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平成29年(2017年)6月(第110号)
6月1日は「人権擁護委員の日」、6月26日~7月2日は全国一斉「子どもの人権110番」強化週間です。
人権擁護委員の制度は、さまざまな分野の人たちが人権思想を広め、地域の中で人権侵害が起きないよう配慮し、人権を擁護していくことが望ましいという考えから設けられたものです。
現在約14,000名の人権擁護委員の方が全国の各市町村で、差別、いじめ、プライバシー侵害などの人権に関する相談活動を行っておられます。
また、人権教室や街頭啓発などの人権啓発活動も積極的に実施されています。
今月は、人権擁護委員として活動しておられる滋賀県人権擁護委員連合会会長の乾 眞人さんと事務局長の向井 洋子さんにお話を伺いました
<「人権擁護委員」とは?>
人権擁護委員は、法務省人権擁護局、その地方支分部局である法務局、地方法務局及び支局で構成される「法務省の人権擁護機関」として、人権擁護委員法に基づいて活動をしている民間ボランティアです。
人権擁護委員は、「かたばみ(地を這って広がっていく根強い植物であることから、人権思想が広がっていくようにとの願いが込められている)」の葉を外側にあしらい、中に菊型の「人」の文字を配したデザインのき章を襟に付けています。
人権が侵害された疑いのある事件を人権侵犯事件と言い、人権相談などで、被害者から「人権を侵害された」という申告を受けた場合、人権擁護委員は、法務局・地方法務局の職員と協力して人権侵犯事件の調査・処理に携わり、当事者の利害・主張の調整を行うなど、事案の円満な解決を図っています。
自治会の役員をしているときに人権擁護委員になってくれないかという要請があったのがきっかけです。人権擁護委員の活動をしていくうちに、「人権は大切なこと」という認識がより深まってきて、今は相談者の思いを尊重しながら相談を受けて、人権の擁護に貢献していきたいという思いを持って活動しています。
(写真右側:会長 乾 眞人さん 左側:事務局長 向井 洋子さん)
■人権擁護委員の相談活動について教えてください。
滋賀県には大津、甲賀、彦根、長浜の4つの人権擁護委員協議会があり、それぞれが相談活動を行っています。
相談の形態としては3つあります。一つ目は常駐相談です。これは人権擁護委員が法務局で午前9時半から午後4時半まで電話相談や面接相談を受けるものです。相談件数は年間で900件弱です。二つ目は特設相談です。これは市役所や百貨店などで特別に場を設けて住民の方からの相談を受けるものです。相談件数は年間で130件程度です。三つ目は自宅相談です。人権擁護委員は、地域の住民から、自宅で直接相談を受けることもあります。相談件数は年間30件程度です。
▲相談室(左)も人権擁護委員の方が電話相談を受ける部屋(右)も防音になっています。 |
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また、毎年10月頃には県内の全ての小中学生にSOSミニレターというものを配布しています。子どもたちが悩みや相談事を書いてきて、人権擁護委員が返信応答する仕組みになっています。年間200通弱のSOSミニレターが届きますが、小学生からのものが多いです。
■相談を通して見える現状についてお聞かせください。
子どもたちからの相談は、いじめや親からの虐待など、友人や家族関係の悩みが多いですね。また、親から「子どもがいじめを受けているようだがどうしたらよいか」という相談もあります。他には「配偶者からDVを受けている」「職場の上司からのパワハラに困っている」というような相談もあります。相談を聞いて、事件性が考えられるものは弁護士や子ども家庭相談センター(児童相談所)への相談の案内などのアドバイスをしています。また、相談者の中には話をする相手がなく、ただ話を聞いてほしいという方も多くおられます。こういった場合には、相談者の方の思いに寄り添い傾聴するように心がけています。
■現状から見える課題と、今後の活動等についてお聞かせください。
課題に感じていることは、相談を受けてから一つの窓口では解決まで辿り着けないケースもあるということです。現在、社会全体で見ると相談窓口は内容ごとに細分化され、窓口の数は増えてきているように思いますが、各窓口の横の連携はあまりできていません。そのため、どの窓口でどのような相談を受けているのか、というような情報交換の場があればよいと思っています。実際には守秘義務がありますので、その中でどのように連携していくことができるのか、という点が難しいところではありますが、守秘義務に十分配慮した上で、相談内容に応じ、できるかぎりの情報共有をして、連携をとっていけたらと思っています。
