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「じんけん通信」(第56号)

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じんけん通信

平成24年(2012年)12月(第56号)

  • 厚生労働省平成23年患者調査によると、滋賀県には5~14歳の入院患者が100人います。
  • 学齢期に長期の入院をすると、学習の遅れなど様々な問題が伴います。そういった子どもたちの学習機会の保障また発達の保障のため、県内には8の病院に院内学級があります。
  • そこで今回は県立小児保健医療センターに隣接している守山養護学校を訪問し、佐野校長にお話を伺いました。

特集 病児教育と人権

Q:守山養護学校の概要について教えてください。

A:滋賀県立守山養護学校は、小学校、中学校、特別支援学校の小学部・中学部に在籍中の児童生徒で、一定の期間、県立小児保健医療センターや大津赤十字病院に入院している児童生徒が転入できる「入院しながら学べる学校」です。守山市にある本校と大津分教室があります。ここで学んだ子どもたちは、退院後は前籍校(入院前に通っていた学校)に戻ることになります。

本校は、県立小児保健医療センターに入院している児童生徒が学ぶ学校です。以前は、県立八幡養護学校守山分校として、県立小児整形外科センターに隣接していましたが、昭和63年4月県立小児保健医療センターの開所に伴い、県立守山養護学校として開校しました。

大津分教室は、大津赤十字病院に入院している児童生徒が学ぶ学校です。大津赤十字病院に設置されていた長等小学校と皇子山中学校の院内学級を母体として、昭和50年4月に県立大津養護学校として開校しました。昭和63年の県立守山養護学校開校に伴い、県立守山養護学校大津分校となり、その後、平成16年4月に大津校舎、平成22年1月に、県立守山養護学校大津分教室となりました。

平成23年度は、延べ130名の児童生徒が本校および大津分教室で学びました。平均すると約30名ほどの児童生徒が、入院をしながら両校で学んでいます。

本校に在籍する児童生徒は整形外科治療で入院する子どもが多く、県内のみならず全国各地から本校に転校してきます。大津分教室は、主に大津市内または近隣の市町に在住する児童生徒で、病種は様々です。

また、本校では、児童生徒の指導だけでなく、特別支援学校としての病弱教育のセンター的機能を果たすため、病弱教育に関する研修会を開催したり、教育相談として県内小中学校身体虚弱学級や院内学級の訪問等を実施し、病弱教育の状況把握や相談対応を行っています。

Q:子どもたちはどういった学校生活を送っているのでしょうか。

A:本校は、児童生徒の大半が登校までに病院でリハビリを受けます。登校までのこの時間が、最初の踏ん張りどころです。登校は、本校教員全員で病棟まで迎えにいきます。その時には、辛いリハビリの様子を感じさせないような元気なあいさつをしてくれます。

子どもたちは、病院と学校を繋ぐ「ほほえみの橋」を渡って登校します。これは病院での生活時間と学校での学習時間を切り替えるという点で、とても大切な通学時間です。

学習面では、教科学習以外にも文化祭や運動会などの行事は勿論、その他の学校行事、学部行事をたくさん企画しています。また、前籍校の学校行事にもできるだけ参加できるようにするなど、交流学習を大切にしています。フローティングスクールなどへの参加は、他校との交流としても、また他府県からの転入生にとっては、滋賀県にいたことのとても良き思い出になっています。

また、学校に来られない児童生徒に対しては、教員が病室へ行って院内での授業をおこなっています。他の子どもの活動の様子をビデオで紹介したりもしています。

Q:工夫していることや心がけていることはありますか。

A:学習では、出身地が全国各地であるため、教科書が異なったり進度が異なったりしますし、それぞれの児童生徒に合わせた指導を同時並行的に行わなくてはならないため、大変な面もあります。しかし退院して前籍校に復帰した時に、できるだけ学習の遅れがないよう、学習進度や試験問題など前籍校と密に情報交換を図り、授業を行っています。

