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じんけん通信

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8月号の内容

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平成28年(2016年)8月(第100号)

もうすぐリオオリンピック・パラリンピックが開催されます。

オリンピック・パラリンピックは、国連の「世界人権宣言」に明記されている「すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である。」という理念のもと、スポーツを通じて「人権を守り平和に貢献する」ことをめざしています。

オリンピック憲章でも、「スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。」とされています。

今月は、今年4月に施行された障害者差別解消法の趣旨である「障害のある人もない人も、ともに人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」のために何が必要かを皆さんと一緒に考えるため、障害者スポーツである車椅子ツインバスケットボールチーム「INFINI(アンフィニ)」の代表、キャプテンとして実際にプレーをし、障害者スポーツの普及にも取り組まれている宇野正則さんにお話を伺いました。

特集 「障害者スポーツと人権」

Q 車椅子ツインバスケットボールとは

頚椎損傷者(四肢麻痺)が車椅子でおこなう競技です。ツインバスケットボールは、四肢麻痺の障害者によるバスケットボールで、通常のゴールとフリースローサークルの中央に置いたゴールの2つを使用することから車椅子ツインバスケットボールと呼ばれています。四肢麻痺の人たちでも楽しめるように考案された日本生まれのスポーツです。なお、四肢麻痺とは、主に交通事故やスポーツ中の事故で首の骨を折り(頸髄損傷)、または病気により、手も足も障害を持ち機能が麻痺することを言います。

一般に知られる「車椅子バスケットボール」(脊髄損傷者などによるバスケットボール)のルールとほぼ同じですが、障害の程度によってシュート方法が異なり重い障害の選手と軽い障害の選手が一緒にプレーできるなどルールの工夫もされています。大きな特徴は、低いゴールを追加し、より重度なプレイヤーの参加ができるように幾つかのルールを変更していることです。通常の上ゴール(3.05m)とフリースローサークルの中央に置いた下ゴール(1.20m)の2つのゴールがあり、1チームの攻めるゴールとなります。選手にはそれぞれ障害のレベルによって持ち点が与えられ、コートにあがる選手5人の持ち点の合計が11.5点を超えてはならないルールがあります。また、持ち点とは別に、選手各々の障害のレベルや運動能力によってショット方法が定められ、ヘッドバンドの色や有無により、3つに区分されます。ショット区分は、上シューター(上ゴールにショット/ヘッドバンドなし)、円外シューター(フリースローサークルの外から下ゴールにショット/白バンド装着)、円内シューター(フリースローサークルの中から下ゴールにショット/赤バンド装着)となっています。【INFINIのホームページより】

ゴール1
ゴール2
(表)
通常のバスケットゴール(上ゴール)と、フリースローエリアにもう一つのゴール(下ゴール)があります

Q チームINFINIの活動内容を教えてください。

約30年前からチームとして活動を開始し、滋賀県立障害者福祉センターを拠点に主に毎週金曜日の18時00分から20時30分に練習をしています。部員の数も少なく、また、それぞれ仕事があったりして全員が揃わないこともあります。練習は車椅子による走り込みを行い、体力づくりやパスやシュート等の基本練習、3対3、試合形式等の練習をして試合にそなえ日々頑張っています。

現在、登録している選手は9名ですが、人数が全員集まらない時もあるため5対5の実戦形式の練習はなかなかできません。

県内のチームは一つだけなので、人数が集まれば県外のチームと練習試合をしています。明日(取材日の翌日)も予定していたのですが、相手チームの人数が集まらなくて中止になったので、普段通りの練習をします。人数が集まらないという悩みは他のチームも同じようです。

また、毎年8月には滋賀県で「近畿車椅子ツインバスケットボールびわ湖大会」を主催しています。

練習の拠点を滋賀県立障害者福祉センターにしている理由は、競技用の車椅子を置かせていただけるということ、そして何より施設のスタッフの方々が、自分たちの身体の状態をよく理解してくれているので、色々と手伝っていただけるためです。

練習風景
(表)
コート全面を使って3対3の試合形式の練習

Q 競技を始めたきっかけを教えてください。

まさか自分が肢体不自由者になると思っていませんでしたが、車椅子生活になる前からスポーツが好きで、サッカーやフットサルをしていたので車椅子になっても何か体を動かしたいと思っていました。

交通事故で兵庫県立リハビリテーションセンターの訓練課に入所している時に、スポーツレクリエーションで車椅子ツインバスケットボールを体験しました。色々なスポーツを体験してみましたが、一番楽しく自分に合っているのではと思い始めました。それと、現在のチームメイトからも熱心に誘ってもらったことも大きく影響しています。

