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じんけん通信

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8月号の内容

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平成26年(2014年)8月(第76号)

認知症の高齢者で行方不明の方が全国で年間1万人に上り、350人以上が亡くなっていることが明らかになりました。また、愛知県で認知症の男性が電車にはねられた事故では、鉄道会社が損害賠償請求を求めて提訴し、今年4月に名古屋高裁が介護していた妻に約359万円の支払いを命じる判決を出したことから、家族の介護負担など認知症に対する社会の関心が高まっています。
高齢者を危険から守ること、介護者の負担を軽減することは、いずれも社会全体で考えていかなければならないことです。長浜市では、警察とコンビニ、タクシー会社、新聞販売所などが連携し、認知症で行方不明者になった高齢者の早期発見や事故防止を図るための通報制度を設けるなどの取組が始まっています。
地域の認知症の高齢者を危険から守るために、私たち一人ひとりにもできることがあるのではないでしょうか。そのためには、「認知症」という病気を理解しておく必要があります。

五味さん

今回は、「認知症にあったかいまちづくりひこね」代表の五味(ごみ)由紀子さんに「認知症にあったかいまちとは?」ということについてお話を伺いました。
五味さんは、御自身の祖母を介護された経験から、彦根市の芹川近くで認知症対応型「デイホームぶどう」を開設するとともに、「認知症にあったかいまちづくりひこね」の活動を通して、認知症に関する啓発活動に積極的に取り組んでおられます。

特集 認知症と人権

キャラバンメイトとともに歩む「認知症にあったかいまちづくりひこね」

Q:団体を結成されたきっかけを教えてください。また、どのような方が参加されていますか。
認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者(一般市民)を「認知症サポーター」といいます。そして地域、職域で「認知症サポーター」を養成する「認知症サポーター養成講座」の講師役を「キャラバンメイト」と言い、市が公募しています。
多くの人に認知症について知ってもらうためには、このキャラバンメイトの養成が必要です。私たちの活動は、彦根市から「キャラバンメイトのコーディネートをしてもらえないか」との依頼を受けて始まりました。
「認知症にあったかいまちづくりひこね」のメンバーは、現在10名です。市の介護担当課の方がボランティアとして参加されていたり、私のように介護事業所を運営している人がいたり、一般市民の方もいます。メンバーは、自らのキャラバンメイトとしての活動の他、彦根市が公募されたキャラバンメイトのスキルアップのための研修を行っています。
キャラバンメイトは一般の方が多く、いきなり「講師」は敷居が高いので、メンバーがバックアップしています。依頼を受けてキャラバンメイトの方と一緒に認知症サポーター養成講座を実施することもあります。紙芝居や寸劇など、キャラバンメイトの方が講師として活躍しやすい方法を工夫しています。キャラバンメイトの方には、これからもどんどん活躍していただきたいと思っています。

一人でも多くの人に認知症について知ってほしい

Q:どのような活動をされていますか?

多くの人、いろいろな人に認知症について知ってほしいと思い、「認知症サポーター養成講座」に月に3~4回出かけています。自治会や企業、中学校の「朝の会」や「福祉学習」の時間を使って講座をすることもあります。実際に認知症の方に対応することも多い警察官やホテルの従業員の方にも受講いただいています。企業や学校などの訪問先をもっと開拓しようと、市の広報誌に掲載するなどして広報に努めています。
受講者に話をきいてみると、「認知症は病気ではない」とか、「本人の生活に問題があったから認知症になった」「女性がなりやすい」など認知症について多くの誤解があることがわかります。また、高齢者のデイサービスでも、一般のデイサービスと認知症のデイサービスとの間には壁があるように感じている人も多いようですが、そのようなことはありません。認知症の方も普通の人と同じです。講座では、正直に自分の気持ちを言っていただき、認知症についての誤解があればそのことに気づいてもらえるようにします。受講対象者にあわせて、絵本を使ったり、パワーポイントを使って説明したりします。
地域包括支援センターの人と一緒に活動することもあります。毎年、「今年は女性の集まり」「今年は老人会」と対象を変えて受講いただいている自治会もあります。
子どもたちに認知症について理解してもらうことも、とても大切です。家族に認知症の方がおられた場合、家庭内ではどうしても一方的な見方になってしまうこともままあります。「お母さんがいじめられている」と思い込んでしまい「お祖母ちゃんなんかいなかったらいいのに」などあらぬ方向に考えが行ってしまうこともあるのです。そうならないためにも、「認知症についての正しい理解」について学ぶ教育も子どもたちには必要なのです。
このように、「一人でも多くの人に認知症について正しく理解してほしい」という思いでサポーター養成講座に取り組んでいます。