また病児教育においては、ICT(情報通信技術)の活用が推進されています。子どもの状態によっては動きづらいこともあるので、タブレット端末など簡単な動作で操作できるものを使って、学習に興味・関心をもてるよう工夫しています。他府県では病室間をテレビ電話でつないで、生徒同士が発言できる授業をするというような試みも行われているようです。

さらに、子どもたちは病院の外の世界に触れることが難しい状態ですので、実際に美術や音楽等の専門家を招いたり、社会科の学習ではゴミ収集車に来てもらったりと、体験的な学習の機会を積極的に設けています。


Q:心のケアも大切ですね。

佐野先生

A:本校での教育の重要な課題の一つに、復帰後前籍校にもどって、スムーズに元の生活になじめる「児童生徒の集団への適応能力の育成」があげられます。

本校の教育目標に、「心身ともに健やかな子」、「自ら学ぶ子」、「思いやりのある子」の育成をあげていますが、特に学力保障に重点を置いています。この「学力」の中にさらに、「学力(教科の力)」、「体力」、「気力」の3つの柱を立て、それぞれの個々のニーズに応じて重点指導をおこなうことが大切だと考えています。

「体力」については、退院後に保護者や担任から寄せられるアンケートの結果を見ても、『体育は見学』『学校行事は別室対応』が現状です。集団の中で関わって、一緒に行動できる意味での「体力」はリハビリとは違った側面があるので、そこの力を何とか付けて、行事だけでも参加できるようになればと思っています。

そして「気力」は、前籍校への復帰時や小学校から中学校、中学校から高校へと進学する際に、「自ら集団に関わっていける力」を育むことを大切に考えています。同じクラスに戻っていく場合はまだ問題は少ないのですが、クラス替え等があって違う集団になった場合、学期途中でクラス内のグループができあがってしまっている場合などは、仲間に溶け込もうとしても、すぐには難しいものです。

学習についていけず、「行き渋り」や「不登校」にならないためにも、人の支援を待つのではなく、「自ら集団にかかわっていこうとする気力」の醸成が大切だと考えています。

そのために、自立活動の授業等では、まずは「自分自身について知る」、「友達について理解する」ため、「語り合う時間」を設けたり、学部行事・学校行事を通して、多くの友達と語り合える機会を増やしています。児童生徒も意欲的に取り組んでいます。

また過去に当校に在籍していた先輩に来てもらい、退院後に困ったことやどう乗り越えたかなどを話してもらう機会も設けています。


Q:病院とはどのように連携していますか。

A:病院は、「治療によって、その子の今を」、学校は、「教育によって、その子のこれからを」という思いのもと、共に「生きる力」を育んでいけるよう、学病連絡会議などで常に情報交換を行っています。

Q:子どもたちにとって学校に行くことはどういった意義があるのでしょうか。

A:「学校に行く」ということは、「友達と一緒に学びあえる」ということで「いろいろな同年代の仲間とふれあい、共に学ぶ大切な場」として、友達同士が励まし合い、高めあう貴重な学習の場であると考えています。


特に、本校で学ぶ児童生徒にとっては、特定の大人との接触の機会しかない、また友達との交流が少ない中で、「友達の声が聞こえる」ということだけでも大変価値があり、心の安定につながります。これは親にも医師や教師にもできないことではないかと思います。

そういった意味で、子どもたちにとっての学校は、仲間同士のふれあいのなかで、自らの人生を深め、経験を高める必要不可欠な「宝」のような空間であり時間です。このことは、本校の児童生徒にかかわらず、すべての子ども、大人においても言えることだと思います。人は一人で生きているのではなく、集団の中で生きているのですから。自尊感情や自他共存の心は、他者との関係のなかでこそ芽生えるものと思います。

Q:メッセージをどうぞ。

A:「生まれてきたことに感謝!」、「支えてくれるみんなに感謝!」、守山養護学校の児童生徒は、そんなことを誰よりも強く感じられる子どもたちだと思います。「自分自身の大切さ、周りの人の大切さ」をとてもよく知っている子どもたちだと思っています。病気に向き合い、乗り越えて力強く生きていこうと、毎日の治療に学習に頑張っています。

誰にでも、ハンディーキャップの1つや2つはあるものです。それを一つの個性と考え、生き生きと活躍している人はたくさんいます。かけがえのない一度きりの人生、考え方一つで、「楽しく」感じたり、「苦しく」も感じたりするもので、その人の受け止め方次第です。 今を楽しめることは、明日へのエネルギーです!頑張りましょう!