また、人権相談の件数は年々減ってきています。その要因の分析は難しいところですが、悩んでいても相談できない人が増えていることが要因の一つかもしれませんので、悩みを抱える人たちが相談しやすい体制をいかに充実していくか、ということについても今後考えていかなければならないと思っています。
■メッセージをお願いします。
一人で悩まないで、電話や窓口相談、どんな形でもよいので一度相談してみてください。胸の内の悩みを口に出してみることで、気持ちが楽になることもあると思います。このように相談しなければならいないという決まりはないので、誰にも相談しにくいことを話してもらえたらと思います。秘密は必ず守ります。
また私たちは顔の見える人権擁護委員をめざして日々活動をしています。県内に230名と人数も少なく、認知度も高くない人権擁護委員ですが、幼稚園や小学校での人権教室等を通して人権擁護委員の存在を子どもたち、そして大人の方々にも知ってもらい、「困ったときには相談してみよう」と覚えてもらえればと思っています。
■相談活動以外の活動や今後の活動予定についても教えてください。
法務省と全国人権擁護委員連合会では毎年、全国中学生人権作文コンテストを開催しています。滋賀県においても、県内の優秀作品の表彰式と発表会を開催しています。
今年度は12月16日(土曜日)に大津市生涯学習センターでの開催を予定しています。発表会では、今の中学生の思いや考えに触れていただくことができます。人権についての理解を深めていただける
よい機会ですし、中学生の励みにもなります。ぜひとも多くの方に来場していただきたいと考えています。
また、現在、全国的にインターネット上の書き込みによる人権侵害が大きな問題となっており、相談件数も増加しています。そこで、今年度から県内の学校で「インターネットと人権」というテーマで人権教室を実施することとしており、すでに10校ほど訪問する予定となっています。
人権擁護委員はさまざまな取り組みを通して、皆さんの人権を守るために日々努力しています。
(平成29年5月19日にインタビューさせていただきました)
~最後に~
昨年度実施した人権に関する県民意識調査の結果によると「人権侵害を受けたときの対応」の調査項目で「何もしなかった」と回答した人の割合は39.4%と、「身近な人に相談した」の41.0%に次ぐ高い回答率となっています。
実際に発生している人権侵害の数はもっと多く、報告されないケースや差別を受けても黙って我慢したケースもあるものと考えられます。
今回特集した人権擁護委員さんなど、相談できる専門機関はあなたの身近にもあり、面接による相談以外にも電話やインターネットなどの方法もあります。
もし、あなたが悩みを抱えていたり、学校や職場などであなたの周りの人が人権侵害を受けて困っている時には、気軽に相談したり、相談窓口を教えてあげてください。
◇主な相談窓口をご紹介します。
みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)(外部サイトへリンク)☎0570-003-110
電話をかけると最寄りの法務局・地方法務局につながり、法務局職員または人権擁護委員が相談に応じます。
・子どもの人権110番(外部サイトへリンク) ☎0120-007-110
子どもの人権に関する電話相談を専門的に扱っています。
・女性の人権ホットライン(外部サイトへリンク) ☎0570-070-810
女性の人権に関する電話相談を専門的に扱っています。
(相談フォームアドレス)http://www.jinken.go.jp/
相談フォームに必要事項を入力して送信すると、あなたの住所を管轄する法務局・地方法務局に相談に関する情報が送信され、後日メール、電話または面談により回答があります。
・子どもの人権SOSミニレター(外部サイトへリンク)
電話では相談しにくい、勇気がいるなどといった子どもたちの気持ちに配慮した手紙による人権相談です。全国の小・中学生に配布しています。相談したい内容を書いた手紙(切手不要)をポストに投函すると、最寄りの法務局・地方法務局に届きます。人権擁護委員は届いた手紙から子どもたちの想いを読み取って返事を書くなど、子どもたちの心に寄り添い、事案に応じて、子どもたちの声を救済に結び付ける取組を行っています。
・県内にある相談窓口
滋賀県では、さまざまな人権に関する悩みに対して、的確に対応できるよう、国や県などの専門の相談機関が、「滋賀県人権相談ネットワーク協議会」を組織して、連携を図っています。(詳細はタイトルをクリック)
人権擁護委員さんは大人も子どもも関係なく、丁寧に話を聞いてくれます。