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じんけん通信

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5月号の内容

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平成26年(2014年)5月(第73号)

毎年5月5日~11日は児童福祉週間です。「児童福祉週間」は子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的に厚生労働省が定めています。
児童福祉法第1条には「すべての児童は、ひとしくその生活を保障され愛護されなければならない」とあります。
また、日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」でも教育を受ける権利などすべての子どもが健やかに成長する権利があるとされています。
しかし、現在虐待など様々な理由により家庭での養育が難しいとされる子ども(要保護児童)が約4万6千人(平成26年3月厚生労働省資料より)います。そうした子どもたちを公的責任において保護し養育することを社会的養護といいます。
また最近テレビで社会的養護をテーマにしたドラマが放映され、社会的な関心を集め、その内容についても大きな話題となりました。番組を見て詳しく知りたいと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社会的養護を支える形としては児童養護施設や里親など様々なものがあります。虐待等で保護された児童は一時保護所で生活し、その後の望ましい対応について検討がされた上でその後の生活場所や支援のあり方が決定されることになります。
社会的養護体系図

社会的養護説明図

※1…里親には委託された子どもを養育する一般的な養育里親の他、障害や非行など養育上の困難を抱えた子どもに対応する専門里親、三親等以内の親族が担う親族里親があります。
※2…原則として、乳児院には乳児が、児童養護施設には18歳未満の子どもが生活しています。
※3…非行等問題を抱える児童の立ち直りを支援する施設です。
※4…自立援助ホームは施設を退所した未成年を対象とした施設です。
日本は欧米などの諸外国に比べて施設で生活している子どもの割合が非常に高く、現在、小規模グループケアなどのより家庭的な環境での養護が推進されています。
そこで、今回はみなさんに社会的養護を取り巻く現状や課題について正しく知っていただくためファミリーホームを運営されている元藤大士(もとふじたかし)さんにお話を伺いました