☆☆☆人権カレンダー 12月☆☆☆

  • 1日世界エイズデー

WHO(世界保健機関)は、1988年に世界的レベルでのエイズまん延防止と患者・感染に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として、12月1日を”WorldAIDSDay”(世界エイズデー)と定め、エイズに関する啓発活動等の実施を提唱しました。日本でも、その趣旨に賛同し、毎年12月1日を中心にエイズに関する正しい知識等についての啓発活動を推進しており、全国各地で様々な「世界エイズデー」イベントが実施されています。

  • 2日奴隷制度廃止国際デー

12月2日の「奴隷制度廃止国際デー」は、1949年に国連総会によって「人身売買および他者の搾取の禁止に関する条約」が採択された日を記念するものです。

  • 3日国際障害者デー

1992年、「国連障害者の10年」(1983~1992年)の終結にあたり、国連総会は12月3日を「国際障害者デー」と宣言しました。国際障害者の10年は、障害者の現状改善と平等な機会の提供を行うよう、一般の意識を高めつつ立法措置を制定する10年となりました。総会ではさらに加盟国に対し、障害のある人々の社会参加をいっそう促進させるため、この国際デーに重点を置くよう呼びかけました。

  • 3日~9日障害者週間

平成16年(2004年)6月に障害者基本法が改正され、それまで12月9日を「障害者の日」と定めていた規定から、12月3日から12月9日までを「障害者週間」と定める規定へと改められました。
12月9日は、昭和50年(1975年)に「障害者の権利宣言」が国連総会で採択された日であり、国際障害者年を記念して、昭和56年(1981年)11月28日に国際障害者年推進本部が12月9日を「障害者の日」とすることに決定しました。その後、平成5年(1993年)11月に心身障害者対策基本法が障害者基本法に改められた際に、12月9日を「障害者の日」とすることが法律にも規定されました。
「国際障害者デー」である12月3日から我が国の「障害者の日」である12月9日までの1週間については、平成7年(1995年)6月27日に障害者施策推進本部が「障害者週間」とすることを決定しています。

  • 4~10日人権週間

国際連合は、昭和23年(1948年)第3回総会で世界人権宣言が採択されたのを記念し、昭和25年(1950年)第5回総会において、世界人権宣言が採択された12月10日を人権デーと定めるとともに、すべての加盟国にこれを記念する行事を実施するよう呼びかけています。法務省と全国人権擁護委員連合会は、世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年から毎年12月10日の人権デーを最終日とする1週間を人権週間と定め、人権尊重思想の普及高揚のための啓発活動を全国的に展開しています。
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html(法務省HP)

  • 10日人権デー
  • 10日~16日北朝鮮人権侵害問題啓発週間

北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実態を解明し、その抑止を図ることを目的として、平成18年(2006年)6月に「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行され、国および地方公共団体の責務等が定められるとともに、毎年12月10日から同月16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」とすることとされました。
我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題とされる中、この問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。

  • 18日国際移民デー

国連経済社会理事会の勧告を受けて、国連総会は12月18日を「国際移民デー」と宣言しました。1990年のこの日、「すべての移民労働者とその家族に人権保護に関する国際条約」が採択されています。総会では、すべての移民の人権と基本的自由の尊重を保障するより一層の努力が必要となる点が強調されました。世界では約1億3,000万人が故国を離れて生活していると推定されています。世界で35人に1人は移民と推定され、故国以外の国で働き生活しています。

じんけん豆知識 世界人権宣言を知っていますか

12月10日は世界人権デーです。この日は1948 年に第3回国連総会において「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights)が採択された日です。「世界人権宣言」は、人権尊重における「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として作成され、法的拘束力を持つものではありませんが、国際人権規約をはじめ人権の保障に関する多くの条約の中でも再確認され、引用され、言及されています。

