文字サイズ

「じんけん通信」(第55号)

「わからない」だから「かわらない」そんなあなたの人権意識

「かわりたい」だから「わかりたい」へチェンジしませんか?

あなたの「わかりたい」を応援したい。人権施策推進課では、そんな思いで毎月「じんけん通信」を発行しています。ブラウザの「お気に入り」に入れていただければ感激です。

じんけん通信

平成24年(2012年)11月(第55号)

  • 滋賀県では、行政や労使、地域団体などが一体となって「仕事と生活の調和推進会議しが」を立ち上げ、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)が実現した社会づくりに向けて、協力して取り組んでいます。
  • その会議において、社会全体で取り組む気運を高めるための取組として、平成24年度から11月を「仕事と生活の調和推進月間」に設定し、取組促進のための広報・啓発活動等を集中的に実施することが決定されました。
  • そこで今回は「仕事と生活の調和推進会議しが」の座長をされている、滋賀大学経済学部の荒井壽夫教授にお話を伺います。

特集 ワーク・ライフ・バランスと人権

Q:ワーク・ライフ・バランスとはどういったことを指すのでしょうか。

荒井教授

A:ワーク・ライフ・バランスはここ数年日本でも盛んに取り上げられるようになりましたが、しばしば「女性の」仕事と生活の調和だと誤解されていることがあります。しかし本来は、男性も含めて考えることが大変重要です。つまり、男女ともに仕事とそれ以外の生活(家庭生活、地域生活、趣味等)を両立できるようにし、市民や個人の生活の質を向上させるということ、それがワーク・ライフ・バランスの大きな意味だろうと思います。

また、ワーク・ライフ・バランスというと、どうしても「労働者のための」という側面が強くなりがちですが、強調しておきたいのが、ワーク・ライフ・バランスを推進することは企業にとってもプラスであるということです。ワーク・ライフ・バランスを推進する上で前提となってくるのが、「労働時間短縮」であり、そのための「業務改善」であるといえます。この二つをきちんと行うことによって、従業員のやる気を向上させ新しい力を引き出し、ひいては生産性の向上につなげていくことができるのです。そういう意味では、ワーク・ライフ・バランスの推進は個人にとってだけでなく、企業にとってもよい影響を与えるWin-Winの関係であるといえるのではないでしょうか。

さらに、平成19年(2007年)に国の「ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議」において、行政や労使の合意によって策定された「ワーク・ライフ・バランス憲章」では、ライフスタイルが多様化している現在、人生におけるそれぞれのライフステージにおいて多様な働き方や生き方を可能にすることによって、自分が望む人生の選択が実現できるということを重視しています。

Q:ワーク・ライフ・バランスの重要性が叫ばれている背景にはどういったことがあるのでしょうか。
A:背景としてあるのは日本の場合、何と言っても「少子化」です。平成元年(1989年)に合計特殊出生率が1.57となり、これを通称「1.57ショック」といいます。これを受けて政府は、少子化対策、つまり子どもを生み育てやすくするための施策を90年代以降取り組んでいくことになるわけです。その中で、欧米で広がっていたワーク・ライフ・バランスというものを具体的に施策化していこうという流れになったといえます。

また、近年特に注目されるようになった要因として、社会保障の問題が関係していると考えています。現在、日本も含め欧米諸国では大変厳しい財政状況の中で、社会保障の持続可能性をどう維持するかということが大きな課題になっています。そうした中で、ヨーロッパを中心に社会保障費の活性化というものが盛んにいわれるようになりました。つまりは就労支援的な施策を通じて、働ける人にはどんどん働いてもらおうというものです。そうすれば経済活動の活性化につながるとともに、税収の増加、財政の改善にもなると。そういった観点からもワーク・ライフ・バランスの必要性は増しているものと思います。

Q:現状としてどういったことが課題ですか。

A:まず子育てに関する状況をみてみますと、子どもを生んで育てるのにかかるお金や教育にかかるお金が多いということがいえます。少子化対策の成功例といわれるフランスでは、例えば幼稚園や保育ママ、ベビーシッターといった受け皿がきちんとあり、そしてその費用をきちんと政府が補償してくれます。保育園から大学に至るまでの教育費が無料であるという決定的な違いがあります。

それからもう一つ、労働時間の問題があります。フランスでは週35時間という極めて短い法定労働時間を達成しているわけですが、日本では依然として労働時間が長い状態が続いています。さらには、幼い子どもがいることの多い30代男性で、週60時間以上働いている人が約2割を占めている現状があります。これでは女性が子ども生んだとしても、夫の助けはあまり期待できないということになり、当然出産に対してブレーキがかかってしまいます。