Q 退院後すぐに始められたのですか。

事故に遭って、約2年間入院していました。兵庫県の病院を退院後に滋賀県に戻りINFINIに加入し、車椅子ツインバスケットボールを本格的に始めました。今では毎週金曜日の練習や試合を楽しみにしています。

Q 競技を始めて変化したことはありますか。

キャプテンという立場もありますが、チームプレイが求められる競技なので、自分よりも周囲を活かすことを考え、心がけるようになりました。自分はチーム内でも障害の程度が軽い方なので、選手のポジションを見てシュートが打ちやすいところまでボールを運んでいます。いいポジションにいて、シュートの確率の高い選手にパスをしてシュートを打ってもらい、チームの勝利のために最善の方法を選択しています。

また、チームをまとめるということを初めて経験させていただいているので、周囲に気を配ったり、社交的になったりしたと思います。

Q 競技をはじめて気持ちの変化はありましたか。

自分と同じ障害の方はもちろん、自分と障害の程度が似ている方の頑張っている姿を見ると、自分も負けられないという気持ちになります。

また、同じ障害を持った選手たちと一緒に活動しているので、気持ちが共有でき、何でも相談できることもプラスになっています。

Q 日頃、苦労していることはありますか。

選手もスタッフも人数が不足していることです。

選手がもっと多くINFINIに加入してくれれば、練習もしやすく、様々な組み合わせができるので、色々な戦術が考えられます。

スタッフが不足しているというのは、常に来てくれているスタッフが少ないということです。頸髄損傷の選手は汗をかくことができないため、体温調節ができません。そのため、練習や試合中に体温調節をするため、霧吹きをしてもらわなければなりません。また、テーピング等の細かい作業もスタッフに手伝ってもらわなければなりません。スタッフやマネージャーが急に来ることができなくなったりしたら、他のチームのマネージャーに頼んでしてもらわなければなりません。

私たちが車椅子ツインバスケットボールを続けるためには、継続して来てくれるスタッフや複数のマネージャーが必要不可欠なのです。

他には、移動に苦労しています。県外遠征の際には、日常生活用の車椅子と競技用の車椅子の2台を車に乗せて移動します。その積み下ろしだけでも一苦労です。

車を運転できない選手は、毎週練習に来ることだけでも大変です。練習場が草津にあり、遠い選手は長浜や甲賀から通っています。電車とバスを乗り継いで通っていますが、練習が終わる時間にはバスが無いので、リフト付きタクシーを呼んで帰ります。雨の日はなかなか来ることができません。

また、健常者の方であれば、1台の車に乗り合わせて移動することも可能ですが、選手は車椅子を2台積み込む必要があることから、2人の選手が1台の車で一緒に移動することはできません。

Q 今後の抱負を教えてください。

まずは、11月に開催される日本選手権の出場をかけた予選で勝ち抜くことです。近畿では強豪チームが多いので、練習を積み重ねて勝ち抜きたいと思います。是非とも多くの仲間に加入いただき、選手層を厚くしたいと思っています。

そして、もう一つ重要なことは、サポートしてくれるスタッフの協力が必要不可欠だということです。

チームメイトや一緒に行動してくれるサポートスタッフを大募集していますので、是非一度INFINIのホームページを御覧ください。

「選手・ボランティア大募集中!!」

興味がある方はぜひ、INFINIのホームページに

アクセスしてください!!

http://www.hukushi-shiga.net/infini(外部サイトへリンク)

INFINIのメンバー

前列右から2人目が宇野さん

それと、車椅子ツインバスケットボールという競技を一人でも多くの方々に知っていただきたいですね。

取材を終えて

車椅子ツインバスケットボールは、障害の程度に応じて活躍できる舞台が用意されている競技でした。まさに障害者差別解消法の「すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」という趣旨に副った競技であると感じました。

「円内には円内シューターしか入れない」というルールを作ったことは画期的で、障害の程度に応じてそれぞれが、それぞれの場所で活躍できるように設定され、皆で同じ試合に出て、勝利という同じ目標に向かって楽しむことができます。

皆さん、夢や目標に向かってボールを追う姿は生き生きとしておられました。

筆者も体験してみましたが、車椅子の操作をしながらボールを扱うという難しさ、車椅子の想像以上のスピード感や車椅子から上体のみを使って力ないシュートしか打てない現実から逃げ出し、すぐに諦めてしまいました。

常に来ているスタッフの方は、一緒に車椅子に乗ってプレーをしていました。そこには健常者も障害者も無く、皆同じコートで同じようにプレーをしていました。健常者は試合には出られませんが、練習の際に一緒にプレーするだけでも楽しめると思いますので、興味がある方は是非一緒に汗を流されてみてはいかがでしょうか。