今一度その経緯や内容について知ってみませんか。

  • 世界人権宣言ができるまで

1945年に国際連合が設立されましたが、その際に制定された国際連合憲章は、第一条第3号で、「人権および基本的自由を尊重するように助長推奨することについて、国際協力を達成すること」を目的のひとつとして掲げています。
この「人権および基本的自由の尊重および遵守を助長するため」の機関として、1946 年に国連人権委員会(Commission on Human Rights)(2006 年3 月に人権理事会(Human Rights Council)に改組)を設置しました。
その後人権委員会の要請に基づき、国際人権章典起草のための委員会が設けられ、審議を経て1947年に国連総会に提出されました。そして1948 年12 月10 日に「世界人権宣言」として賛成48、反対0、棄権8、欠席2で採択されました。

  • 世界人権宣言の概要

世界人権宣言は、前文および本文三十条からなります。

  1. 前文
    世界人権宣言の趣旨、背景、目的などを述べています。
  2. 基本原則(本文第一条、第二条)
    人は生まれながらに平等で、差別されないとの基本原則を宣言しています。
  3. 市民的、政治的権利に関する権利(本文第三条~第二十一条)
    生命、身体および司法手続きに関する保障、居住の自由や表現の自由といった自由権的権利に関するもの、 プライバシーの保護および婚姻の自由に関するもの、他国へ避難する権利および国籍をもつ権利に関するもの、そして政治的権利に関するものがあります。
  4. 経済的、社会的および文化的権利に関する権利(本文第二十二条~二十七条)
    社会保障を受ける権利や労働基本権に関するもの、社会保障、母性および児童の保護等に関するもの、教育および文化に関するものがあります。
  5. 人権保障一般に関するもの(本文第二十八条~第三十条)
    宣言に記されている権利が実現された社会を作っていく権利、他者の権利を守る義務を負っていること、他者の権利を奪う権利はないことなどが記されています。

このように人権に関する様々なことが記されています。どれも私たち一人ひとりが幸せに生きていくために大切なことではないでしょうか。みなさんもこれを機会に「人権」のこと考えてみませんか。全文はこちら、簡単に知りたい方はこちら

■イベント・行事案内

県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県外

  • 大阪人権博物館

共催展「企業とCSR~さまざまな取り組みの現場から」
期間:11月13日(火曜日)~2013年1月13日(日曜日)
 

  • ピースおおさか

収蔵品展2
期間:12月25日(火曜日)まで
http://www.peace-osaka.or.jp/news/e20120801.html
ウィークエンドシネマ「太平洋戦争」
日時: 12月15日(土曜日) 14時~
 http://www.peace-osaka.or.jp/news/e20121201.html
映画「めぐみ」上映会
日時:12月16日(日曜日)10時~
http://www.peace-osaka.or.jp/news/e20121216.html

  • 舳松人権歴史館企画展 「舳松の伝統料理~食肉文化を支えた人びと~」

期間:2013年9月28日(土曜日)まで
 

  • 2012年度部落史連続講座~全国水平社をめぐって~

日時:12月7日(金曜日)18時30分~20時30分「水平社創立90周年熱と光を求めて~水平社創立の思想に学ぶ~」
12月14日(金曜日)18時30分~20時30分「全国水平社の創立と融和運動」
場所:京都府部落解放センター3階 第二会議室

  • 和い輪い人権ワークショップ第3回「見つめ直そう,クルマ社会の人権課題」

日時:12月20日(木曜日)13時30分〜16時30分
場所: 京都市男女共同参画センターウィングス京都
要申込み(12月13日まで)

編集後記

10日~16日は「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」です。今年は拉致被害者のうち5人が帰国されてから10年となり、手記が公表されるなど拉致問題への関心が高まっています。帰国者や帰国を待ち望む家族の方々の言葉からは切実な思いがにじんでいます。

問題の解決は決して容易ではありませんが、まずは私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、忘れないでいることが大切なのではないでしょうか。

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編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

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