チラシ

他の活動としては、年1回彦根市と共催して私たちが企画する「認知症あったかフォーラム」を開催しています。今年2月のフォーラムでは、「~“ありがとう”でつながる地域のキズナ~」と題し、「若年性認知症を生きる本人と家族のメッセージ」の講演と「認知症サポーター養成講座」として私たちとキャラバンメイトによる寸劇「家族の絆」や認知症の人に対する“ありがとう”のメッセージを集めた映像の上映を行いました。多くの方においでいただき、とても好評でした。
また、毎年9月21日の「世界アルツハイマーデー(外部サイトへリンク)」にあわせて、ビバシティ彦根で認知症に関する展示、キャラバンメイトの活動を紹介する展示とともに、介護事業所から利用者の方の作品の展示も行っています。展示は、1週間ほどですが、今年のアルツハイマーデーは日曜日ですので、紙芝居をする予定です。これまでも、相談コーナーを設けたり、アンケートの回答者にプレゼントをしたりと一人でも多くの人に認知症について興味を持っていただければといろいろ知恵を出し工夫してきました。当日は「認知症の人と家族の会」と、民生児童委員や人権擁護推進員も一緒に「家族の会」のリーフレットを配布するなどの啓発活動も実施しています。今年は、ぜひとも市長とひこにゃんにも参加をと思っていますので、みなさんも、ぜひお越しください。

ボランティア活動から生まれる事業所と事業所のつながり

Q:この活動をされていて、『良かったなぁ』と思われることを教えてください。
「認知症にあったかいまちづくりひこね」のメンバーには、私と同じく介護事業所を運営しているメンバーもいます。平たく言えば互いに商売敵でもありますが、手伝いあえる仲間でもあります。このようなボランティア団体があることで、事業所同士が親しくなり横のつながりができることは、励みでもあり、心強くもあります。互いに展示の内容を見せ合ってライバル心を芽生えさせたりもしますし(笑)、事業所同士の職員交流などは、互いに勉強になりメリットがあります。「認知症の人をどう支えていくか」という思いは、どの事業所にも共通の思いです。

認知症の人を支えるのは、誰にでもできるちょっとした配慮

Q:認知症の人にはどのように接したらいいのでしょうか?

