエティが必要である。有望なプロジェクトだと思うので、有名受験高校の誘致等も本気で考えるとよいと思う。
申請者:都市銀行と教育は必要と考えており、検討している。
委員:バイオ産業の人材の定着条件として、ここは土地も大学もあって期待できるので、企業が求める立地因子を検討するとよいと思う。

■滋賀統合物流センター(SILC)特区

<計画の内容>

  • 米原町は、1日210本の新幹線、国道8号線、21号線、名神高速道路、北陸自動車道が通り、年間1億人の往来がある。国土交通省が交通結節点事業を採択し、JR貨物のターミナルを米原につくる計画が進んでいる。
  • SILC事業は鉄道とトラック輸送を効率的に結び、ターミナルの機能だけではなく、種分け、発送、保管、加工、防災備蓄も兼ねながら、物流のコストダウンと効率化、モーダルシフトによるCO2削減を図る。

<特区の目標>

  • 物流拠点を整備し、以下の経済効果を目指す。<1>直接投資として150億円、総効果は330億円超。<2>トラック輸送がコストダウンし、倉庫の保管料も首都圏の80%減。<3>直接雇用が565人、マクロモデルでは1,680人の効果雇用数を見込む。<4>固定資産税は平成22年度から年間約1億円、県民税も1,400万円以上の税収効果が出る。<5>モーダルシフトによるCO2の削減効果は年間16,000リットル、省エネルギー効果で1,800万リットルと非常に大きい。

[質疑応答]

●特区化のメリットと課題

委員:大変良い計画だが、特区になるメリットは何か。民間企業からアタックがあるのか。
申請者:予定地は市街化調整区域で農振地域の規制があり、特区を認められることにより規制の緩和をスムーズに進めたい。財政的な支援もあるし、PR効果も大きい。
提案企業は、輸送企業、大手商社、航空会社など。荷主は県内企業が多いが、敦賀港や四日市港、名古屋港にも近く、需要が見込める。
委員:全国化するには、鉄道に載せた荷物を降ろすところにも同じ装置があってネットワークになる必要がある。
申請者:最近のJRの貨物輸送は、ホームに一定時間停車する間に荷物を揚げ降ろしするが、スピードも荷物を降ろす機能も有している。トラック輸送と鉄道輸送の境目は400km。特区化により税制面等でコストダウンし、300km圏内へ変わることを期待している。

●モーダルシフトと物流の結節機能について

委員:モーダルシフトは、400kmを300kmにすると可能性が高くなるのか。場所については、必ずしも農振地域を充てる必要はないのではないか。
申請者:近隣の工業団地に立地した企業は、3経済圏の中間点にあることを狙いとして進出しているので300km圏になるのは意味がある。米原は、新幹線の駅から徒歩10分のところが市街化調整区域になっているので、大型開発ができる条件整備が絶対に必要である。
委員:そういう戦略性があるから、こういうプロジェクトをセットしたいということか。
申請者:統合物流センターをつくって、地の利を活かしたまちづくりをする。

■わが竜地域環交竜eco特区

<計画の内容>

  • 環境を切り口とした地域内循環により、エコロジーとエコノミーの発展を実現し、自立するまちづくり型経済開発を持続的に展開する。
  • コンパクトにまとまった地域自立と、広域をエリアとする集客、交流を一体的に展開して持続し続ける地域経済の発展を目指すものあり、全国に共通するモデルになると思う。
  • 地域のエネルギー循環のコアを形成し、経営自立する事業を確立する「バイオマスプロジェクト」、コミュニティコアを形成する「対流(対竜)事業」、多機能な集客・交流機能の開発を実施する「エコリサーチ&リゾート計画」の三つのプロジェクト。
  • 産・官・学・民の連携によるリーディング・プロジェクトを軸に事業展開を行う。

<特区の目標>

  • すべてのプロジェクトをエコロジカルな視点で捉え、エネルギー・資源を地産地消することで成長管理を伴う経済発展を目指す。
  • 最大の特徴は、地域間交流による発展の創出。産・官・学・民が連携して、統一コンセプトに基づいた持続的で確実な経済発展を実現させたいと考えている。

[質疑応答]

●計画のポイントについて

委員:この計画のポイントは、新エネルギー事業計画であり、これは新しい。
申請者:環境に配慮したリゾートの進め方を提案したい。三つのプロジェクトを結び付けるため、企業、大学等と連携する第3セクター的機構を立ち上げる。進出企業や住民も含めて協議会を設立しつつある。

●リゾート計画について

委員:リゾート計画は、具体的に進む見込みなのか。
申請者:平成 17年度で概ねの手続きを終わり、18年度から現場に入る模様で、間違いないと思っている。

●特区に期待すること

委員:特区になることで、何を期待しているのか。
申請者:エネルギー部門では、リサイクル資源の利活用に規制がある。特区での取り組みを通じ廃棄物等が有効な原料として認められ、規制の緩和につなげたいと考えている。工場の立地により、安定した資源の提供が見込まれ、自家消費を除いて余った分は地域に循環するが、当初は関西電力に売却する形でスタートしたい。
委員:それは事業として行うのか。採算性は引き合うのか。
申請者:町も入ってプロデュースできる組織を立ち上げたい。第3セクターの組織づくりを考えている。採算性については、効率のよいガス化発電を検討しており、売却単価が8〜10円でなら採算が取れると思っている。