特集 子どもと人権

元藤さん

Q:滋賀県は里親委託率(社会的養護を必要とする子どものうち里親やファミリーホームで養育される子どもの割合)が31.1%(H24年度末現在)で全国平均の14.8%と比べて高い割合を占めていますが、その背景にはどういったことがあるのでしょうか。
A:滋賀県では、「この子らを世の光に」との言葉を残され、知的障害者施設「近江学園」の設立や様々な障害者福祉の実践から、「障害者福祉の父」として知られる糸賀一雄氏らの思想が福祉の世界に根付いているためではないでしょうか。糸賀氏らの言葉に「24時間勤務」というものがあります。入所している子どもたちと寝食を共にし、対等な関係を築いていくことの大切さを説いたものです。里親も子どもとの関わりは24時間365日になりますから近いものがあるかもしれません。
Q:ファミリーホームは、以前から里親型のグループホームとして自治体で行われていた事業が平成20年の児童福祉法改正で法定化したものですが、その特徴はどういったところにあるのでしょうか。
A:「ファミリーホーム」という名前がついていますが、実際には里親を大きくしたもの、あるいは里親の延長と考えていただければと思います。施設を小さくしたものではありません。ファミリーホームを開設するには里親の経験年数等細かい要件があります。
一般的な里親さんとの大きな違いは、主たる養育者(夫婦など)の他に補助者を置いて計3人以上で養育するというところです。これは、仮に養育者と合わない部分があったり言いにくいことがあったりした場合に第三者である補助者に相談することができるので、子どもにとってとても良いことだと思っています。
また、定員について里親が4人までと決められているのに対し、5人~6人と多くなっていますので、兄弟姉妹をバラバラにすることなく預かりやすいというメリットもあります。
Q:養育されている中で大事にされていることはありますか。
A:虐待やネグレクト(育児放棄)によって母親など特定の大人と幼い頃親や家族と特有の絆の形成ができないことは、子どもの心の発達に大きな影響を及ぼし、時には障害として表れることもあります。治療には長い時間を要することから、できるだけ早いうちに適切な養育環境に置くことが大切です。試し行動(子どもが親・里親・教師などに対して、自分をどの程度まで受けとめてくれるのかを探るために、わざと困らせるような行動をとること。)や思春期の荒れなど大変な面もありますが、こちらがきちんとぶれずに対応すれば、いずれは良い方に向かうものです。
グループホームなどの児童養護施設においても小規模化が進んでいるところですが、単に小規模化するだけではなくて、きちんと家族的な絆を持った関係を作っていくことのできる関わりを持たなければいけないと思います。
Q:現在どういった方が里親をされているのでしょうか。
A:昔は福祉関係の職場をリタイヤされた方が多かったのですが、最近は子どもに恵まれない方が養子縁組を念頭に里親をされるケースが増えています。養子縁組を行うと、里親ではなく戸籍上も親子関係となるわけですが、現在は養育上の悩みを相談できる場を確保する意味でも、里親会に加入したままにしていただいています。
「特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託」で有名な愛知(あいち)方式※では、養育予定者に対して性別や障害の有無などで選別しないことや実の親ではないことを子どもに告知することなどを条件として付加しています。本来はどのような子であっても家庭で温かく迎えられるような社会になるべきだと思います。
※愛知県は、養子縁組前提里親への委託パターンのひとつとして、新生児委託という取り組みをしています。児童相談センターでは、予定外の妊娠などで「育てられない」という相談に妊娠中から対応します。将来にわたって子の引き取りができない事情がある場合には、養子制度について説明し、意思を確認します。出産後は病院から直接里親宅に引き取られる事になります。
Q:社会的養護や子どもたちを取り巻く環境について課題と思われることはありますか。
A:一つには里親の後継者養成についてです。現在、里親の担い手は私たちリタイヤ世代が多く、県内のファミリーホームを開設しているのもすべてベテランの里親さんたちです。
現在、児童相談所(滋賀県では「子ども家庭相談センター」の名称で県内2ヶ所に設置されています)が日々の通告対応などに追われ、里親に対するケアや子どものマッチングに十分な時間と労力を割けないという状況があります。
そうすると、どうしても「ベテランさんに任せれば安心」という意識が働くのかファミリーホームばかりが埋まっていくのが現状です。しかし、それでは新しく登録した里親さんになかなか子どもを預けることができず、不満が募ってしまいます。里親も普通の子育てと同様、やってみて初めて理解できることや子どもに教えてもらうことがほとんどです。ベテランの里親さんも、いずれは第一線から退かれることになります。これからの制度の維持のためにも積極的に里親さんに任せていくべきだと思います。
その上でベテランのみなさんが新しい方をしっかりとサポートしたり、不足しがちな一時保護(虐待や家出など緊急の場合やカウンセリングの必要性がある時などに18歳未満の子どもを保護する制度)を受け入れるような仕組みができることが大切ではないでしょうか。
それから子どもたちの進路についての問題もあります。現在の制度では原則18歳になれば制度の対象から外れてしまいますし、大学や専門学校に通っていたとしても20歳の誕生日を迎えれば独り立ちしなくてはなりません。知的障害があって福祉のサポートを受けられるわけでもなく、かといって大学にも行くわけでもない子どもたちが、高校卒業と同時に自立していくのは簡単なことではありません。社会的養護のもとに育った子どもたちが、巣立っていった後に生活に困窮することなく安心して暮らせるようにしなければいけません。そのためにも同じ境遇の若者が集える居場所づくりや就労支援が必要だと感じます。
Q:県民の方に伝えたいことがあればお願いします。
A:児童福祉に関する制度は高齢者や障害者と比べてかなり立ち遅れているといっていいと思います。これは、子どもが有権者ではないために社会的、政治的影響力が少ないことや当事者として声をあげることが難しいためでしょう。
また、日本の場合長く「家」制度が尊重されてきたため、子どもの養育は親の責任とされ、里親制度の仕組みがきちんと整備されたのは、ほんの10年ほど前のことでした。それが欧米に比べ極端に里親委託率が低い現状につながっているのではないでしょうか。
一人ひとりの子どもが愛され大切にされていると感じることができ、子どもの育ちが守られるためには「当たり前の生活」が保障されるよう家庭的養護の推進が重要です。厚生労働省のガイドラインに記載があるように、「里親委託が原則」となり、今後ますます推進されていくことが望まれています。
少子高齢化が進む今日、「子どもを大切に」はみんなが同意するところだと思います。また、生活困窮者や累犯障害者(知的障害や精神障害があり、犯罪を繰り返し起こしてしまう人。)など現代の日本が抱える様々な課題を突き詰めると、成長する環境や過程に何らかの困難を抱えているケースが多くあります。ですから、子どもをきちんと育てることは社会的な問題を解決していく上でなくてはならないものなのです。
県民の方にも、先に述べたような課題や社会的養護について、もっともっと関心を持っていただき理解を深めていただきたいと思います。