例えば、「お腹が痛い」「手をけがした」などの症状があれば、私たちは自らの意志で医療にかかります。しかし、認知症という病気は、本人には自覚がありません。そのため病気が発覚しにくく、治療が遅れるのです。「同じことを繰り返し話される」「電話の応対がうまくいかない」「冷蔵庫に同じものがたくさんある」など気になる症状があれば本人に受診を勧めていただき、早期に治療を受けられるようにしていただきたいです。
「介護予防」ということがさかんに言われていますが、「予防してこなかったから認知症になった」ということはありません。そういわれると本人はとても辛いです。本人が悪いわけではなく、たまたま、その病気にかかっただけ。「あの人だから認知症になった」という見方ではなく、ひとつの病気と捉えてほしいのです。病気であればそれぞれ治療の方法があるように、認知症の人には、「ゆっくり話す」「顔を見て話す」「後ろから急に声をかけない」「文字で示す」など必要な配慮があります。
周囲の方が、認知症について少し勉強して適切に対応できれば、認知症の人も十分地域で暮らしていけると思います。
例えば、認知症の人がゴミ捨ての日を間違った時の対応ですが、ただ「間違っていますよ」と叱りつけるのと、「今日はゴミの日と違いますから一緒に持って帰りましょうね。今度のゴミの日に誘いに行きますよ。」と声をかけるのでは、本人の受け止め方が全く違います。このように声をかけてもらえれば、本人も納得できますし、心が安らぎます。このような配慮のある接し方をしてくれる人が一人でも二人でも増えてくれたらと思います。そういう人が「認知症サポーター」なのです。決して特別なことでも、難しいことでもありません。誰にでもできることです。このように身近な具体例を示すと、「それなら私でもできる」と思っていただけるのではないでしょうか。
ぜひ、やっていただきたいことは、認知症の人に「一緒に行こうか」と声をかけて地域の集まりなどに誘い、一緒に行動することです。実は、この「誘って一緒に行く」という行動がとても大切なのです。認知症の人は、「おいで」という声掛けをされただけでは行くのを忘れてしまいます。「誘ってあげたのになんで来ないの」と不満に思われる方もいるかもしれませんが、やはり認知症をわずらっていらっしゃる方には配慮が必要です。そして、認知症の症状でいろいろ不安なことがあっても、事情がわかった人が側にいることで、その不安もやわらぎます。
こうした認知症の人への声かけや一緒に行動する心遣い、周りの人が連絡を取り合う、そういった配慮と支えがあれば、認知症の人も十分地域で暮らしていけると思います。
徘徊についても、同じことが言えます。「この人は?!」と思ったとき、「疲れておられるみたいだから休んでいかれたらどうですか?」などと声をかけ、しかるべきところに連絡する。「認知症の高齢者ではないか?」と気付いた人にこうした心配りをしていただけると、認知症の高齢者が遠くに行く前に保護することができます。季節に合わない服装をしているなど「何かおかしいな?」と思いながらそのまま見過ごしてしまうと、行方不明になったり事故にあわれたりする危険性もあります。私が関わった事例では、高校生が徘徊に気づいて通報してくれたことがありました。また、若いカップルが認知症の高齢者を派出所に連れてきてくれたこともありました。女性の祖父が認知症だったことから、気づいてくれたようです。
認知症の人にこうしたちょっとした配慮ができるまち、そういうあったかいまちになってほしいと思っています。「認知症にあったかいまちづくりひこね」の名前にはそんな願いがこめられています。

閉じこもらないで きっと助けてくれる人がいます

Q:家族、自身が認知症の方にアドバイスをお願いします。
認知症の人は特別な人ではありません。私たちと何にもかわりません。繰り返しになりますが、本人が悪いわけではありません。たまたま「認知症」という病気にかかられただけなのです。家族の方には、まず、認知症について正しく理解してほしいと思います。
そして、いろいろ御事情はあるでしょうが「認知症の人と家族の会」のような集まりに本当は参加してほしいのです。閉じこもるのではなく「こういうことに困っている」と勇気を出して声にすることで助けてくれる人がきっといるはずです。

認知症の人の「人間杖」になってほしい

Q:広く、県民の方にお知らせすることがあればお願いします。
昨今、認知症がメディアに取り上げられることはいいのですが、「あんなふうになったら嫌だなぁ」というマイナスイメージを植え付けるような報道のされ方はいかがかと思います。
認知症の人も脳のすべてが障害を受けているわけではありません。昔取った杵柄(きねづか)のようなことは、とても上手にされます。認知症になられても、過去の経験が行動に出てほほえましいこともあります。民生委員など地域の世話役をやっておられたような人は、認知症になられてもそういう態度でいらっしゃいますし、ぬい物が得意な方は、雑巾をとても上手にぬわれます。デイサービスに来られる人を見ていると、みなさんそれぞれいいところをお持ちで、見ていてとても楽しいです。認知症の人を見ていると、日常と違うところに喜びを発見できますし、「あっ、そうか!」と気づかされることもたくさんあります。みなさんには、ぜひ機会を見つけて市町で実施されている「認知症サポーター養成講座」を受講いただき、認知症を正しく理解していただきたいと思います。
そして、地域の認知症高齢者を支える「人間の杖」になってほしいと思います。「一緒に行きましょうか」「ちょっとお茶を飲みましょうか?」など認知症の方に声をかけていただく、それが「人間の杖」です。そういったことをしてくださる方が、一人でも増えていくことになればありがたいと思っています。

取材を終えて

障害児教育、教育上の課題の多い学校を含む小中学校での教職経験や、認知症の介護事業所を運営する中での気づきから語られる「障害や病気を特別視することなく一人ひとりを大切にする人権とは身近なもの」というお話は、とても心に残りました。
認知症の人への配慮は決して特別なことではなく、「相手に受け入れられるように伝える」「配慮を必要とする人を放っておかない」などは、あらゆる場面で必要なことではないでしょうか。
あなたも「あったかいまちづくり」に参加してみませんか?