■びわ湖南部エリア新産業創出特区

<計画の内容>

  • 大津市、草津市共同の計画で、4分野を重点戦略分野として、「知の資源から発現する新産業コンプレックス」創出を提案している。
  • 当地域は産学連携の取り組みが早く、4大学が健康・福祉複合体構想を掲げて協定を締結し国の補助採択を受けてスタートしている事業もある。
  • 8施設121室の企業支援施設があり、今後は各施設のインキュベーションマネージャーと連携し、ベンチャー企業の成長に即した相談体制の充実を図る。人材育成も産・学・官一体で進める。
  • 創造(研究)、製造(生産)、商造(販売)の支援をものづくりの3本柱と位置づけ、特に商造活動の支援については、販売力強化のための「地域商社」構想などについて、総力をあげて検討を実施する。

<特区の目標>

  • 四つの戦略プロジェクトと10の支援メニューで、企業の成長段階に応じた支援を重点的かつ集中的に投じ、時代をリードする新産業の創出を図る。
  • びわ湖南部エリアにおける新産業コンプレックスの創出が、びわ湖南部エリアブランドとして草津、大津から滋賀、そして全国へと発信される壮大なるマトリックスの実現化を目指す。

[質疑応答]

●コアとなる機関について

委員:一番の問題は、知的な人やプロデュースする人にいかに住んでもらうかである。新産業を創出するための、コアになる研究施設は何か。
申請者:各大学に産学連携の窓口があり、インキュベーション・マネージャーがいる。大学内の各分野の研究所も、3年くらいのサイクルで統廃合と新設を繰り返している。
委員:コアとなる研究機関は既存のものをいかに束ねるかという話になるので、プラットフォーム機能が横断的につながれば、加速されると思う。

●大きな視点からの議論の必要性

委員:これまでの日本では、工場以外の経済機能は東京に集めて、地方自治体は地元のためだけのサービスを行うという国の出先機関的な発想なので、その政策を止める大きな拠点づくりが必要。そのためには、各大学の本人も家族も長く滞在できる社交の場をつくり、学者、ベンチャー、弁護士、会計士も定着して、滋賀ブランドを作るために総合企画にしなければならない。
テクノポリス以来繰り返してきた失敗は、ソフトウェアとその先にあるヒューマンウェアが伴わなかったこと。

●国の特区との関係について

委員:国の特区と地域的に少し違う点があるが、どうしようとしているのか。
申請者:国の経済特区をシーズの創出地域、それ以外の地域を、そこから出たシーズによって生まれたベンチャーが立地する地域と位置づけて、ハイテク化した産業立地を考えたい。

■認定審査

委員:「長浜バイオ・ライフサイエンス特区」は第2位だが、認定することで促進する効果があるなら、認定した方がよいと思う。「滋賀統合物流センター(SILC)特区」の土地の規制は調整に一定の時間が必要か。

委員:県の中に優等生をつくるのだから、認定は絞った方がよいと考える。今回は1地域を認定して、長浜などは、今後の検討を踏まえながら、次の機会でも遅くないのではないか。

委員:バイオテクノロジーは全国競争だが手遅れにならないか。

委員:長浜はもう1年浪人するよりも特区にすることで進展が期待できるのではないか。

委員:「伊吹・山東エコミュージアム薬草特区」についてはどうか。

委員:企業立地なのか、観光にするのかを詰めて、よいプロデューサーを入れて、目的をはっきりさせると良くなる可能性は出てくるのではないか。

委員:「県の特区に認定されたから」という形にした方が、話が進むのではないか。
「伊吹・山東エコミュージアム薬草特区」は、規模が小さいので、自分たちでできる範囲ではないかという気がする。したがって、「特区に認可されているから参加しないか」という形でツーリスト会社を回る方がよいのではないか。

委員:「伊吹・山東エコミュージアム薬草特区」は、むしろ経済特区にすることによって、資質が損なわれる気がする。1年間、県や市町村の情報交換の中で、企業との勉強会等も開いたりしながら、ポテンシャルを上げ「次にやろうか」ということでよいのではないか。それだけの質のあるものだと思う。
この経済特区の支援は5年間というタイムリミットがあるものなので、ある程度の資質を平均的に備えたところを俎上に上げて、それからもっと引き上げようということではないかと思う。

委員:長浜とびわ湖南部の二つか。

委員:「びわ湖南部エリア新産業創出特区」は地域振興と地域サービスを混同していて、経済振興ではなく、地域サービスの話になっている。長浜ももう少し勉強してもらうという条件付きで認めるという形もあるかもしれない。

事務局:誤解を得たまま進んでしまうと意味がないので、満点で認定されたわけではなく、問題があることを指摘して、宿題を付けていただく方がよいと思う。
他も評価されている面があるので、コメントを付けていただきたい。県では提案された計画が認定される、されないに関わらず、全力で支援する。
次回は、3月頃に進行具合の評価をいただきたいと思っており、1年待ってどうかという意見もあったので、早目に、第2回の認定評価を重ねてお願いできればと思っている。る。