また、選手の皆さんは全国選手権出場という大きな目標に向け、練習に励んでおられますが、競技生活の中でサポートを必要とされています。試合に出られなくても、サポートスタッフとして、選手と一緒に戦って同じ目標に向かって頑張る達成感を味わってみてはいかがでしょうか。

プレー風景
プレー風景
(表)
上シューターの力強いシュート!! 円内には、円内シューターの選手しか入れません

日本車椅子ツインバスケットボール連盟は世界にも普及するための活動をし、将来はパラリンピックへの種目参加も目標にしているとのことで、今後、ますますの広がりが期待されます。

今年はオリンピック・パラリンピックイヤーです。8月から9月に開催されるリオオリンピック・パラリンピックに注目してください。そして、4年後の2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック、8年後の2024年に開催される滋賀国体・全国障害者スポーツ大会も素晴らしい大会になるように皆さんで盛り上げていきましょう。

人権カレンダー 8月

  • 6日 広島原爆の日
  • 9日 長崎原爆の日
  • 昭和20年(1945年)8月6日に広島へ、9日には長崎に原爆が投下され、広島では約14万人が、長崎では約7万人の方が亡くなったとされています。
  • 7日 ホームレス自立支援法の公布・施行
  • 平成14年(2002年)のこの日に公布・施行。ホームレスの自立の支援や、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関して、国、地方公共団体の責務を明らかにしました。
  • 9日 世界の先住民の国際デー
  • この日は先住民に関心を持ち、先住民の権利擁護について考える日とされています。「世界の先住民の国際の10年」の期間中、毎年8月9日を「世界の先住民の国際デー」とすることが平成6年(1994年)の国連総会で決定されました。この日は、昭和57年(1982年)に先住民に関する作業部会が第1回会合を開いた日です。
  • 12日 国際青少年デー
  • 8月12日を「国際青少年デー」とすべきだとする青少年に関する世界閣僚会議の提案が、平成11年(1999年)12月17日、国連総会に認められました。 この日は政府やその他の人々の注意を世界の青少年問題へ向ける機会とされており、毎年異なるテーマが設定されています。
  • 15日 戦没者を追悼し、平和を祈念する日
  • 昭和20年(1945年)8月15日に第二次世界大戦が終結したことを受け、昭和57年(1982年)に、この日を「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」とすることが閣議決定されました。
  • 19日 世界人道デー
  • 平成15年(2003年)8月19日、イラクで人道支援などを担っていた国連事務所が攻撃され、当時の国連事務総長イラク特別代表セルジオ・ビエイラ・デメロ氏をはじめ22名のスタッフが亡くなり、100名以上が負傷しました。それを受けて平成20年(2008年)、世界中で頻発する紛争や災害などにより避難や困難な生活を強いられている人々と、危険と隣り合わせになりながらも、少しでもこうした人々の手助けができればと願い行動する「エイド・ワーカー」の双方に思いを寄せることを目的として、国連総会によって8月19日が世界人道デーとして定められました。
  • 23日 奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー
  • 寛政3年(1791年)8月23日カリブ海のサントドラミンゴで始まった奴隷の反乱に端を発し、初の黒人による共和国設立に結びついたことを踏まえてこの日が制定されています。
  • 28日 解放令の公布
  • 明治4年(1871年)のこの日、明治政府は、それまで賤民とされていた人々の身分や職業を平民と同様とする内容の「太政官布告(解放令)」を公布しました。
  • 30日 強制失踪の被害者のための国際デー
  • 世界のいたるところに存在する何万人という強制失踪の被害者への関心を高める日となっています。「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」によると、強制失踪とは、「国の機関等が、人の自由をはく奪する行為であって、失踪者の所在を隠蔽すること等を伴い、かつ、法の保護の外に置くこと」とされています。我が国は拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要であることから、平成19年(2007年)に署名、平成21年(2009年)7月23日に締結しました。平成22年(2010年)12月23日、同条約は発効しました

ジンケンダーのちょっと一言

皆さんは、宇野さんのお話しから、「障害」についてどのように感じましたか?障害の程度によってゴールの位置やシュートの方法を変えるなど、ルールを工夫したり、周囲が必要なサポートをしたりすることによって、障害のある人もない人もともにスポーツを楽しむことができるのですね。

このように、「障害はどこにあるのか?」「だれもが本来持っている個性や能力を生かし、生き生きと暮らすためにはどうすればよいのか?」を、一人ひとりが考え、行動することで、社会にある「障害」を取り除くことができます。

日常生活の中にある「障害」に目を向け、一人ひとりができることから始めてみてほしいのだー!

ジンケンダー1

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滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp
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