チェックシート

人権カレンダー 8月

  • 6日 広島原爆の日
  • 9日 長崎原爆の日
  • 昭和20年(1945年)8月6日に広島へ、9日には長崎に原爆が投下され、広島では約14万人が、長崎では約7万人の方が亡くなったとされています。
  • 9日 世界の先住民の国際デー
  • この日は先住民に関心を持ち、先住民の権利擁護について考える日とされています。「世界の先住民の国際の10年」の期間中、毎年8月9日を「世界の先住民の国際デー」とすることが1994年の国連総会で決定されました。この日は、1982年に先住民に関する作業部会が第1回会合を開いた日です。
  • 12日 国際青少年デー
  • 8月12日を「国際青少年デー」とすべきだとする青少年に関する世界閣僚会議の提案が、1999年12月17日、国連総会に認められました。 この日は政府やその他の人々の注意を世界の青少年問題へ向ける機会とされており毎年異なるテーマが設定されています。
  • 15日 終戦記念日
  • 昭和20年(1945年)8月15日に第二次世界大戦が終結したことを記念する日です。昭和57年(1982年)には、この日を「戦没者を追悼し、平和を祈念する日」とすることが閣議決定されました。
  • 19日 世界人道デー
  • 2003年8月19日、イラクで人道支援などを担っていた国連事務所が攻撃され、当時の国連事務総長イラク特別代表セルジオ・ビエイラ・デメロ氏をはじめ22名のスタッフが亡くなり、100名以上が負傷しました。それを受けて2008年、世界中で頻発する紛争や災害などにより避難や困難な生活を強いられている人々と、危険と隣り合わせになりながらも、少しでもこうした人々の手助けができればと願い行動する「エイド・ワーカー」の双方に思いを寄せることを目的として、国連総会によって8月19日が世界人道デーとして定められました。
  • 23日 奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー
  • 1791年8月23日カリブ海のサントドラミンゴで始まった奴隷の反乱に端を発し、初の黒人による共和国設立に結びついたことを踏まえてこの日が制定されています。
  • 30日 強制失踪の被害者のための国際デー
  • 世界のいたるところに存在する何万人という強制失踪の被害者への関心を高める日となっています。「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」によると、強制失踪とは、「国の機関等が、人の自由をはく奪する行為であって、失踪者の所在を隠蔽すること等を伴い、かつ、法の保護の外に置くこと」とされています。我が国は拉致問題を含む強制失踪の問題への国際的な関心を高める上でも重要であることから、平成19年2月に署名、平成21年7月23日に締結しました。平成22年12月23日、同条約は発効しました。

ジンケンダーのちょっと一言

東京都議会や国会における女性を蔑視する野次が問題となり連日報道されました、発言した人は軽い気持ちでも言われた女性議員をはじめ、多くの女性が深く傷ついたり、社会的にも大きな影響を与える場合があるのだという一例だったのではないでしょうか。
世界経済フォーラムが毎年公表している「男女平等指数順位2013年版(外部サイトへリンク)」では、日本の男女格差指数※の順位は136カ国中105位と極めて低く、特に、「経済活動への参加と機会」(104位)、「政治への関与」(118位)となっています。

ジンケンダーC

政府も女性の活躍推進に力を入れていますが、そうした政策を進めていくためには、私たち一人ひとりの意識が重要なのではないでしょうか。
男性と女性がお互いを尊重し合い、持っている能力が発揮できる社会をみんなで作っていくのだー。
※世界の各国の男女間の不均衡を示す指標。指標は経済・教育・政治・健康の4分野の14の変数を総合してつけられている。
◆お知らせ6月に県が実施した
6月に県が実施した県政モニターアンケートで「外国人住民との共生」をテーマにアンケートが実施され結果が公表されているのだ!それによると約3割の人が外国人の人と一か月以内に職場や日常生活の中で会話をしたと答えています。ともに暮らすことについても色々な意見が載っています。興味がある方はぜひご覧ください。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課
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滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
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