こうした状況が、育児休業制度が整備された現在でも、約6割の女性が出産を機に仕事を辞め、男性の育児休業取得者が3%にも満たないという状況を生んでいるのだと思います。

Q:滋賀県についてはどうでしょう。

A:例えば、女性の就業率が30代前後で大幅に下がる通称M字カーブといわれる問題がありますが、滋賀県は全国的にみるとM字の谷が深くなっています。男性の労働時間も全国平均と比べると長くなっており、これは滋賀の経済構造上、製造業が大きな割合を占めていることにも関係していると思われます。女性の管理職への登用も全国的にみて進んでいるとはいえません。

加えて、固定的な性別役割分担意識が強いことも問題です。「男は仕事、女は家庭」という考え方に同意する割合が全国平均より高く、逆に同意しない割合が平均より低くなっています。今後も継続して幅広く取り組んでいく必要があります。

Q:滋賀県における現在の取組についてお聞かせください。

A:平成19年(2007年)に策定された「ワーク・ライフ・バランス憲章」に基づいて、平成20年(2008年)に「仕事と生活の調和推進会議しが」が設立されました。これは、経済団体、労働団体、地域団体、行政など関係者が一体となってワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むために連携しているもので、平成20年(2008年)11月には「共同アピール」を表明し、その中で大きく4つのことをうたっています。

1つは「多様な働き方を可能にしよう」、2つめが「ゆとりとやる気を生み出そう」、3つめが「社会で子育てを支えよう」、最後に「多様な生き方を尊重しよう」です。

また、推進会議では平成24年度から11月を「仕事と生活の調和推進月間」に設定し、取組促進の広報・啓発活動を集中的に実施することとしています。その一環として、11月21日(水曜日)には「仕事と生活の調和推進シンポジウム」を開催する予定です。このように様々な主体が連携して、できることから取り組むことがワーク・ライフ・バランスを推進する上での大切なことだろうと思います。

Q:メッセ-ジをお願いします。


A:ワーク・ライフ・バランスの推進には企業のトップの意識が大変重要です。今はまだワーク・ライフ・バランスというと、福利厚生の一環という意識が拭えていないかと思いますが、そうではなくて、先ほども申し上げたとおりワーク・ライフ・バランスは企業にもプラスになる、ということをぜひご理解いただきたいと思います。

またフランスでは、「新しい父親像」として、父親として子育てに参加することは自分たちの権利なのであって、自分の人生を豊かにする重要なことであるという意識が浸透しつつあります。この点において日本の男性の多くは、貴重な体験を逃しているといえます。子育ての体験は、なにものにも代え難いもので、そこで得た経験は自分の視野を広げ、仕事にも生かせるものとなるでしょう。ぜひ義務ではなく権利として積極的に関わっていただければと思います。

☆☆☆人権カレンダー 11月☆☆☆

11月は児童虐待防止推進月間、子ども青少年育成支援強調月間です

  • 6日 戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー

2001年11月5日、国連総会は毎年11月6日を「戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー」とすると宣言しました。武力紛争時の環境被害が紛争終結後もなお、しばしば国境や世代を超越して長年にわたって生態系と天然資源に悪影響を及ぼすと考えられたからです。また、私たちが共有するこの環境の保全活動の必要性を強調した「国連ミレニアム宣言」も改めて確認されました。

  • 12日~25日 女性に対する暴力をなくす運動

平成13年(2001年)6月5日、内閣府男女共同参画推進本部において、毎年11月12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施するという決定がされました。

  • 20日 世界こどもの日

1954年、国連総会は全ての加盟国に対し「世界のこどもの日」を制定して、これを子どもたちの世界的な友愛と相互理解の日に、また世界の子どもたちの福祉を増進させる活動の日に当てるよう勧告しました。具体的な日付の制定は各国政府の判断に委ねられています。11月20日は総会が1959年に「子どもの権利宣言」を、また1989年に「子どもの権利条約」を採択した日です。

  • 25日 女性に対する暴力撤廃国際デー

国連総会は11月25日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に指定し、各国政府や国連機関、NGOが、この週間に対する一般の意識を高めるための活動をこの日に行うよう促しました。女性運動活動家たちは1981年以来、11月25日を暴力反対の日としてきました。この日付は、1961年にドミニカ共和国の支配者ラファエル・トルヒジョの命令で政治活動家ミラバル三姉妹が暗殺されたことに由来しています。

  • 25日~13月1日 犯罪被害者週間

犯罪被害者週間は、当該期間における集中的な啓発を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や犯罪被害者等名誉、生活の平穏への配慮の重要性について、国民の理解を深めることを目的として、「犯罪被害者等基本計画」において設定されました。

じんけん豆知識,子育てを応援するマーク

今回ワーク・ライフ・バランスを特集しましたが、厚生労働省では以下のような子育てに関するマークを作っています。みなさんは街でみかけたことがありますか?またその意味を知っていましたか?

