大津・南部地域は滋賀県内でも古くからの園芸地帯です。近年は、野菜を多品目少量生産して直売所で販売する生産者が激増しています。消費者と同居する都市農業地帯でもあり、できるだけ化学合成農薬に頼らない生産が求められており、削減するための技術普及は極めて重要です。
滋賀県では、平成15年3月に「環境こだわり農業推進条例」を制定し、平成23年度には5年後を見据えた基本計画を改定しました。「環境こだわり農業のスタンダード化・定着化に向け、環境に配慮した技術の実践・拡大の一層推進」と、「滋賀の地域ブランド「環境こだわり農産物」の生産・流通の推進」、「環境こだわり農産物の積極利用に向けた、県民が一体となった取り組み推進」の3つの基本方針を掲げ、様々な取り組みを行っています。
このたび、食の安全・安心に対する消費者ニーズの高まりに応え生産拡大を図るため、普及指導員が日常の普及活動で得た事例をもとにして、露地野菜、花、果樹の主要直売品目を中心に、「環境こだわり農産物栽培に向けた病害虫防除の手引き」として取りまとめました。
また、生産者が利用しやすいように、農薬などの情報も掲載しました。
生産者のみならず関係者の皆様にとって、環境こだわり農産物を推進していただくうえで効果的な病害虫防除の実践に役立つよう期待しております。
平成25年3月
大津・南部農業農村振興事務所農産普及課長
古谷 博幸
表1:掲載作物一覧(「環境こだわり農産物栽培に向けた病害虫防除の手引き」より抜粋)
品目 | 防除対象の病気,虫,など |
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キャベツ | 苗立枯れ病、アオムシ、ハイマダラノメイガ(通称:ダイコンクイムシ)、ネキリムシ類、アブラムシ類、ヨトウ類 |
はくさい | 軟腐病、根こぶ病、べと病、ハイマダラノメイガ、 |
ブロッコリー | 黒腐病、ヨトウ類、アブラムシ類、アオムシ |
だいこん | 萎黄病、べと病、キスジノミハムシ、カブラハバチ |
たまねぎ | べと病、白色疫病、ネギアサミウマ、アブラムシ類 |
きく(小菊) | 白さび病、褐斑病、アブラムシ類 |
カキ | 落葉病、カキノヘタムシガ、カイガラムシ類 |
表2:掲載作物一覧(「環境こだわり農産物栽培に向けた病害虫防除の手引き2」より抜粋)
品目 | 防除対象の病気,虫,など |
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にんじん | うどんこ病、キアゲハ、アブラムシ |
さといも | ハスモンヨトウ、アブラムシ類 |
さつまいも | つる割れ病、イモコガ、ハスモンヨトウ、ネキリムシ類 |
じゃがいも | そうか病、疫病、オオニシジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ) |
なばな | 黒腐病、軟腐病、根こぶ病、アブラムシ類、ハイマダラノメイガ、ヨトウ類、アオムシ、オオタバコガ、ネキリムシ類 |
みずな | 苗立枯病、白さび病、コナガ |
こまつな | 苗立枯病、白さび病、コナガ |
ほうれんそう | べど病、シロオビノメイガ |
ねぎ | サビ病、ネギハモグリバエ、シロイチモジヨトウ |
にんにく | 春腐病 |
なす | 青枯れ病、半身萎凋病、灰色かび病、テントウムシダマシ、オオタバコガ、マメハモグリバエ、ハダニ類 |
かぼちゃ | うどんこ病、疫病、ウリハムシ、タネバエ |
すいか | 炭そ病、つる枯れ病、ハダニ病 |
ストック | 菌核病、灰色かび病、ハイマダラノメイガ類、コナガ |
ゆり | 葉枯病、アブラムシ類 |