人権カレンダー 5月

ジンケンダーセリフ付き
  • 児童福祉月間
    次代を担う子どもが愛情深く大切に育てられるとともに、人との関わりや多様な体験の中で人間性と能力を豊かにはぐくみ、自立した社会の担い手として育っていくことは県民すべての願いである。またそのような環境をつくることは県民の使命でもある。
    このような観点から、滋賀県では毎年5月5日の「こどもの日」を中心とした児童福祉月間において、県、市町、家庭、学校、福祉関係機関、児童福祉施設、企業および地域社会等社会全体が一体となって、各種啓発事業および行事を展開することにより、児童福祉の理念の一層の周知と子どもを取り巻く諸問題に対する社会的関心の喚起を図るものとしています。
  • 1日~7日 憲法週間
    1950年(昭和25年)に実施された憲法施行3周年式典に合わせて、憲法の意義について国民に再確認してもらうことを目的として最高裁が中心となって「憲法記念週間」として始められました。昭和28年からは法務省、検察庁、弁護士会の協力で実施されるようになり、昭和31年に現在の名称に改称されています。この期間に合わせて各地で関連行事が開催されます。

  • 3日 憲法記念日
  • 3日 世界報道自由デー
    1993年の国連総会において宣言された記念日です。これは、自由かつ多元的で独立した報道がどの民主社会においても不可欠であるという「世界の報道の自由促進に関するUNESCO総会議決」(1991年)に由来するものです。
  • 5~11日 児童福祉週間
    「児童福祉週間」は、子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的として定めた、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間のことで、児童福祉の理念を普及・啓発するため、さまざまな事業や行事を行っています。
  • 8日、9日第二次大戦中に命を失った全ての人に追悼を捧げる日
    2004年に国連総会はこの日を追悼と和解の日と指定すると宣言し、加盟国や国連諸機関、NGOなどに、ふさわしい形で記念し、戦争でなくなった全ての人を追悼するよう要請しました。戦争を過去のものにしないために今一度振り返り平和について考えましょう。
  • 15日 国際家族デー
    毎年5月15日を「国際家族デー」とすることが1993年の国連総会で決定しました。総会は1989年の決議によって、家族問題に対する認識を高め、包括的政策を持って家族に関する問題に取り組む各国を支援するべく、1994年を「国際家族年」と宣言していました。
  • 21日 対話と発展のための世界文化多様性デー
    国連総会は2002年12月20日、繁栄や持続可能な開発、平和的共存を実現する手段としての文化の潜在的能力を高める必要から、5月21日を「対話と発展のための世界文化多様性デー」と宣言しました。「国連文化遺産年」(2002年)の幕を閉じるにあたり、総会では文化の多様性を保護することと、文明間の対話の枠組みを拡大することとに密接な関連性があることを認めています。
  • 25~31日 非自治地域人民との連帯週間
    1999年、国連総会は毎年5月25日から始まる一週間を「非自治地域の人々との連帯週間」とするよう非植民地化特別委員会に要請しました。この週間はもともと1972年に、「自由と独立と平等な権利のために戦う南部アフリカ、ギニア(ビサウ)およびカーボベルデの植民地人民との連帯週間」として、アフリカ解放記念日である5月25日から開始されることが宣言されていました。
  • 29日 国連平和維持要員の国際デー
    2002年国連総会で国連の平和維持活動に奉仕したすべての人の高いプロ意識、献身および勇気を称え、平和のためにその命を失った人々を追慕するため宣言された記念日です。

  • 30日 消費者の日
    「消費者基本法」改正前の「消費者保護基本法」が1968年のこの日に施行されたことから、その施行10周年を機に、1978年経済企画庁(現内閣府)によって制定され、1988年からは同法20周年を機に毎年5月が「消費者月間」となっています。現在は消費者庁を中心に被害防止のための啓発活動が行われます。

ジンケンダーのちょっと一言

滋賀県の平成24年度中の児童虐待相談件数は4,270件です。(県発表)虐待は特別な人に関わる問題ではなく、誰にでも起こりうる身近な問題です。子どもの命や子育てに悩んでいる方を助けるためにも、身の回りで「虐待では・・・」と思うことがあれば、ぜひ子ども家庭相談センターなど最寄りの相談機関に連絡してほしいのだー。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課
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