くるみんのマーク
  1. 次世代認定マーク(くるみん)
    次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定し、その行動計画に定めた目標を達成するなど一定の要件を満たした企業に対して、「子育てサポート企業」として厚生労働省が認定するマーク。 商品や広告、求人広告などに付けることで、子育てサポート企業であることをアピールすることができます。
  2. マタニティーマーク
    厚生労働省に事務局がある「健やか親子21」推進検討会において、募集・選定されたマークで、妊婦であることを知らせるもの。 妊娠・出産における安全性と快適さの確保のためには、妊産婦に優しい地域環境や職場環境の実現、受動喫煙の防止、各種交通機関における優先的な席の確保などが必要とされています。しかし、妊娠初期には外見からは妊娠していることが分かりづらいことから、周囲からの理解が得られにくいという声もあります。 このマークを付けておられる方を見かけたら、皆さんからの思いやりのある気遣いをお願いいたします。
マタニティーマーク

■イベント・行事案内 、県内外で開催される研修会、啓発イベント等を案内します。

県内

  • 糸賀一雄記念第十一回音楽祭

日時:11月11日(日曜日)14時30分~16時00分(開場14時00分)
場所:栗東芸術文化会館さきら
料金(一般):1500円

  • びわこダルク10周年記念フォーラム「原点回帰」

日時:11月24日(土曜日)10:00~16時30分(9時30分~受付)
場所:大津市生涯学習センター
参加費:1000円
問い合わせ先:びわこダルク(077-521-2944)
 

県外

  • 大阪人権博物館

第67回特別展「全国水平社創立90周年記念『水平社の時代』」
期間:11月25日(日曜日)まで
共催展「企業とCSR~さまざまな取り組みの現場から」
期間:11月13日(火曜日)~2013年1月13日(日曜日)
 

  • ピースおおさか
  • 舳松人権歴史館企画展 「舳松の伝統料理~食肉文化を支えた人びと~」

期間:2013年9月28日(土曜日)まで

  • 2012年度部落史連続講座~全国水平社をめぐって~

日時:11月9日(金曜日)18時30分~20時30分「初期水平社の可能性」
11月16日(金曜日)18時30分~20時30分「部落差別撤廃運動と本願寺教団・中外日報」
場所:京都府部落解放センター3階 第二会議室 

  • 和い輪い人権ワークショップ第2回「裁判と人権〜私たちが『人を裁く』とは?〜」

日時:11月22日(木曜日)13時30分〜16時30分
場所: 京都市男女共同参画センターウィングス京都
要申込み(11月15日まで)

  • 2012年度 女と男のフォーラム〜男女共同参画社会の実現をめざして〜「多様な性を認めあう社会へ〜セクシュアル・マイノリティについて話しあおう〜」

日時:11月18日(日曜日)14時00分〜16時00分
場所: 栂文化会館
要申込み(11月14日まで)

  • らいとぴあ21セミナー「いま、”部落”をこどもにどう伝える?」

日時:11月9日(金曜日)19時00分~21時00分
場所:らいとぴあ21・視聴覚室

編集後記

11月は児童虐待防止推進月間です。「虐待」というものが社会問題化して随分経ちますが、いまだに未来ある子どもの命が奪われてしまう事件が全国的に後を絶ちません。報道などを見ると、本当に胸が痛みます。

「虐待」と聞くと、「まさか自分の周りでは起こらないだろう」とついつい考えてしまいがちですが、虐待は軽度なものも含めてどの家庭にでも起こりうるものであり、特別なものではありません。また、県内でも死亡事案まで発生しています。

この期間には、オレンジリボンを活用した啓発活動が県内各地で行われます。私たち一人ひとりが「子どもを虐待から守る」という意識を持ち、自分の周りのサインを見逃さないことが子どもの命を救うことにつながります。ぜひ一度関心を持って考えてみてはいかがでしょうか。

バックナンバー

編集・発行/滋賀県総合政策部人権施策推進課

人権施策推進課のページにもどる

お問い合わせ
滋賀県総合企画部人権施策推進課
電話番号:077-528-3533
FAX番号:077-528-4852
メールアドレス:cf00@pref.shiga.lg.jp